NHKの悪意を感じるニュースだなぁ。
“UFOなど情報収集分析の専門組織を”超党派議連 防衛省に要望
2025年5月16日 17時39分
UFO=未確認飛行物体などが存在すれば安全保障上の課題になるとの指摘もある中、超党派の議員連盟が16日、防衛省に対し、情報収集や分析を担う専門の組織を設けることなどを要望しました。
NHKニュースより
このニュースは、もうちょっと違う紹介の仕方があると思うんだ。
防衛上必要な組織
UFOを探すの意味
記事の中にも一応言及はあるのだが、NHKニュース記事の構成の仕方は本当に気に入らない。
16日は会長の浜田 元防衛大臣らが防衛省で中谷防衛大臣と面会し、ドローンを含め正体不明の飛行物体が確認されるケースが増えていることも踏まえ、UFOへの備えも必要だとして、情報収集や分析を担う専門の組織を設けることなどを要望しました。
NHKニュース“UFOなど情報収集分析の専門組織を”より
ご存じの通りUFO=未確認飛行物体の意味であり、SF的なUFOを必ずしも意味しない。
防衛省が気にしているのは、支那などの日本の敵性国家からドローンなどの正体不明の飛行物体を用いて偵察を行う実態があり、その全容が明らかになっていない点である。侵略の実態が把握できていない懸念があるのだ。
断じて、オカルト的な意味でUFOを探しているのではない。
護衛艦をドローンによって盗撮される事件
当時、かなり騒がれた話だが、去年はこんなニュースがあった。
護衛艦の動画「極めて深刻」 ドローン撮影の可能性高い、防衛省分析
2024年5月9日 14時50分
SNS上で海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンから撮影したとみられる動画が拡散した問題で、防衛省は分析の結果、動画は実際に撮影された可能性が高いと結論づけた。9日午後、自民党の部会などに報告する。
朝日新聞より
ご記憶にある方もいらっしゃるだろう。
当然ながらこのブログでも言及しているのだが、事件発生当初は「悪戯かどうか半々」だと思っていた。
しかし、流出した動画が検証された結果、ホンモノである事が確認されている。
この話は、防衛省の防衛体制に関する問題だけではなく、政治全般においてもかなり大きな問題がある。
過去にはこんなニュースもあった。
首相官邸にドローン落下 けが人はなし
2015年4月22日 12:04 (2015年4月22日 13:45更新)
22日午前10時20分ごろ、東京・永田町の首相官邸で、小型の無人飛行機(ドローン)が屋上に落下しているのを職員が見つけた。警視庁によると、けが人はいない。同庁が所有者や落下した経緯などを調べている。
同庁によると、発見されたドローンは直径約50センチ。小型カメラや長さ約10センチのペットボトルのようなものが付いていた。機体に放射線を示すマークが描かれているほか、発えん筒のようなものが取り付けられていたとの情報もある。
日本経済新聞より
これの対策はどうだったのかというと、こんな話になった。
ドローン官邸落下から5年 進んだ法整備、広がる活用 安全管理にはなお課題
2020/5/23 11:00(最終更新 5/23 14:24)
2015年4月に首相官邸屋上で未確認のドローン(小型無人機)が発見された事件から5年がたった。事件を機に法整備が進み、操縦技能を教える団体は3年前と比べ約6倍に増加。産業界でも活用シーンが広がった。一方で、事故や違反も増え、安全管理の取り組みも急務となっている。
事件は15年4月22日、発煙筒などを搭載したドローンが官邸屋上に落ちているのを官邸職員が発見。所有者の男が逮捕され、威力業務妨害罪などで有罪判決を受けた。事件後、飛行ルールなどの法整備が加速。同年12月に人口集中地区や夜間飛行を原則禁止する改正航空法が施行された。16年4月には国会や皇居などの重要施設、外国公館、原子力発電所などの上空の飛行を原則禁止にする小型無人機等飛行禁止法(ドローン規制法)が施行された。」
毎日新聞より
この対策が本当に良かったのかは、ちょっと疑問である。この飛行禁止空域が増えた結果、日本国内でのドローン開発の機運は大きく下がってしまった。
そりゃ、住宅の上空などでも飛んではいけないという話になってしまって、河川敷など特定の場所でしか使えないことになれば、需要は大幅に下がってしまう。
そして「飛行してはいけない」というルールを定めただけで、実際に飛ばれたときにこれを阻止する方法がないんだよね。実際に護衛艦の上を飛ばれて空撮までされてしまったわけで、法律の在り方を疑問視しても仕方がないと思う。
UFO議連
で、超党派で結成された名前が「UFO議連」である。……分かり易いけど、誤解も受けやすいよね。
そういう意味ではまだ朝日新聞の方がマシだよ。
未確認異常現象に備えよ 「UFO議連」が専門部署の設置を提言
2025年5月17日 11時00分
「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」は16日、未確認飛行物体(UFO)を含む未確認異常現象(UAP)について情報収集する専門部署を防衛省に設置するよう求める提言書を中谷元・防衛相に手渡した。
朝日新聞より
NHKニュース記事の中身が薄いのは本当に嘆かわしい。
「UFO議連」とも呼ばれる超党派の議連は、米国防総省にあるUAP専門機関にならい、専門部署の設置を目指している。提言書は、ドローンや偵察気球など正体不明の物体が上空に確認される事態が増加していると指摘。専門部署でデータを収集し、科学的分析を通じて潜在的脅威を識別するよう求めた。
会長の浜田靖一元防衛相は「想定しないことをなくしていくことは極めて重要だ」と強調。中谷氏は「識別不能な物体も含めて平素から情報収集に当たっている」としつつ、「非常に重要な課題だと認識している」と応じた。
朝日新聞「未確認異常現象に備え」より
ただ、朝日新聞の記事も必要十分か?というと、そうではない。何が重要なのかという点について、UFO議連も防衛省も理解しているということを、この記事では言及している。が、支那から飛来する実態に関しては言及していない。
その点にはこちらの記事が言及しているのだが、こっちはこっちで足りないんだよね、残念ながら。
中国軍無人機の飛来数急増 半年弱で2024年に迫る勢い 日本に対応コスト強いる戦略か
2025/5/18 18:46
今年に入り、推定を含めた中国軍の無人機による太平洋の飛行が急増していることが18日、防衛省統合幕僚監部のまとめで分かった。5月17日までに17機が確認され、過去最多だった昨年の20機に迫る勢いになっている。海洋進出を強める中国が海軍艦艇と合わせて運用するケースもあり、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)で対応している。
産経新聞より
確かにコスト負荷戦略には困ったものなんだけど。
撃墜許可アリ
実は、航空自衛隊は必要であれば支那製のドローンを撃ち落とすことが可能である。
「無人機も撃墜可能」領空侵犯時の武器使用、浜田防衛相
2023年2月17日 20:15
浜田靖一防衛相は17日の記者会見で、無人の気球などへの武器使用の要件緩和に絡み、無人機も撃墜の対象になると述べた。
~~略~~
政府は16日に正当防衛と緊急避難に該当しない場合も撃墜できるよう基準を明確にした。地上にいる国民の生命・財産の保護、航空路を飛行する航空機の安全確保という目的であれば武器が使えるようになった。
日本経済新聞より
ちょっと法律の構成が気になるところだが、現状でも撃墜は可能である。実際に撃墜した事例がないのと、撃墜するために必要な装備を航空自衛隊が保有していないのは問題であるが、可能か不可能かでいえば可能なのだ。その辺りは言及すべきではないか。
更に、防衛拠点には別のアプローチも考えられている。
重要インフラ攻撃ドローンを撃退、三菱電機が電波妨害装置
2023.05.19
米ABC Newsは2021年11月、米国ペンシルベニア州にある変電所の近くで2020年7月に墜落したドローンは、変電所の電子機器を破壊するために飛ばされたものである可能性が高いと報じた。このドローンは中国DJIのマルチコプターを改造したものだった。
~~略~~
ドローン攻撃への対策には、高出力レーザーや高出力マイクロ波でドローンを撃墜したり、網で捕獲したりするなど複数の手段がある。中でも、実用化が先行しているのが「電波探知妨害装置」である(図1)。国内では三菱電機が開発し、既に国内外の官公庁系に納入実績がある。
日経XTECHより

これも過去に触れた記憶はあるんだけど、現実的に納入可能なレベルの商品が存在するということは、示しておくべきだろう。
施設防衛という意味では使える装備だ。残念なことに、偵察されたときに役に立つかというと微妙ではあるが。
低速で撃墜となると
さて、ではこういったUFO議連の話を持ち出して、本日の記事は何処に着地したいかというと……。
無人機は低速で時速200キロ程度だ。高速が基本の戦闘機はエンジンノズルを下へ向けて機体を立てて速度を落とす不格好な追尾を余儀なくされている。また、緊急時に備えて2機で行動せざるを得ず、燃料が切れれば別の戦闘機と交代する。
パイロットは疲弊するが、それだけではなく数回の出動で部品の交換も必要になる。相次ぐ無人機の飛行は、不要な負担を相手(日本)にかける中国側の「コスト強要戦略」との見方もある。
産経新聞「中国軍無人機の飛来数急増」より
産経新聞が指摘するように、戦闘機でスクランブルしていてはコストに見合わないんだよね。
過去に、ウクライナ戦線でゲパルトが活躍した話を紹介したことがあったんだけど、そういう話なんだ。
「この対空砲使えないでしょ…」一転、もはや防空の要に! 「ゲパルト」はウクライナでなぜ成功したのか
2024.01.26
2024年1月3日、ドイツはウクライナへの支援として、新たに「ゲパルト」自走対空砲3両と、対空機関砲用砲弾3万発を送ったと発表しました。同車両はウクライナがロシアの侵攻を受けた直後、2022年4月に50両が供給されたのを皮切りに、ドイツ以外の国からも含め、何度か引き渡されています。
~~略~~
特にドローンのなかでも、ロシアがイランから輸入した自爆ドローン「シャヘド」や、そのロシア版の「ゲラン2」、同じくロシア製自爆ドローンの「ランセット」など、自爆攻撃目的のドローンに対しての有効性が証明されます。その理由としては、低空を低速で進入する自爆ドローンが、たまたまゲパルトの設計思想に合う相手だったという話や、そもそも偵察用ドローンよりも目標が大きく、機関砲の弾を当てやすいといった話があります。
そして、なんといっても機関砲の弾を使っての迎撃であるため、ミサイルなどで迎撃するよりも圧倒的にコストパフォーマンスがいいことが魅力です。
乗り物ニュースより
ウクライナのプロペラ機、後部座席から銃でドローン撃ち落とす 第一次大戦さながら
2024.04.30 17:00
航空機同士による空での戦いの歴史は第一次世界大戦にさかのぼる。
~~略~~
それから1世紀あまりの時が経過したが、機上偵察員はいまだにプロペラ機の後部座席から小銃を撃っている。先週、ウクライナ志願兵の飛行隊に所属するヤコブレフYak-52練習機の射撃手が、ウクライナ南部オデーサの上空でロシア軍のオルラン10無人偵察機と交戦し、およそ10万ドル(約1600万円)のこのドローンを撃ち落としたもようだ。
Forbesより
ゲパルトにせよプロペラ機にせよ、とても現代兵器とは言えないシロモノだけれど、対ドローンにはかなり有効な戦力だと評価されている。

既に、無人機が主力になりつつある現代において、やっぱり無人機を撃墜する手法を模索するのが一番理に適っている。
戦闘機では早すぎて無人機の対応が出来ないのだ。
が、逆に、それが分かっていてもジェット戦闘機を飛ばす理由は、現場に急行可能だからだ。流石にプロペラ機で現場に到着するのには無理があるから。
そうすると、現地に常駐する対空防衛兵器を用意するか、戦闘機から打ち出されるドローン兵器みたいなものが対処する方法の一案となる。いや、ジェット戦闘機出しても、領空侵犯で即撃墜くらいやってくれればコスト的には見合うかも知れないけれど。
いずれにせよ、先ずその実態把握をしないことには始まらないわけで、そういう意味ではUFO議連の提言というのは、現実的な防衛政策の一環として必要な話なのである。
コメント
マスゴミが意図的な事はいつもの事で慣れてしまった
中国本土と香港で新型コロナ感染再拡大は報道しない自由なんでしょう(書き込みの本題)
そういう慣れ方は良くないと思うんですが、同感です。
ですがまあ、ブログのネタの1つなので。
そういえば、台湾でも支那でも武漢ウイルス感染症の再拡大が問題になりつつありますが、観光立国(笑)としては報道できないんでしょうかね。
こんにちは。
>戦闘機では早すぎて無人機の対応が出来ない
この問題ですね……
歴史をひもとけば、Me-162コメートが速すぎてまともに射撃出来なかったとか、相対速度はその頃からの課題でもあります。
ましてや、先日、ガンでたたき落としたドローンの破片吸い込んで、ウクライナのF-16が墜ちたらしいとのこと……
大口開けて空気吸い込まねばならないジェットエンジンの泣き所でもあります。
で、UFO。
未確認飛行物体の総称なので、正体分かるまでは何でもかんでもUFOなんですよね。
アダムスキー型の専売特許ではない。
そのあたりの啓蒙こそ、「マスコミ」はするべきなんでしょうけれど。
「マスゴミ」には、何一つ期待してません。