アメリカとの不協和音が聞こえる一方で、支那との関係も安定しているとは言い難い状況にある。
李在明の誤算、台湾表記巡る「戦略的妥協」が中台双方から猛反発、王毅外相の訪韓は延期、良好だった韓中関係も一転
2026.4.23(木)
中国との関係の復元を前面に掲げた韓国の李在明政権の構想とは裏腹に、最近、韓国と中国の両国間には微細な亀裂が入っている。目立った表面的な衝突はないが、外交日程や後続の協議が相次いで停滞しており、両国関係が複合的な変数のなかで再調整の局面に入ったという分析が提起されている。
JB Pressより
かつては「等距離外交」と吹聴していて、「そんなバカな」と思っていたのだけれど、実は実践していたんだなと少し感心したよ、逆にね。
外交的判断
支那との間に距離が
冒頭のニュースの発端は、些細な問題だった。
発端は2025年2月に導入された韓国の電子入国申告書(E-Arrival Card)であった。新しい書式で台湾が「China(Taiwan)」と表記されたことを台湾政府が公式に問題視したことで韓国と台湾との摩擦が始まった。
JB Press「李在明の誤算、台湾表記巡る~」より
整理しておくと、こんな話。
- 2025年2月 韓国で電子入国申告書導入
- 2025年12月 書式で台湾が「China(Taiwan)」とあることに台湾が抗議 → 是正がなければ外国人居留証(ARC)の国籍表記を「KOREA」から「KOREA(SOUTH)」に変更すると勧告
- 2026年3月31日 韓国は電子入国申告書の表記を自由記入方式に変更 → 支那外交部が「台湾は支那の一部、『「China(Taiwan)』との表記は当然」と不満を表明
- 国家情報院長の李鍾奭氏の支那訪問が拒否されたとの報道
年初には首脳会談も行われていたことを考えると、関係は急速に冷却化しているようにも見える。
韓国の李在明大統領が訪中、習近平国家主席と会談へ…中国は国賓として厚遇し日韓の離間狙う
2026/01/04 18:26
韓国の 李在明大統領は4日、国賓として中国を訪問した。李氏の訪中は昨年6月の大統領就任後初めてで、5日に北京で中国の 習近平国家主席と首脳会談に臨む。
讀賣新聞より
ただし、この首脳会談が具体的な成果に結びついたとは言い難く、現状では「外交イベント止まり」との評価もある。
アメリカとの間にも距離
一方で、アメリカとの関係にも不安定要素が見える。
統一部長官・鄭東泳氏の発言をめぐり、政府内外で対立が拡大している。

「世界が韓国から孤立するニダ!」というフレーズが一部で流行ったことがあったが、まさにそんな感じになっている。
「米側または韓国内部で問題誘発」…鄭東泳氏、「構成核施設」論争の黒幕説を提起
2026年4月24日 04:32
「北朝鮮・構成市の核施設に関する機密漏洩」をめぐる論争が、内部対立へと拡大する兆しを見せている。チョン・ドンヨン統一相が、論争を引き起こした人物について「我々の内部の人物である可能性がある」と述べ、事実上、同盟派が黒幕であるという説を提起したためだ。同盟派とは、政府内で米国などとの外交協力を重視する人物たちを指す。
Daumより
機械翻訳の意味が正しいか判断しかねるのだが、どうやら、統一部長官は、自身の責任はないよと言うことを主張しているようだ。
問題の争点は、北朝鮮の核施設の3カ所目として報じられた「亀城」の核施設の存在を「公式に指摘した」点にあり、統一部長官は公開情報だったから問題ないという立場なのだ。
だが、戦略国際問題研究所の部長から「亀城の核施設に関する報告書など一度も出したことはない」とXでポストされている。尤も、この地域に核関連施設があるという噂は、前から出ていたのは事実である。
チョン長官は、野党が自身の辞任を求めていることについても「行き過ぎた政略だ」と述べた。彼は、昨年7月の人事聴聞会や先月の常任委員会で「亀城」という言葉が言及された際、なぜ異議を唱えなかったのかと反論した。
Daum「米側または韓国内部で問題誘発~」より
長官は辞任要求に対し強く反発しているが、政治問題化しており、更迭論も浮上している。
さらに米側からは早い段階で懸念が示されていたとも報じられている。
チョン長官の発言についても、米国が1ヶ月ほど前からいくつかの「警告メッセージ」を送っていたが、政治家出身の参謀や自主派グループはこれを「些細な難癖」程度と判断し、積極的に対応しなかったと伝えられている。
朝鮮日報より
この記事では国内政治の対立を軸に説明されているが、現実には、そのまま外交リスクとして表面化している構図といえる。
お家騒動が国際問題に発展している感じなのだ。
その他の国家との距離
先日書いた記事で、韓国がカナダとのFTAの税率変更をもぎ取ってきたという話を紹介している。

これも外交成果といえるとは思うんだけど、これより前に日本にカナダの首相が訪れた時に、韓国には立ち寄らなかった。

オーストラリアやカナダは日本とのACSA協定の締結をしていて、ミドルパワーとの連携という趣旨に合致しやすいというコトなんだとは思う。だが、韓国はここには入らなかった。

日本からも高市氏がGW中にベトナムとオーストラリアを訪問する予定にしていて、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の枠での連携を強めようと画策している。
だが、韓国はFOIPにも非協力的であり、ACSAにも否定的。ついでに台湾有事という部分にもコミットしない立場である。
韓国としては、適度な距離を保っていると思っているかもしれないが、「どの国からも遠い」という結果になっているのではないだろうか。
まとめ
アジアのバランサー外交という言葉を使って、巧みな外交を繰り出してきたと自負する韓国だが、韓国経済が不調をきたしているので、やや立ち位置に苦慮する様子が見受けられる。その上、アメリカを怒らせて在韓米軍が撤退するようなことになると、防衛的にも厳しくなるという時代が来るかもしれない。
今や、一国では平和を維持出来ない時代になってしまっているのだから、どの国にもいい顔をする等距離外交というのは、かなりリスキーだと思う。何故なら、等距離を保つつもりが、結果として遠心力だけが働いていた、という構図となっているからだ。



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