レーザー兵器の新たな展開なのか?というニュースを見かけたので、軽く感想などを。
Israel tests Iron Dome with Iron Beam, pairing missiles with laser pulses for air defense
Wednesday, Jul 1, 2026
エルサレム発 ―イスラエル国防省は火曜日、改良型防空システム「アイアンドーム」の試験を成功裏に完了し、レーザーシステム「アイアンビーム」との新たな共同運用能力を実証したと発表した。
Defense News より
コメントを頂いていた、レーザー兵器の代表格、イスラエルのアイアンビームだが、一時的に配備した場所から撤退させる羽目になった。が、別のアプローチで利用することにしたようだ。それが、アイアンドーム+アイアンビームというアプローチだ。
実現直前ではあるが
役立たずの烙印
先ずは前回の記事である。

イスラエル製のレーザー兵器「アインビーム」だが、数秒間、目標へ照射を継続しなければ破壊できないという点が、実戦では意外に大きなネックとなった。
大電力を維持し続けなければならないことと、有効範囲の狭さ、そして天候による影響などを加味すると、やや難のある兵器である。
イスラエル軍のレーザー砲「アイアンビーム」の性能が期待外れ、軍は失望し実戦使用を中止
3/12(木) 23:20
レーザー砲「アイアンビーム」は2025年12月28日にイスラエル軍で実戦配備が開始されました。そして2026年2月28日からイスラエルとアメリカの先制攻撃で始まったイランとの戦争で呼応したレバノンのヒズボラからの攻撃に対処すべく、イスラエル北部に展開していました。
しかし3月以降に交戦機会を得始めたアイアンビーム(ヘブライ語名称オル・エイタン、エイタンの光)は実戦での迎撃成績が芳しくなく、活躍したという誤報動画が流れただけで、期待は尻すぼみとなり失望へと変わってしまっています。
Yahoo!NEWSより
JSF氏が解説していたので、引用している。ドローン迎撃くらいには使えるけど、システムが大袈裟な割には、有効射程も短くて使い勝手が良くなかったようだ。
この「システムが大袈裟」という点なのだが、主に発電を行うためにトレーラー1台分の数十トンもあるシステムを移動させなければならず、拠点構築前に発見されると、単なる的にしかならない。固定砲台にするには射程距離が短いという問題が足を引っ張るんだよ。
新たな可能性の模索
で、今回は、アイアンドーム+アイアンビームの可能性を模索し始めたようだ。
国防省は改修内容に関する技術的な詳細を明らかにすることを拒否した。しかし、今回の改良により、システムの高速かつ大量の射撃への対応能力が向上し、イスラエルの防空システムが大規模で集中的な飽和攻撃をより効果的に管理できるようになると述べた。
最新の一連の試験における重要な要素は、アイアンビームの運用統合であった。政府によると、試験中、共同作戦シナリオはアイアンドームの戦闘管理センターから直接実行・管理され、成功裏に実施された。
Defense News より
結果は良好だったようだが、前回の単体での運用結果も良好だったので、このアイアンドーム単独運用よりは可能性が高いかもしれない。
IDF: Iron Beam laser saw limited use in Iran war due to lack of batteries, 14 needed
MAY 1, 2026 17:00
イスラエル空軍は金曜日、アイアンビーム・レーザー防衛システムが今年イランとの戦争であまり使用されなかったのは、十分な効果を発揮するには14基のバッテリーが必要となるためだと述べた。
これに先立ち、3月12日、イスラエル国防軍は「咆哮する獅子作戦」においてアイアンビーム・レーザーを定期的に使用していなかったことを認めた。この発表は、2024年秋に様々な形態のアイアンビームが使用され、約40機のヒズボラのドローンが撃墜されたという事実にもかかわらず行われた。
The JERUSALEM POSTより
この記事では、14基のバッテリーが必要で、電力不足を示唆している。運用がままならなかった理由が電力不足とはちょっと情けないけれど、それでも前線では切実な理由となり得る。
AIを用いた新たな可能性
そして、そういう意味では固定砲台で、長距離を担当できるアイアンドームと、短距離運用のアイアンビームを合わせて運用するスタイルは悪くないのではないか。
試験の一環として、アイアンドームとアイアンビーム高出力レーザーシステムを統合指揮統制システム内で組み合わせた共同作戦シナリオが実施された。 当局者によると、これらの強化は、イスラエルの多層防空網を強化し、質的な軍事的優位性を維持することを目的としており、同国はますます厳しくなる安全保障環境に備えていると述べている。
JNSより
尤も、今のところは未だ検証段階に過ぎない。
ただし、この組み合わせは対処物をAIで判断してアイアンドームで攻撃するかアイアンビームで攻撃するかを選ぶなど、柔軟な運用ができるのであれば、レーダー部分を共同で利用できるメリットもあるために、形になる可能性はある。
一番の悩みである電力供給も、固定施設であればさほど気になるまい。
アメリカでも配備へ進む
さて、イスラエルのレーザー兵器の話を中心にしたが、同様にレーザー兵器の導入を模索しているアメリカの話にも触れておこう。
米国防総省、ドローン群を撃墜できるレーザー兵器の契約を締結
2026年7月9日
国防総省は木曜日、敵のドローン群や巡航ミサイルを撃退するための新たな手段を軍が模索する中、指向性エネルギー兵器に関してnLIGHT Defense社とLockheed Martin Aculight社に他の取引契約を締結したと発表した。
総額8600万ドル相当のこれらの契約は、国防総省の研究・技術局が主導する統合レーザー兵器システム計画を支援するものとなる。
DEFENSESCOOPより
米軍は2028年までに実戦配備可能なレーザー兵器を披露したいと考えている。
2026年6月3日(水)
米国防総省の科学技術担当トップによると、米軍は今後2年以内に、大規模配備を想定した高エネルギーレーザー兵器の実証を目指している。
5月19日、上院軍事委員会の新興脅威・能力小委員会で証言したエミル・マイケル国防次官(研究開発担当)は、レーザー兵器の科学研究は「ほぼ完了している」と議員らに語った。
Milltary Timesより
ゴールデンドーム計画も含め、、割と潤沢な予算が割り当てられているようなのだが、果たして本当に順調に進むのかは不明だ。
実は予算はついたものの小型レーザー兵器システムCLaWSですら、代替計画はまだ見通せていない。
レーザー兵器の開発は、数十年にわたり、熱狂と失望という、まるで避けられないサイクルによって特徴づけられてきた。
Milltary Timesより
うーん、まあ、どちらかというとロマン兵器だからね。
まとめ
というわけで、レーザー兵器の課題は電源と冷却である。どちらも、容易には解決し難い。
そこで、小型化してドローンなどの低速飛行体を迎撃するタイプを先ず手始めに、というのが現在のトレンドのようだ。
ただ、この他にもレーザー兵器にはメンテナンスが結構大変だというデメリットがある。光学兵器なのでレンズの汚れは御法度だし、メンテナンスにも塵やほこりは御法度。そういう意味で、拠点防衛的な使い方が最初になるのではないだろうか。


コメント
木霊様いつもありがとうございます!
むう。パトリオットとかとAIでレーダー共有して、ドローン落としに。
迎撃ミサイルはお高いから、それが現実的なのでしょうね。私もヘリや戦闘機を撃ち落とすようなのは期待してませんでした。
んで、短距離兵器な事は照射時間の事と思ってたのですが、あ?気がついた。
レーザーって光線砲だから直線なのすね。
大砲やミサイルと違って水平線や地平線の向こうは撃てない!
身長160センチの人の見る地平線は、フラットな平野で1.4kmだったかな。
航空機などに搭載して、高度を稼がない限り遠距離は無理。あ、それで米国の実験ては大型旅客機に載せたりしてるのか?
それにメンテナンスの話も、そうか……って感じでした。宇宙空間の戦闘とかなら話はまた別かも知れませんが。
なんで自衛隊がレールガンを開発し続けてるのか解った気もします。
どうせ大電力や大出力コンデンサーが必要なら、重力で山なりに弾道するであろうレールガンの方が遠くに行きますし。
実体弾なら、照射時間などは必要ないですからねぇ。
いよいよ実用化とワクワクしてましたが、
実体としては補助兵器な扱いと。
まぁニコラ・テスラから1世紀も研究されてきて、実用化てきないのはそれなりに意味あるですね。
ちなみにFBIが回収したという「テスラ・ノート」も疑わしいですね。
常識を超える発明が記されてるなら、アイアンビームは大成功してるし。無線送電がスマホの充電ていどのショボい成果しかないわけがない。
まぁ、でもロマンは捨てないで欲しいものです。それ捨てるとテクノロジーは進歩しなくなるから。
ちなみに「フェァデルフィア実験(ワープ)」も全くのデマだったらしいすね。
まぁ米国は超能力者部隊とかマジで大金を投じて大失敗してますから。
実話映画「レナードの朝」で、精神科医が
10トンのミミズと多額の予算を使って、
「意味がない実験な事が解った」と語るエピソードがあるのですが、
その手の「無用の用」は科学の発展には必要なようですね。我々は成功例や実用化例だけを観てしまうけど、その背後に無数の失敗がある事は考えとかないと。