何か、思ったよりも悪そうなんだけど、支那経済はどうなんだろう。
原油高と新興市場減速、中国経済の重しに=ゴールドマン
2026年3月23日午後 8:01 GMT+92026年3月23日更新
米ゴールドマン・サックスのエコノミストは、中国の新興市場の貿易相手国における成長鈍化が今後数四半期にわたり、中国の輸出の重しとなる可能性が高いとの見方を示した。
ロイターより
ゴールドマンが駄目出しか。
逆回転する支那経済
物価に対する悪影響
記事にもあるが、支那は石油の輸入が止まったとしても、直接的なダメージは少ないと言われている。
中国はエネルギー構成の約60%を石炭が占め、石油備蓄も潤沢で、ホルムズ海峡経由の輸入はエネルギー総消費の約5%にとどまるため、原油高を比較的吸収しやすい立場にある。
しかし、ゴールドマンの中国担当チーフエコノミストHui Shan氏は中国経済の短期的なリスクに関するリポートで、石油・ガス価格の上昇が物価を押し上げ、生産者物価の下落を終わらせる可能性があるとの見方を示した。
ロイター「原油高と新興市場減速~」より
1つは、ホルムズ海峡からの輸入量が2割程度で、エネルギー総消費量の5%に留まるために影響は吸収できるということになっている。
が、既に石油・ガス価格の上昇が物価を押し上げる可能性が高いとか。
支那経済はデフレ状態(つまり、持続的に市場価格が下がっていく状況)にあるらしいのだが、ここでエネルギー価格の上昇局面になると、スタグフレーションに突入することになる。経済状況は更に悪化すると見ていいだろう。
中国コスコの貨物船、ホルムズ海峡引き返す 一時「安全回廊」向かう
2026年3月27日 14:00(2026年3月27日 19:05更新)
海運世界大手の中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)の大型コンテナ船が27日、ペルシャ湾から事実上封鎖されているホルムズ海峡近くに向かい、その後引き返したことがわかった。中国の有力メディア「財新」が伝えた。
日本経済新聞より
ホルムズ海峡を支那だけ通過できるというアナウンスされていたけれど、そんなに上手い話はないので、なかなか苦労しているようだ。
格安オイルという生命線
ここのところの支那経済を支えていたのは、実はイランやロシアからの原油であった。
イラン戦争が中国に意味すること
2026年3月17日
米国とイスラエルによるイランへの攻撃によって引き起こされた世界的なエネルギーの流れの混乱は、世界最大の石油輸入国である中国にとって、エネルギー安全保障、輸出の回復力、そして地政学的戦略における深刻な試練となっている。北京の膨大な石油備蓄と多様な調達先は短期的な保護にはなるものの、イランをめぐる紛争が長期化すれば、国内経済への圧力が高まり、中国のグローバルな目標が損なわれる可能性がある。
bruegelより
支那は、イランと長期契約で低価格の原油を購入していた。支那の技術力が高まり、高価格帯の製品が輸出できるようになったのは事実だが、しかし相変わらず低価格商品が支那を下支えしている点も誤魔化しようがない真実である。
その一部を支えていたのが安い原油だったということで、それが止まればどうしたってエネルギー価格は引き上げられる。
先日こんな記事を書いた。
ホルムズ海峡情勢を見て、慌てて石油製品の輸出を止め、国内市場で売り出すガソリンなどの販売を抑制する方向に舵を切った。
市内での価格混乱が生じていたので、慌てて対策を打ったのだろう。
中国、原油価格上昇の影響を緩和するため燃料価格の値上げを制限
2026年3月23日午後5時36分
中国は月曜日、燃料価格の高騰の影響を緩和するための措置を講じ、小売ガソリンとディーゼルの規制上限価格を引き上げたが、その値上げ幅は政府の価格決定メカニズムの下で通常適用される値上げ幅の約半分にとどめた。
~~略~~
RednoteとWeiboへの投稿によると、価格高騰を予想したドライバーたちが、日曜日の夜に全国のガソリンスタンドに列を作った。 「午後10時以降の充電料金は1kWhあたり50セント以下なので、ドライバーは電気自動車に乗り換えるべきだ」と、上海在住のRednoteユーザーが、中国石油のガソリンスタンドにできた長い行列の写真を投稿して述べた。
ロイターより
この結果、EVへの乗り換えムーブメントが広がれば、それはそれで面白いのだが……。
EV販売の苦境
実のところそんなに上手く行かないのが、支那におけるEV市場の苦境なのである。
多くの日本人にとってもそうだが、車もかなり高額な買い物で資産価値として算定されるようなアイテムである。ところが、この資産価値を形成しにくいのがEVなのだ。日本でもEVの中古車価格は下がりやすい傾向にあるが、支那の市場では更にその傾向が強い。
- 激しすぎる「新車の値下げ合戦」
- 最大手BYDをはじめとするメーカー各社が、シェア争いのために新車価格を毎月のように引き下げる
- 「新車が昨日より安く買える」状況では、わざわざリスクのある中古車を買う理由がなくなる
- 技術革新のスピード(スマホ化)
- 消費者はEVを「自動車」ではなく「走るスマホ」として捉えている
- 2〜3年前のモデルは「旧式のスマホ」と同じ扱いで、バッテリー性能や自動運転ソフトの面で時代遅れと見なされ、残価率が極端に低くなる
- 「偽装中古車(在庫処分)」の蔓延
- メーカーが販売ノルマ達成のために、売れ残った新車を自社系列で一度登録し、そのまま「新古車(中古車)」として格安で市場に流す行為が横行
- これにより、純粋な中古車の価格がさらに押し下げられる
日本でも似た傾向はあるが、支那ではバッテリーへの信頼性が極めて低い。日産やホンダ、トヨタなどはバッテリーをしっかりチェクした認定中古車を取り扱うことで、価格の下落を防ぐなどの手段を講じているが、支那では寧ろ逆。
新車販売を補助金で後押しすることで、何とか販売台数を稼ぐような形になっているので、結果的に中古EVの販売価格は下落。だって、下手したら中古車より新車のほうが安いのだから。
つまり、EVは中古車として売るとやたらと安く買い叩かれることになり、結局のところEVの資産価値が毀損されるという悪循環となる。それを輸出することでカバーしていたのだけれど、新古車もそこに流れる結果になって、偽装中古車が反乱したたために、流石に規制された。このあたりは過去に触れているね。
そんなわけで、今は輸出も控えているのだとか。そうすると、中古EVは更に資産価値が減ってしまう。だから結果的に新車EVの売れ行きが悪くなるのだよね。
そう言えば、日本では補助金下げられたと騒いでいたな。
外国の車に補助金をつけて売るのは、違うよね。
ともあれ、支那共産党が力を入れているEV路線は、かなりイマイチな方向に流れつつあると言っていいだろう。
悪いインフレへ
というわけで、大方の見方は支那経済の悪化を予想していて、どうやらその流れになっているというのが本日のお題であった。
イラン紛争は中国のデフレを「悪質なインフレ」へと転じさせる可能性がある
2026年3月20日午後2時05分
中国の長きにわたるデフレとの闘いは、より深刻な事態へと発展する恐れがある。経済学者らは、慢性的な消費低迷と外需の減少により経済に余裕がほとんどない状況下で、イラン戦争が「悪質なインフレ」を引き起こす可能性があると警告している。
北京の豊富な戦略石油備蓄、多様なエネルギー構成、そして厳しく規制されたエネルギー市場は、先進国の中でも特にスタグフレーションのリスクが高まっているヨーロッパ諸国にはない緩衝材となっている。
ロイターより
全人代では成長率を引き下げる決定がなされていたが、その目標も達成できない可能性が高くなってきている。
エネルギーと原材料価格の高騰は、雇用と賃金をさらに圧迫し、消費需要を低迷させる恐れがある。経済学者が原油価格が10%上昇しても消費者物価の上昇幅はわずか0.1~0.2%にとどまると予測しているのは、こうした理由も一因となっている。
「激しい競争と限られた価格決定力の中で、企業は投入コストの上昇分を価格に転嫁するよりも、利益率を通じて吸収する傾向が強い」と、ソシエテ・ジェネラルのチーフ・チャイナ・エコノミスト、ミシェル・ラム氏は述べた。
ロイター「イラン紛争は中国のデフレを~」より
当然、世界経済にも悪影響は出るのだが、それは支那経済と世界のデカップリングがが進む可能性もある。それが良いことなのか悪いことなのかは、正直なんとも言えないところ。
まとめ
支那経済の崩れを指摘したが、今回の話は寧ろ構造的な欠陥が露呈したという話である。
安価なエネルギーに依存したコスト構造、外需に頼った輸出モデル、そして内需と輸出の両輪とされたEV市場。そのいずれもが、今や逆回転を始めている。
特にEV市場に見られる価格崩壊と資産価値の毀損は、単なる一業界の問題ではなく、「安く作って大量に売る」というこれまでの成功モデルが限界に達したことを示している。
それがスタグフレーションへの収束という形で結実しているわけで、「思ったよりも悪い」というのは、そういう意味なのだ。




コメント
エネルギーと関連製品の価格暴騰で「悪いインフレ」が経済を蝕み、デフレ経済圏の支那ではスタグフレーションが起きます。
それもホルムズ海峡次第ですが、昨日イエメン・フーシがイスラエルにミサイルを打ち込み参戦をチラつかせたため、停戦話が宙に浮いてしまいました。落とし処がますます見えなくなった。
いまの支那人民は生活防衛のため「節約志向」で、もうあきらめムードのようです。かつての日本と同じですね。
https://shorturl.at/RARDT