近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
スポンサーリンク

KF-21戦闘機用のIRSTも開発成功したニダ

韓国空軍
この記事は約9分で読めます。

おお、久しぶりのKF-21戦闘機ネタだ。

「米国は技術を与えなかったが、あきらめなかった」…KF-21核心装備の国産化七転八倒のストーリー

入力2024.12.25. 午後 7:00

KF-21の開発過程で重要な成果として、韓国が独自開発に成功した航空電子装備を挙げることができる。航空電子装備には、戦闘機の頭脳に相当する任務コンピュータ、目の役割を果たす能動型電子注射式位相配列(AESA)レーダー、赤外線探索追跡装備(IRST)が含まれる。

NAVERより

確か、AESAもIRSTも開発に成功したことになっていたはずなんだが。

スポンサーリンク

残念ながら開発失敗したっぽい

半分の成功

ええと、IRSTは赤外線探索追跡装備は、簡単に言うとレーダーのようなものなのだが、赤外線を受動的に使うことで情報を得るので、小型に運用できることと近距離の分解能に勝る点で、戦闘機には欠かせない装備である。

IRSTは戦闘機に欠かせない航空電子装備で、赤外線を探索して追跡する装備だ。KF-21の機体前部に目立つ形の球形の装備がIRSTの赤外線センサーだ。攻撃目標を探知するために電波を発射するレーダーとは異なり、IRST装備はターゲットから出る赤外線エネルギーを探知するため、より秘密裏に作戦を行うことができる装備だ。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

ええと、「KF-21の機体前部に目立つ形の球形の装備」とあるね。

うんまあ、たしかに黄色い装置が付いているな。

装置はこれらしい。

IRSTはKF-21の量産第2段階であるブロック2(空対地作戦可能)から正式運用される。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

ん?装置としては設けられているのに、ブロック2からの正式運用らしいぞ。

しかし、IRSTの国産化はまだ半分の成功と言える。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

理由はよくわからないが「半分の成功だから」なのだろう。この半分の成功というのは、日本語でいうと道半ばという意味合いになって、事実上の国産化失敗と言える。

教えてもらえない

さて、どんな状況かというと……。

赤外線センサーのドーム(Dome)はレオナルドが直接製作し、KF-21に搭載した。ハンファシステムはIRSTの信号処理部の国産化に成功した。たとえ半分にも満たない国産化だったが、研究陣にとっては貴重な経験となった。イ・ジェイク首席研究員は、「外国メーカーと一緒に開発を行い、経験を積むことで、私たちと相手の長所と短所が把握できた」とし、「私たちの長所について自信を持てるようになり、外国メーカーの技術水準が少し誇張されているのではないかという思いもあった」と話した。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

もう、「半分国産化できたから、成功したも同然!」という状態みたいだね。赤外線センサーのドーム部分はレオナルドから供給してもらう感じらしいが。

それにしても、ドーム部分にはセンサーが詰まっているので、この部分が作れないことにはそもそも開発成功したとは言わないと思うのだが、イタリア企業のレオナルドとしても、極秘部分を開示する気はなかったようだ。

IRSTは、米国が技術移転を拒否した後、イタリアの防衛メーカーであるレオナルドと技術協力契約を締結して開発された。しかし、契約締結後も技術をどの程度移転するかは「密談」が続いた。電子光学システム1チームのイ・ジェイク主任研究員は、「契約書には技術開発を’支援する’と書かれているが、双方の解釈が異なっていた」とし、「質問をすると、はっきりと話してくれず、防御的な態度を示すことが多かった」と話した。彼は「夕食の席を設けて執拗に質問し、聞いた内容はすぐに研究室に戻って適用し、データを得たりもした」と話した。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

何か、相当苦労して技術を得たようなことが書かれているが、韓国における技術開発努力っていつもナニカが違う印象を受けるんだよね。

最先端の技術は開示できない

結局、IRST技術を韓国がゲットしたかはやや怪しい感じではあるが、少なくともKF-21戦闘機に搭載できることになって良かったじゃないか。

ちなみに、F-35戦闘機にも搭載されているが、随分と形が異なる。AN/AAQ-37 EO-DASと呼ばれる防御用のセンサーが、機体の各部6箇所に埋め込まれているらしい。

ハンファシステムはKF-21にAESAレーダー、任務コンピュータ、IRST、多機能表示器、音声信号制御管理システムをはじめ、電子光学目標獲得追跡整備(EO TGP)、地形追跡コンピュータ(TFC)まで7種の航空電子装備を韓国航空宇宙産業(KAI)に供給する。ハンファシステムの関係者は「IRSTは世界的にも米国、ロシア、イタリアだけが技術を持っている」とし、「今後、センサードームの国産化を目指して研究中」と話した。ハンファシステムは、米国が技術移転を拒否したEO TGPの国産化も80%以上進めた状態だ。

NAVER「KF-21核心装備の国産化」より

まあ、アメリカ、ロシア、イタリアだけが技術を持っている「だけ」なので、開発には時間がかかっても仕方がないと思うよ。

日本でも開発中で、平成15年から開発を始めて平成22年にようやく開発完了しているのだけれど、トラブル発生。今は改修版がF-15J 改修II型に搭載されているはずなんだけど、防衛装備庁は更に「電波・光波複合センサー・システム」として改良型の試験をやっているらしい。

このあたりの情報はあまり積極的には出てこないんだけれども、各国とも重要な技術として位置づけていることは間違いない。

だから、韓国が開発に成功していなくても、悔しくなんてないよね。それに、IRSTの技術開発は始めてまだ数年である。そんなにホイホイと出来上がるわけもない。地道に技術開発を続けてくれ。

追記

AESAの「自国開発」は

AESA関連のニュースをスルーしていたので、幾つか触れておきたい。

韓国型戦闘機KF21が国産AESAレーダー搭載、本格飛行試験

2023年3月8日 18:00

韓国型戦闘機KF21が核心装備である能動型位相配列レーダー(AESAレーダー)を装着し、性能検証のための飛行試験に着手した。ハンファシステムがこのほど、AESAレーダーをKF21試作機に搭載し、性能検証のための飛行試験を開始した。

2026年2月までに飛行試験を通じて▽空対空モード最大探知・追跡距離▽追跡精度など数十項目について開発・運用試験を評価し、作戦運用性能充足性▽軍運用適合性▽戦力化支援要素実用性などを試験評価する。

AFPより

このニュースが報じられたのが2023年3月のことで、KF-21戦闘機に搭載可能なAESAレーダーを手に入れていたということが分かるわけだが、このニュースで引っかかったのはこの部分。

これに先立ち、ハンファシステムは2021年、国防科学研究所と南アフリカで民間航空機を改造した試験航空機(FTB)にAESAレーダーを装着して飛行試験を遂行し、昨年11月から今年2月まで国内飛行試験を通じてすべての開発要求に対する機能・性能検証を終えた。

AFPより

開発開始を決めたのは2016年のことで、これはアメリカからF-35A戦闘機購入にあたって、KF-21戦闘機用のAESAレーダー技術移転を求めたが、拒否されたために始めることにしたという経緯がある。

爆速で開発が進む

が、そこからが早かった。

国産戦闘機のレーダー開発を開始 26年終了目標=韓国

2016.08.10 11:49

韓国国防部傘下の国防科学研究所(ADD)が10日、韓国国産戦闘機(KFX)の中核装備となるアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーの開発事業を開始した。防衛事業庁が伝えた。

聯合ニュースより

開発を初めて僅か3年で完成。5年目には試験飛行にまで漕ぎ着けたのだが、なんと、開発開始翌年には既に試作機が出来上がっていた。

国産戦闘機の要 AESAレーダーの試作品を初製作=韓国

2017.07.13 12:09

韓国防衛事業庁は13日、韓国国産戦闘機(KFX) の「目」に当たる中核装備、アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーの試作品が製作されたことを明らかにした。

聯合ニュースより

この完全国産化したとの触れ込みのあるAESAだが、ちょっと不可思議な言及がある。

アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー 国産化に成功

Write: 2020-08-10 12:46:04/Update: 2020-08-10 12:47:28

韓国は、戦闘機の目と呼ばれる「アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー」の国産化に成功しました。

~~略~~

このレーダーの開発で強国とされるイスラエルも韓国の今回の開発について、「韓国の優秀な半導体技術に支えられた」と評価しました。

KBS WORLDより

イスラエル企業エルタ・システムズ社が、このAESAレーダーの試験に協力しているようなのだが、不思議なことに、エルタ・システム社は韓国のAESAレーダーについて褒めちぎっているんだよね。

国防科学研究所(ADD)で会ったシン・ヒョンイク航空機レーダー体系開発団長は「ADDは技術は保有しているが、企業(ハンファシステム)が製造したことがなく心配だった」とし「世界で11番目にAESAを開発することになった」と話した。国産AESAレーダーを試験評価したイスラエルのエルタ社はイスラエルよりも優秀だと評価した。モジュールの素材も先端だ。

中央日報より

エルタ・システムズ社といえば、T-50練習機にEL/M-2032レーダーを搭載するにあたって韓国に技術支援を行った会社である。

このレーダーの開発は、エルタ・システムズ社の親会社IAIがラビ戦闘機(F16戦闘機の技術をベースにアメリカがイスラエルに技術支援を行って作った)に搭載するために作ったEL/M-2035レーダーがベースになっている。つまりは、そういう技術なのだ。

レオナルド社も関係するか

そして、レオナルド社も一枚噛んでいるぽいんだよね。

AESAレーダーの共同開発も推進 アジア·太平洋地域にも輸出期待

 2024-05-14 14:31:28

ハンファシステムが戦闘機用AESA(能動電子走査配列)レーダーアンテナを海外に初めて輸出する。

ハンファシステムは13日(現地時間)、イタリアで欧州を代表する航空宇宙·防衛産業企業レオナルドと「軽攻撃機AESAレーダー」アンテナ供給契約を締結したと発表した。 航空機用AESAレーダーアンテナが国内技術で開発され、海外に輸出されるのは今回が初めてだ。

両社は今回の契約と共にAESAレーダーの共同開発に乗り出す予定だ。 ハンファシステムはレオナルドにAESAレーダーアンテナ(AUU)の開発·製造を担当し、来年9月からレオナルドに供給する。 レオナルドは信号処理装置と電源供給装置、冷却装置などを製造·統合し、2026年から軽攻撃機用AESAレーダーの完成品を生産する予定だ。

両社の協力は、国防科学研究所の主管で開発された韓国型戦闘機(KF21)AESAレーダー技術を基盤に、軽攻撃機用AESAレーダーを作るためだ。

毎日経済より

記事では、2024年から共同開発をするということで、KF-21戦闘機に搭載するAESAレーダーにはレオナルドの技術は含まれていないようなのだが、引っかかったのはここ。「ハンファシステムはレオナルドにAESAレーダーアンテナ(AUU)の開発·製造を担当し、来年9月からレオナルドに供給する。 レオナルドは信号処理装置と電源供給装置、冷却装置などを製造·統合し、2026年から軽攻撃機用AESAレーダーの完成品を生産する予定」という部分。

うんうん……、うん?

つまり、KF-21戦闘機用の信号処理装置や電源供給装置、冷却装置などは新製品には搭載しないって事なの?

不思議なことがあったものである。色々な経営判断があったのだろうとは思うが、そこも韓国製でイイヨね?

コメント

  1. 匿名 より:

    AESAレーダーに関して、モノが出来るかどうかより1番のキモは実はソフトウェアなんですよ
    レーダーはなんせノイズが多いですからね。ノイズをカットして敵の目標を捕捉しないといけませんね。
    このカットオフ値の設定がノウハウです。
    そのカットオフ値もレーダーや戦闘機の形状によって変わる。ものすごく地道かつ地味な作業で多くの労力がかかります。ノイズ多過ぎて作り直しなんてことも。
    韓国が苦労してるのは恐らくその辺でしょう。
    AESAレーダー開発のキモはやはりソフトウェアです。

    • 木霊 木霊 より:

      追記で言及しましたが、どうやらASEAレーダー開発はちょっと怪しい感じですね。
      韓国内でレーダー部分を作ったようではありますが、制御部分はどうやら外国任せの雰囲気です。
      まあ、詳しいことは分からないのですが。

  2. きたやまひと より:

    お早うございます。
     >「私たちの長所について自信を持てるようになり、外国メーカーの技術水準が少し誇張されているのではないかという思いもあった」と話した。
     技術者として、実に傲慢な発言ですね。この発言が技術を移転してくれるパートナーに伝わったなら、どういう感情を持たれるかまるっきり意識していないようです。

     赤外線センサーは冷却技術が肝要ですが、それをコンパクトに組み上げることができないのでしょうね。半分成功は、半分しかパクれなかったのでまるっきりできていないということでしょうか。必須アミノ酸が欠けているような。
     

    • 木霊 木霊 より:

      おはようございます。

      なかなかの発言ですよね。
      しかし、韓国の技術者はこんな感じですよ。特に、それを統括している人間のプライドは高いです。
      それが良い方向に作用することもある様ですが。