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サムスン全面スト再燃―利益配分か未来投資か

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大韓民国ニュース
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未だやってたのか。

サムスンのスト予告 産業相が冷静な判断求める=「利益は社会全体の成果」

2026.04.27 19:25

韓国の金正官産業通商部長官は27日、サムスン電子の労働組合が来月にストライキを実施する方針を示していることに関連し、同社の過去最高の業績や競争力は労使だけの独占物ではなく、社会全体の成果であると強調し、労使双方に冷静な判断を強く求めた。

聯合ニュースより

韓国でのストライキ報道である。

正確にはプレストライキ、ということらしく、本格的なのは労使交渉が決裂したら5月からスタートらしい。

労働者側にしてみたら、半導体産業が未曾有の利益を出していて、「利益を給料として還元しろ」と要求するのは当然の権利ではある。

言い分としては理解できる。だが、話はそう単純でもない。

シリコンサイクルの果てに

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スト前集会は4万人規模

本件は、割と韓国政府の自業自得な側面がある。

以前触れた「黄色い封筒法」によって、企業本体の社員だけでなく、協力会社や下請け側まで争議に参加しやすくなった。労働側から見れば画期的制度、企業側から見れば悪夢である。

情治国家韓国で「黄色い封筒法」、企業に何を強いるのか
凄いこと言い始めたな。在韓国欧州企業「黄色い封筒法は企業人を潜在的な犯罪者にしかねない」2025.07.29 06:33韓国に進出している欧州企業が、与党・共に民主党が強行しようとしている黄色い封筒法(労組法第2・第3条改正案)について「企…

企業の社員だけでなく、下請け社員達も抗議ができる。素晴らしい制度だね!(棒)

サムスン電子の労組4万人集会 全面ストなら半導体供給への影響懸念

Write: 2026-04-24 10:53:46/Update: 2026-04-24 11:43:22

サムスン電子の労働組合が大規模な集会を開き、ストライキの可能性を示しました。ストライキが行われた場合、世界のメモリー半導体の供給に影響が及ぶおそれがあるとの見方も出ています。

KBS WORLDより

最初は4万人規模の集会から始まった。

しかも、この人数には子会社や関連会社の構成員も含まれているとみられる。

現在、同社の労組は、最大45兆ウォン(約4兆8677億円)になると推定される年間営業利益の15%を成果給として要求し、認めなければ5月21日から6月7日まで全面ストに突入する構えだ。これに対し会社側は、ストの対象になり得ない無理な要求だとの立場で、交渉は難航している。

聯合ニュース「サムスンのスト予告~」より

要するに、「払うか、止めるか選べ」という話である。

スト突入は5月予定

実はこのスト予告、突然出てきた話ではない。3月時点ですでに伏線は張られていた。

サムスン電子労組 5月に全面ストへ=2年ぶり2回目

2026/03/18 16:51

韓国・サムスン電子の労働組合は18日、9日から実施した争議行為の賛否を問う投票の結果、賛成率93.1%で争議権を確保したとして、5月に全面ストライキに突入すると発表した。

労組側は2026年の賃金交渉にあたり、成果給の算定基準の透明化と成果給の上限廃止、賃上げ率7%を要求している。

朝鮮日報より

賛成率93%でストライキ突入って、労働争議の為の覚悟がガンギマリでちょっと引くけれども、サムスンが半導体で利益を得ているのは本当だからね。そりゃ、還元しろと迫りたくもなるだろう。

まあ、これには仕方の無い事情もあるのだ。

SKハイニックス、従業員1人当たり6億ウォン以上ボーナス支給

登録 : 2026-04-24 10:41:36 修正 : 2026-04-24 10:48:12

SKハイニックスは今年第1四半期に37兆ウォンを超える営業利益を達成した中、来年初めに従業員1人当たり支給される平均業績賞与が6億ウォンを上回るという分析が出た。

23日、聯合インフォマックスが最近1か月以内にレポートを出した証券会社17社のコンセンサス(業績予想)を集計した結果、SKハイニックスの今年の売上は301兆1965億ウォン、営業利益は227兆8154億ウォン規模と見込まれた。

~~略~~

SKハイニックスは業績に応じて営業利益の10%を資金として活用し、年に一度、年俸の一定割合を支給する成果給制度を運用している。その結果、今年初めに2025年の業績に応じたPSとして、過去最高水準の2964%の成果給が支給されたことがある。

しかし、すでに来年にはこれの4倍以上に増える成果給を受け取れるという期待感が高まっている。

東亜日報より

半導体相場で大きく儲けているもう1社、SKハイニクスがスゴイボーナスを出すという噂が出回っているからだ。

業績に大打撃

とはいえ、じゃあサムスン電子が同程度のボーナスを出せるかというと、そこは厳しい。

SKハイニクスもこれをやって大丈夫なの?という不安はあるが、そこは企業戦略の違いもあるので一概に論じられない。

サムスン電子労組 全面ストで「最低2.2兆円損失」と警告

2026.04.17 16:18

韓国のサムスン電子で創業以来初めて単一で全従業員の過半数を占める労働組合が誕生した中、労組側は17日、来月に予告している全面ストライキにより少なくとも20兆ウォン(約2兆2000億円)の損失が発生する恐れがあると警告した。

労組側は23日に総決起大会を開き、5月21日から6月7日まで全面ストを実施する予定だ。

聯合ニュースより

サムスン電子の労組も巨額の損失が発生することは計算していて、「損失出すくらいなら給料を上げろよ」と迫っているんだよね。

ただ、これを素直に受け容れられないのが企業側。

また、「現段階で享受する利益と、未来の世代や将来の競争力のために残しておくべき利益との調和が不可欠だ」とし、労組の要求が将来の競争力を損なう結果につながってはならないと強調した。

聯合ニュース「サムスンのスト予告 産業相が冷静な判断求める~」より

半導体業界で、AI用のメモリ需要が高まっており、利益が拡大している、そこまでは良いのだが、サムスン電子にしてみたら、次世代の製品開発をやらないと生き残れないと説明している。

実際のところ、半導体産業一本で勝負しているSKハイニクスに対してサムスン電子は他の分野にも手を出しているけれど、結果的に半導体産業でしか利益をあげられていない。その半導体産業に更に投資をしない限り、未来はないと経営陣は判断している。

メモリ産業の現状にも問題が

更に困ったことに、現在の半導体需要に関する構図がある。

需要に対して供給が追いつかないために引き起こされている価格高騰、と簡単に言えばそういう図式である。

メモリ市場が急落。メモリ関連株が軒並み予想外の反落、強気サイクルは終了か、それとも買い場か。

Mar 30, 2026 3:33 PM

3月中旬以降、メモリー価格は反転し、メモリーサイクルがピークに達したとの懸念が市場で強まっている。米東部時間金曜日の時点で、米国のメモリー半導体株は週を通じて大幅な調整局面を迎えた。

TradingKeyより

状況は確定的ではないが、メモリ高騰にも一息つきそうな観測が出ているのと、ここへきて原油の供給不足で、製品の製造が難しくなりつつあるという状況が重なっているため、市場の動向が読みにくい。

つまり、市場は供給の増減に敏感になっているのだ。

ここでサムスンのメモリ製造ラインが止まるとどうなるのか?というと、サムスンのシェアがSKハイニクスに喰われる恰好になりかねない。

とはいえ、メモリ製造ラインは今ですら需要に間に合っていない状況である。

だから、一時的に止めたとしても引き合いが切れる可能性は低いが、しかし、顧客からの信用は大きく毀損されるだろう。

ただでさえ、SKハイニクスにはHBM分野で後塵を拝した恰好になったので、ここで巨額の投資をして巻き返したいというのが、経営陣の思惑であろう。

まとめ

韓国半導体2強の実態は、利益を競う戦いというより、将来を見据えた投資チキンレースである。

SKハイニクスは先行投資によってHBM市場で主導権を握り、高額賞与によって人材確保まで狙っている。一方のサムスン電子は、労使対立によって経営判断そのものが縛られつつある。

現在はAI需要によってメモリ市場が活況を呈しているため、表面上は利益も出ている。だが、その裏側では供給責任を果たせない企業から顧客が離れていく、厳しい競争が進行中だ。

そこでストライキによって生産が乱れ、市場シェアや信用を失えば、次にシリコンサイクルによる需要減少局面が訪れたとき、サムスン電子はより不利な状態で不況を迎えることになりかねない。

政府は「冷静な判断」を求めているが、問題は感情論ではなく時間との勝負である。 好況のうちに体制を立て直せるかどうか。そこが本当の争点だろう。

悲喜交々だが、これも利益を出せたが故の結果なので、頑張って乗り切って欲しい。シリコンサイクルを読み間違えると、減益したときに目も当てられないよ。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    相変わらず呆れた労働争議というか、社員たちが(親)会社の首を絞めてますよ。
    ここでS電子が労祖のゴリ押しに妥協すれば毎年、ひょっとすると巨額の利益が出るたび、
    四半期毎にストやられるんでは?という暴風警戒展開。S電子、米国に本社移しちゃいなよw

    • 木霊 木霊 より:

      「このイカれた世界にようこそ」とか歌い出したくなる始末ですが、韓国ではこれ平壌運転なんでしょうね。
      韓国の労組の強さはビックリですが、それで衰退しつつあるドイツを横目で見ながら、「大丈夫かなぁ」と。