近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。

アメリカはホルムズ海峡封鎖ではなくイランの海上封鎖が目的

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中東
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ややこしいことになってきた。

【解説】 なぜアメリカがホルムズ海峡を封鎖するのか

2026年4月13日

アメリカ軍は12日、「イランの港を出入りするあらゆる海上交通の封鎖」を13日から始めると発表した。

BBCより

この報道を受けて「アメリカの行為は国際法違反だ」と騒ぐ声が出ているが、正直なところ苦笑せざるを得ない。そもそもBBCの見出し自体が、事態を正確に表現していない。

交渉相手のいない戦争

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ホルムズ海峡の封鎖?

先に断っておくが、アメリカのやり方に全面的に賛同するわけではない。より穏当な手段がなかったのか、という疑問は残る。

トランプ氏は12日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「米海軍は、ホルムズ海峡に出たり入ったりしようとする全ての船を『封鎖する』作業に着手する」と投稿した。

また、「イランに通行料を支払ったすべての船舶を、公海上で捜索し、阻止するよう海軍に指示した」、「違法な通行料を支払う者に、安全な航行はない」とも述べた。

さらに、イランがホルムズ海峡に敷設したとされる機雷の破壊を開始すると付け加え、「我々に発砲する、あるいは平和的な船舶に発砲するイラン人は全て、地獄まで吹き飛ばす」と投稿した。

BBC「なぜアメリカがホルムズ海峡を封鎖するのか~」より

ただし、ここで行われようとしているのはホルムズ海峡そのものの封鎖ではない。実態としては、イランに資金を流す海上交通を遮断する「対イラン海上封鎖」である。

ホルムズ海峡を通過する船に関しては、イランに「みかじめ料」を支払った国に対しては「国際法を守れよ」と迫る構図となっている。

正義を振りかざすアメリカ人らしい発想ではあるが、これをBBCに任せると「なぜアメリカがホルムズ海峡を封鎖するのか」ということになるらしい。偏向報道は日本だけじゃないんだよね。

イギリスの距離感

BBCの論調を理解するには、その立ち位置も考える必要がある。

イギリス首相、トランプ氏の「逆封鎖」不支持 アメリカとの亀裂、さらに広がる恐れ

2026年04月13日20時21分配信

米軍がイラン沖合を海上封鎖すると発表したことを受け、スターマー英首相は13日、「(封鎖を)支持しない。英国が戦争に引きずり込まれることはない」と述べた。原油輸送の「逆封鎖」(トランプ米大統領)に反対の立場を明確にした形で、イラン紛争を巡る英米関係の亀裂がさらに広がる可能性がある。

時事通信より

スターマー政権は、今回の事態に積極的に関与しない姿勢を明確にしている。

この判断は一見すると「慎重で現実的」に見えるかもしれない。だが、問題はそのアプローチが機能してきたのか、という点だ。

イラン戦争による経済成長への打撃は、主要経済国の中で英国が最も大きいと予測されている

2026年3月26日

影響力のある国際政策グループによると、G20主要経済国の中で、英国はイラン戦争による経済成長への打撃が最も大きい国となる見込みだ。

経済協力開発機構(OECD)は、英国の今年の経済成長率が0.7%になると予測しており、これは以前の予測である1.2%から下方修正された。インフレ率も予想より高くなると見込まれている。

BBCより

確かに、経済的リスクを考えれば関与を避けたいという事情は理解できる。しかし、その「時間をかける対応」こそが、これまで事態を悪化させてきた側面は否定できない。

トランプ氏、ホルムズ海峡封鎖と発表 イラン側は「脅しはイラン人に効果ない」と反発

2026年4月13日

~~略~~

これについてイギリスの政府報道官は、海峡は「通行料の対象となってはならない」と述べ、イギリス政府は「航行の自由を守るための連合」を構築していると話した。

報道官は、「私たちは引き続き、航行の自由とホルムズ海峡の開放を支持している。これは世界経済と国内の生活費を支るために、緊急に必要だ」として、「私たちはフランスやほかのパートナーと緊急に協力し、航行の自由を守るための幅広い連合を構築している」と述べた。

BBCより

イランは交渉を引き延ばし、その間に核開発を進めてきた事実がある。つまり、時間は中立ではなく、むしろイラン側に有利に働く要素だった。

その状況で「航行の自由連合」のような枠組みを構築し、段階的に対応しようとするのは、結果として時間稼ぎに加担するリスクがあるのだ。理念としての正しさと、現実における有効性は別問題だ。

イギリスの選択は、ややもすると自身の経済状況を更に悪化させる可能性が高いのである。

パキスタンのスタンドプレー

数日前には、パキスタンが仲介となって停戦交渉が出来るという話に進んでいた。

なぜパキスタンが米イランの交渉仲介? 国際的な評価を得たい事情

2026年3月29日 10時16分(2026年4月11日 21時58分更新)

米国とイランの停戦協議がパキスタンで始まった。パキスタンが仲介に乗り出した背景には、双方と比較的良好な関係を築いてきたことに加え、イスラム圏唯一の核保有国としての事情も垣間見える。

朝日新聞より

確かに、パキスタンの立ち位置的には調停することが可能であったと思われるが、パキスタンはその役目を果たすことはしなかった。

仲介者として介入して、「国際的な評価を得たい」という野心を抱いたが為に、アメリカ側のメッセージとイラン側のメッセージの双方をねじ曲げて相手に伝えてしまったのである。

その結果、話し合いの場に臨んだアメリカとイランは、「相手が信頼できない」と、そのイスを蹴る羽目になった。

パキスタンは停戦維持が「必須」、米国はイラン和平交渉を合意なしで離脱

12 Apr 2026 05:04:34 GMT9

イスラマバード:パキスタンの外相は日曜日、中東での戦争を終結させるための両国間のマラソン協議が合意に至らないまま終了したことを受け、ワシントンとテヘランは停戦合意を堅持しなければならないと主張した。

ARAB NEWSより

パキスタンの外相は勝手なことを主張しているが、そもそもオマエのやり方が悪かったのだろう。

バンス氏は会談の欠点を挙げ、イランは核兵器を製造しないことを含むアメリカの条件を受け入れないことを選択したと述べた。しばらくして、バンスはイスラマバードでエアフォース2に乗り込む際、階段の上から手を振って別れを告げた。

「われわれは、核兵器は作らない、核兵器がすぐに手に入るような手段も求めない、という確約が必要だ。それがアメリカ大統領の核心的な目標であり、われわれがこの交渉を通じて達成しようとしてきたことだ」

イランの半公式通信社であるタスニム通信は、アメリカの “過度な “要求が合意への妨げとなり、交渉は終了したと述べた。バンス氏が発言する前、イラン政府はXへの投稿で、交渉は継続し、双方の技術専門家が文書を交換すると述べていた。

ARAB NEWS「パキスタンは停戦維持が~」より

このニュースではアメリカ側の責任を問うているが、そもそもイラン側が停戦条件を実行する能力がないというのが現実である。

パキスタンはその辺りをコーディネートをする能力があるのかないのか、その辺りも不明。

むしろ、登場人物が増えただけ混乱させた可能性すらある。

日本国内の報道は

というわけで、混迷を極めているのだが……、日本の国内報道は更に酷いモノで。

狙いは「中国の圧力」?トランプ氏がホルムズ海峡“逆封鎖”へ

2026年4月13日 20:00

トランプ大統領の次の一手はホルムズ海峡の封鎖でした。13日夜にも開始するというのですが、一体どういうことなのでしょうか。

■トランプ氏 海峡“逆封鎖”狙いは

 フロリダから戻ってきたトランプ大統領。報道陣に歩み寄ると…。

アメリカ トランプ大統領 「聞いているだろうが海峡に関してとてもいいことが起こりつつある」

 「とてもいいこと」と言いましたが、その後に口から飛び出してきたことは…。

テレ朝より

色々なコメンテーターが登場しているが、完全にトランプ氏を悪者にする流れになっている。

もちろん、強硬策に問題がないとは言わない。しかし、交渉が成立しない状況や、イラン側の行動を十分に検討せずに評価するのは片手落ちだろう。

まとめ

今回の構図を整理すると、

・イランが実質的に海峡の秩序を歪めている ・アメリカはそれに対抗して対イラン海上封鎖に踏み切ろうとしている

という関係になる。

どちらが正しいかという単純な話ではないが、少なくとも現状を招いた主因はイラン側にある。

そして、交渉が成立しない以上、圧力によって行動を制限するしかないというアメリカの判断は1つの外交手法といえるだろう。イランを海上封鎖して、効果が得られるか?はまた別の話になってしまうが。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    なんだか米国がゴールポストを動かしているようにも見えますね?
    開戦初期に、米メディアでトランプ政権には戦略が無い、と言われてましたが、
    本当にそうなんじゃないかと。やっていることは分かるんですが..

    • 木霊 木霊 より:

      実際にゴールポストは動かしていると思いますよ、アメリカ。
      ただ、アメリカの目的は本当に交渉をすることかどうかは怪しいとも思っています。