詐欺……。
ロシア内務省、要塞建設詐欺で複数の前知事を拘束 ウクライナ越境の露西部州
2025/4/17 07:36
ロシア内務省は16日、ウクライナとの国境の要塞建設に絡む10億ルーブル(約17億円)の詐欺容疑などで、ロシア西部クルスク州前知事のスミルノフ容疑者や複数の前副知事を拘束したと発表した。
産経新聞より
有事にはこういう混乱は起こりがちなのだろうか。そういえば、戦中、戦後と日本でも詐欺は結構多かったという話は聞くね。
社会不安の増幅
ロシアでも詐欺が横行
冒頭に紹介した詐欺事件は、ロシア西部クルスク州前知事が主犯とされるもので、国境に要塞を建設するという話に関連した詐欺を働いたとして拘束されたという。だが、記事を読んでも具体的に何をやったのかは不明。
ロシアで詐欺と言えば、こちらの記事も気にはなっていた。
ロシアで特殊詐欺被害が激増 焦るプーチン政権「ウクライナが犯人」説流布
2025/1/26 13:00
虚偽の電話などで金銭をだまし取る特殊詐欺の被害がロシアで激増し、社会問題化している。ウクライナ侵略後、「露社会は団結した」と繰り返してきたプーチン露大統領にとり、詐欺の横行は露社会で犯罪が跋扈していることを示す都合の悪い事態だ。政権は犯行の巧妙化に追い付けておらず、「主な犯人はウクライナだ」と宣伝し、国民の不満をそらそうとしている。
露主要メディアが伝えた露中央銀の統計によると、ウクライナに全面侵攻した2022年、ロシアでの特殊詐欺の被害額は141億6000万ルーブル(約223億円)だったが、23年は158億ルーブル(約249億円)に増加。24年は1~9月だけで179億ルーブル(283億円)に上り、早くも前年を上回った。
産経新聞より
ロシア国内での特殊詐欺の件数が増えているのが問題視されているのだが、特殊詐欺の類型で戦争絡みのモノも結構あるとのこと。
国内の混乱は戦時である以上はある程度は仕方がない面はあると思うが、「ウクライナの仕業だ」というのはちょっと無理があるような。中にはウクライナが関与しているモノもあるのは間違いなかろうが。
さらに「愛国行為になる上、年利90%のリターンを得られる」とうたって架空の軍需関連基金への投資を勧めたり、捜査当局者を装って「あなたの口座からウクライナへの違法送金が確認された。刑事訴追を避けるためには金銭の支払いが必要だ」などと脅したりといった「戦時下ならでは」の手口も確認されている。
産経新聞「ロシアで特殊詐欺被害が激増」より
冒頭のニュースも、これの類型なのではないだろうか?とは思う。思うのだが、前知事が見せしめ的に濡れ衣を着せられた可能性もあるんだよね。
さておき、詐欺が増えているという話ではある。
兵士を募集
で、なぜこのニュースが気になったかなのだが、前回別の記事でも引用したこのニュースを思い出したからだ。
ウクライナで拘束の中国兵、ロシア側に「だまされた」「中国政府は無関係」 キーウで会見
2025/4/15 07:06
ウクライナ侵略の戦闘にロシア軍側で参加し、ウクライナ軍に拘束された中国人兵士2人が14日、ウクライナの首都キーウで記者会見した。2人はロシア側にだまされて前線に送られたと説明した一方、戦闘に参加した経緯について「中国政府は関与していない」と主張した。ウクライナメディアが伝えた。
産経新聞より
ニュースでは、ウクライナ戦線で支那人が参加しているという話で、支那人兵士2人が記者会見したという。
詳細はこちらの記事で。
で、記事の中でゼレンスキー氏が「TikTokなどで募集されていた」と言及している。恐らくWeiboとかTikTokなどで募集されている実態は、ウクライナで把握されていたのだと思われる。募集したのはロシア当局なのか、或いは末端での判断なのか。いずれにせよロシアが公式に詐欺募集をやったのだ。何故、「詐欺募集」かというと高額報酬が出るという募集ではあるが、実際に報酬が支払われるケースは少ないらしい。無事に帰国できるケースが少ないからでもあるけれど、無事に除隊できても支払われないことも結構あるようだ。
一方で、支那ではインターネット言論空間もチェックされていて、支那共産党の影響下にあることは知られているので、まさか支那当局がこのロシア兵募集の話を知らなかったということはあるまい。知っていて放置されていたと見るのが、妥当である。
2人は、中国の交流サイト(SNS)上で露軍への勧誘が活発に行われていると説明。中国では露軍の快進撃のみが報じられているとも述べた。
2人の拘束はウクライナのゼレンスキー大統領が8日に発表。ゼレンスキー氏は露軍に少なくとも150人を超す中国人兵士が参加しているとする情報があるとした。ウクライナは2人を戦時捕虜として扱う一方、露軍の捕虜となっているウクライナ兵との交換対象にする考えを示している。
中国人兵士の拘束についてロシアはコメントを拒否。中国は「自国民に戦闘参加しないよう求めている」とし、政府としての関与を否定した。
産経新聞「ウクライナで拘束の中国兵」より
関与はしていなくても黙認しているのだから、始末に悪い。
中国人兵士、捕虜交換で帰国希望 「戦闘参加するな」と警告―ウクライナ
2025年04月15日18時20分
ロシア側で戦闘に参加し、ウクライナ軍の捕虜となった中国人兵士2人は14日、捕虜交換による帰国を希望していると述べ、他の中国人に戦闘に参加しないよう訴えた。キーウでの記者会見で語った。
時事通信より
件の兵士は、「捕虜交換」で「帰国」したいらしいのだが、果たしてロシア側が応じるかは不明。
ロシア経済の今
さてこういった事件が色々起こっている背景に何があるのか?といえば、端的に言えばロシア国民の余裕が無くなっていること、或いはロシア政府にも余裕が無くなっていることが問題なのだろう。
最近のニュースでこんなのがあった。
ロシア、凍結資産でボーイング機購入を要請-ウクライナ停戦協議巡り
2025年4月17日 0:55 JST
ロシアはウクライナ停戦が実現した場合、凍結された資産の一部を使ってボーイングの航空機購入を許可するよう米国に要請した。事情を知るモスクワの関係者が明らかにした。
~~略~~
米国家安全保障会議(NSC)のヒューズ報道官はコメントの要請に対して、「米国は停戦合意が成立するまで、いかなる経済的な確約についても協議しない」と述べた。国務省はコメントを控えた。
Bloombergより
ロシア側からアメリカに対して「航空機売って」と持ちかけたというニュースなのだけれど、経済制裁が始まってからロシアが外国からリースで借りていた航空機が返還されないという事態となった。
ロシアのプーチン大統領は14日、ロシアの航空会社が欧米などのリース会社から借りている航空機について、所有権をロシアの航空会社に移すことを認める法案に署名した。
讀賣新聞より
なかなか盗っ人猛々しい話だが、侵攻が開始した直後の3月8日時点で515機がリースされていて、これをロシアのモノにしちゃったのだ。そしてこの話には続きがある。
なんと、リース航空機を返還しないどころか「売れ」と迫ってきたのである。そしてどうやらこの件、リース会社に対して購入代金が支払われることで決着したらしい。つまり、売っちゃったのである。リース会社としても、回収出来ない以上売るしか選択肢がない。
ただ、保守部品はロシアに販売できないことになっているので、メンテナンスはどうなっているのかは不明。
おそらくは支那や中東から部品が流入していると言われているのだが、それでも部品不足で飛べない航空機が多数あると言われる。米ボーイング社に「航空機売って」とお願いした背景にはそういう事情があるのだ。
ボーイング社も色々失敗続きで資金は欲しいところ。
と、それはさておき、航空機の運用に関してはロシア経済にも大きな影響がある。戦争を継続していて色々不味い状況が出てきているという話の1つでもある。ロシア経済そのものが危ういという話は以前にも何度かしているので割愛するが、依然としてインフレ経済である。

ロシアの国民生活もかなり厳しい状況になっていると言えよう。
それでもプーチン氏は停戦に応じる気はないらしい。まあ、停戦してしまえば失脚リスクも高くなるから当然と言えば当然なんだが。
追記
凄いニュースが。
北朝鮮 ロシアに400万~600万発の砲弾供給か 1年半余の間に
2025年4月16日 21時42分
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、北朝鮮がこの1年半余りの間に400万から600万発の砲弾を供給したとみられることがロイター通信などの調査で分かりました。ロイター通信は「ロシアが戦場における弾薬をどれほど北朝鮮に依存しているかを示している」としています。
NHKニュースより
北朝鮮にそんな製造能力があるんだという驚きがあったが、それよりも1日1.5万発程度の砲弾を消費するロシア軍は、年間700万~900万発程度は消費していると見られていて、そうすると、ロシア軍は5割程度砲弾を北朝鮮に依存している計算になることに驚きを隠せない。

これは恐ろしいことで、北朝鮮がロシア軍の継戦能力を支えていると言える。韓国と北朝鮮との関係を考えると、韓国が左側に行ってしまうのはかなり嫌らしいことになりそうだ。
コメント
北朝鮮が? 年400万発?
それコンビニ弁当みたく上げ底しえませんかね?? だって衛星写真みると夜は真っ暗ですぜあの国は。爆薬の窒素つくるのに電力いるし。まぁあの国なら窒素つくれても肥料と農業に回さないのは解るけど。
しなしなした連中なのでないかなぁ?
さて、プーチンも習近平も追い詰められてきてますなぁ。ゼレンスキーは逃げ切れるだろうか?
いまさら言ってもせんない事ですが、プーチンもウクライナ全土を望むような事をしなければアジアと欧州の双方に地域大国として睨みを利かせる立場を維持できたろうに。これヘタを打つとソ連崩壊時みたくなるかも。それは中国を抑える蓋が外れると騒いできたのが私なのだが、先日の記事を読むうちに疑念かま出て来ました。
「習くんが望んでも共産党はベットしない」という返コメを読んで、ここは木霊様の読みが正しい気がする。
とするとゼレンスキー閣下(いきなり閣下
。勝馬にへいこらする男なので🤣)は凱旋将軍。まぁヨーロッパが地政学的安定すれば米国が対シナに注力てきるし……いや、未だ中東があったか。
その時期に習くんの力が低下して、台湾侵攻ベットしなくなるのは有り難いのですが、こう数年で世界が激変してくと、頭が追いついてゆきません。歳かなぁ?
ただ解らなんのが、EU加盟国が荒れてる理由がウクライナだけなのか?
極右とレッテル貼りされてきた政党が次々と議席を取りましたよね?
もともと移民問題で火種があってのこと。
という事は、そっち方面でどう政局が着地するか次第なのでは?
今後もゴタゴタし続けるならば、早晩EUのリベラル派は政権維持できなくなるし、そうなればウクライナ支援はまず打ち切り。
そうするとプーチン勝ち逃げとなる。
果たしてゼレンスキーとプーチンのどっちが勝ち逃げするか?
もっとも「どっちも戦後にツケが請求される」のは間違いないですけれど。
400万発の砲弾は不良率もそこそこ高そうですが、しかし弾がないことには戦えないのも事実でありましょう。
そういう意味では、ロシアとしても痛し痒しの状況かも知れませんね。
プーチン氏も習近平氏も、金があるウチは良かったんですが、結局、アメリカに喧嘩を売った格好になったのは不味かったのでしょう。
どちらも単独で対抗しようとするからドルを牛耳っているアメリカに勝てないわけで。人民元を基軸通貨にできてから動けば良かったんでしょうけれど、待てなかったんですねぇ。
ゼレンスキー氏の外交手腕は中々のモノだと思っていますが、政治手腕は割とポンコツだと思います。人気のあったザルジニー氏を解任したのは大きな失敗だったと思いますよ。例え、自身の政敵になるとしてもウクライナの国益のためには慰留すべきだったと思います。とはいえ、これも現時点での話。最終的に勝ちを拾えるのであれば、天が彼に味方したにせよ、「良くやった」と言えると思います。戦後のことを考えるのは未だ時期尚早でしょうが。
あと、リース→押し買い…の話なんすけど。
先方が「とんでもない額」を要求してきたり、「機体は売るけど追加パーツ売らない」で来たらどうするんだろ?
ロシアは資源国でダイヤとか金とかもってるから、そういう「かさばらぬ高額品」で
機体を一括払いさせる!
んで、初年度は補給品を売ってやるけど、翌年は手のひら返して売らない!
違約だとプーチンらが喚いたら「強制された商取引だから」と拒み、国際法廷に持ち込む。すると審判の勝敗にかかわらず裁判中にロシアの航空産業が潰れるでしょ?
というようなシナリオをボーイングは取れると想うんですよ。
それ考えるとプーチンのやり方は悪手なだけでなく、その場しのぎにしか……
ボーイング社にとっては結構有利な条件で話ができそうではありますが、ロシアって昔から約束守らない国ですから……。
とはいえ、ボーイング社が経営的に不味い状況にあるのも事実。意外と面白いところに着地するかも知れませんね。
こんにちは。
>支那や中東から部品が流入
マッコイ爺さん曰く、口金が合えばポンプなんか何でも良い、らしいですから(笑)
まあ、純正部品が売れなくなったのも、ボーイングとかが傾いている理由の遠因ではあるのかも……
こんにちは。
ボーイング社がアレなのは、開発力がかなり落ちているからなんですよね。
製造現場でも随分と優秀な職人をクビにしてしまったのが響いているようで。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN31DAL0R30C24A1000000/
優秀な人材ほど、IT系とかの他業種の高給に持って行かれたらしいですね。
ボーイングに限らず、造船系なんか酷いモノみたいですが……潜水艦作れない、巡洋艦整備出来ない、空母はトラブル続き……
数学と物理できる人はITか金融工学行くでせう。
生物とかは鍼灸専門学校の受験科目として勉強した時に「サイエンスにしてはファジーな科目」と思いましたけど。
かっちりと物事を数値化できる方はITや金融っしょうね。
貴兄や木霊様のように、文学的な感受性を併せ持つ理系もいますけれど。ちなみに医師はスピリチュアルとか仏教とかアーメンとか行っちゃう人が多いです。
理系頭脳なら天文学とかに偉大さを求めれば良いのにねぇ(笑)