ほー、フランスとね。
日仏2プラス2、「インド太平洋」協力強化で一致…「台湾海峡の平和と安定」確認
2023/05/09 22:59
日本、フランス両政府は9日、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)をテレビ会議方式で開き、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力強化で一致した。中国が強引な海洋進出を続ける東・南シナ海の情勢について「重大な懸念」を共有し、力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対することを再確認した。
讀賣新聞より
マクロン氏を始め、フランス経済界の重鎮達が支那に訪れて接待を受けたニュースは先日流れていたが、日本とも会談ね。方向修正を余儀なくされたのかな。
立場を決めかねるフランス
支那を訪れたマクロン氏
前回の記事は消えてしまったので、先ずはマクロン氏の訪支那の記事に触れておこう。
フランスはなぜ中国に接近? 「中国をつけあがらせる」との警戒感も
2023年4月7日 23時15分
フランスのマクロン大統領は7日、3日間に及んだ中国訪問を終える。国賓待遇で中国側から手厚いもてなしを受け、習近平国家主席との会談は、7日の非公式も合わせて2日連続に及んだ。中国に接近をはかるフランスの狙いはどこにあるのか。
朝日新聞より
フランスのマクロン氏も蝙蝠外交が得意らしく、ロシアとの接触を積極的に図っていた時期もあった。支那との接触もそういうことなのだろうが、支那を喜ばせるだけな結果に終わったらしい。
結局、マクロン氏はそれなりの期間政権の座についているが、外交面では役者が不足していて、プーチン氏にも習近平氏にも軽くあしらわれてしまった。
しかし、マクロン氏は習氏との共同記者会見でいずれのやりとりにも言及しなかった。それどころか、会談の冒頭では「ロシアに理性を取り戻させ、みんなを交渉のテーブルにつかせるにはあなたが頼りだ」と習氏を持ち上げた。欧州連合(EU)が懸念を強める中国の人権問題についても、「人権の状況はフランスにとって重要だ」とする一方、対立よりも協力を進める考えを強調した。
朝日新聞より
マクロン氏がやりたかったことは理解できるんだけど、支那にとっては「余計な仕事を増やすな」という感じだろう。

支那から航空機160機を受注して大喜びだったマクロン氏だが、蓋を開けてみると、これも単なる口約束であったようだ。
台湾について失言
で、この支那訪問にあたって、マクロン氏はとんでもない発言をしてしまう。
仏大統領の台湾発言が波紋 「我々の危機ではない」
2023/4/11 19:08
フランスのマクロン大統領が5~7日の訪中時、米欧メディアと行ったインタビューで台湾をめぐり、欧州連合(EU)は米国の政策に追随すべきでないと主張し、「われわれの危機ではない」と位置付けたことが波紋を広げている。欧州の対中強硬派から、批判が相次いだ。
産経新聞より
いやー、台湾有事に関して「我々の危機ではない」なんて言っちゃった。
インタビューは移動の機中で行われ、仏紙レゼコー(電子版)などが9日に掲載した。マクロン氏はEUは米中対立と距離を置き、「第三極」を目指すべきだと主張。「台湾での(緊張の)高まりに、われわれの利害はあるか。答えはノンだ。最悪なのは、米国のペースや中国の過剰反応に追随せねばならないと考えること」と訴えた。「われわれのものではない危機にとらわれれば、ワナに陥る」とも述べた。
産経新聞より
流石にこれはダメだろう。言いたいことは分かるが、それは「我々の危機に直結する」ということを理解できるような発言として修正すべきだ。
当然、早々に議会から批判が出る。
フランス議員団「台湾政策に変化ない」 副総統と会談
2023年4月19日 9:42
台湾を訪問中のフランス国民議会(下院)のボトレル氏ら4人の議員団は18日、台北市内で政権ナンバー2の頼清徳・副総統と会談した。ボトレル氏は訪台前にフランスのマクロン大統領から預かったメッセージとして「(フランスの)台湾政策の方向性に変化はない。引き続き(中台)両岸の現状を支持し、台湾と協力したい」と述べた。
日本経済新聞より
マクロン氏も、対米追従しないという意味だと修正し、さらには台湾政策に変わりは無いと修正する羽目になったし、フランスの下院は議員団を台湾に送って釈明する羽目になった。
支那はフランスを狙い撃ち?
こうした中、再びフランス関連で騒がしい話が持ち上がった。
駐仏中国大使 “主権国家である合意ない”発言 バルト三国反発
2023年4月24日 18時54分
フランスに駐在する中国の大使がかつて旧ソビエトから独立したウクライナやバルト三国などの国々について「主権国家であることを定めた国際的な合意はない」と発言し、バルト三国が強く反発しています。
NHKニュースより
在仏支那大使が「バルト三国は主権国家じゃない」と言っちゃったんだよね。

当然、バルト三国からは猛烈な反論がわき上がる。
この中で盧大使は、ロシアが一方的に併合したウクライナのクリミアの帰属について見解を問われると、明確に答えることを避け、さらに「旧ソビエト諸国が主権国家であることを具体的に定めた国際的な合意はない」などと述べました。
この発言をめぐって、ウクライナなどとともに旧ソビエトから独立したバルト三国が強く反発しています。
NHKニュースより
これ、大使の単純な失言というよりは、狙って発言したのだと思う。ロシアへの援護射撃の意味もあったのではないか。
これについて、中国外務省の毛寧報道官は24日の記者会見で「ソビエトが解体されたあと、中国は最も早く関係する国々と外交関係を樹立した国の1つであり、加盟していたそれぞれの共和国の主権と国家の地位を尊重している」と述べ、大使の発言を否定しました。
NHKニュースより
批判が強かったので発言を修正しているが、そもそもこの大使、何度も問題発言を行ってきた人物である。

そして、今回の発言も、盧大使の管轄範囲から外れた発言であり、そういう外交官に発言させることが目的であったと考えるべきだろう。
台湾海峡関連の火消しは続く
で、冒頭の2+2会談だが、ここでもわざわざ共同声明として「両岸問題」を扱った。
会合後に発表した共同声明では、「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認」したと明記し、両岸問題の平和的解決を促した。台湾問題を巡っては、4月上旬に訪中したマクロン仏大統領が台湾問題と距離を置くとも取られる発言をし、波紋を広げた。こうした懸念を打ち消すため、共同声明では、「日仏の台湾に関する基本的立場に変わりがない」と強調した。
讀賣新聞より
まあ、フランスはアメリカに対して苦い思いがあるのだろう。何しろ、AUKUS絡みで潜水艦計画が頓挫してしまったからね。
しかし、幾らアメリカに恨みがあるからといって、NATOからの離脱や台湾問題で支那の肩を持つというのはちょっとあり得ない。
自衛隊と仏軍の共同演習などに関する「円滑化協定」(RAA)の締結を念頭に、議論の加速を事務当局に指示することも申し合わせた。
讀賣新聞より
で、日本を利用してなんとかバランスを採ろうとしているのだ。そういえば、スーダンからの邦人脱出に手を貸してくれたのはフランス軍だっけ。
ただ、会談の中身は、報じられている限りではかなり薄い。表に出てこない話をするためには、直接会談するしかないわけで、テレビ会談を選んだ時点で深い内容を話し合った可能性は低いとみるべきだろう。
それでも経済的な恩恵は受けたい
しかし、台湾問題での失言をして対応に苦慮しているとは言え、フランス経済を支えるためには、支那からお金を引っ張ることが出来ることが望ましい。
フランス中銀、2023年の実質GDP成長率を0.3%と予測
2022年12月26日
フランス銀行(中央銀行)は12月17日、フランスのマクロ経済予測を発表し、2023年の実質GDP成長率を前年比0.3%と、2022年の2.6%から鈍化すると見通した(添付資料表参照)。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格高騰の影響などで2022年下半期に強まった景気減速の動きは2023年も続き、景気の持ち直しは2024年以降となる。
JETROより
フランス経済は鈍化しており、さらに先日はパリで大掛かりなデモが発生して治安の悪化も心配されている。
ネオナチがデモ、許可した市警と内相に批判 仏パリ
2023年5月9日 14:49
フランス・パリで、ネオナチ(Neo-Nazi)約600人がデモ行進を行ったことを受け、許可をしたパリ市警とジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相に説明を求める声と批判が集まっている。
AFPより
このネオナチデモは、なかなか画像的なインパクトも大きかった。

何というか、世も末である。
フランス政府は年金制度改革に着手し始めていて、ネオナチのデモだけでなく、ストライキによってゴミが町にあふれたり、製油所が封鎖されたり大混乱である。

こうした状況を打開できるのであれば、という願いはあるのだと思う。少なくとも、ロシアや支那から距離を置いてしまうと、経済的な恩恵を受けられずに経済悪化は避けられない。
中国外相、ドイツ・フランスなど訪問へ 安保や経済協議
2023年5月8日 18:45
中国外務省は8日、秦剛国務委員兼外相が8〜12日にドイツ、フランス、ノルウェーを訪問すると発表した。ベーアボック独外相やコロナ仏外相らと会談し、安全保障や経済について話し合う見通しだ。
日本経済新聞より
一方で、支那の外交を担当する国務委員も動き出していて、ドイツ・フランス・ノルウェーを訪問している真っ最中なんだとか。
ドイツとフランスは特に支那との関係の深い地域であるし、ノルウェーは先日NATOに加わったばかり。おそらくロシアのメッセンジャー的な役割も果たすのだろう。
何というか、フランスの外務大臣も大変だな!
コメント
仏蘭西の関心は、経済利益であって、支那の覇権主義を抑え込むことじゃないから、亜細亜で紅組・蒼組の両方にベットしているんだろうね。まさに蝙蝠外交だが、仏蘭西はトモダチが少ないからねぇ。
仏蘭西のデモで新ナチが出てきたこともさることながら、現職の下院議員が大統領を断頭台に送ることもできるぞ!とデモしていたことには驚いた。過激だなぁ。
フランスは、デモで大変なことになっているようですね。
移民をたくさん受け入れて失敗して……。
いやあれは、ある意味成功かもしれませんが。
こんにちは。
ちょっとググったら「ド・ゴールはNATOに反対だった」みたいな記述も散見されまして、二次大戦中のパルチザンを支援したのは(考えてみれば当たり前ですが)ソビエトだったとか、色々と闇が深い……
おフランスはEU諸国内ではかなり共産色が強いというイメージがありまして、良く言えば「独立独歩」悪く言えば「独りよがり」を貫きたい傾向が非常に強いのかと思っています。
※そのおフランスとドイツが手を組んで次期戦闘機や戦車開発など、噴飯ものにも程がある
※どっちも「欧州の盟主」になりたい本音がダダ漏れですから……
とはいえ、某駐日アメリカ大使もそうですが、
「偉そうな寝言は、自分の国を何とかしてから言え」
としか思えないのはなんともはや。
それでも「欧州出羽守」が稜々跋扈する意識高い系の方々とマスゴミの人々は、こぞって持ち上げるのでしょうなぁ……
日仏会議でメリットないとは言わないけどとりあえず薄いので、まず、ゴミ片付けてからしろと。
フランスさん、良くも悪くも共産主義との親和性が高い気がするんですよ。
そして、蝙蝠っぷりは昔っからですし。
二枚舌とはいえ、肝心なところは踏ん張ってくれるイギリスとは信頼度が違いますよ。手を組むのであれば、イギリスのほうがよほどマシだと。