KOSPIの話題を折角軽くしたのに、本日のネタがこれで、本当に遺憾である。
[社説] 借金は免除し、税金は徴収せよという大統領の二重基準
2026年7月17日 00:22
李在明大統領は、経済省庁の業務報告において、「わが国は債務の免除について、過酷とも言えるほど厳格だ」と述べ、大規模な債務免除対策を指示した。債務を返済できず信用不良者となれば、金融取引はもちろん、就職にも制約を受ける。こうした人々を信用不良者として縛り付けるよりも、再起の機会を与える方が、社会全体にとって利益となる可能性がある。
朝鮮日報より
どうやら、再び徳政令の準備が行われているようだよ。今の韓国経済では、割と良い手段だという判断かもしれないのだけれど、「大規模な債務免除対策」は本当に必要なの?
大規模な債権免除に繋がるのか
バリューアッププログラム
短縮版で軽く触れたのだが、韓国では今年に入ってからのKOSPIの異常な伸びと暴落のセットが社会問題になりつつある。
冒頭に触れた「大規模な債務免除」は、KOSPIの高騰と深い関係がある。

そもそも、前大統領である尹錫悦氏(ユンユン)は、2024年初頭に株価浮揚策を閣議の主要方針として掲げ、金融委員会(FSC)に対して日本の東証改革をモデルにした具体的なガバナンス改革案(バリューアップ計画)を速やかに策定するよう直接指示。
これの成果を見ることなく、ユンユンは政治の舞台から姿を消すことになった。ユンユンが政策通であったとは欠片も思わないが、これに関する狙いが間違っていたとは思っていない。
韓国の株式市場がバリューアッププログラムとグローバルラリーに支えられ、表面的には熱くなっているが、市場の底辺の体質はむしろ過去より脆弱になったという警告が出てきた。
最近ソウル汝矣島の韓国取引所で開催された「2026毎経資本市場大討論会」にパネルとして参加したVIP資産運用のチェ·ジュンチョル代表は「この間、韓国市場のディスカウント解消を誰よりも望んできた人として最近の株式市場活性化は明らかに喜ばしいこと」としながらも「ただその裏面に副作用と後遺症が濃く残っており、単に指数上昇率だけを見て市場の体質が完全に変わったと見るには警戒心がある」と診断した。
毎日経済より
だが、大統領が後退して李在明氏(ミョンミョン)がその指揮を取るようになってから、この政策の悪い面が浮き出してきてしまった。
つまり、株価を上げることが主目的になって、バリューアップブログラムは、その推進力として機能し始めたのだ。
税制優遇
ちょっと脇道に逸れるが、そのバリューアッププログラムの中身も軽く触れておく。
韓国市場の信頼性を根本から損ねているのは、一般株主を軽視した財閥オーナー一族による不透明な支配構造や、親会社と子会社の重複上場といった構造問題である。
ところが、これを解決するのはなかなかに厄介で、厳しい法法的規制や構造改革が必要となる。しかし、政権側が経済界への配慮から抜本的なメスを入れられない。そりゃそうだろう。実質、サムスン電子とSKハイニクスが韓国の株価を支えているのだから、そこを解体するなんて暴挙には及ぶことができない。
結果として「ガバナンス(信頼性)は変えられないので、ひとまず株価を上げるためのインセンティブ(税制優遇など)でお茶を濁す」という逆転の構図が生まれてしまった。
韓国、高配当企業の「企業価値向上計画」開示を義務化 税制優遇の適用条件に
2026-02-24 14:38 (GMT+9)
配当所得に対する分離課税の優遇措置を受けようとする韓国の上場企業は、今後、配当を決定した直後に企業の中長期的な発展計画を市場に公開しなければならない。韓国金融当局が、税制支援と企業の情報公開を連動させる新たな仕組みを稼働させた形だ。
Financeより
韓国では本来、高額な配当を受け取ると総合課税の対象となり、最高で約50%という非常に高い税率が課されていたが、これを緩和した。大幅な一括分離課税が適用される構図としたことで、株式投資しやすくしたのである。
また、直近3年間の平均を上回るペースで株主還元(配当の増額や自社株買い・消却)を行った企業に対して、その増加分の一定割合を法人税から控除(実質的な減税)する仕組みが導入されたり、バリューアップに積極的に取り組む上場企業に対して、株主価値を高めた場合でも相続税評価額の計算で不利にならないよう、「支配株主プレミアム(評価額の一律20%上乗せ)」の適用を除外するなどの緩和策が打ち出されたりした。
株価は上がったが債務は増えた
こうした政策はそれなりに功を奏したのだが、副次的な問題が出てきてしまった。それが、株価が一直線に上がっていくのであれば、借金をしてでも株を買おうという個人投資家が増えたということだ。
そして、高レバレッジの金融商品が氾濫することになる。

こちらの記事は前回もリンクを貼ったのだが、家計債務を膨らませている要因はまさにコレだというのが何とも嘆かわしい。
ところが、KOSPIが暴落する段階を迎えて、この高レバレッジ商品が問題視されることになる。初期段階から懸念はあったのだから早くに対策を打てばよかったのに。
もはやKOSPIに対する甚大な影響が避けられない段階になって、慌てて打ち出した政策が徳政令的な債務免除だというのだから、呆れるしかない。
ところが大統領は、どの制度が不十分かという診断なしに、「返済能力がなければ免除すべきだ」という方向性を提示した。これは制度の改善ではなく、「無条件の免除」宣言のように受け取られる恐れがある。
朝鮮日報「借金は免除し、税金は徴収せよ~」より
何度もこのブログで取り上げているように、韓国では過去幾度も債権の減免制度を適用する大統領がいた。
それは政策的に必要だった時期もあったが、継続的に続けられるべき制度かというとかなり怪しい部分がある。時限的に設けられた制度を継続することで、金融に関するモラルが歪められるという副作用も生んでしまった。
債務免除は避けられない政策だが、少なからぬ副作用を伴う。「借金を返さなくても、いつかは政府が返済してくれるだろう」というモラルハザードが蔓延し、苦しい状況にあっても着実に借金を返済してきた誠実な返済者との公平性の問題も生じる。
朝鮮日報「借金は免除し、税金は徴収せよ~」より
ミョンミョンは、どうやらそれを突破しようと画策しているようだというのが、朝鮮日報の懸念である。韓国経済をウオッチしていた身としては、「大正解」と言わざるを得ない。
まとめ
現状では、ミョンミョンが具体的な債権免除政策を打ち出した段階にはない。だが、歴代政権を見れば、それは時間の問題だと思う。
特に現状の経済に不安があって、KOSPIが最後の希望の光のようになっている状況で、大暴落を何とか食い止めたいという、強い意思がある以上は、何らかの政策が講じられるのは時間の問題だとは思う。
そうならないことを願ってやまないが。


コメント
税収・外貨不足の韓国政府が本当に在日徴税せざるを得ない
今の韓国政府ならやりかねないと思わせるところが、なかなかのものです。
株投資への一括分離課税は評価できますけど、企業の配当増額や自社株償却に法人減税を充てるのは、政府による株価操作とも解釈できる相当にグレーな政策です。
ところが、それが霞んで見えるくらいのグレーな政策が「サムスン・SKハイニックス特化型2XレバレッジETF」です。これはミョン²政権がつくった「合法的ギャンブル金融商品」で、自動的に「上がると2X、下がると2X」を規約設定されています。
コレが証券会社を通じて大々的に売りに出され、狂乱の購買額になったわけですが、7月13日のKOSPIクラッシュで、「灰になった人たち」が続出しました。
グレーな政策ですよね。
一時的なドーピング効果はあったと思いますが……。
レバレッジは本当にキツそうで、どうなることやら。
こんにちは。
楽韓さんの記事ですが。
イ・ジェミョン大統領「借金返済能力がなければ破産・免責して再出発させなければ」
https://rakukan.net/article/521153304.html
……いいなぁ……失敗しても責任取らなくて良い世界線……