軍部の粛正の話でも注目された支那だが、ここに来て、また興味深いニュースが出てきた。
中国政策銀行、融資額2兆元の水増しで罰金
公開日時: 2026年1月22日 午後5時40分 (GMT+8)
中国農業開発銀行(ADBC)は中国の3つの政策金融機関の一つで、金融統計の虚偽報告を理由に規制当局から繰り返し罰金を科せられており、これは国有銀行セクター内でデータ品質に対する組織的な強制執行のまれな例となっていると財新は伝えた。
Caixinより
財新という支那メディアの記事で、表面的には「よくある罰則適用」のようにも見える。
しかし、これはちょっと注目の記事なのだと、Money1さんのところで紹介されていた。
経済破綻は繕えない
三農問題を重視
まずは、参考にさせていただいた記事を紹介しておく。

この記事を紹介してしまうと、このブログで触れる意味はあまりなくなってしまう。が、僕なりの整理をしておきたいと思った次第。
日本ではあまり耳慣れない「三農」という言葉だが、支那当局はこの活動をかなり重視しているようだ。
中国共産党中央農村活動会議 「三農」に関する活動を手配
2026年1月4日 14:00
中国共産党中央農村活動会議が12月29日と30日の両日、北京で開催されました。会議では、「三農(農村・農業・農民)」活動が直面する現状と課題が分析され、2026年の「三農」に関する活動が手配されました。
AFPより
記事にある通り、「三農」とは農村・農業・農民を指し、地方との経済格差是正を目的として、指導部が重点政策として掲げてきた分野である。
習近平中国共産党中央委員会総書記は、「三農」活動への取り組みに対して、重要な指示を出しました。習総書記は、2026年は第15次五カ年計画(2026~2030年)の初年度であり、「三農」活動を着実に実施することは重要だと述べました。
AFP「中国共産党中央農村活動会議~」より
この記事にあるように、支那皇帝の座にいる習近平氏も「三農」活動を重視しているのだが、冒頭のニュースはまさにこの国家方針を揺るがす大事件なんだよね。
曰く「農村の全面的な振興を着実に推進」が、国家方針として掲げられ、「各レベルの党委員会と政府は、『三農』問題の解決を最優先事項」と位置づけていた。
その中核を担うはずの政策銀行が、数字を弄っていた、という話なのだ。
なぜ三農なのか
では、なぜ習近平氏は、ここまで三農に固執するのか。それは支那共産党の成立に関わる重要な思想だからである。
1921年、コミンテルン支那支部として結成された共産党は、コミンテルンの方針に従って、主として都市の労働者のストライキなどを指導しながら武漢、南京、上海などの大都市を基盤として活動していた。
しかし、国共分裂を境に農村部へ基盤を移した。実際には、国民党軍に破れて敗走したのだけれど。
その後、農村を拠点として革命運動を指導していた毛沢東は、「農村から都市を包囲する」という革命戦略に基づいて党勢を拡大したのである。要はゲリラ作戦を展開したということなんだけどね。
支那事変(1937年7月7日~1945年8月15日)勃発が切っ掛けで、第二次国共合作が成るまで、支那共産党は冷や飯を食らいながらゲリラ活動に従事した。もっと言えば、第二次国共合作後も、八路軍が展開したのはゲリラ作戦だったのだけれど。
つまり、支那共産党における精神的支柱である毛沢東の方針に従ったのが、習近平思想であり、支那の人口を支えるために食料生産率を向上させようという話は、間違いではないけれど、後付けの側面が強い。
もちろん、食料安全保障が重要であること自体は否定しないが、それは本質ではない。
融資の使い道
こうして三農問題を重視し、農村部に重点的に予算配分していった結果どうなったかというと、渉農貸款(農業関連融資)の不正流用である。
冒頭のニュースは、その不正流用を主導した農業開発銀行(ADBC)に巨額の罰金が課されたという話。
日本国内でも、それに関連するニュースはこんな形で報じられていた。
中国農村で金融大再編、内モンゴルは120社統合 地方「隠れ債務」重荷
2025年11月17日 5:00
中国で中小金融機関の大再編が広がり始めた。北部の内モンゴル自治区はおよそ120社を1つの新銀行に集約した。融資先の地元政府が過剰な公共投資などで財政難に陥り、金融機関の破綻リスクが高まった。習近平指導部も危機封じ込めへ再編を急がせる。
日本経済新聞より
農業関連融資が焦げ付いたので、破綻を避けて小さな金融機関を統廃合することで、ダメージコントロールを図ったという構図である。
農業関連融資として借りたお金で、マンションを建てたりインフラ整備していた結果、これが不良債権化して、金融機関も債権回収ができなくなったのだ。
ただし、これは本来はやりたくなかったが、当局としてもそうせざるを得なかったという事情がある。
暴動を押さえ込め
支那当局にとって、2022年の村鎮銀行の取り付け騒ぎがトラウマになっているのだ。
河南省、安徽省など中国で村鎮銀行の取り付け騒ぎ相次ぐ-もともと農村小規模は難しい(上) 日暮高則
2022/07/21
中国河南、安徽省などの地方都市のしかも農村を拠点とする小規模銀行で、預金が下せない状態が生じている。40万の預金者口座、金額にして400億元が凍結されているという。これらの銀行は、かつて不動産開発などのため高金利の「理財商品」を売り込んだ「影の銀行」や地方政府が公共事業資金調達のため設立した「融資平台」のように、富裕層でない小金持ちを顧客対象として狙いをつけた。このため、預金者は預金凍結を知ってなけなしの金を取り戻そうと当該銀行、人民銀行(中央銀行)の鄭州支店などに押しかけ、「還我血汗銭(苦労して得た金なので返せ)」の横断幕を掲げて、座り込んだ。
霞山会のサイトより
こちらのサイトで説明されるように2022年に銀行の取り付け騒ぎが発生。村鎮銀行と呼ばれる小・中規模の銀行が潰れるという噂が出回って、利用者が預金一斉に引き出しを画策し、銀行側は慌てて口座を凍結。で、座り込みや暴動に発展するという展開に。
この構図も、三農問題とリンクする。
具体例の1つとしては、以前こんな記事で紹介している。
一帯一路構想が、国内で余剰となった建設資材や資金の捌け口だったのと同様に、三農問題もまた、似た構造で腐敗していった。
それらが破綻して暴動に繋がる。それをなんとか押さえ込みたいというのが、現状の支那共産党内部での葛藤なのである。実際に、治安維持には軍事費以上の費用をかけているのは有名な話。
今回のニュースは、三農問題という巨大な病巣の「一側面が露呈した」に過ぎない。
まとめ
三農問題では、習近平氏の掲げたテーゼを実現するために年間15兆円相当の巨額な予算が割かれているが、これを悪用する事例がまた1つ暴かれたというのが冒頭のニュースである。
これは、単なる銀行不祥事ではなく、支那経済の破綻が覆い隠せなくなってきたことを示す、象徴的なエピソードだと言える。
共同富裕を目指す話も過去に言及してきたが、実際には共同貧困に向かい、最終的に文化大革命へ至るのではないか?――そうした懸念を、もはや払拭できなくなってきている。



コメント
デジタル監獄システムで文化大革命だと背面服従で不満がたまる一方
ガス抜きに何をやりだすか
退役軍人デモを反社を差し向けた水滸伝の国だから想像できない
追伸
北京でクーデター?
事実は小説よりも奇なり