近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
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K9自走砲の「心臓」も出来上がったぞー!

韓国陸軍
この記事は約9分で読めます。

ええ、ええ、何処かで見たフレーズだね。

国産エンジンK9、1万km走行… 「2兆ウォン台エジプトK9事業本格化」

2025.02.12

国内で開発された K9 自走砲の 1000馬力ディーゼルエンジンがエジプトの耐久度テストを成功裏に完了した。 これにより、エジプト政府と結んだ2兆ウォン 規模の K9 自走砲パッケージ事業が本格的に進行される。 国内業界と政府の核心部品の国産化努力で放散輸出拡大のための足場を設けたのだ。

ハンファエアロスペースのサイトより

K2戦車に続いてK9自走砲のエンジンも国産化に成功したようだ。……エンジン?

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国産化されたエンジン

ねんがんのこくさんかを手に入れたぞ

K9自走砲は、今は世界的なベストセラー自走砲になりつつある兵器だ。

「何処かで聞いたことのあるフレーズ」というのは、以前にこのブログで紹介したからなんだよね。

もちろん、K2戦車のパワーパックの国産化の話にも関連するとは思うけれども。

K2戦車の話はさておき、K9自走砲の話である。

これまでのK9自走砲のエンジン回りの構成ではあるが、こんな感じのものであった。

  • エンジン:韓国STX社がライセンス生産する独MTU社製MT881KA-500
  • トランスミッション:統一重工がライセンス生産する米GM社製のATDX1100-5A3
  • サスペンション:英HDS/Air-Log社製 油気圧懸垂装置のライセンス生産品をベースに、韓国斗山社が開発した改良型油気圧懸垂装置

前回も書いたが、信頼性が高く、調達が容易な外国製品を組み合わせた」という評価だったんだよね。

ところが、前回触れたよう2021年ににエンジン技術をイギリス企業から開発の支援を受ける話があって、エンジン技術に強みを持つリカルド社との契約を結んだ。

マクラーレンなんかもリカルドと契約してエンジンを作っていたよね。

マクラーレン、エンジンサプライヤー「リカルド」との契約継続 次世代V8パワーユニットを供給
マクラーレン・オートモーティブは5月9日(現地時間)、エンジンサプライヤーであるRICARDO(リカルド)と、次世代V8パワーユニットの製造に関する複数年のパートナーシップ契約を締結したと発表した。
マクラーレン・オートモーティブ、エンジンサプライヤーのリカルドと次世代V8パワーユニットのパートナーシップ継続を発表 | McLAREN 正規ディーラー 八光自動車工業株式会社
マクラーレン・オートモーティブは、エンジンサプライヤーであるリカルドと次世代V8パワーユニットの製造に関する複

ただ、このK9自走砲関連でリカルド社からの技術支援を受けたのは、STXエンジン社だったハズなんだが……。

STXエンジン、軍用ディーゼルエンジン国産化へ着手=韓国

2023年12月26日 08時14分

STXエンジンはこのほど、防衛産業におけるディーゼルエンジンの国産化事業の開発企業として選出され、韓国国防技術振興研究所と兵器用部品の開発支援に関して提携したと発表した。

niftyニュースより

どうしてこうなった。

ハンファエアロスペースが開発?

冒頭のニュースでは、K9自走砲のエンジンをハンファエアロスペース社が開発したように読める。

ハンファエアロスペースは 2023年下半期から昨年 12月まで進行した K9 自走砲国産エンジンの耐久度テストを最近成功的に完了したと 12日明らかにした。 エジプトなど中東諸国を含む国内外で砂漠、 山岳など様々な走行環境で 1万kmを走行し、性能や最大出力などが求められる技術と運用要件を全て満たした。

ハンファエアロスペースのサイトより

あれ?

DAPA said a roll-out ceremony for the new engine, which delivers 1,000 hp, was held on 27 September at STX Engine’s manufacturing facility in the southern city of Changwon. DAPA claimed the engine has improved performance and efficiency compared with the MTU version but provided no details.

~~対訳~~

DAPAによると、1,000馬力を発揮する新型エンジンのロールアウト式典が9月27日、南部の昌原市にあるSTXエンジンの製造施設で開催された。DAPAは、このエンジンはMTUバージョンと比較して性能と効率が向上していると主張したが、詳細は明らかにしていない。

Janesより

評価としてはドイツ製エンジンよりも高性能なものが出来上がったという話だったので、もう出来上がったものと思っていた。

ところが、どうやらK9自走砲用のエンジンをハンファエアロスペース社が作るという話になっている?

国内で開発されたK9 自走砲の 1000馬力ディーゼルエンジンがエジプトの耐久度テストを成功裏に完了した。 これにより、エジプト政府と結んだ2兆ウォン 規模のK9自走砲パッケージ事業が本格的に進行される。 国内業界と政府の核心部品の国産化努力で放散輸出拡大のための足場を設けたのだ。

ハンファエアロスペースのサイトより

意味が良く分からないな。

調べて見たら、どうやらハンファエアロスペース社は代理店的な立ち位置らしい。

ハンファエアロスペースは12日、エジプトに輸出するK9自走砲に搭載する1000馬力の韓国製ディーゼルエンジンの現地テストを完了したと明らかにした。 今回通過したエンジンは、国内協力会社のSTXエンジンが開発したもので、ハンファエアロスペースがK9自走砲に搭載し、エジプト当局の試験評価で良い結果を得た。

毎日経済より

開発はSTXエンジン社で、輸出担当になったハンファエアロスペース社がSTXエンジン社製エンジンをK9自走砲に搭載して輸出するということっぽいね。

エジプトとの契約

そういえば、このブログではエジプトへのK9自走砲輸出の話は言及していない気がする。

ハンファシステムがエジプトとK9自走砲、K11射撃指揮装甲車の統制システムを輸出する契約を締結したと27日、明らかにした。 自走砲射撃統制システムは443億ウォン、射撃指揮装甲車の指揮体系は305億ウォンで、総合は748億ウォンだ。 射撃指揮体系が国内で開発され、輸出された事例は初めてだと、ハンファシステムは伝えた。

毎日経済より

これは去年末、12月27日付の記事なのだが、ハンファシステムがエジプトとの契約を結んだ話を伝えている。

Why did Egypt choose to buy South Korea’s K9 howitzer?

Feb 2, 2022

BEIRUT — Egypt has ordered K9 self-propelled howitzers and other support vehicles from Hanwha Defense, according to a Feb. 1 announcement by South Korea’s Defense Acquisition Program Administration.

~~対訳~~

エジプトはなぜ韓国のK9榴弾砲を購入することにしたのか?

ベイルート —韓国防衛事業庁が2月1日に発表したところによると、エジプトはハンファ・ディフェンスにK9自走榴弾砲とその他の支援車両を発注した。

Defense News より

実は、エジプトにK9自走砲を輸出するにあたって、ハンファディフェンス社が契約をしている。

A source with knowledge of the deal told Defense News that most of the artillery and vehicles are scheduled to be locally produced at Factory 200, a state-run defense manufacturing facility just outside the Egyptian capital, while an initial batch is to be delivered by Hanwha Defense.

“The contract is valued around $1.7 billion for hundreds of the K9 Self-Propelled Howitzer (SPH), K10 Ammunition Resupply Vehicles, and K11 Fire Direction Control Vehicle,” the company said. “The K11 Fire Direction Control Vehicle is a new vehicle to be developed for the Egyptian military. Using the K9 chassis, the command-post vehicle will be equipped with a range of high-tech sensor and communication equipment in accordance with operational requirements of the Egyptian Army and Navy.”

~~対訳~~

この取引に詳しい情報筋はディフェンス・ニュースに対し、大砲と車両の大半はエジプト首都郊外の国営防衛製造施設「ファクトリー200」で現地生産される予定で、最初の一バッチはハンファ・ディフェンスが納入する予定だと語った。

「契約額はK9自走榴弾砲(SPH)、K10弾薬補給車、K11射撃指揮統制車数百台で約17億ドルです」と同社は述べた。「K11射撃指揮統制車はエジプト軍向けに開発される新型車両です。K9シャーシを使用したこの指揮所車両には、エジプト陸軍と海軍の運用要件に従って、さまざまなハイテクセンサーと通信機器が搭載されます。」

Defense News より

それの関係で、国産エンジンをハンファエアロスペース社が搭載するという契約になったってことらしい。

で、第1納入分はハンファエアロスペース社が調達して納入する契約になっているが、その後はエジプトの国営防衛製造施設「Factory 200」で製造されることになるのだとか。

既存の K9 自走砲には国内企業が外国製品を免許生産したエンジンが搭載された。 K9 自走砲を輸出するにはエンジン開発会社側政府の承認が必要で、中東諸国など一部の国への輸出には制約が続いた。

ハンファエアロスペースのサイトより

国産エンジンの開発が実現できたことで、制約なしに輸出できるようになったということらしい。でも、そのエンジンは英リカルド社が設計したんだけれども。

まあ、何にせよ輸出の幅が広がったということなので、今後もK9自走砲は更に売れていくことになりそうだ。そもそも自走砲を開発して輸出してくれる国は少ないからね。

追記

サムネに使った絵についてコメントを頂いたので、こちらの記事を紹介しておく。

韓国K9自走砲、最大射程30%延長…155mm射程距離延長弾の開発に成功

2024 年 2月 13日 (火)

K9自走砲の最大射程を30%以上延長できる155㎜射程距離延長弾の体系開発が完了した。この弾薬は今年から量産される予定だ。

Korea waveより

や、そういえばこれ記事にしたな。

方式としては、以下のような感じで飛距離を伸ばすらしい。

防衛事業庁によると、155ミリ射程距離延長弾は、軍が運用中の抗力減少弾とロケット補助推進弾の推進剤を複合適用し、K9自走砲の最大射程距離を現在より30%以上延長することができる。

抗力減少弾は、弾発射後に抗力減少剤が燃焼し、弾の抗力を最小化して射程距離を延ばす弾薬をいう。ロケット補助推進弾は、飛行段階でロケット補助推進剤が燃焼し、弾の飛行を加速して射程距離を延長する弾薬だ。

Korea waveより

前回、こんなことしたら命中率が!という言及はしたけれども、そんなことより飛距離だろう!というコンセプトなんだろうね。

コメント

  1. 山童 より:

    実を言うと自走砲やエンジンより、サムネの砲弾の方が気になります。
    写真だと炸裂煙が二段になってます。
    さらに砲弾?もミサイルみたいに噴射ガスのハロウを発して飛んでいます。
    これは砲弾の弾頭にロケットまたはミサイルを乗せて、発射ガスで打ち出し、さらに弾頭部のロケットが点火されて飛翔すると考えて良いのでせうか?
    精密砲撃する技術は、米軍が譲渡したウクライナ軍の野戦砲にも使われています。
    ただしコレらは砲弾の炸薬でロケットを生み出すタイプではなく、弾頭部に翼がちうていて、発射後に開き、その翼の角度調節によって誘導方向へ精密砲撃するもの。
    それにサムネだと砲身の口径より飛翔する弾頭の方が大きい可能性が……
    だとすると、空砲でライフル銃口部に取り付けたロケットを飛ばすタイプの対戦車ロケットランチャーと同じ原理でせうか?
    昔のソ連軍とかはAKや小銃の銃口部にロケットを取り付けて、空砲で推進させるタイプの「取り付け型」小銃ランチャーを用いていた気がしますが。それと同じ原理なのかなぁ?

    • 山童 より:

      ちなみに銃口部に対戦車ロケットを取り付けして、空砲で点火する小銃……。
      ノリンコの射撃場に併設された展示ルームで観ただけで、ホントに実戦投入されたのか良く解りません。
      少なくとも1980年代に自衛隊に所属していた時には、そうした装備は観なかったですし、米軍も使ってない気がした。
      その辺は銃器とくに戦闘用小火器に詳しい
      七面鳥さまたちにお尋ねしたいところです。m(__)m

    • 木霊 木霊 より:

      写真は、155㎜射程距離延長弾の開発時の写真ですね。
      追記しておきます。

      発射後にロケット補助推進弾に点火して飛距離を伸ばす方式っぽいですね。

      • 山童 より:

        ああ…やはり、そういうタイプでしたか。しかし一発撃つのに面倒な作業が必要ぽいですねぇ。
        今は自走砲や戦車でも、有視界距離で砲撃戦とかあり得ないですから、長距離砲撃として、面倒でも良いのかもしれませんけれど。

    • 山童 より:

      ああ、この場合のサムネについては、
      砲身の砲口部にロケットをつけて、空砲弾の発射ガスで点火してるという想定ですが。ただ……兵士が携帯できる小銃にロケットをつけて簡易ロケランにするアイデアは有り得るとしても、クソ重いミサイルを砲口に取り付けるとなると、野戦での戦闘中に可能なのか?と想うんですよね?

  2. 匿名 より:

    日産がGr.C用のV8エンジンブロック製造をリカルドに依頼
    特許の有効期限が切れているのでマクラーレンオートモーティブに販売

    • 木霊 木霊 より:

      あれって、そういう話なんですか?!
      日産も今や「明日をも知れぬ」状況なので、それどころではないのかも知れませんが。