これはどうなんだろうね。
経済産業省、政府職員のロシア派遣を検討-早ければ5月末
2026年5月9日 at 23:53 JST
経済産業省は早ければ5月末にも政府関係者をロシアに派遣する可能性があると、X(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。ロシアで事業を継続している日本企業を支援するため、ロシア政府との意思疎通を維持することが目的。
Bloombergより
正直、この方針には反対なのだが、日本政府が「ロシアとの対話ルートそのもの」は切りたくないと考えていることは、今回の報道でかなり明確になったように思う。
以前の記事では鈴木宗男氏の“対話外交”についても批判的に書いた。だが、結果的に日本政府全体が、似た方向へ軸足を移し始めているようにも見える。
日本の対露外交の行方
宗男式対話は現実路線だったのか
先日のこの報道に対する記事で、鈴木氏のやり方についても批判的に書いた。

「宗男式の対話でどの程度の成果が期待できるのか?」と疑わしく思っていたが、ある意味成果を出したと言えるのかもしれない。
ロシアが経済的に困っていて、日本に上から目線でアプローチをかけてきた。日本側は応じる必要はないという筋で、記事を書かせて貰って、その立場は今も変わらない。
ただし、外交ルートを残しておくことは必要なんだろうと、そこは認めざるを得ない。
共同通信は8日、政府が5月下旬にロシアに経済訪問団を派遣する方針を固めたと報じた。経済産業省はXへの投稿でこの報道を否定し、日本は主要7カ国(G7)で協調しながら、引き続き対ロ制裁を実施する考えであり、ロシアとの間で新たな協力を進める状況にはないとしていた。
共同通信は先月、このロシア向け経済使節団の可能性について初めて報道。木原稔官房長官は当時、計画を否定していた。
Bloomberg「経済産業省、政府職員のロシア派遣を~」より
そして、経済訪問団の派遣である。
度重なる訪ロ否定
過去に何度もロシアとの関係については否定していたが、水面下では交渉を進めていたのだろう。
ロシアへ経済訪問団派遣を計画との報道、「事実ではない」=官房長官
2026年4月3日午前 10:22 GMT+92026年4月3日更新
木原稔官房長官は3日閣議後の会見で、 政府がロシアへの経済訪問団の派遣を計画しているとの報道について、「事実ではない」と述べた。政府としては、引き続き対ロ制裁を実施しつつ、「すでにロシアに進出している日本企業をしっかりサポートしていく」との考えを示した。
ロイターより
4月の段階でも噂を否定していた。
木原官房長官「日ロ外相会談予定なし」
2026年05月11日12時01分配信
木原稔官房長官は11日の記者会見で、日ロ外相会談について「現時点で何ら具体的な予定はない」と述べた。自民党の鈴木宗男参院議員が今月訪ロした際、7月にフィリピンで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議に合わせた外相会談の可能性にロシア側が言及していた。
時事通信より
5月11日の段階でも、外相会談については否定。経済訪問団の派遣に関しては8日の段階で明らかになっていたが、日本政府としては積極的には認める方針ではなかったようだ。
結果的に、「日本政府として、企業を応援する形」とするという発言に方向修正したというのが、冒頭のニュースとなる。
日本政府としては、ロシアとの経済関係が冷え込んでいるのは、経済制裁を続ける立場だからという指針があって、しかし経済界はロシアとの関係修復を望んでいる、そんな構図なのかもしれない。
ロシアとの距離感
記者会見でも、「制裁維持」と「日本企業委支援」に言及している。

この方針に、何度も書くが反対なのではあるが、しかしそういう原理原則はともかくとして外交交渉を続けていく必要はある。
そして、実利が得られるのであればロシアを利用するというのは吝かではない。
ただ、ロシアって、付き合うと、大抵利用される側は日本になる厄介な国なんだよね。それは、サハリン2事件の話からしても、一筋縄ではいかない相手というのが、証明されている。
出光興産もロシア・サハリン2産の原油を輸入、タンカーが今治から千葉へ 調達先を多角化
2026/5/7 21:43
ロシア極東サハリン(樺太)の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産された原油を積載したタンカー「ボイジャー」が7日、千葉県袖ケ浦市にある出光興産の子会社、富士石油(東京都品川区)の石油施設に向かっていることが分かった。ボイジャーは5日から6日にかけて愛媛県今治市にある太陽石油(東京都千代田区)の施設で原油の積み下ろしを行っていた。その後、6日午前10時半ごろに今治を出航。瀬戸内海を抜けて紀伊半島沖を通過し、太平洋を航行している。
産経新聞より
タイミング的には今年6月で、サハリン2の契約期限が切れる。したがって、今回の外交交渉に関しても、サハリン2絡みである可能性が極めて高い。
一方で、アメリカとの関係で、以前こんな記事を紹介した。

メキシコ湾開発で、ゆくゆくは天然ガス採掘が可能となるように投資をする話である。
サハリン2の契約が切れると、恐らくは支那がその後釜に納まる可能性が高く、実際に何度かちょっかいをかけている状況。
そうすると、日本の立場としては将来的にはアメリカからの輸入が可能になるにせよ、繋ぎとしてサハリン2からの継続購入が出来るのが理想的である。
首脳会談も影響
折しも北京でトランプ氏と習近平氏の会談がセッティングされていて、タイミングを考えると、日米間で一定の情報共有や認識調整が行われていた可能性はある。日本側からの提案、或いはアメリカからの提案だったかもしれないが、日米で調整が無かったと見る方がやや不自然だからだ。
そうすると、どんな調整がなされたのか?ということは気になるところ。
米中首脳会談、14日から 台湾やイラン情勢・エネルギーの問題が軸
2026年5月12日 20時54分
トランプ米大統領は13日夜に北京入りし、14~15日に中国の習近平国家主席との会談に臨む予定だ。トランプ氏は11日、記者団に対し、首脳会談で、台湾問題や、イラン情勢・エネルギー問題について議論すると説明した。
朝日新聞より
一番可能性が高いのがサハリン2絡みの話だ。
日本側からの外交カード提示としては、支那とロシアの関係に楔を打ち込む「関係改善」の印象を与えること。流石に戦争への荷担を日本がロシアに持ちかける可能性は低いので、どちらかというと、停戦に繋がる支援を持ち出す可能性だろう。
支那にとっては既に対露支援はかなりの負担になっているので、ウクライナ侵攻が終わってくれることは寧ろ歓迎するだろう。ついでにイラン戦争についても決着が付いてホルムズ海峡の封鎖が解けることが望ましいと考えているので、こちらへの影響も考慮するのかもしれない。
何にせよ、支那が漁夫の利でサハリン2利権を得るのを邪魔することは、アメリカとしても寧ろ歓迎すべき話。
それをわざわざ交渉前に発表したのだから、関係があったと見る方が自然だろう。どちらが持ち出した話かはわからないが。
まとめ
日ロ関係の改善に繋がるかは不明だが、個人的にこのタイミングである必要があるのか?という疑問はある。
が、文中で可能性に言及したように、アメリカや支那の立ち位置を考えていくと、外交交渉としてのオプションとして軸足を残しておくべきという意見には反対しにくい。国益に関わる話だからね。
そして、今回の交渉は外貨がどうしても欲しいロシアとしても、歓迎したいというか、喉から手が出るほど欲しい交渉で、支那に利権が渡った場合は「安く買いたたかれるリスク」に怯えねばならない。ロシア自身も支那依存をなんとかしたいという思惑もあるようだし。
注意深くロシアとの関係が切れないような綱渡りをやっていくしかなさそうである。




コメント
どうもー!
過去には北方領土問題のおかげで日本はロシアに譲歩せざるを得なかったですが、現在は少し状況が変わってきてるように思います。具体的には、近年のロシアは北方領土に対して部隊を展開したり交流中止したりなど、以前より強硬な手段を取っています。それに対して日本が無反応なので外交カードを自ら減らしているような状況です。以前なら日本に「譲歩するから北方領土はやめてくれ」と言われていたのですけどね。
逆に言うと日本の北方領土への関心が下がっているとも言えます。
最近、露皇帝の支持率が低下し続けているとあります。宇との戦争は大失敗。今年の露経済はマイナス成長です。なんとかしないとマズイでしょうね。
砂漠の男の邪推では、例の人は目くらましで、今回は露側が”別のチャンネル”から対話を求めてきたとみます。支那の監視もありますから。