日米首脳会談が行われて、色々な話が出たようだね。
日米首脳会談及び夕食会
令和8年3月19日
現地時間3月19日、午前11時37分(日本時間3月20日、午前0時37分)から約1時間30分間、米国・ワシントンD.C.を訪問中の高市早苗内閣総理大臣は、ドナルド・J・トランプ米国大統領(The Honorable Donald J. Trump, President of the United States of America)と日米首脳会談を行い、その後、トランプ大統領主催の夕食会に参加したところ、概要は以下のとおりです。
外務省のサイトより
延期されたアメリカと支那との会談が行われる前に、日米での会談がセットできたことは悪くない。
そして中身を見る限り、今回の会談は全体として堅実に成果を積み上げたと言っていいと思う。
概ね順調に終わった会談
イラン情勢について
先ずは、何よりイラン情勢について。
外務省のサイトより
- 現下のイランをめぐる情勢に関し、高市総理大臣から、次を述べました。 (ア)これまで「イランによる核兵器開発は決して許されない」といった我が国の立場を一貫して明らかにしてきた。 (イ)我が国として、ホルムズ海峡の閉鎖、航行の安全を脅かす行為や周辺地域に対する攻撃といったイランの行動を深刻に懸念し、非難する。 (ウ)米国を含む国際社会と共に、事態の早期沈静化及び国際的なエネルギーの安定供給等を含む中東地域の平和と安定の実現に向けた取組が重要である。 (エ)特に、エネルギーの安定供給に関しては、日本やアジアにおける原油調達を念頭に、米国産エネルギーの生産拡大に日米で共に取り組んでいきたい。また、日本において米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい。
- その上で、両首脳は、エネルギー安全保障の観点を含め、ホルムズ海峡を含む中東地域の平和と安定に向けて、引き続き、日米間で緊密に意思疎通を続けていくことで一致しました。
なるほど、昨日も軽く触れたが、日本がアメリカに対して言えることはきちんと主張できたようだ。
特に重要なのは、エネルギー安全保障を軸にアメリカとの利害を一致させた点だろう。
要するに、「アメリカ産エネルギーの生産拡大に協力するから供給を安定させてくれ」という、極めて現実的なディールを提示できたわけだ。
トランプ氏、「ホルムズ海峡」日本に貢献要請…高市首相はイラン非難し「日本の法律の範囲内で」と説明
2026/03/20 08:39
トランプ米大統領は19日(日本時間20日)、米ワシントンのホワイトハウスで高市首相と行った日米首脳会談で、ホルムズ海峡の航行の安全へ向けて日本に貢献を要請した。会談終了後に、日本政府高官が記者団に明らかにした。
高市氏は、航行の安全の確保はエネルギーの安定供給の観点からも重要であるとの認識を示した上で、日本の法律の範囲内で今後もできることをしっかり行うと説明したという。
讀賣新聞より
流石にホルムズ海峡の航行の安全に向けた貢献を要求されたようだが、これについても「日本の法律の範囲内でしっかりやるぜ」と表明できたことは良かったと思う。
ここは評価していい。
無理はしないが、責任は果たすという姿勢が見えているからだ。
FOIPについて
FOIPについては、内容自体はいつも通りではある。
ただし、「確認した」という事実が重要だ。
高市総理大臣は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を、日本外交の柱として、引き続き力強く推進し、戦略的に進化させていく決意を改めて示し、両首脳は、FOIPの下で今後も力強く協力を推進していくことを確認しました。
また、両首脳は、日米韓、日米比、日米豪印といった地域の同志国ネットワークを強化していく重要性を確認しました。
両首脳は、中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、日米で緊密に連携していくことを確認しました。
また両首脳は、北朝鮮情勢についても意見交換を行い、核・ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に向けた確固たるコミットメントを確認しました。拉致問題の即時解決について、高市総理大臣から、引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
外務省のサイトより
おそらくアメリカとしては支那との交渉に先立ってFOIPの在り方は調整を加えたいとは思っていると思う。
その中で、日本側からFOIPの枠組みを改めて押さえたのは意味がある。
首相は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け、揺るぎない日米同盟を内外に発信する。中国訪問を予定するトランプ氏と対中認識をすり合わせ、インド太平洋地域へのつなぎ止めも図る。
讀賣新聞より
特に、オーストラリアやフィリピンといった話が出ている点は見逃せない。
結局のところ、支那の海洋進出に懸念を示し、FOIPが損なわれるとアメリカの利益が失われるよと言う視点はインストールしておく必要はあるのだ。
レアアースとエネルギー分野の強力
今回の会談で、地味に効いてくるのがこの分野だ。
経済分野に関して、両首脳は、現下の状況で重要性が増しているエネルギーの安定供給の確保、重要鉱物、AIを含む先端技術分野など、経済安全保障分野での日米協力を一層強化することで一致しました。その中で、両首脳は、具体的な重要鉱物プロジェクトに関する協力や、南鳥島周辺海域のレアアース泥を含む海洋鉱物資源開発に関する協力等について、3つの文書を取りまとめたことを歓迎しました。
~~略~~
両首脳は、輸出規制を含め、重要鉱物を始めとする重要物資の安定供給を脅かすようなあらゆる措置に反対することを確認した上で、サプライチェーン強靭化に共に取り組み、日米両国の力強い発展につなげていくことで一致しました。
外務省のサイトより
レアアースや重要鉱物の協力枠組みを強化したのは、かなり大きい。
中国の輸出規制リスクを考えれば、これは単なる経済の話ではなく安全保障そのものだ。
支那の貿易政策に振り回されて、経済の輪が寸断されるのは困る。今回の、ホルムズ海峡の混乱を考えても、一部の資源が輸入できなくなるというのは結構大きな影響があるんだ。
また、両首脳は、関税に係る日米間の合意の着実な実施を改めて確認しました。また、小型モジュール炉(SMR)の建設を含む「戦略的投資イニシアティブ」の第二陣プロジェクトが発表されました。
外務省のサイトより
そして、SMRの話は進めるのね。
エネルギーと資源の両面で依存リスクを減らす方向性で一致できたのは、意義ある合意だと言えよう。
投資に対して批判する人に
なお、ネットでは「11兆円もアメリカに投資しやがって!」とお怒りの人も散見されたのだが、何も分かっていないなぁとため息が出る。もちろんその気持ちは分かるし、個人的にお金は欲しいよ。
でも、この話はドル建ての投資だってことを考えないといけないんだよね。
そもそも、対米投資の多くはドル建てで行われる。
つまり、日本国内に円として滞留している資金をそのまま外に流している、という単純な話ではない。むしろ現実には、外貨として運用する先としてアメリカが選ばれている側面が強い。
さらに言えば、日本は資源もエネルギーも海外依存が大きい国だ。
その調達先であるアメリカに対して投資を行い、関係を強化することは、 単なる資金運用ではなく、供給網を安定させるための“ポジション取り”でもある。
「国内に投資しろ」というのは一見もっともだが、その国内経済自体が、海外からの資源やエネルギーに依存している以上、対外投資を単純に否定するのは現実的ではないだろう。
そして、投資だから当然、回収できる話。
まとめ
一部の識者は「アメリカを糾弾できるのは、平和国家日本だけではないか」などと寝言を言っているのだが、本音はともかくそんなことを会談でぶつけるヤツは、そもそも外交交渉する気がないだろうと言わざるを得ない。
必要なのは、距離感を保ちながら、自国の利益を最大化することだ。
その意味で今回の会談は、派手さはなかったが、きちんと成果を積み上げた内容だったと言っていいだろう。



コメント
>エネルギー安全保障を軸にアメリカとの利害を一致
高市首相はトランプ大統領のツボ(Dig, Baby Dig)を突いて、上手くディール出来たようです。
南鳥島沖レアアース開発とそのサプライチェーン化も「日米共同」を合意したことも高得点。
日米韓は?だけど、日米比、日米豪印は、日米主導の新しいエネルギー安全保障の枠組みでも共同体制を築けるでしょう。