興味深いというか、やっぱりかというか。皇室典範の改正案が成立したことで、オールドメディア各社が一斉に批判論陣を張っている。
改正皇室典範ついに成立「野党やメディアの疑問」「精緻な制度設計」を徹底解説 八木秀次
2026/7/20 09:00
改正皇室典範は17日の参院本会議で賛成多数により可決、成立した。皇族数を確保し、安定的な皇位継承の基盤をつくるものだ。一部野党やメディアの発信では分からない改正点について、この問題に精通する麗澤大学教授、八木秀次氏が緊急寄稿した。
産経新聞より
産経新聞では、その内容について会員限定の記事で解説しているのだが、勿体ないなぁ。これは全国民が知っておくべきなのだけれど。
というわけで、軽くその辺りに触れていきたい。そうそう、引用した産経新聞の記事は、冒頭のリードだけで内容については触れるつもりはない。読めないしね。
偏向各社
各社横並び
というわけで各紙の対応を列挙していく。
- 朝日新聞:(社説)皇室典範の見直し 時代錯誤の「物語」 賛同できぬ
- 毎日新聞:社説:改正皇室典範が成立 象徴天皇の土台揺るがす
- 読売新聞:社説:皇室典範改正 象徴天皇制の根幹を傷つけた
- 日本経済新聞:[社説]皇室の未来へ総意探る議論を続けよ
- 東京新聞:〈社説〉改正皇室典範が成立 象徴天皇制揺るがす暴挙
- 西日本新聞:【社説】皇室典範改正 国民の総意とは言えない
- 神戸新聞:<社説>皇室典範改正/「国民の総意」とは程遠い
- 琉球新報:<社説>改正皇室典範成立 憲法の破壊止める議論を
ほわぁぁぁ。
何だこりゃ。
一見、新聞を読んでいたら、各社が一斉に攻撃しているこの改正案は、とんでもない内容のように見える。
なお、このブログではこのようにまとめている。

一体、何が起こってこんなことになったのか。僕自身の理解が間違えていたのか?どんな論調なのだろうか?この辺りが気になったので、軽く検証していきたい。立場が相容れないからと言って、完全否定はしたくないところ。できるだけ丁寧を心がけたいけど、タイトルからして期待薄である。
朝日新聞の社説
先ずは朝日か。
衆参正副議長による「立法府の総意」のとりまとめでは正面から議題になっていなかったことが、法案化の段階で明示されたため、野党側には「だまし討ち」との不信感が強く残り、参院で野党第1党が反対するなど国会の総意は崩れた。国民の総意に基づくはずの重要法案が強引な手法で通ったのは極めて遺憾だ。
朝日新聞より
……書き始めがこれだと、ため息しか出ないな。
今回の皇室典範の改正議論が始まったのは、小泉政権の時代である。このときから様々な議論が行われ、悠仁殿下誕生によって一時的に中断したものの、2024年頃から再び本格的な与野党協議が行われてきた事実がある。
つまり、昨日今日の議論で今回の法案が出来上がったわけではないのだ。にもかかわらず「だまし討ち」というのは意味のわからない議論である。
また、「国会の総意」が何に必要なのかもよく分からない。おそらくこれ、憲法1条に記載の「国民の総意」から来ているものだと思うのだけれど、この「国民の総意」という文言は他の条文には見ない程の極めて重い言葉である。国会で全会一致で可決という風に翻訳されているが、その実態は違うのだ。
国民の大多数が天皇の存在を認めているという事実がある以上、国民の総意とは天皇制の存続にある。そして、そのためには皇位の安定継承が不可欠であり、今回の皇室典範改正の議論もそこを出発点としている。
その辺りを完全に無視した社説になっているのだ。
この二つの物語に固執するあまりに無理を重ねてできたのが改正典範だ。養子の対象となる旧11宮家について、天皇陛下とは「36~38親等の隔たりがある」という答弁に驚いた人も多いだろう。養子の子が男子なら皇位継承資格を持つと改正典範に明示されたのだからなおさらだ。
朝日新聞より
更に、こんなおかしな議論をしているのだが、これは大きな間違いを含んでいる。
日本維新の会が公開している旧宮家系図を見ると、「36~38親等」という数字は、今上天皇から父系のみを遡って算出したものである。男系血統を問題にするのであればその数え方自体は理解できるが、朝日新聞は男系継承そのものを否定する立場である。その一方で、この数字を根拠に「遠すぎる」と批判するのは、評価基準が一貫していない。
血縁の近さという意味では明治天皇の娘達が各宮家に嫁いでいる関係から、遠い親戚程度の血縁関係にある。例えば、今回の11宮家の対象となっている東久邇宮だが、上皇陛下の兄弟である照宮成子内親王(上皇陛下の姉)が東久邇盛厚(明治天皇の外孫)と成婚している。男系継承の子同士の結婚ということなので、当然、血縁としても近いと言える。その子が今回の対象となるので、一般的な親等の考え方でカウントすると6~7親等離れた親戚だということになる。
「開かれた議論をしよう」と、言いながら情報を捻じ曲げる在り方はいただけない。
毎日新聞など
いきなり長くなってしまったので、以降は短く話を区切っていく。
特に問題なのは、約80年前に皇室を離れた旧宮家出身の男系男子を皇族の養子に迎える規定だ。旧宮家の男子だけが皇族になれる特別な身分となり、憲法14条が禁じる「門地による差別」にあたるとの疑念が消えない。
毎日新聞より
……この理論にも目を疑った。
そんな事を言いだしたら、憲法1条と憲法14条が矛盾してしまうじゃないか。法律はその法律内で矛盾しないように読むのが原則なのだから、これは完全に間違っている。
その他、「総意を崩した」とか、「女性・女系議論」とか、およそ意味のわからない言葉を書き連ねているが、そもそも皇位継承は、歴代の先例を踏まえて考えるべきものである。その先例をたどれば男系継承が維持されてきたことが分かり、その枠組みの中で直系が優先されてきた。したがって、皇位継承は「先例・男系・直系」の順に考えるのが基本となる。
ここから外れている議論は、基本的に考慮に値しない。
同じ構成を採っているのが東京新聞で、社説と言いながら構成がまるパクリ細部までよく似ているのは如何なものか。これは47NEWSの影響が強いようだ。
日本経済新聞も、ほぼ同じ内容である。
読売新聞は
そして、読売新聞だが。比較的保守的だと言われている読売新聞ですら、この問題に関してはかなり酷い。
戦後80年にわたって育まれてきた国民と象徴天皇の絆を無にするかのような、あまりに多くの欠陥を抱えた乱暴な制度変更である。
国会と政府は直ちに、現在の皇室をいかに継承していくかを正面から検討し、皇室典範再改正を急がねばならない。
読売新聞より
冒頭のこの2節が矛盾していることに気が付けないようでは、話にならない。戦後80年を持ち出すなら、日本国憲法成立の後に11宮家が離脱したという事実から目を背けてはならないのだ。
そして、その皇籍離脱には正当な国民的議論があったわけではない。
- 1945年8月:終戦とGHQによる占領の開始
- 1945年11月:皇室財産の凍結(GHQ指令)
- 1946年1月:GHQ高官による「直宮のみ容認」の示唆
- 1946年5月:皇族費の大幅削減と財産税の導入方針
- 1946年10月:11宮家当主による「皇籍離脱」の情願(意思表示)
- 1946年11月3日:日本国憲法の公布
- 1947年5月:日本国憲法および現行「皇室典範」の施行
- 1947年10月13日:第1回「皇室会議」にて正式決定
- 1947年10月14日:11宮家51名が正式に皇籍を離脱
手続き的には国会の決定によって皇籍離脱の判断がなされたものの、その方針はGHQの意向に従ったものであった。
読売新聞は今回の改正について「国民の総意」を重視する。しかし、11宮家の皇籍離脱が決定された1947年当時、その過程で現在のような国民的議論が尽くされたとは到底言えない。今回だけ「国民の総意」を持ち出すのであれば、1947年の制度変更についても同じ基準で評価すべきではないだろうか。
つまり、今なお11宮家には正当な皇族に戻る資格はあり、皇籍に復帰したところで当人たちには天皇になれる資格はなく、その宮家に男児が生まれた場合に皇位継承権が得られる規定になっているのだから、理論的といえよう。
読売新聞はやたらと「戦後」を強調しているが、天皇は2,600年の歴史の重み(実質は2,000年程度だと言われているが)の上に成り立っていることを忘れているのではないだろうか?
琉球新報はお笑い路線か
一番面白かったのが、琉球新報である。
<社説>改正皇室典範成立 憲法の破壊止める議論を
2026年07月18日 04:00
戦後日本の国家像を形作ってきた憲法を壊す暴挙と言わざるを得ない。このままでよいのか。憲法破壊と戦前回帰を止めるため、国民的議論を高める必要がある。
琉球新報より
意外なことに、論旨としては読売新聞に近い。ただし、「国民世論とかけ離れ」「象徴天皇制に反する」と断じてしまっている。
もう、憲法の規定を理解していないとしか思えない。
現憲法が規定する人権、平等、民主の基本理念にもそぐわない。
琉球新報「改正皇室典範成立~」より
これを言い出したら、憲法1条、2条は人権的に問題があるという話になってしまう。
自分で自分の首を絞めるとはこのことである。結局、琉球新報も憲法の条文のつまみ食いをした結果、正確な理解に及んでいないのである。
野党が会議で提案すらしていない案を指摘しても仕方がない
そもそもである。今回の皇室典範改正の話は、1条や2条の改正を検討したこともない。

野田氏はこんなコメントを出しているが、実際に皇室典範改正の議論で野田氏が皇室典範1条を変えようと提案はしていない。
野田氏が女性天皇容認を鮮明にしたきっかけは、民主党政権で首相在任中のことだ。当時の政権幹部によると、2011年、野田氏は宮内庁の羽毛田信吾長官から皇族数減少への危機感を伝えられ、小泉政権の元幹部からは「女性宮家」の検討を促されたという。皇族数確保のための女性宮家の創設であっても、将来の女性・女系天皇につながる可能性を強く意識するようになった。
朝日新聞より
女性宮家を設置して、そこからその嫡子についての扱いを議論して行こうという、割と長期的な話はしているけれど、皇室典範1条の改正をし、すなわち憲法1条と2条の改正をするという話をしていない。
憲法1条は「天皇とは一体何か」を規定しないまま「象徴である」としているのだが、制定当初の立法趣旨は、天皇という存在を維持していくのが国民の総意であるという文脈であった。
それはすなわち日本の歴史をそのまま背負うという意味になるのである。女性天皇を立てるのであれば、そこを正面突破してこそでないと、「国民の総意」とは言えないのだ。
まとめ
前回、かなり丁寧に皇室典範改正と憲法との対比について説明した。その僕の理解からすると、多くのメディアが憲法違反だと騒ぎ出したのには、驚くより他なかったのだが、各社の論説を読んでため息しか出ない。
ちゃんと条文を読んだのだろうか??
皇室制度を巡る議論では立場の違いがあって当然である。しかし、その前提となる憲法や歴史的経緯まで軽視した議論では建設的な議論にならない。
社説は新聞社の見解を示す重要な記事だからこそ、もう少し丁寧な論証を期待したい。こんなのだから、「オールドメディア」と呼ばれるのである。



コメント
白色テロが消失したのがいけない。
昭和てのは、テロはアカの専売特許でなく、国体や皇室に不遜な口をきくブンヤ風情は、民族主義者による襲撃を 受けました。
実はオールドメディアの連中ほど、
暴力に弱い奴らはいない!
その辺、実は宗教とか思想で固まる連中は強い!
いちばん脅しに弱いのは実はオールドメディアで、だから奴らは何かと言うと「暴力は許さない」「テロは許さない」とわめく!
赤報隊みたいのを極端に怖れるから、
奴らは暴力=悪みたく言うわけ!
人類史の99.9%は紛争を暴力で決着してきており、これに勝る解決手段はない! 自衛隊と警察の存在がそれを証明している!
んで、話を戻すと、
愛国無罪というか、皇室への口出しに対するテロを認めたらとうだろう?
タイあたりで前国王の悪口いうと、ガチで殺されますよ!
誰も事件の証人にならないし。
オールドメディアの連中は、口先だけなら何でも許されると思っており、
こういう奴は記者を何人か血祭りにあげてやるに限る。
記者とTVの司会の数人、そいつと家族の首を5.6個並べれば、
やつらは沈黙しますよ。
絶対に暴力は許さないキャンペーンを大々的に打つ事はない。
赤報隊事件の直後、口を閉ざしてたじゃないすか。アサヒ以外は🤣
新聞社のオーナーとデスクを殺れば、
口出ししなくなりますよ。
それが一番にコスパが良い!
豆知識)
「人間の理性が人の為に成した事は、人間をより獣らしくしたに過ぎない」
これクグると、主点はAIまで
劇画「寄生獣」のミギーの言葉と出てくる。
実際はバーナード・ショーの言葉なんすけどね。
でも彼を研究する文学者はこの言葉を「無かった事」にしたいので、論文に扱わない。
横合いから失礼。
七面鳥は、原則、理由の如何に関わらずテロは(殺人も)否定します。
その上で、情状は酌量しますが、酌量しても罪は罪、です。
※矛盾しますが『自殺する覚悟あるなら一矢報いてから死ね』も信条。匙加減は自分の中。
で、赤報事件ですが、ガキの頃なんでよく覚えてませんでしたが、関連事件含め「未解決・時効」だらけなんですね。不思議不思議。
右翼の街宣カーに金出してるのは左翼、なんてのも聞きましたし、この世は不思議だらけですよね。
報道は、黒を白に塗り替える力がありますよね。
それを、昭和の時代は連中は謳歌していた。
今は、そうは行かない。
だから、思想的に片寄った者はより先鋭化し、自滅する。
ただ、「訓練された」思想的に片寄った者は、自身は潜伏し、末端(≒インフルエンサー)を動かす。
混沌の時代、情報を出す側だけでなく、受ける側を躾けることも含めて、凄い時代になってきたのだと思います。
※自分は踊らされない、されたくない、と思いつつ、日々警戒し、他者(家族など)との意見の摺り合わせは欠かせません……