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韓国は陸海空士官学校を統合へ 背景にある人材不足と予算難

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韓国防衛産業
この記事は約7分で読めます。

韓国軍のネタは積極的に取り上げるようにしているので、これも触れておくつもりなんだが、これがまた最初読んだ時には意味が分からなかった。

韓国軍、陸海空士官学校を4年制で完全統合へ…大田に新設

2026年7月19日 7:20

韓国の陸軍、海軍、空軍の各士官学校を統合する国軍士官学校について、韓国国防省は4年制の完全統合方式を採用し、大田に新設する方針を決めた。

AFPより

韓国軍の士官学校ってどうなっているのか知らないけど、統合?合理化?ちょっと良く分からないね。

完全統合は合理化に繋がるか

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少子化と不人気

韓国軍が直面している課題といえば、韓国の少子化である。徴兵制度を維持してはいるが、それでもその軍を支える人間が少なくなっていくことは避けられない。

どうやら、今回の士官学校の統合もそういう文脈で決まったらしい。

韓国 陸海空統合の「国軍士官学校」創設へ 2028年度の発足目指す

2026-07-16 11:20:02

韓国政府と与党「共に民主党」は、陸軍と海軍、空軍の士官学校を一つに統合した4年制の「国軍士官学校」の創設を推進することを決めました。

政府は、ドローンやAI、宇宙、サイバー戦など複数の領域にまたがる現代戦に対応するため、軍ごとの垣根を越え、陸・海・空軍を総合的に理解し、統合作戦を担う指揮官を養成する必要があると説明しました。

KBS WORLDより

ドローンやAI、宇宙、サイバーとか、色々な領域にまたがる学習をさせるためには、統合して勉強した方が効率が良いのだろう。

近代化を急ぐという意味では、比較的合理的な判断のようには思える。ただ、調べてみるともっと深刻な理由があるようだ。

士官学校の統合は、本当に「軍事競争力の低下」につながるのか…批判のポイントを検証する

2026.07.05 18:30

国防部が士官学校の統合と韓国陸軍士官学校の地方移転を推進しているとの報道を受け、士官学校の卒業生らは軍事競争力の低下を懸念し反発を強めている。軍内部には、戦場の変化に伴う統合教育の必要性、人員不足、入学試験の成績低下といった危機的状況下では、士官学校の再編はもはや先延ばしにできない喫緊の課題だと主張する者もいる。また、国防部は軍内外の懸念を払拭し、透明性のある国民協議を通じて反対派を説得すべきだという意見もある。

Khanより

この記事でも指摘されているが、士官学校を退学する人も少なくないらしく、質も劣化しているらしい。

軍の内外を問わず、人口減少と入学点の低下を考えると、士官学校の統合は避けられないと言う人もいる。300点満点(韓国語、英語、数学各100点)で採点される最初の筆記試験では、2018年までは230~240点だった合格ラインが、2026年度の入学では、韓国陸軍士官学校で212点、空軍士官学校で196点、海軍士官学校で161点に低下し、ほとんどの士官学校で下降傾向が続いている。さらに、昨年韓国陸軍士官学校で任官した81名のクラスでは、330名の入学者のうち77名(23.3%)が辞退し、前年度の2倍以上となった。

Khan「士官学校の統合は、本当に~」より

うーん、深刻。

待遇が悪い

韓国に士官学校の学生が中途退任あるいは辞退したくなる理由は単純で、卒業後の待遇に期待ができないと思われているからだ。

来年兵長、月205万ウォンを受け取る 韓国軍、初級幹部の公平性に合わせる 超過勤務手当の限度も撤廃

2024-11-18 23:52:08

国防部が18日、初級幹部の初任給を200万ウォン以上に引き上げると発表し、急激に上がった兵士の給料と「身長合わせ」に乗り出した。

尹錫悦 政府の兵士給与引き上げ計画が終わる来年度の月給(兵長基準)は205万ウォンまで上がる。 これに伴い、兵士と下士·少尉の間の基本給逆転現象が避けられなくなるやあたふたと前の席を「2」に合わせたわけだ。 もちろん下士·小委の場合には基本給以外に当直勤務費と時間外勤務手当てなど各種手当てが付き月給総額は兵士より多い。

毎日経済より

日本の自衛隊でも問題にはなっているので、何処の軍隊でもそれなりに給与問題は解決が難しいのだろう。

だが、韓国はひと味違う。

文在寅元大統領は2017年の大統領選挙当時「兵士の給料を2020年までに最低賃金の50%である70万ウォン水準になるよう年次的に引き上げる」と公約した。

毎日経済「来年兵長、月205万ウォンを受け取る~」より

最低賃金の半分……だと?

最初は意味が分からなかったのだが、よく考えたら韓国における兵士の給料は労働の対価ではないので、最低賃金の適用がない。

だから、この記事、2017年時点で兵士の給与は実は月額21万ウォン水準(最低賃金の15%)だった。で、流石にそれは酷いから、50%にまで引き上げたら、今度は士官の給与を追い抜いてしまう自体になったというのが、韓国軍の実情なのである。

待遇改善が急務

流石に、近年これの改革に乗り出してはいるようだ。

韓国軍、最前線の将校と下士官の給与を引き上げへ

2023年12月11日午後5時36分

韓国は、労働条件を改善し、将校の定着を促すため、最前線部隊に所属する新任将校および下士官の年俸を、今年比で2027年までに最大30%引き上げる計画だ。

国防省は日曜日、軍人向けの5カ年福祉計画を発表した。この計画には、前線部隊の少尉の給与を2027年までに30%引き上げ、3856万ウォン(約2万9000ドル)から4990万ウォンに引き上げることが含まれている。

Korea JoongAng Dailyより

だけど、この改革を実現するにはそれなりの予算が必要で、実は全く予算が足りていない。

韓国「兵士の月給200万ウォン」確定…引き継ぎ委、「月給vs除隊時支給」天秤に

2022-04-26 03:41

政権引き継ぎ委員会(引き継ぎ委)が、尹錫悦次期大統領の大統領選公約だった「兵士の月給200万ウォン(約20万5000円)」を主要国政課題として確定し、具体的な支給方式を論議中であることが確認された。

ハンギョレより

韓国軍兵士の待遇改善に取り組んだ前韓国大統領の尹錫悦氏(ユンユン)だったが、左派系のハンギョレはこれに対して「今年の国防予算(51兆6112億ウォン、約5兆2800億円)の9.3%に達する」「実現不能だ」と大騒ぎした。

で、実際足りなかったからどうしたかというと、給与を上げるのではなく、手当を上げたようだ。その結果、兵士の財布が潤ったとは言い難い。恩恵を受けたところもあったようだけれど。

人件費削減案

とまあ、ここまで説明しておいて、ようやく話が冒頭のニュースに戻るのだが。

新設校では、本部と陸軍、海軍、空軍の各学部を同じ敷地に置く。国防省は、4年間の共同生活や自治活動を通じて初級将校としての資質と国軍としての共通意識を育て、各軍の専門性や統合作戦能力を高める狙いだと説明した。

AFP「韓国軍、陸海空士官学校を4年制で~」より

これは、一見合理的に見える。

近年はAIやドローンの発展で、一気に戦略の変化が見られる。だが、陸海空が別々に維持していた士官学校の近代化をして対応するというのには予算がかかりすぎる。

そこで士官学校を1か所に統合することで、コストカットしようという話になるのだ。例えば4年生の学校の前半2年は合同で、後半2年は専門分野をという設計にすれば、合同で教育をする部分は、合理化を図ることが可能だと思う。

士官学校の合併にはより幅広い合意が必要だ

2026年7月7日 08:22

国防部は月曜日、陸軍、海軍、空軍の士官学校を統合して韓国軍士官学校を設立する計画の概要を発表する予定だった。

~~略~~

国防部は、陸軍、海軍、空軍の士官候補生が最初の2年間で共通のカリキュラムを修了し、最後の2年間で各軍種固有の訓練を受けるシステムを構想している。同部の主張は、現代の戦争が人工知能、サイバー能力、宇宙作戦をますます統合するにつれて、3軍が独立して活動する余裕はもはやないというものだ。韓国の人口減少に対応して軍が職業軍人の割合を高めるために組織再編を進めている中で、将来の将校の育成方法を刷新することは妥当な目標である。

東亜日報より

規模の経済とか色々小難しいことを並べているが、結局のところ集約して投資をすることで予算を捻出したいということになる。

実際には、ソウルなどにある陸軍士官学校の用地などを売り払うところまで計算して、なんとか予算回収できるのではないか?という皮算用はしているようだが、初期投資が不足しているのにこのような提案は本末転倒だろう。

まとめ

新しい国軍士官学校を作る!と、今の韓国政府はぶち上げたが、実際には懐事情を見るに、止むにやまれぬ判断であった可能性はある。近代化のついでに合理化をして少子化にも対応しよう!というのが表向きの話。しかしその実予算の捻出に苦戦しているようだ。

その結果出て来たとおぼしき新しい国軍士官学校計画の話だが、その判断の内情をみると、「甘いんじゃないかな」と言わざるを得ない。陸海空合同の国軍士官学校は、先ずはハコモノを作るところからスタートで、巨額の予算を必要とする。

陸海空それぞれの士官学校を近代化するよりは、結果的にコストが安くなる可能性は否定できない部分はあれど、かなり無理矢理の理屈のような気はしている。

士官の待遇改善と居良く改革で合理化を。上手くいけば一石二鳥だ!と思っている節はあるが、前途多難のようである。

コメント

  1. 山童 より:

    日本の防衛大も1年時は陸海空に分かれておらず、2年から専門化すると思いましたが。
    そういうのとは違いそうすね。
    ただ科学の分野で未だに総合科学とか無いのみると、統合を最初から教えるの無理なんでないすか?

    う〜ん。ちとズレるけど。
    総合格闘技あるすよね。
    あれも打撃か組技か、どっちかを専門にして、上手くなってから他を覚える人が多いかと。
    打撃の人でも投げられたり、テイクダウン「されない為」にグラップリングも習うけど、それってムエタイ式の首相撲でまかなえるし。

    私は自衛隊で徒手格闘を習った流れで
    日本拳法やりましたが。
    あれは最初から総合的に組手やるのすけど。それには理由ある!
    軍隊格闘技だから技がシンプル!
    捻らない縦拳で、パンチのほとんどはストレート。蹴りも強弱の違いはあれど直蹴り系。サイドキックがあるくるい。あまり回し蹴り系は使わない。
    おっそろしくシンプルだから、組技も含めた「総合」を最初からやれる。

    それと同じで、一般教養レベル、武道なら受身とストレートパンチくらいまではイケる想うけど。
    基礎練習を終えたら、専門化して確立してからの方が他を学べる想うす。

    補給兵站の確保とか、
    戦時法制と交戦規定や国際法など、
    共通するものはあるすけど。

    米国の海兵隊(陸戦隊)みたいのは、
    ウエストポイントなんかね、それともアナポリスなのだろか?

    う〜ん。
    兵隊だったから、将校のこと解らない。歳のそんな離れてない小隊長
    (3尉どの)でしたが、
    防大卒は、匍匐前進とかの訓練で、
    実弾の下を潜らされる訓練うけているから、皆は尊敬してましたね。
    還暦過ぎたいま考えると、学生に毛の生えたような年齢なのに、小隊長どのは大人でした。
    訓練中の事故で入院してた時に、いろいろと諭されて、それが私が大学に行った理由だし。
    オヤジ(先任陸曹)の職業軍人としての大人ぶりとはまた違うのだよなぁ。

    • 山童 より:

      そうそう陸上の徒手格闘は日本拳法協会系(関東系)なのすが。
      最高師範が自ら言ってました。

      「日本拳法はのう、いわばムササビの五技じゃ。ムササビは走る、登る、飛ぶ、泳ぐ、歩く、みなできよる。
      しかし他の武道ほど技に深みがない。
      だから協会では基本である縦拳直突きを主にしておる」

      軍事そのものが専門職なので、参謀とかなる人いがいは、最初から統合でいくのはどうなのだろう?

      まぁ私は兵卒しか経験してないから、
      将の事は解らないんすけど。

      • 山童 より:

        一定の体系を有効な形にしようとすると、一時的に現実性から乖離せざる得ない事はあるす。

        徒手格の日本拳法(協会系。関西系は連盟)は、
        タイミングより撃力重視で、
        ヒットした時に、面つけた顔が横方向に撃ち抜かれてるか?を問うのですが、
        ところがフックで打ち抜いてもポイントになり難い。
        あくまでストレートの時だけ。
        フック系は効いていても一本になり難い。
        これは蹴り技も同様。
        それは格闘技の実戦性としては疑問あるのですが、あくまでシンプルな技で戦う事を念頭に置いてるので、複雑化させないような判定基準になってる。
        ローキック(下段回し蹴り)も、ハイキックも無い。
        でも、着剣した小銃を持った想定だと、回し蹴りって使い勝手が悪いすよ。
        その不自由さが、競技格闘技としての発展を阻害してるのすが、そもそも兵士の訓練用なので。基本を叩き込むという点では有効だと想う。
        逆にフルコンタクト空手(極真系)は顔面パンチも投げもないけれど、そういう縛りがあった上で訓練するから、四肢をフルに使う技を発展させたわけで。

        統合というのは、何か一つをモノにしてから考えるべきかと。

        ボクシングにはストレート、フック、アッパーしかないけれど、その実戦性には磨きがかかってますよね?
        顔面パンチに頭突き、投げや金的蹴りまである空道(大道塾)は超実戦空手ですが、最初から緑帯くらいまでは組技も顔面もない極真ルールで稽古してたと想うすね。
        よほど才能に優れた人でないと、専門性の前に統合を目的にするのはどうなのかな?

        いまドローンの登場で、体育会系の兵士でなく、文化系的な軍人が育ってる時代です。
        それはあるけれど、それでもサピエンス種が持ってる平均的な学習能力は変わらない。
        専門性の前に統合性というのは、専門職の育成には向かないと想うすが。医療もそうだし。

        最初からコンサル目指してる学生で、よりディープなコンサルティングに携わる人って少ないでせう?
        会計や経理、法務……なにか一つ武器を備えてから、勉強して幅を拡げた人の方が、有能なコンサルティングする人は多いと想うてすが。如何なものか?

    • 木霊 木霊 より:

      記事を読んでもサッパリだったのですが、中を知っている人の話を聞くとやっぱり違いますね。
      色々記事をあたると、韓国国内でも士官学校側やその卒業生からは強烈な反発はあるようです。
      どうなりますことやら。

  2. 砂漠の男 より:

    おそらく世界最速の人口減少国家・韓国は、近い将来自律型ロボットに依存する社会に変貌していくはずです。(間に合えばですが。)
    それが解っているので、ロボティクスへの投資をしているんでしょう。その意味で、現代自動車がボストン・ダイナミクスを100%子会社化したのも合理的な判断だと思います。
    同様に、軍も自律型ロボットの導入、あるいはより自動化・省人化を進めないと、そんなに遠くないうちに、組織がスカスカになってしまうでしょう。(その恐れはすでにあると思う。)

    • 木霊 木霊 より:

      ロボット化は推進しているようですし、そのスピードを速める必要もあると思います。
      それでも結局は人だと思うんですよね、この分野は。
      ウクライナでは随分とロボットがご活躍のようですが。

      省人化できるところと、しちゃいけない分野の区別が、果たして韓国に出来るのかどうか。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    こう言う話は、わーくにだと「天下り用のポスト新設」「新規利権団体創生」としか思えませんが、彼の国ではどうなんでしょうね?
    統合して教育するのは、一定の効果はあると思います。
    「今エアカバーに来たのは俺の同期だ」的な事も有り得るかと。
    ただ、悠長にそんなことしている余裕が、いろんな意味であるのかな、ってのが最初に来ますね。
    根本的な問題にほっかむりして、見た目だけ整えてる感が……
    まあ、あまり人のこと言えないのですが。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      今回のこの話は組織統合という案らしいので、各士官学校からは強い反発を受けているそうで。
      それもまた、利権構造だからということらしいですね。

      まあ、この話は、先ずはその為の建物を建てようぜ!というところが批判されていますから。どうなることやら。