国を挙げてマーケットを牛耳るわけだ。
世界のリチウム生産、中国が来年に豪を抜いて首位獲得の見込み
2025年6月26日午前 9:27
中国は来年にオーストラリアを抜き、電子素材として利用されるリチウムの世界最大の生産国になる――。コンサルティング会社ファストマーケッツはこう予想し、2035年まで市場における中国の優越性は拡大し続けるとの見通しを示した。
ロイターより
厄介な国だね。
計画どーり!
採算度外視で量産しシェア拡大
これに関しては、阻止する方法がない。
オーストラリアは2017年からチリに代わってリチウム生産世界首位の座を維持してきたが、リチウムの国際価格下落を受けて国内事業者が生産を減らしたり、採掘拡大計画を先送りしたりしている。
こうした中でファストマーケッツの予想では、中国のリチウム採掘量が来年にはオーストラリアより8000-1万トン多くなる公算が大きい。中国は2023年時点では生産量世界第3位だった。
2035年に中国の採掘量は90万トンに達する一方、オーストラリアは68万トン、チリは43万5000トン、アルゼンチンは38万トンと見込まれている。
中国でリチウムの大半はレビドライト(リチア雲母)と呼ばれる硬い岩から採掘されるが、これは塩水からの抽出に比べてコストがかかり、環境への悪影響が大きい。
ロイター「世界のリチウム生産、中国が来年に~」より
赤字になろうが国策でやってくるのを相手に、市場原理で太刀打ちできるわけがない。
支那は採算度外視でリチウム採掘量を増やし、生産活動を続けて安値で輸出する。
ただラスティ氏は、中国の事業者は中央政府の支援や地方政府からの圧力、市場シェア維持などの目的から、市場で採算が取れなくても生産活動を継続していると説明した。
ロイター「世界のリチウム生産、中国が来年に~」より
そして市場シェアを拡大する結果に。シェア拡大することでオーストラリアやらチリ、アルゼンチンの利益を圧迫して更にシェアを膨らませる。
非常に明確な……
さて、そういった方針を採る理由は非常に明確な戦略があるらしい。
ファストマーケッツの電池素材調査責任者を務めるポール・ラスティ氏は「中国には鉱物資源開発のための非常に明確な戦略がある」と指摘した。
ロイター「世界のリチウム生産、中国が来年に~」より
その戦略とは一体。
焦点:中国リチウム産業、EV減速が直撃 南米にコスト負け
2024年3月15日午後 6:34
電気自動車(EV)用バッテリーの主要原料であるリチウム価格が低迷し、中国の採掘産業を圧迫している。採掘コストの高さも相まって、同国は生産拡大計画や新規プロジェクトの見直しを迫られている。
EV需要が鈍ったことで世界のリチウム価格は下落し、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス社が集計するバスケット価格は過去1年間で8割以上も下がった。既に世界中で多くの生産者が操業停止や人員削減を余儀なくされている。
~~略~~
CRUのシニアアナリスト、イン・イウェイ氏は、CATLの鉱山などは「利ざやがマイナスになっており、生産を縮小する可能性が非常に高い」と述べた。
先月はCATLがこの鉱山の生産を一時停止したとの憶測が広がり、オーストラリアの鉱山企業の株価上昇に火をつけた。CATLは当時、平常通り操業していると説明した。
ロイターより
2024年3月の段階でEV需要の減少とリチウム価格の下落は完全に予測されていて、それ故「生産を縮小する可能性が非常に高い」と予測していたにもかかわらず、生産縮小されることはなかった。
結果、支那のリチウム販売におけるシェアは拡大したわけだ。
え?どんな戦略?
リサイクルする予定
色々記事をあたったのだけれど、支那の戦略が如何なるものかに関して、ハッキリした答えは見つけられなかったのだが。
中国のリチウム資源供給量は今後3年で約8割増を予測、リサイクル資源の活用も強化
2025年03月05日
2025年上海電池材料会議が2月25~26日、中国・上海市で開催された。この会議は電池産業のサプライチェーンにおける上流と下流の企業の協力と交流を推進し、産業の発展促進につなげることを目的として、中国の鉄鋼・非鉄金属の採鉱や精錬などを行う五鉱集団と英国の価格報告機関(PRA)ファストマーケッツの主催により開催された。中国有色金属工業協会の葛紅林会長は基調講演で、国家関連部門が進めるリチウムイオン電池金属の「第15次5カ年(2026~2030年)規画」の制定作業に、同協会も積極的に参画していく方針を示すとともに、リチウム産業チェーン全体としての協調的な発展の推進、リチウム電池の国際規格の策定に向けた取り組みの強化、リチウム電池製造におけるリサイクル金属の利用拡大などに取り組んでいく旨を表明した。
JETROより
どうやら、リチウム電池の国際規格の策定を狙い、世界中のリチウムマーケットを牛耳るというのが目的っぽい。
世界的にリチウム電池が重要なアイテムになると見込んでの戦略なんだろうと思うけれど、そもそもEVが失速しているから策士策に溺れるというような状況になっているのでは?という疑いがある。
尤も、リチウムイオン二次電池はしばらく様々なシーンで使われるわけだから、リチウムイオン二次電池の搭載量の多いEVが失速したとしても影響力は絶大なんだろう。
……実に厄介だね。
コメント
こんにちは。
>赤字になろうが国策でやってくるのを相手に、市場原理で太刀打ちできるわけがない。
だから、国ごと潰すのですよね。
こんばんは。
厄介な相手ですよね。
国策を潰そうとすれば、「メンツを潰された」と反撃してくるでしょう。
一番の対策は、おそらくはリチウムに頼らない方針を取ることだと思います。
リチウムイオン電池リサイクル技術が確立しないとリチウムイオン全個体電池の時代は短くなりそう
レアメタルを使用しないナトリウムイオン電池に切り替えが早く進む
リサイクルは色々研究されているんですよ。
でも、コスト的に見合わないというのが実情であります。今のやり方を続ける限りは、リチウムイオン電池の未来はかなり危うい気がしますよ。