コメントで指摘されるまで気が付かなかった、というかそもそもネット環境に触れていなかったのだが。結構、大きな事件だったみたいだね。
スペインとポルトガルの大規模停電、大半で復旧…送電網異常が原因か
2025/04/29 18:00
スペインとポルトガルの広い範囲で28日、停電が発生し、空港や鉄道駅に影響が出るなど混乱が広がった。AFP通信によると、スペインの首都マドリードやポルトガルの首都リスボンなど、大半で29日未明までに復旧した。
読売新聞より
ヨーロッパで広域停電があったようだ。
電力網に関わるトラブルの可能性が大きいが
原因不明の大停電
文明社会において電気が使えなくなるというのは非常に大きなトラブルとなる。何しろ、やれることが極端に減ってしまうのだ。
スペインとポルトガルで大規模停電、住民ら混乱 復旧と原因解明の作業進む
2025年4月29日 09:26
スペイン、ポルトガル、フランスの一部で28日昼、大規模な停電が発生した。何百万人もが電気を失い、インターネットや電話網がつながらず、混乱が広がった。
BBCより
仕事も、娯楽も電気に依存する部分が大きいため、かなり大きな影響がでる。
停電中、一部地域では電車が運休となったり、道路の信号機が機能しなくなったりした。空港では離着陸に遅れが生じた。
商店、住宅、レストランなどが真っ暗になった。エレベーターに閉じ込められた人もいた。
BBC「スペインとポルトガルで大規模停電」より
エレベーターや電車の中に取り残された人もいたようだね。

地図を見ると、ポルトガル、スペイン、フランスが繋がっていて、この一帯が電力を失ったということが分かる。
ヨーロッパを繋ぐ電力網
さて、原因は未だ不明なのだが、幾つか指摘されていることはある。
ルビー氏は、「スペインの送電網がヨーロッパの送電網から切り離された」と説明。また、送電設備の異常だけで今回の停電が起きたとは考えにくく、「他の要素も関係している可能性が高い」と付け加えた。
BBC「スペインとポルトガルで大規模停電」より
「スペインの送電網がヨーロッパの送電網から切り離された」という文脈は、ヨーロッパ全土に張り巡らされた送電網の話をしている。

適当な図がなかったので、ドイツへの電力の出入りを示す図を示しているが、フランスからスペインへの供給の部分がちょこっとだけ描かれている。おそらくはここの網にトラブルが合ったという意味だろう。
サンチェス首相は同日のテレビ演説で、発電が変調を来した理由について「決定的な情報はまだない」と説明した。ポルトガルのモンテネグロ首相は、同国での停電は「おそらくスペイン」の余波だと主張した。
一方、SNSではサイバー攻撃説が独り歩き。LUSA通信によると、ポルトガル政府高官はその可能性を認めた上で、「確認はされていない」と述べた。同国出身のコスタ欧州連合(EU)大統領は「現時点で証拠はない」と強調した。
時事通信より
サイバー攻撃説が出ているようだが、眉唾物である。僕自身はこの説を現時点では支持していないし、説得力に欠けると感じている。
ロイター通信によると、スペインの電力事業者は原因について、フランスとスペインを接続する送電網で28日午後0時半頃(日本時間28日午後7時半頃)、急激な供給電力の低下が発生したと説明。スペイン側で停電が起き、影響がポルトガルにまで広がったという。
読売新聞「スペインとポルトガルの大規模停電」より
おそらくは電力網トラブルだろうと、そのように考えているわけだ。日本でも数年前に北海道で大規模なブラックアウトが発生(2018年9月6日)しているが、これも原因は供給量と需要量のバランスが大地震発生をきっかけにして崩れ、全域が停電となってしまった。
広大なヨーロッパエネルギーシステム
しかし、この電力網のトラブルという話も、不可解な部分があるだけに完全な説明というわけではない。
このヨーロッパの電力網は、32カ国の5億2千万人のエンドユーザーと相互接続する広大なもので、欧州全域の需要を満たすために15分間隔で電力負荷の予測がなされて、各国に設置されている発電機がその予測に従って動く。
ただし、ここに予測不能の要因が増えてきているため、近年はかなり苦労しているようだ。それが、再生エネルギー発電である。
そして困ったことに、各国が電力供給に責任を負わない姿勢なので、電力需要に見合うだけの電力供給が年々難しくなってきている。ドイツなどは勝手に原子力発電から撤退し、火力発電までも駆逐しようとしているのだが、それでもどちらかと言うと未だ電力輸出超過側にいる。フランスは多数の原子力発電所を持っていて、安定電力を生み出し続けてはいるがドイツなどから電力を供給される側になることも多いそうで。でも、ドイツとフランスが電力供給を担う側にいて、その他の国々は電力を輸入する立場にある状況なのだそうで。
ただ、このシステムどこかで電力需要と供給のミスマッチが大きくなると、電力網全体のバランスがおかしくなる。で、システム的にトラブルの起きている地域を電力網から切り離すなんてことをやるとは思うんだけど……(憶測)。
大きなトラブルが発生したという話は、今のところ聞かない。だから、原因不明ということなんだろう。システム的に深刻な欠陥を抱えていたということにならなければ良いのだが。
これに関しては続報がわかればまた追記していくつもりだ。
追記
コメントいただいたこともあるが、原因の追求を気にかけていたこともある。新しい情報が出れば言及しなければとは思っていた。
再生可能エネルギーが電源構成に占める割合はスペインが56%、ポルトガルが61%で、気候変動対策の優等生だ。28日昼に2度、電力供給と需要の急激な不均衡が起きており、自動的な負荷遮断メカニズムが作動し、送電網全体に連鎖的な故障が発生した可能性が指摘された。
それでは再生可能エネルギーへの移行が送電網の脆弱性を高めたのか。
英レディング大学のデービッド・ブレイショー教授(気候科学とエネルギー気象学)は「電力システムはネットワークで、局所的な障害を広い地域に伝播させる。電力需給をほぼ瞬時に調整する必要があり、発電機は正確に同期を保つ必要がある」と解説する。
「ネットワーク上の要素(発電機や送電線、大規模な電力消費者)が突然消失すると、需給バランスが崩れ、システム周波数が変動し始める。この変動が過大になると他の機器が自動的に停止し、バランスがさらに悪化する連鎖反応を引き起こし、重大な停電を誘発する可能性がある」
Newsweekより
ええと。
「スペインの送電事業者は原因不明の急激な電力流量の変動がスペインを欧州の送電網から切り離し、イベリア半島送電網が突然孤立状態に陥り、大規模な電力不均衡が発生しシステム障害を引き起こしたと報告している」
Newsweekより
明言は避けているし、Newsweekの結論としては「まだわからない」ということなんだけど、現時点でわかっていることは、スペイン側で発電量が急激に下がり、その結果、ヨーロッパの電力網から切り離されたということだ。
そして、その原因と考えられるのが再生可能エネルギー発電だということで。
スペインとポルトガルの大停電から学べ、イタリアのエネルギー転換と原子力再開の議論
2025/04/30
影響はイベリア半島全域およびフランスの一部に及んだ。原因は特定されておらず、スペイン政府は調査委員会を設置し、解明を進めている。マドリードやリスボンでは地下鉄や信号が停止し、交通渋滞や空港の混乱が発生した。
~~略~~
事故の発端はスペイン南西部エストレマドゥーラ州の太陽光発電設備にあった可能性が高いとイタリアなど複数のメディアが報じている。停電は現地時間12時33分に発生し、太陽光発電の出力がわずか5分間で18ギガワットから8ギガワットに急落。その後、送電網は一度安定を取り戻したものの、1.5秒後に再び異常が発生し、3.5秒後にはスペインとフランスを結ぶ送電線が遮断され、合計5秒でネットワーク全体が崩壊したとされる。
事故当時、スペインの電力供給の78%は太陽光・風力・原子力といったグリーンエネルギーで賄われており、特に太陽光が59%を占めていた。Red Electrica(スペイン送電公社)の責任者は「原因は太陽光発電設備にある可能性が高い」と述べ、運用サービス部長も「異常気象でもサイバー攻撃でもない」と断言した。
Newsweekより
具体的には太陽光発電システムの変調で、18ギガワットから8ギガワットへの出力急落がトリガーになった可能性が指摘されている。
エストレマドゥーラ州のフランシスコ・ピサロ太陽光発電所では、中国製ソーラーパネル150万枚が使用され、約33万世帯に電力を供給していた。こうした中、国民の間で「中国製ソーラーパネルが原因では」との疑念が広がりつつあり、スペインのサンチェス首相は「再生可能エネルギーの過剰供給や原子力の出力低下が原因ではない」と強調し、火消しに追われた。
Newsweekより
で、支那製のパネルが怪しいという話が出ているんだが、これその通りであったとするとテロの可能性すら考えねばならない。首相は「違う、違うから」と強調したらしいが、実に怪しい。
現時点でわかっていることを総合すると、太陽光発電による電力過剰供給が制御しきれなくなり、システムが切り離しを行ったというのが、一番納得できる回答だ。供給バランスが最も大切なので、多すぎても少なすぎても電力網は混乱する。そうなる前に保護回路が働くようになっているのが一般的で、過剰供給を遮断できなかったために、次善の策でシステムから切り離したということかもしれない。
故障で電力供給ができなくなったということなら、証拠が残ってすぐに原因究明できるからね。
そして、世界の太陽光パネルの7~8割位が支那製パネルであることを考えれば、同じことは世界中で発生するリスクがあるといえる。
イタリア以外の欧州諸外国を見てみると、2023年、EU全体での太陽光パネルの98%が中国から輸入された。
この傾向はイタリアにも当てはまり、イタリアの太陽光パネルの輸入の大部分は中国から来ている。これにより、イタリアの太陽光発電システムは、依然として中国製品に依存しているといえよう。
Newsweekより
……ヨーロッパで、支那製じゃない太陽光パネルを探すほうが難しいレベルだ。
そして、そういった実情に危機感を覚え、イタリア国内で太陽光パネルの生産拠点を作る話や、原発を作る話が進んでいるらしい。
だが……、あまり現実的じゃないんだよね。太陽光パネルの方は高い技術力を必要とするわけではないのだけれど、結局原料は支那に依存するので問題の解決には結びつかない。原子力の方は、イタリアが技術を持っているわけではないから、輸入せざるを得ないんだけど。韓国や支那から輸入するか?というと今後さらに難しくなりそうだ。そして、結局それリスク回避になっていないということになる。
コメント
フランスの原発を前提にした送電システム
アフリカからギブリ(熱風)が原因という説をスペイン政府が出している
追伸
スペインの太陽光発電からの送電がダウンしたのが原因のようです
フランス西部に影響が出た時点でフランスはカットダウン
さすが太陽光発電。当てにならねぇ(笑)
太陽光発電が問題だとすると、かなり厄介ですね。
まだ、最終結論には至っていないようですね。
あ、ども。お取り上げいただいてありがとうございます。
んで、私もサイバーテロとは思ってません。
ただマルウェア兵器を意図的に使用した時は、この数倍の停電に、複数のインフラの停止。電子化された資産をゼロにされたり…と下手な空爆より強烈な破壊力があるだろうと。それ故にサイバーテロ攻撃の破壊力を想定する為の指標にはなるだろうなと。
これ、結構深刻なトラブルのように思います。
サイバーテロならばまだ対策のしようがありますが、もし再エネ発電関連でということになると、日本だって他人事では済まされませんから。