新年早々、なかなか物騒なニュースが飛び込んできた。
国防費1.8兆ウォン、史上初の未払い…現場部隊「非常事態」
作成 2026.01.03 20:36、修正 2026.01.04 08:50
当番組が単独取材した内容でお伝えします。出費の多い年末年始に、最前線の軍部隊へ国防費が期日通りに支給されていないことが確認されました。最前線の軍部隊から防衛産業企業に至るまで、必要な予算を受け取れず、ただ手をこまねいている状況です。先月31日時点で1兆8千億ウォンに達する国防費が国庫から送金されなかったことがその理由です。
SBS NEWSより
なんと、「国防費が支払われていない」のだ。しかも金額は1.8兆ウォンと桁が違う。
え、これ大丈夫なの?韓国。事実上の支払い不能では?
予算に纏わる懸念
予算執行の混乱
まだ「予算執行が行われていない段階」であり、直ちに支払い不能というわけではない。だが、その状況について十分な説明がなされていないという。
えぇ、良いの?それは。
昨年末から陸海空軍と海兵隊の各級部隊に「戦力運営費」が配分されず、現場部隊では物品購入費や外注費、年末年始の将兵激励行事費などを支給できていません。
[陸軍某部隊幹部:(予算)入金がないため、業者から苦情が出る可能性もあり、年始になったのにまだ(予算準備が)できていないと…
陸軍某部隊は先月29日から予算一切を受け取っていないと伝えられています。
防衛事業庁が執行する「防衛力改善費」の支給も年末から凍結され、多くの防衛産業企業は従業員の賞与や資材代金を用意できず、もがいている状況です。
SBS NEWS「国防費1.8兆ウォン、史上初の未払い~」より
唖然とする状況だ。
しかも理由は「予算執行が十分でない」という、行政としてはかなり危うい説明である。
自業自得な予算編成
実のところ、韓国政府は借入や国債発行に大きく依存した形で今年度予算を成立させている。
韓国の来年度予算案、歳出3.2%増 財政規律堅持
2024年8月27日午後 12:49
韓国政府は27日、2025年度予算案について、歳出規模を前年度比3.2%増の677兆4000億ウォン(5105億ドル)とする計画を明らかにした。財政規律を堅持する。
ロイターより
2025年度予算は2024年度に予算組みがなされているのだが、予算編成は前大統領の尹錫悦氏(ユンユン)の時代に行われたために、財政規律をかなり意識した予算建てであった。
韓国国会、削減を含む2025年度政府予算を承認
2024年12月10日午後5時39分
韓国の野党が多数を占める国会は10日、2025年度の政府予算を政府が提案した677兆4000億ウォンから削減し、673兆3000億ウォン(4706億4000万ドル)とする案を承認した。
ロイターより
ところが、成立にあたっては与野党合意のないまま野党単独で作成した修正案が本会議で可決。そう、2024年12月には例の非常戒厳の宣言事件(2024年12月3日)の影響で、混乱の中で予算を削って成立したのである。
意味が分からない事態であったけれども、この後、野党単独で予算が成立したのだが、677兆4000億ウォンから673兆3000億ウォンまで削っちゃった(4.1兆ウォンを削減)。
この削った対象は、大統領府の運営費、検察・警察の特殊活動費(捜査費など)、予備費(約2.4兆ウォン削減)などだと言われているのだけれど、自身が大統領になったらこれが足りない状況は宜しくないので使っちゃった。その結果、軍部にしわ寄せがいったという恐ろしい構図なのである。
特に予備費を削ったのは不味かったねぇ。だって、韓国はウォン安でかなりインフレが進んでしまった。当然ながら、色々なところの予算が足りなくなるわけで、本来はそうした事態に対応するための予備費だったのだから、結果は明らかである。
つまり、「厳格な財政規律で組んだ予算を、政治的混乱の中でさらに削り、そのツケを現場に回した」という構図だ。
しわ寄せが軍部に
で、困った挙げ句に予算執行を遅らせたのが、国防省関連の予算である。
国防省の核心関係者は「先月31日基準で、戦力運営費約1兆ウォン、防衛力改善費約8千億ウォンを財政経済部から受け取れなかった」とし、「先月2日に一部入ってきただけで、3日現在の時点でも戦力運営費の場合、4千億ウォン程度が調達されていない」とSBSに明らかにしました。
SBS NEWS「国防費1.8兆ウォン、史上初の未払い~」より
この記事ではその理由まで言及されていなくて、財政経済部と国防部の意見が食い違っているとし、その原因が国庫情報システムのトラブルだという。
あー、火災を起こしたアレなあ。
でも、本質的に予算が足りない状況である点は疑いようがなく。恐らくは国家情報資源管理院(NIRS)の火災は言い訳だろう。
断定はできないが、非常戒厳宣言の際に動いた軍部に対し、政治的な配慮が働いた可能性は否定できない。もしそれが本当であれば、政府が軍事をどう扱っているかを端的に示す事例だろう。
予算不足をどう補うか
結局、税収不足などの影響があるし、そもそも必要な予算編成がなされていなかったという事実もあって、いずれにしても足りないので支払えない。
そうなると、打てる手は1つ。
過去最大728兆ウォン 与野党合意で2026年度予算案成立、李在明大統領肝いり予算も原案通り
2025/12/03 14:05
韓国国会で2日、2026年度予算が与野党合意で成立した。李在明政権発足後初の予算で、今回は過去最大となる総額728兆ウォン(約77兆3000億円)となった。法定期限の12月2日までに成立するのは3回目で、20年5月以来5年ぶりとなる。
朝鮮日報より
なんと、来年度予算成立まで引き延ばして支払うというウルトラCである。随分と予算を積み上げた背景には、そんな思惑があったのかもしれない。
本来であれば、赤字国債の追加発行や公的資金の活用という手段があるハズだ。しかし、それらはいずれも現政権が予算編成の失敗を認めることが前提となる。
韓国中銀、外国為替市場でドル供給拡大へ臨時措置 ウォン安受け
2025年12月19日午後 4:48
韓国銀行(中央銀行)は19日、ウォン安是正に向け、国内の外国為替市場でドル供給を拡大することを目的とした臨時措置を発表した。
中銀当局者はまた、為替レートの動きをスムーズにするため、当局が市場でドル売り介入を行っていると述べた。
ロイターより
外貨準備は通貨防衛に使っちゃっていて、こちらの在庫も心許ない。見せかけよりも随分少ないという噂もあるけれど、それはさておき実際にここに簡単に手を付けるわけにも行かないのである。
推論にはなるが
現時点で確認できるのは、国防関連予算の支払いが意図的に引き延ばされているという事実だけだ。まだ正式に「来年度予算を充当する」と決まったわけではない。
しかし、税収不足と外貨準備の制約という状況を考えれば、この引き延ばしが、来年度予算成立後に処理することを前提とした時間稼ぎではないか、という疑念が生じるのも自然だろう。
もしそうであれば、それは実質的に来年度予算の先食いであり、問題解決にはほど遠い。何しろ、来年度は使った予算よりももっと膨れあがった不足の苦しみを味わうのだから。
まとめ
今回の国防費未払い問題は、おそらく単なる事務的トラブルではない。
- 厳格な財政規律を意識した前政権による予算編成
- 政治的混乱の中での強引な野党による予算削減
- 予備費の削減による調整余地の消失
これらが重なった結果、後回しにされたのが「現場で即座に金が必要な軍事予算」だったというだけの話だ。
しかも、そのツケを来年度予算に回すという選択は、問題を先送りしているに過ぎない。
新年早々に露呈したのは、韓国財政の余力不足ではなく、政治が財政を壊す典型例だったと言えるだろう。





コメント
こんにちは。
兵隊は、食い扶持不足するとコワイですよね。
ポチョムキンの反乱とか……
こんばんは。
食い物の恨みは恐ろしいですからね。
「ポチョムキンの反乱」って、昼食のボルシチに腐った肉が使われていたってヤツでしたっけ。
蜂起自体は計画されていたものだったようですが、キッカケはアレな感じでインパクトが。