もう1つ、欧州関連記事を。
プーチン氏、停戦要求無視か-欧州諸国は追加制裁に向け米国とも調整
2025年5月12日 18:42 JST
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領に週内の直接交渉を呼びかけた。トランプ米大統領によるウクライナの平和確保の取り組みに、決定的瞬間が訪れそうだ。
Bloombergより
これが余り話題にはなっていないのだが、それなりの温度感のある事態に繋がりそうなニュースだと感じた。
泰山鳴動しているが
トルコで会談
舞台はトルコになるようなんだが、ゼレンスキー氏の一人舞台のようになっている記事だね。
ゼレンスキー氏は11日、毎晩恒例の国民向け動画演説で「15日にトルコに行く」と述べ、「今回こそは、プーチン氏が理由を付けてやっぱりできないと言い出さないことを望む。ウクライナはこの戦争を終わらせるため、交渉の用意がある」と続けた。
Bloomberg「プーチン氏、停戦要求無視か」より
このニュースはトランプ氏の発言も結構絡んでいて、話は二転三転している。
トランプ氏 “プーチン大統領が望んでいる” トルコ訪問に言及
2025年5月14日 21時16分
ロシアが提案した今月15日のトルコでのウクライナとの直接協議をめぐり、アメリカのトランプ大統領は自身の現地入りをロシアのプーチン大統領が望んでいるとの認識を示し、トルコを訪問する可能性に改めて言及しました。
ウクライナ侵攻をめぐり、ロシアのプーチン大統領がウクライナ側との直接協議を15日にトルコのイスタンブールで行うことを提案したのに対し、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領にトルコでの首脳会談を呼びかけています。
NHKニュースより
トランプ氏「ぷーちんくん、トルコに遊びにおいでよ!」
プーチン氏「(政府高官派遣したろ)」
トランプ氏「ぷーちんくんが来ないなら行かない!」 「俺とぷーちん君が揃わないと何も進まないよー」
もう、このジジイは……。
ウクライナ直接協議、プーチン氏出席せず トランプ氏も見送り
2025年5月15日午前 8:56
ロシアのプーチン大統領は14日、トルコのイスタンブールで15日に予定されるウクライナとの直接協議に出席する代表団を発表した。プーチン氏自身は参加せず、政府高官を派遣することになった。
ロシア大統領府(クレムリン)のウェブサイトに掲載された大統領令によると、代表団にはメジンスキー大統領補佐官、フォミン国務次官、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のコスチュコフ局長、ガルージン外務次官らが含まれる。
ロイターより
舞台は整えられて、ロシアに「踊ってみろよ」と脅しをかけているのが欧州全体で、アメリカもそこに首を突っ込んだ状態である。
制裁を検討
で、このトルコへのロシア招致に関して、「来なかったら制裁ね」ということみたいだ。
トランプ氏は10日、プーチン氏とゼレンスキー氏に停戦に応じるよう呼びかけ、外交的解決への気運を盛り上げた。ロシア軍が停戦に違反すれば新たな制裁を科すとし、交渉の席に着くよう促した。
「直ちに会談しろ!!!」と自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
トランプ氏に近い共和党のグラム上院議員は今月初め、ロシアを「粉砕する」ほどの新たな制裁案に上院で幅広い支持を確保したと主張。ロシア産の石油や石油製品、天然ガス、ウランを購入する国に対して500%の関税を課す措置などが盛り込まれていると説明した。
Bloomberg「プーチン氏、停戦要求無視か」より
アメリカのジャイアンっぷりは凄いな。
実際これに乗ったのがイギリスや欧州諸国だ。
一方、英国と欧州諸国は初の安全保障担当閣僚による会合を開く。ラミー英外相は12日、対ロシア追加制裁を発表する見込みだ。
戦争終結に向けプーチン氏に対する圧力強化を図るトランプ氏はここ数週間、欧州の同盟国やウクライナとの連携を強めている。それでも、トランプ氏の公の発言は欧州諸国ほど強いものではなく、同氏に大規模な追加制裁を実行する用意があるのか疑念を呼んでいる。
Bloomberg「プーチン氏、停戦要求無視か」より
現在、かなり前のめりになっているのがイギリスとアメリカで、ドイツはちょっと尻込みしている印象が強い。フランスのマクロン氏はいつもの通りトリックスターを気取っているので、放置で良いだろうが……。
しかし、対露追加制裁って一体何があるのか?ロシアの海外資産をウクライナ復興に使う話はもう走り始めているけれど、これを本当に進めるということだろうか。
ウクライナ支援の資金が必要な欧州、ロシアの資産に手を付けない理由は
2025.03.22 Sat posted at 18:30 JST
パリ(CNN) 3年に及ぶウクライナでの戦争で、欧州に高額な請求書が回ってきた。1220億ドル(約18兆円)近い金額を直接的な支援に費やし、さらに数十億ドルが欧州大陸の軍事及び防衛産業に投じられた。
~~略~~
しかし先週、フランスの議員らは政府に対し、ロシアの凍結資産の使用を求める法的拘束力を持たない決議案を可決した。使用目的は「ウクライナの軍事支援並びに復興の資金に充てる」ことで、とりわけ利息による収益ではなく資産そのものの活用を明言している。
米国とカナダは既に政府の権限を強化する法律を導入。ロシアの凍結資産の差し押さえを可能にしている。米国ではバイデン前政権の最後の日々、欧州の同盟国に向けて、動かせない状態にあるロシアの資金を差し押さえるよう説得を試みてもいた。
CNNより
法律的な問題や道義的な問題があって、余り前に進めていないようなんだけど。でも、これやらないとねぇ。
親露派を引き剥がせ
さて、このブログでモルドバの話を少ししたような気がする。
あとはルーマニアの話も。
ここ数年で「ロシア側」に立つ国家が剥がされつつあって、他にも幾つかあるのだが、モルドバの話を例に出すと、最近はこんな話も。
モルドバがロシア外交官3人を追放、モスクワは報復を約束
2025年3月31日
モルドバは、親ロシア派議員の投獄逃亡を自国大使館が手助けしたと非難したロシア外交官3人に国外退去を命じ、ロシアは「適切な対応」を取ると宣言した。
モルドバ外務省は月曜日、ロシア大使館職員を追放し、メッセージアプリ「テレグラム」上で、この決定は「外交上の地位に反する活動を行ったという明確な証拠に基づく」と述べた。
Aljazeeraより
外交官追放って、戦争に繋がりかねないようなかなりの大事なんだけれども、これの背景に何があるかというとこちら。
欧州委員会は、モルドバと北マケドニアの単一ユーロ決済圏への加盟を歓迎する
2025年3月6日
本日、モルドバと北マケドニアは、欧州決済評議会(EPC)の承認を受け、単一ユーロ決済圏(SEPA)の地理的範囲に加わることで、欧州統合への道を前進させました。これは、EUの「アキ・コミュノテール」との整合性に基づき、EU単一市場の特定分野への段階的なアクセスを含む、モルドバと西バルカン諸国のEUへの社会経済的統合を加速するための2つのEUイニシアチブである「モルドバ成長計画」と「西バルカン諸国 成長計画」の効果を示す実例です。
欧州決済評議会の決定により、両国の決済サービスプロバイダーは、EPC が管理するさまざまな SEPA スキームに準拠できるようになります。
European Commissionより
鶏が先か卵が先かという話なんだけど、そもそもロシアが戦争をふっかっけた背景にはEUの影響拡大への恐怖というものがあって、ウクライナが「俺、EUに行くよ」と言い出したことが引き金になったと「されている」。
その言い分が正しいかどうかはともかく、その流れが最近になって加速しているのは事実である。モルドバやルーマニアの例は、その一例なんだと思う。
そして、欧州からの制裁がロシアに課されることになるとすると、やっぱり海外資産が狙われるし、それをやられるとロシアは窮地に立たされる。トランプ氏の登場によって、良くも悪くも大きく動いているんだろうね。
追記
関係ニュースを紹介しておく。
マレーシア航空機撃墜、「ロシアに責任ある」と国連機関
2025年5月14日
2014年7月にウクライナ東部の上空で、マレーシア航空の旅客機が撃墜され、乗っていた298人全員が死亡した事件で、国連の国際民間航空機関(ICAO)は12日、責任はロシアにあるとの判断を示した。
BBCより
マレーシア航空の旅客機撃墜事件は、ロシアに責任追及することを決めたようだ。
マレーシア航空MH17便は、ロシア製のミサイルで撃墜されたことがわかっている。
クレムリン(ロシア大統領府)は撃墜への関与を一貫して否定している。
ICAOの理事会は12日、ロシアが国際航空法が定める義務を守らなかったと認定した。同法は、「飛行中の民間航空機に対する武器の使用を控える」よう、各国に義務付けている。
BBC「マレーシア航空機撃墜、「ロシアに責任ある」と国連機関」より
なるほど。
これって、恐らくは国際法に反する認定が出てくるので、ロシアに対しての制裁の布石だと考えると、なかなかタイミング的に「良いタイミング」であるとも言えるし、わざわざこのタイミングにしたとも言えるのだろう。
まだ確定的なことは言えないが、ロシア追及材料の1つだとは思う。
コメント
トランプ、プーチン、ゼレンスキー。
目立ちたがりで虚栄心強くて独りよがりの塊みたいなキャラ3人。
南海怪獣島大決戦エビラvsカメラvsヘビラ
で!どうせ会議は踊るのでせう。
ナメクジとヒキガエルとヘビですよ。濃すぎるメンツだと膠着する!
そういうパフォーマンス良いから、とっとと決めてくんねーかな?
ウクライナとロシアの穀物輸出量が米国に匹敵し、かつ米国農業が地下水枯渇と旱魃て赤信号でてなけりゃ、双方が共倒れまでやってもらって構わないすけどね。
残念ながら、こいつらに世界も依存している部分がおるので見捨てられないときている。腐れニ国め!
ちょっとゼレンスキーかわいそう……
アンカラまで行ったのに。
ラスプーチンとヘルメ頭は来ないと。
いろいろあるでしょうが、いくらコメディアン出身の「虚像大統領」でも、一国の大統領ですよ。これは米露という2大国トップのやり方として「礼節に欠けすぎ」ではないですかねぇ?
つか、あの二人に礼節を求めるだけムダなんたけれど。まぁ、良いか(よくない)
ところでビックリしたんですが、トランプの若い頃30歳前後の写真みたんです。
イケメンなんですよコレが!!
ちょいとロバート・レッドフォードをアクを強くしたみたいな。ヘルメット頭しか知らなかったので驚きました。
プーチンの若い頃は、まんま「007のKGBそのもの」なんですけど。
ゼレンシキー氏も役者ですから、ただ待ちぼうけを食らったというわけではないでしょう。
ロシアは平和に対して真摯ではないという印象を植え付けることには成功したわけで、そうすると対ロシア制裁を更に積み上げることに、国際社会は合意を形成しやすくなります。
一方的に負けたということではないのだと思っていますよ。
国際社会は魑魅魍魎が跋扈しますね。
どこかを潰すのではなく、適度なところで妥協して戦争を終わらせてくれるのが一番なんですが、どこの輩も自国の利益を最大化させいようと、争いを収めることを先送りにしています。残念です。
ロシアが停戦交渉に乗り気じゃありませんが、やりすぎてトランプ大統領のやる気を削ぐと、
代わりに好戦的な英仏あたりが戦争継続の雰囲気作りを始めそうです。
トランプ大統領の和平案が失敗したら、欧州はウクライナに900億ドルの緊急支援を検討
https://www.newsweek.com/europe-eu-military-funding-ukraine-war-2067969
ロシアにどんな腹案があるんでしょうね。
ロシアは占領地域の開放を決断できないでしょう。
そうすると、プーチン氏の失脚こそが終戦のタイミングだということなのでしょう。
プーチンの失脚ですが、殺す以外にそのターンは来ると思います?
前は「それ」しかないと思ってたのですが、どうもロシアもグダグダになってきたので、政権が倒れる事も有り得ると想うようなってきました。
失脚≒有罪なのはネタニヤフ首相と同じなので(敗戦しても西側に支持されるであろうゼレンスキーとは違うかと)、
必死に抵抗するでしようけれど。
私自身が治療家でもあるので、タフの権化のようなプーチンも、健康状態を損なえば終りと想うし。
好き嫌いは別として、最近はゼレンスキーたちの粘り勝ちも有り得る気がしてきました。ゼレンスキー嫌いなのですが、あの不屈さと粘りと芝居を貫く根性には、ふと…気がつくと応援する気持ちが出てくる。やはり役者はバカにしたものでないですね。
木霊様、不思議なのです。
おらはずっとゼレンスキーもウクライナも負けてしまえ!
その方が良いと思ってた。
けどねぇ……プーチンもゼレンスキーも自分の役を貫くという点では、国益とか世界情勢とかとは別に漢として評価したい気持ちが湧いてきてるのですよ。
甘いけど。
国の興廃は何より為政者として最重要です。
しかし……いささか文学的表現で恐縮ですが、
興亡はいつか歴史となる。多大な被害を出しつつも歴史の一抹になる。
その時に光芒を残すのは、
役を最後まで貫く者と想うんですよね。
カルタゴとローマの戦争は
我々にとって歴史にすぎませんが、
ハンニバルの強さと、彼を破ったスキピオ・アフリカヌスが、カルタゴ炎上を観ながら「いつかローマも同じ運命を辿るだろう」と呟いたエピソードは今も胸を撃ちます。
もう、どちらが勝っても両国の市民は酷い目にあい、苦しむ。それは決まってる!
それ故に、プーチンもゼレンスキーも最後に無様な姿はさらしてくれるな!
それをやったら、お前らの下で死んでいった兵が救われない。感傷なのは承知で、そのように思ってしまうんです。
東側の論理でいうのであれば、プーチン氏のやり方が全くダメとは思わないのですよね。
ただ、日本の国益と合わないのが問題なんですけれど。
プーチン氏の失脚は、イコール死ということになるのでしょうね。
それ以外の選択肢は、過去の事例から見ても考えにくいのかと。
ただ、以前指摘されていたようにプーチン氏がいなくなると荒れるでしょうね。プーチン氏よりも独裁色の強い指導者がでてこないとも限らないのですが、戦争を終わらせるという目的に絞れば、もはや失脚以外はちょっと考えにくいと思っています。
プーチン大統領は、ロシアの「強い国家指導者」という偶像ですから、4年間の戦争による損失とこれから先の損失を考えると、従来の主張を引っ込めたり妥協したりすれば、自らの権力を揺るがすので、結局は軍事力でウクライナを屈服させることにしか落とし処を見出だせないでしょう。
下手すると、プーチン大統領が死ぬまで、このままダラダラと延戦するのかも。ひょっとすると、その後も。
直観的なトランプ大統領は、ウクライナの面倒事は欧州に丸投げしておいて、対支那へ重心を移していくと予想しています。
全く同意見です。
もはや、プーチン氏は戦争を止めるという選択肢を持っていないと思っています。
トランプ氏は当初からロシアの話は他人事でしたから、さっさと片付けないのでしょう。
トランプ氏にとってはロシアと上手くやれるのであれば、ロシアと手を組むという選択肢もあったのでしょうね、きっと。
こんにちは。
ハゲプー、逃げましたね。
こんにちは。
見事な逃げ足でしたよ。
メンツを刺激したのに、失敗でしたねぇ。ですが、「出てこられなかった」という実績を作ったのもまた事実です。これからの戦略には必要でしょう。