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トランプ政権、日本に軍民両用の造船要請へ

北米ニュース
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噂はあったけど、本腰を入れ始めたか。

トランプ政権、日本に軍民両用の造船要請へ 米海軍長官

2025年4月28日 0:00

米政府が造船業を巡り日本に安全保障と経済の両面で協力を求めることが分かった。ジョン・フェラン米海軍長官が日本経済新聞に明らかにした。日米で商業船舶を軍事転用可能な仕様で建造するほか、日本企業に米西海岸の造船業へ投資を要請する。

日本経済新聞より

アメリカの造船業もかなりダメになってきているみたいだから、協力はしてあげたいのだけれど。

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日本国内で造るのであればアリ

造船業の復活

ちょっと前にこんなニュースが流れていた。

米造船業復活へ大統領令、トランプ氏が署名 中国念頭

2025年4月10日午前 11:18

トランプ米大統領は9日、米国の造船業を復活させ、海運業界における中国の支配力を低下させることを目的とした大統領令に署名した。

ロイターより

噂によると、アメリカ造船業は目も当てられない状況らしく、建て直しをすることは今後のアメリカにとっても必要なことである。

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に、米国の造船能力を回復するために「多額の資金」が投入されるとの見通しを示した。

「わが国は大きく後れを取っている。かつては1日に1隻の船を建造していたが、今では実質的に1年に1隻も建造していない。しかしわれわれにはその能力がある」と述べた。

戦略国際問題研究所によると、世界全体で毎年製造される商船に占める中国造船企業の割合は貨物容量ベースで50%を超える。1999年にはわずか5%だった。

ロイター「米造船業復活へ大統領令」より

トランプ氏の発言は大げさなことが多く、「実質的に1年に1隻も建造していない」というのは、ちょっと無理がある。

とはいえ、2024年の船舶製造トン数は支那が3,285万tでトップシェア。比べてアメリカは6.5万tと圧倒的に少ない。単純な能力の差というわけではないけれども、危機感を覚えても仕方のないレベルであるとは言える。

米国の海運能力強化のため、海事安全信託基金の創設を促し、財源として関税収入、罰金、料金、税収などを挙げた。

ロイター「米造船業復活へ大統領令」より

トランプ氏の方針は、ちょっと意味が分からない部分もあって、果たしてコレがアメリカ造船業の復活に繋がるか?というと、そんなことはないのだろう。

造船業復活への道筋

そうすると、アメリカとしては手っ取り早く造船業の増強をはかりたい。

フェラン氏が日本を訪問し、28日に中谷元防衛相らとの会談で伝える。日本企業との面会や造船所の視察も予定する。

日本経済新聞「トランプ政権、日本に軍民両用の造船要請へ」より

そこで目を付けたのが日本の造船能力である。実際には韓国造船業にもコナをかけていて、むしろ韓国の方が本命のような気はしている。

ただ、軍民両用の造船設備というところまでは、韓国側には踏み込んでいないようだ。だが、おそらくは韓国も「軍の船を作りたい」と言い出すだろう。

トランプ大統領が韓国造船業界に送るラブコール…韓米両国「ウィンウィン」になるか

登録:2025-04-04 20:05 修正:2025-04-05 09:29

ドナルド・トランプ米大統領が打ち上げた関税戦争に世界のすべての国、すべての産業が不安に震えている。 しかし、ほぼ唯一期待されている業種がある。それは韓国の造船業だ。

トランプ大統領は2025年3月4日、ワシントン連邦議会の上院・下院合同会議演説で「韓国の平均関税は米国より4倍高い」と圧迫しつつも、米国の造船業復活の主要パートナーとして韓国を名指しした。トランプ政権発足後、米国が初めて政府間実務協議体を構成した分野も造船だ。

産業通商資源部のアン・ドックン長官は「米商務省のラトニック長官は、造船関連の実務協議体を率いていく意志がきわめて強い」と述べた。ジョン・フェラン海軍長官指名者も人事聴聞会で「ハンファがフィラデルフィア造船所を買収した。彼らが造船所を強化してより良くする策を探ってみる」とし、具体的に韓国造船企業の名前を挙げた。

ハンギョレより

ハンギョレではかなりの期待を込めて「韓国造船業がアメリカの危機を救う」という妄想記事を書いているが、実際にはそう簡単な話ではない。

法案には「米国が相互防衛条約を結んだ国やNATO(北大西洋条約機構)加盟国に海軍艦艇の建造を委託することができる」と明示されている。また「米国の軍艦を製造する外国の造船会社は中国からの投資を受けてはならない」という条件もある。欧州に大型造船会社がほとんどない点を勘案すれば、軍艦を製造できる外国の造船会社は韓国と日本ぐらいだ。

ハンギョレ「トランプ大統領が韓国造船業界に送るラブコール」より

アメリカの造船業の衰退っぷりはかなりのもので、特に民間船舶の造船に関しては絶滅しかけている。まだ、軍に納品する方は何とか建造しているものの、造船能力は相当低下してしまっている。

ハンファ・オーシャンは老朽化したドックを改善するため、約1億ドルを投資する計画だ。買収金額と同じくらいドックの改善への投資が必要だということだ。人件費も高く、造船機材もわざわざメキシコから空輸しなければならない。韓国に比べて建造費用が3倍にもなる。ハンファ・オーシャンは、慶尚南道巨済造船所でブロックを作り米国に輸出する案も検討している。

ハンギョレ「トランプ大統領が韓国造船業界に送るラブコール」より

先ずは、老朽化ドックの改修から手を付けねばならず、人材育成や関連企業の育成を考えると、相当困難な道筋を辿らねばならない。

困難な道筋

実際、ハンギョレが言及するようにトランプ氏はアメリカ造船業の増強を図りたいのであって、韓国に船を造って貰いたいのではない。

米国に必要な造船業の力量は、単に軍艦にとどまるものではない。大規模な商船市場はもちろん、トランプ政権が重点的に推進しているLNGプロジェクトも造船会社の領域だ。どうすれば新たに再編される国際秩序の中で、韓国と米国がウィンウィンになる結果を作り出せるか、非常に重要な選択の瞬間だ。

ハンギョレ「トランプ大統領が韓国造船業界に送るラブコール」より

韓国造船業も「ウインウイン」言っているけれども、実は随分と負けが込んでいる状況だ。

造船業の業績が急回復、24年度

2025年3月5日

世界の造船業の業績が回復している。これまで赤字が続いた韓国造船所が2024年に久しぶりに大手3社がそろって最終黒字を記録。中国と日本も増益基調が中心で、過去最高益など記録的な業績も相次いでいる。資機材価格はなお高止まりを続け、人件費上昇も響いているものの、船価上昇後の受注船の建造が本格化し、採算が改善している。

海事プレスより

支那の造船能力は高く、圧倒的に製造コストが安い。そのため、似たような船を造っている韓国の造船業はかなり苦しい状況にある。

「トランプ好況」にも手放しで喜べない韓国の造船業界

登録:2025-04-23 09:25 修正:2025-04-23 22:33

米国の造船業復活政策により韓国の造船会社には恩恵が続いている。米国は韓国に対し、ガス運搬船の建造、軍艦の維持・補修・整備(MRO)などの協力を積極的に要請している。ただし、これからも恩恵を受けるためには結局、米国内の造船所を確保しなければならず、国内の造船業界が手放しでは喜べない状況だ。ドナルド・トランプ米国大統領の政策によって仕事が増える一方、時間が経つにつれ、米国で船を作るよう圧力を強めてくる可能性が高いためだ。立ち遅れた米国の造船所を現代化するためには莫大な投資が必要だ。

ハンギョレより

そこへ来てアメリカからアメリカ国内への「初期投資」を求められているのだから、そりゃ厳しい。

そして、多額の投資をしてアメリカに造船会社を作ったとして、収益化は少なくとも数年先の話。それでもやらないよりはやったほうが良い状況ではあるが、アメリカは労働者の技量が低い割に賃金は高いという構造になっているので、黒字化するのは相当に困難が付きまとうだろう。

日本企業も厳しい

では、日本の造船業はどうかというと、韓国の話とそう大きくは変わらない。

ただし、最先端技術の開発をやっている分ややマシではあるが、しかし造船能力が高いかというと何とも言えない部分はある。

「巨額補助金とは戦えぬ」中韓に離された造船業、再興へ支援どこまで

2024年10月26日 12時00分

海洋国家日本が世界に誇ってきた造船業は、中国・韓国勢に押されてシェアが落ちた。脱炭素や経済安全保障を掲げ、国は手厚い支援に乗り出す。「造船ニッポン」復権の夢を、どこまで追い求めるべきなのか。

朝日新聞より

支那も韓国も、国策として造船業に大きく国力を注いでいる状態にある。だから、日本が支那や韓国と同じ船を造った場合に、技術力的にもやや劣る状況にある上に、コストも下げられない。納期もかかる。

そりゃ、競争できるわけがない。同じ土俵ではもはや戦えないのである。

技術力に関して言えば、職人技的な技術は未だ未だ日本も強みはあるのだけれど、設備を利用して効率的に船を造る技術は支那や韓国の方が上だ。

その結果がこのシェアの状況なのである。2025年には支那のシェアは7割に達するとの話もある。

そういうことを考えると、日本国内で細々と造船業を続けていってもジリ貧であることは明らかなのであって、アメリカのことは笑えない。あれは日本の将来の姿なのだから。

では、アメリカに投資をして製造能力を高める選択肢はアリなのかというと、これもまた厳しい。10年も前の話になるがアメリカ国内で鉄道車輌製造をしようとして努力した企業が撤退を余儀なくされた。トヨタ自動車もアメリカに工場を作ってはいるが社員教育には相当苦労したようだし、ロクデモナイ訴訟を仕掛けられて巨額の損失を被るなど、洗礼を受けている。アメリカ国内での商売があってこそ操業を続けられてはいるが、日本から船便で送るのとトントンくらいのコストで出来上がりはお察しということらしいので何とも言いにくい。

民間と軍事のデュアルユースというけれど、エンジンの形式も違うからなぁ。

手作業に頼るところの多い造船業ともなれば、その傾向は更に堅調になるだろう。日本国内の造船業を強化した方が未だマシといった感じである。組むならまだオーストラリアの方が、ね。もちろん、日本国内でアメリカの船を造るのは吝かではないのだが。

まあ、トランプ氏には韓国と手を組んで貰う方向で納得して貰うしかないだろうねぇ。日本企業も製鉄所や機械メーカーとセットで造船業をアメリカに持ち込むという話であれば、未だマシかもしれないが。

追記

なお、支那の造船技術が発展した背景には何があったかというと……。

中国CSSC/コンテナ船・LNG船建造で独造船HDWと技術提携

1998年12月07日

中国船舶工業総公司(CSSC)はドイツ造船のHDW(ホバルトベルケ・ドイチェ・ベルフト)と商船建造で技術提携を結んだ。HDWは二七〇〇TEU-三五〇〇TEU型のコンテナ船の建造を得意としてきたが、最近ではクルーズ客船、フェリーが中心になってきた。

日本海事新聞より

ドイツである。

1998年だとシュレイダー政権下で、ドイツに技術を売り渡した……。なお、その次に来るメルケル政権下でも随分と支那に造船技術提供をやっている。

中国造船大手、ドイツのガスタービン事業を買収

2023/07/12 15:00

中国の国有造船最大手の中国船舶集団(CSSC)は、ドイツの産業用エンジン大手MANエナジーソリューションズのガスタービン事業を買収する。6月21日、CSSCの子会社で産業用ガスタービンを手がける中船重工龍江広瀚燃気輪機(GHGT)が、MANエナジーソリューションズとの合意書に署名した。

東洋経済より

そして、エンジン技術も……。

独政府、対中ガスタービン事業売却を阻止、「安全保障上の理由」

2024年7月4日午前 10:51

ドイツのショルツ連立内閣は3日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の子会社MANエナジーソリューションズが中国国有企業にガスタービン事業を売却する計画を阻止した。フェザー内相は記者会見で「安全保障上の理由」と説明した。

また、ハーベック経済・気候保護相は、「公共の秩序」のため重要な技術は保護されねばならず、取引停止措置の要因となったと述べた。

ロイターより

ギリギリ売り渡しは阻止出来たけれども、重要技術はかなり流れた後だったようだよ。ドイツも困ったことをしてくれたモノである。まあ、ドイツだけが支那に技術提供したわけではないのだけれども。

追記2

おお、韓国は積極的だな。

米国海軍長官、早ければ来週訪韓…造船所を訪問か

4/25(金) 7:44

米国海軍省のジョン・フェラン長官が早ければ来週韓国を訪問する。 24日、韓国政府や防衛産業業界によると、フェラン氏は最近訪韓計画を確定して韓国側と具体的な日程を協議している。

Yahoo!ニュースより

頑張ってくれたまえ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「造船するし、なんなら米国内の造船業も支援するから、その基礎となる製鉄をなんとかしろ。そのために『買収、じゃなくて限りなく買収に近い投資』するのを許可しろ!」

    って言って飲ませられればいいのですが……

  2. BOOK より:

    米国さん
    対中の造船力向上のため、日・韓へ技術資本寄こせの恫喝ですか。
    ただ韓国の方、投資と言うより米国造船会社の子会社化で
    – – – 日本が米社を子会社化するのはダメなのに随分と差別待遇なことで – – -は余談ですが – – –

    韓国は志那属国化まで半年を切ってますので、韓国企業に買われた米社は志那の支配下に入る訳ですが、そこはOKなの?(笑)