近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。
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国内で外国人の農地取得最多175ha

政治
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xでポストしていた人がいたので、取り上げておこう。

外国人の農地取得最多175ヘクタール 個人、法人共に中国が最多 24年

2025年9月17日

農水省は16日、外国人やその関係法人が2024年に取得した日本国内の農地面積が175・3ヘクタールに上り、比較可能な22年以降で過去最多だったと発表した。日本に住む外国人が営農目的で取得するケースが多かった。今回、個人や法人など取得者の形態ごとに国籍の内訳を初めて公表したが、いずれも中国が最多だった。

日本農業新聞より

農業改革をする前に、気をつけた方がいいよ?こういうの。

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課題は多めの農政

増産を決めた米はどうなる?

ここのところ米価高等騒ぎの話があって、国民の関心が比較的高い分野であるとは思っている。

コメ争奪戦に揺れる東北 目立つ縁故米、外食・中食は産地調達も

2025年10月13日 5:00

東北地方のスーパーにも2025年産の新米が並んでいるが、足元の販売価格は前年同期より3〜5割高い。生育が比較的順調で生産量は上振れするが、集荷競争が調達コストを押し上げている。生産者が親族などに渡す「縁故米」や外食・中食業者の産地調達という要素も加わる。争奪戦は激しく、26年以降も売価が高止まりする懸念がある。

日本経済新聞より

神明社長「26年産米、暴落の可能性」増産で在庫膨らみ、輸入も拡大 小規模農家の撤退憂慮

2025/10/11 05:30

コメ卸最大手の神明ホールディングス(神戸市中央区)の藤尾益雄社長(60)は10日までに神戸新聞社のインタビューに応じ、2026年産のコメの価格について「暴落する可能性がある」との見方を示した。

神戸新聞NEXTより

現状では、「新米が出ても価格は下がらない」派と「新米で暴落する」派の2つに分かれている。どちらも現実味がある。

米価の推移は国民生活に影響するが

こうした事態を受けて、石破政権は去年、「米を増産する」という方針を示した。

石破首相、持論貫徹不透明 コメ増産に農林族反発

2025年08月06日07時06分

石破茂首相がコメの増産に踏み切る方針を表明した。「令和の米騒動」となった価格高騰を機に、長年の持論である増産に道筋を付けたい意向だ。ただ、農家への影響を懸念する自民党農林族は早々に反発しており、政権基盤が揺らぐ中で推し進められるか見通せない。

時事通信より

石破氏が2008~09年に農水相を務めていた時に改革すべき話ではなかったのか?と説得力の足りなさも感じるが、そこは今更なのかな。

ただ、増産方針については中途半端で、輸出拡大・販路拡大を民間頼みにしていて、片手落ち。せめて「余剰分は政府が買い取る」か、「輸出を政府支援の枠組みに入れる」といった明確な道筋を示すべきだった。

外国企業への農地販売

さて、こうした米政策の話を踏まえた上で、冒頭の「外国人による農地取得」に戻りたい。

「米価上昇はJAのせい」は誤解 全中会長が明確に否定

2025年10月10日

JA全中の山野徹会長は9日、東京・大手町のJAビルで開いた定例会見で、JAグループとして米の安定供給に向けて集荷・販売に注力する考えを強調した。一部で「米価上昇はJAのせい」とする指摘があることに触れ、明確に否定した。概算金の仕組みなどを説明しながら理解を呼びかけた。

2025年産米の価格上昇が進んだことについて、「価格は流通のさまざまな過程で決まる。生産現場では商系業者がJAの概算金より高い価格を生産者に提示するケースも多い」と話した。

日本農業新聞より

農産品に限らず、物価は需要と供給のバランスで決定する。JAのせいにしたって問題解決しないのだ。

日本の歴史上、米騒動(大正7年:1918年7月~9月)のような社会不安と米価のバランスが崩れた時に生じる暴動が起こっていて、平成5年(1993年)にも、去年の騒ぎも食べ物に纏わるもの。

だからこそ、「余剰米を輸出して外貨を稼ごう」という発想は理解できるが、農地を増やして米を増産したいなら、「農地を外国人に売っている場合じゃない」と思うわけだ。

取得面積のうち、日本に住む外国人個人によるものが95ヘクタール(377人)で最も多く、54%を占めた。営農目的で取得する場合が多い。日本人の配偶者を持つ外国人が相続で取得するケースもある。

取得者の国籍は、中国の102人(27%)が最多で、韓国とブラジル(いずれも42人、11%)、米国(27人、7%)、ベトナム(24人、6%)が続いた。

~~略~~

同省は「農地法によって、投資目的での農地取得はできない。現状、いずれも適切に耕作されている」(農地政策課)とする。

日本農業新聞「外国人の農地取得最多175ヘクタール~」より

一応、この手の取引は農地法に基づいて、無秩序に売買・転用されないようになってはいるんだけど、農業従事者がどんどん減っている日本では、買い手を探すのにも結構苦労する。そこにつけ込まれているんだろうね。

GATSの規定

じゃあ、外国人に売って良いのか?ってな話ではあるんだけど。

日本は、外国人による土地取得を規制できない。世界貿易機関(WTO)協定の一部である「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)で、外国人が不利になる規制が禁止されているため。

日本農業新聞「外国人の農地取得最多175ヘクタール~」より

つまり、国籍だけを理由に土地売買を禁止することは難しい。

もっとも、農地法の制約により、耕作されない土地には措置命令を出すことができるし、利用促進のために「土地バンク」への登録も義務付けられている。

だけど、そもそも土地バンクという制度自体がなかなか運用が難しい側面もあるので、有効に機能するかは不明なんだな。所有者不明の土地も増えているので、問題をより複雑にしている。

日本の食糧自給率を上げたいなら、土地問題にも積極的に取り組んでいく必要があるよね。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    本件は経済安保案件で、食料自給と”外国籍の関与”をどう折り合わせるかが肝です。
    農地売買手続きの抜け穴を塞ぐだけではイタチごっこなので、農地取得要件と行政管理の現行法改正なしには、いまのやられっ放し状態に歯止めをかけることは出来ないでしょう。
    来る高市政権では、総理大臣と自民党政調会長が経済安保大臣経験者なので、党と政府でよく揉んで対処してほしいですね。

    • 木霊 木霊 より:

      「労働力不足で、外国人を!」という方がいらっしゃいます。
      なるほど、足りてないのは間違いないし、恐るべきことに20代の1割程度が外国人だという実情があって、国内の外国人割合が増えているのですが。

      しかし、本来は足りないから外国人労働者を増やせってのはおかしな主張だったんですよね。
      今更というところはあるんですが、それでも制度の見直しをしないことには。