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【続報】34歳NY市長――成果上げられずに増税求める

北米ニュース
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正確には富裕層への増税なんだけど、やっぱり当初懸念していた通りに有権者に利益を配るには予算が足りないようだ。

ニューヨークのマムダニ市長、富裕層や企業への増税を州知事に求める

2026年1月29日 at 3:00 JST

米ニューヨーク市のマムダニ市長は、予算不足に直面する中、ニューヨーク州のホークル知事に対し、富裕層や企業に対して増税し、市への追加援助として数十億ドルを拠出するよう、強く求めている。

bloombergより

それにしても、市長が知事に泣きつくとは。

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予算交渉のためか高めの球を投げる

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予算を増やせ!

まずは前回の記事を振り返っておく。

去年11月の記事で、34歳のニューヨーク市長が誕生したニュースを扱っていて、「バスの無料化」や「家賃引き上げの凍結」を公約に見事当選した話を紹介している。

皆様の記憶にも新しいだろう。

この時には、「予算はどう頑張っても足りない」として、公約実現性を疑問視していたのだが、やっぱり駄目だったようだ。

ニューヨーク市は2年間にわたり、126億ドル(約1兆9240億円)の予算不足に直面しており、マムダニ氏は、2008年の大不況以来最大の赤字と表現している。

同氏はインタビューで「この予算不足は偶然に生じたものではない。アダムズ氏の驚異的な財政運営の失敗が直接的な原因だ」と述べた。また、貧困層への支援や、市内のホームレスに対する家賃補助の予算が過小に見積もられているとも強調した。

bloomberg「ニューヨークのマムダニ市長~」より

ナニ言ってるんだコイツは。

どうやら、NY市の深刻な財政赤字を前市長の失敗に押し付けつつ、自身の政策の正当性を主張し、「だから州が金を出せ」と迫っているらしい。

高めのボールを投げて妥協案を引き出す、という交渉術なのかもしれないが、どう考えてもバラマキのために予算を積み増す話ではない

ニューヨーク州の予算は潤沢?

もっとも、ニューヨーク州の税収が増えているのは事実だ。

今年、ニューヨーク州は1年前の想定を170億ドル上回る税収を確保し、予算余力は潤沢だ。所得税収やウォール街のボーナス収入が豊富だったことに加え、人工知能(AI)関連企業に支えられた株式市場の好調が大きな要因となっている。

bloomberg「ニューヨークのマムダニ市長~」より

AI関連企業の好調が、税収増を押し上げた格好である。

しかし、税収が一時的に伸びたからといって、恒常的な増税に踏み切れると考えているなら、かなり救いようがない

一方、マムダニ氏は年間所得100万ドル以上の市民に対する所得税率の2%引き上げ、法人税率の4%引き上げを公約した。市民予算委員会(CBC)が今週発表予定の新たなデータによると、ニューヨーク市の企業は既に最高水準の17.44%を支払っている。CBCは、ニューヨーク州が全米で最も高い一人当たり税率であることも示した。

~~略~~

また同氏は、カリフォルニア州で提案されている、億万長者に対し5%の一時課税を課すような富裕税の導入にも、前向きな考えを示した。

bloomberg「ニューヨークのマムダニ市長~」より

AI特需が今後も継続する保証はない。むしろ、シリコンサイクルを考えれば、今年はともかく来年以降は厳しくなる展開を迎える可能性の方が高い。

そんな中で税率を引き上げるなど、正気の沙汰ではない。下手をすれば、ニューヨークという地の利を捨て、大企業が他州へ逃げ出す引き金にすらなりかねない。

実績はある

このような無理筋を攻める一方で、既に実現した公約もあるようだ。

マムダニ市長とホッチョル知事がニューヨーク市で2歳児向けの無料保育を開始 — 知事はニューヨーク州の5歳未満の子供に普遍的な保育を提供するための投資を発表

2026年1月8日

ホークル知事は本日、ニューヨーク州全域で5歳未満の子どもに手頃な価格で普遍的な保育を提供するための新たな一歩として、前例のない投資を発表しました。知事はゾーラン・マムダニ市長と協力し、ニューヨーク市で2歳児の保育を無償化するとともに、既存の3Kプログラムを強化し、普遍的な保育を実現し、最終的には市内のすべての家庭にサービスを提供していきます。

NYCより

これがNY州知事の譲歩であったにせよ、マムダニ氏の勝利であり実績になったことは間違い無い。就任から実現まで、実に素早い対応だと一部で賞賛されている。

だが、「無料バス」や「家賃凍結」が100%実現する可能性は極めて薄い。

にもかかわらず、これの実現のために高めの危険球を投げ続けることは、マムダニ氏にとっては負けの無い容易な戦術である。

何より、これが実現しなくてもNY前市長という素晴らしい実績が得られ、かつ市民のために戦った闘士と記憶されるのだから、やらない手はないというわけだ。

つまり、「知事に泣きついた」と表現するよりは、マムダニ氏の戦略でこの様な無理な要求を出していると理解すべきなのだろう。高めの球を投げ続けることが、彼の生存戦略でもあるのだ。

まとめ

この先、地下鉄の治安悪化は州政府のせいにして、不法移民対策の不備に関しては連邦政府のせいにして、戦いを繰り広げていくのだろう。

ただし、無敵のマムダニ氏にも弱点はある。彼の支持者は過激なインフレの焦燥感によって、「直ぐにでも成果が出る」という幻想を抱かせたことで、見事な当選を果たしたのである。だから、経済的にメリットが得られない状態がいつまでも続くと、過激な支持者から突き上げを食らいかねない。何しろ、アメリカのインフレは未だに続いているのだから。

そうすると、急速にその求心力を失い、「何もできない市長」のレッテルを貼られかねない。

更に、AI企業がニューヨーク州から逃げ出してしまえば、その責任を問われかねないのも彼の弱点といえるだろう。

コメント

  1. ken より:

    ほんと、何処でもありがちな民主主義の弱点ですね。