形式的には謝罪せざるを得ない。
韓国・潜水艦火災、33時間後に作業員死亡確認…HD現代重工が謝罪
2026年4月14日 6:10
韓国・HD現代重工業は、海軍潜水艦の整備中に発生した火災で協力会社の作業員が死亡した事故について、公式に謝罪した。
AFPより
このニュースでは特に新しいネタは提供されていないのだけれど、割と碌でもない情報は他で提供されているので、少し追加情報としてまとめておきたい。
管理体制も問題だろうが、構造的欠陥も示唆される
管理体制の見直しも含めた追加対策を進める
先ずは、前回の記事へのリンクを。
さて、前回までに、
- 火災発生して救出までに33時間を要した
- 死亡したのは60代の清掃員の女性
- 潜水艦1階の生活空間の下の地下空間で倒れていた
- 初期消火には水を使っていた
- 救助活動にはマニュアルがなかった
とまあ、そんな感じのことは判明していた。
同社はこれまで重大災害の防止を掲げ、安全対策を強化してきたと説明しているが、今回の事故を受けて「安全な職場づくりへの責任を改めて痛感している」とし、管理体制の見直しも含めた追加対策を進める考えだ。
AFP「韓国・潜水艦火災、33時間後に~」より
管理体制を強化するという目的で、守られないマニュアルが登場して終わりそうだな、この案件。
バッテリートラブルの可能性が高い
ところで、今回の火災の原因なのだが。
HD現代重工業潜水艦火災救助難航
2026.04.09. 21:54
9日、HD現代重工業のウルサン造船所で発生した海軍潜水艦の火災で行方不明だった60代の女性労働者が約2時間40分ぶりに発見されたが、狭隘な内部構造のため救助作業が難航している。
~~略~~
消防当局は救助作業を続けているが、現場へのアプローチが容易ではない状況だ。当該空間へ続く進入路が成人1人がやっと通過できるほど狭いうえ、内部には電線・配管・酸素タンクなど各種設備が密集しており、救助要員と機材の投入が事実上制限された。
救助の過程で原因不明の煙が発生し、作業が一時中断される事態もあった。火災で電気スイッチなどが溶け落ちたのに続き、消火の過程で艦内に流入した水により漏電や追加火災の危険も指摘される。
火災原因はまだ明確に判明していないが、現時点では潜水艦内のバッテリールームで始まった可能性が大きいとみられる。造船所の労働組合側は「火災直前、バッテリールームで青色の火花が散ったという作業者の証言がある」と伝えた。
朝鮮Bizより
9日の段階のニュースで、作業に従事していた作業員の発言として、「バッテリールームで火花」を見たという証言があったとのこと。このことは、犠牲になった1人を除く作業者46人が即時撤退したという情報と符合する。かなり深刻な事態であったことが示唆されるのだ。
また、「原因不明の煙の発生」や、「火災で電気スイッチなどが溶け落ちた」という話。そして、「消化の過程で管内に流入した水」という危険なワードがチラホラ見える。
これは先日のニュースでも触れているのだが、初期消火で誤って水を使ってしまったためにトラブルを助長した可能性が高いと指摘されている。
214型潜水艦には、AIP用に用意された燃料電池の他に、従来から利用される鉛蓄電池が大量に積まれている。排水量の約25%に相当する重量を占めるというから、その総量たるや。
この鉛蓄電池の消火は、基本的に水はNGである。何故なら、化学反応によって塩素ガスを発生する可能性が高いからだ。「原因不明の煙の発生」は、この塩素ガスの可能性が高く、非常に危険である。
そして、活電状態で整備(清掃)してしまったということが、今回のトラブルに繋がったという恐ろしい状況が推測されるのである。
恐ろしい構図
ここで怖い想像をしてしまうのだが、今回、被害者が倒れていたのは、「生活空間の下の地下空間」ということになっている。
本来、ドイツで設計された214型潜水艦では、バッテリールームはの前方と後方の下層に分かれて配置される。その直上は、通路や補助機器室、あるいは居住区の一部と重なる設計になっている。
クルーの生活空間は前側に存在し、その下側にバッテリールームが配置されている。

しかし、本来は、ここの区切りには、水密性と気密性を備えた強固な床構造があったはずなのだ。だから、空調ダクトの点検スペースなどがあったということだとしても、そこにゴミが入り込む余地はあまりないはずで。どうにも、清掃と今回の事故原因が繋がらない。
生活空間の下にゴミが溜まるような構造であれば、そこに熱や有毒ガスが入り込む余地があるのは、ダメージコントロールの観点からおかしいし、逆に、熱や有毒ガスが生活空間に伝わらない構造になっているのであれば、そこを清掃していたということに繋がらない。
どうにも設計的なトラブルがあったような気がしてならない。
まとめ
もはや、HD現代重工業の安全管理が不十分であったことは疑いようがないし、公式謝罪でもそのように言及している。
しかし、被害者が亡くなっていた状況を考えると、火災が長く続いた(当初は1時間で火は消し止められたとされていた)か、非常に高温になったために、バッテリー解体をせざるを得なかった為に救助に向かえなかったの何れかの状況が示唆され、単殻構造の船体のダメージは計り知れない。恐らくは7番艦は再起不能か、非常に長いメンテナンス期間が必要になるはすだ。
そして、構造的な問題点が示唆されるが、それが本当なら、全艦即時運用停止になりかねない。結構深刻な問題を抱えているのではないだろうか。




コメント
疑問だらけの潜水艦火災事故ですが、軍絡みなので、結局は曖昧に片付けられるのでしょう。
火災原因については、昨年の政府系サーバー火災事故と同じ臭いがしますね。
外部の人間(清掃業務の民間人)が火元だった可能性はありそうです。
そうですね、去年のサーバー火災とかなり近しい原因だと僕も感じています。
ただ、本文中にも書きましたが、本来、生活空間の下が蓄電池スペースであったならば、そこは水密構造で機密がとれていなければならないと思います。そこに入り込んで清掃をしていたというのは、ちょっと腑に落ちないんですよね。清掃員が清掃するような場所ではありませんから。
こんにちは。
バッテリーから出火……
ついこの間も、ミッションクリティカルなバックアップ用電源をサーバ室において、盛大に火花出してましたよね(動画ありましたね)。
つくづく、この手の装置に向かない国民性なんじゃないでしょうか……
こんにちは。
やっぱりそれ、思い出しますよね。
どうにも不可解な部分の多い話なので、もう少し情報が出てくるかもしれません。