タイトルは誤解を招くといけないので「?」を付けておいたが、経緯を考えれば、ほぼ決裂と言って差し支えないのではないかと思うので、このようなタイトルにした。ただし、現時点で正式決定ではない。
トランプ発の安保空白に…日本、韓国との軍事物資協定を検討
2026.05.09 09:41
日本政府が韓国軍と自衛隊の間で弾薬・食料・燃料などの軍用物資を相互に提供できる物品役務相互提供協定(ACSA)の締結を推進していると、日本メディアが8日に報じた。
中央日報より
日韓ACSA締結については、日本側は以前から前向きだった。にもかかわらず、ここまで来てもなお「検討なし」である。もう実質的には、お断りなのでは?
失態と反省
PKO派兵での失態
ACSA締結の話は、過去何度も取り上げられてきた。が、必要性が決定的になったのはこの一件であっただろう。
銃弾1万発80万円無償提供 感謝もできない韓国
2013/12/28 07:00
武力衝突で治安情勢が悪化する南スーダンに展開中の陸上自衛隊が、韓国軍に対し小銃の銃弾1万発(約80万円相当)を無償で提供した。韓国軍が展開する東部ジョングレイ州ボルで戦闘が激しくなり、韓国側の提供要請を受けた措置だった。ともに南スーダンの国造りに汗を流している「友軍」の緊急要請に応じるのは当然のことだろう。
そのため、安倍晋三政権は内閣法制局や連立を組む公明党とも調整しながら、銃弾提供をかなり速いスピードで決めた。
ところが、韓国側が日本への提供要請を否定し、日本側の説明と食い違っているのだ。
産経新聞より
2005年1月9日、北部のスーダン政府と南部の反政府勢力のスーダン人民解放運動・軍(SPLM/A)との間で南北包括和平合意(CPA)が署名され、スーダンにおける20年以上にわたる武力紛争が終結する。
日本は2008年から2011年にかけて、司令部要員として2名を派遣している。
そして、2011年には南スーダンが独立し、2011年12月20日の閣議において、陸上自衛隊の施設部隊等の派遣が決定され、2012年に、南スーダンの首都であるジュバ及びその周辺において道路等のインフラ整備などの活動を350人規模で開始。2017年5月に任務を終了するまで、現地での活動に従事していた。
当時は民主党政権だったこともあって、韓国出身の潘基文氏(バン君)がこの時期に国連の事務総長を勤めていたことから、派遣を快諾したという事も忘れてはならない事実だ。
銃弾1万発を無償提供
ところが、2013年12月の南スーダン政府と反政府勢力との衝突を受け現地の治安が悪化。
当然、バン君の手前、韓国もハンビッ部隊(約300人)を派遣していたが、工兵中心だったこともあって装備品が不足。低性能な「貫通する防弾チョッキ」を支給して、それが汚職絡みだったことが後に問題になったが、それとは別に韓国は、「武器弾薬は国連が用意してくれる」という意味不明な勘違いをしていたようだ。
国連PKOでは、燃料や食料、一部の汎用資材については「国連(支援部隊)が一括調達して各部隊に配給する」というシステムを採用していたことも、勘違いの一因だったようだが、事前に調査しなかった事も大きな要因だったようだ。もっと根本的な部分、「世界大統領」と韓国で持て囃されたバン君の影響力を過信した、という側面も大きかったのかもしれない。
一説には、足りなくなったら本国から空輸すれば良いという話もあったようだが、実際には本国から直接輸送する能力がなかった(後にKC-330を導入している)ので、それも無理だったし、兵站輸送路と見込んでいたルートが封鎖されたてどうにもならなくなった。
「銃弾が足りない。助けて欲しい」PKOの現場で、韓国からのSOS まさかの結末
公開日:2022.04.13
13年12月当時、南スーダンには、日本など50カ国以上の約7600人で構成される国連南スーダン派遣団(UNMISS)が駐留し、平和維持活動にあたっていた。首都ジュバで同月15日、クーデター未遂事件が発生。反乱軍が各地で蜂起し、治安が急速に悪化していた時、事件は起きた。
13年12月22日の深夜、自宅に戻っていた高橋氏に事務局員から連絡が入った。防衛省が「南スーダンPKOに派遣されている現地自衛隊の部隊長が、韓国軍部隊長から要請された話」を伝えてきたという説明だった。韓国側は「銃弾が足りない。何とか助けて欲しい」と訴えているという。
GLOBE+より
そうした事情から、自衛隊による1万発の無償提供に至ったわけだが、幸い致命的状況には陥らずに済んだ。
個人的にはこの部隊の隊長の決断は評価している。隊員の安全や任務遂行のことを考えれば、取りうる最善の一手だったからだ。
しかし、その後の対応は妙だった。
韓国軍は1月10日、自衛隊から無償譲渡を受けた弾薬1万発を、UNMISSに返還した。日本の自衛隊との直接のやりとりではないとも強調した。
GLOBE+より
韓国側はまともな感謝もできず、返還もUNMISS経由という形を取った。
控えめに言っても意味不明である。だが、おそらくは「自衛隊に助けを求めた」という事実自体が、国内向けには都合が悪かったのだろう。
この件で、自衛隊側には「ACSAがあればもっと円滑に対応できた」という反省が生まれた一方、韓国側の本音も垣間見えた。だが、現実はそう単純ではなかった。
「上から」ロジック
そして今回の中央日報記事である。
ACSAとは、平時の訓練や国連平和維持活動(PKO)、災害派遣などの状況において食料・燃料・弾薬などの物資や役務を円滑にやり取りできるようにする協定だ。日本はすでに米国・英国・豪州・フランス・ドイツ・インドなどとACSAを締結している。
日本が韓国とのACSA推進に拍車をかける背景には在韓・在日米軍の運用の変化が絡んでいる。日本政府は韓半島(朝鮮半島)と日本周辺で米軍戦力に構造的な空白が生じることを懸念している。
中央日報「トランプ発の安保空白に~」より
何やらミョーに上から目線の雰囲気を感じる。
日本防衛省の幹部は日本経済新聞に対し「米国の関心を東アジアにつなぎとめるため、このタイミングで(日韓安保政策協議会を)開催できた意義は大きい」と評価した。米国が中東情勢に足止めされている間、韓日が先に安保協力の幅を広げて米国の東アジアへの関与を牽引しようという戦略的布石が入った発言と解釈される。両国は2016年の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)で情報分野の協力の土台を築いたが、相互軍事支援協力は軍事協力レベルを一段階高める意味を持つ。
中央日報「トランプ発の安保空白に~」より
なるほど。どうやら「米軍を東アジアにつなぎ止めているのは韓国だ」とでも言いたいらしい。正直、何を言っているのかよく分からない。
ただ、「どうしてもと言うなら考えてやってもいい」という空気感だけは伝わってくる。
でも検討はしていない
ところが、結局のところ彼らにとって最優先なのはメンツである。
本来、ACSAを締結しておいた方が実務上は便利である。実際、過去に痛い目も見ている。それでも決めきれない。
ただし、協定締結までには少なくない障壁が残っている。国会の批准同意が必要なうえ、有事の際に自衛隊の艦船や輸送機の韓半島展開を可能にする法的根拠になり得るという点で、世論も敏感に反応する可能性がある。
一方、韓国国防部はこの日、「わが政府は日本との相互尊重・信頼に基づき、安定的かつ未来志向的な国防交流協力を実施している」としながらも「韓日ACSAの締結は検討していない」と明らかにした。
中央日報「トランプ発の安保空白に~」より
結局、いつものパターンだ。
韓国政府としては、どうあっても否定しなければならない案件なのだろう。
もし「検討している」だの「締結する」だのと言えば、国内政治上の大騒ぎになりかねない。GSOMIAで散々揉めた前科もある。日本との安全保障協定には、どうしても慎重にならざるを得ないのである。
まとめ
中央日報のタイトルを改めて見て欲しい。「日本が韓国とのACSA締結を望んでいる」という構図で書かれている。要するに、「日本から求められている俺たち」という演出だ。
もうちょっと記事の意図を噛み砕くと、韓国政府は公式には「検討していない」と否定しつつも、メディア記事では戦略的必要性や日本側需要を強調する。この組み合わせを見る限り、正式提案というより、国内世論の反応を見るための観測気球と理解した方が自然だろう。
これで韓国内世論が「やっぱりACSAは必要だ」と盛り上がれば、「そこまで言うなら」と応じる余地を探るつもりなのかもしれない。
だが、おそらくそれは簡単ではない。何故なら、10年以上ずっとこの調子なのだ。そう簡単に変わるとは思えない。



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