北京で会談というのが、印象的である。
中国、ホルムズ海峡の「早期」再開を求める イランと外相会談
2026年5月7日
中国の王毅外相は6日、イランのアッバス・アラグチ外相と北京で会談し、ホルムズ海峡を「可能な限り早期に」再開するよう求めた。アラグチ外相はこの日、イランと米・イスラエルとの戦争開始以降で初めて、中国を訪問した。
BBCより
イランの外相がわざわざ北京に足を運んだ理由は、支那のメンツ絡みの問題があって、イランが支那を頼ったという構図が大切だったと思われる。
イランとしては何としても支那に原油を買って欲しいし、アメリカとの交渉チャンネルになって欲しいと考えているように感じる。ただ、支那はそれを叶えられるかと言うと、どうなのかな。
形ばかりの外相会談
エネルギー危機に直面
今回の会談で、ナニカが前に進んだ感じはしない。支那側からは、「とにかく早く停戦して」「ホルムズ海峡を開いてくれ」とお願いしている雰囲気を強く感じる。
王外相はまた、恒久的な停戦の実現が「差し迫った最優先課題だ」として、交渉を継続することが重要だと述べた。さらに、中国には緊張緩和に向けた支援を行う用意があると付け加えた。
BBC「中国、ホルムズ海峡の「早期」再開を求める~」より
このブログでは、支那国内の経済状況が宜しくない話はずっと書いているが、しかしマクロ的な視点はともかくとしてミクロ的にはやや回復基調にあるようで。
ただそれも見せかけだけという部分が大きく、実際には原油不足が経済に影響し始めている状況があって、5月からは悪化する可能性が高い。
エネルギー危機、守り固める中国 原油確保、燃料の輸出制限
2026年04月30日07時08分配信
中東情勢の不安定化で世界的にエネルギーの供給不安が高まる中、中国の習近平政権は守りを固めている。原油調達先を多角化しているほか、精製した石油製品の輸出も制限。自国のエネルギー安全保障を最優先に、内向きな姿勢が鮮明だ。
時事通信より
時事通信の記事は、割と大丈夫そうな雰囲気を伝えているが、所々不安な情報が含まれている。
ガソリン価格は上昇
例えばここ。
中国の3月の原油輸入量は、前年同月比2%超減少した。ただ、ロシアからは約14%増加。ブラジルや、イラン産の経由地とされるインドネシアからも急増しており、湾岸諸国からの減少分をほぼ補った形となっている。
時事通信「エネルギー危機、守り固める中国~」より
時事通信がどの様な計算をしたかは知らないが、支那の中東依存度は実は4割強だとも言われている。そして、本当に「量を補えた」かは不明で、補えたとしても代替製品は価格高騰を招く選択となる。
実際に値上げに踏み切っている。
中国、9日から燃料小売価格を上げ
2026年5月8日午後 5:40 GMT+92026年5月8日更新
中国 国家発展改革 委員会は8日、ガソリンと軽油 (ディーゼル 燃料)の価格上限を引き上げると発表した。定期的な見直しの一環として、9日からガソリン1トン当たりの小売価格上限を320元(47.05ドル)、軽油を同様に310元、それぞれ引き上げる。
ロイターより
3月末頃には「販売価格を抑えろ」と通達していたハズだが、今やそれにも限界が来たのだろう。アメリカからの制裁なども効いている可能性は高い。
その辺りはこの辺でも触れている。

原油が輸入できなくなれば何処の国でも困るのだが、支那は製造業に直結する話となるので、かなり困るだろう。特に、安価に製造していた石油製品はもはや輸出するのも困難な情勢で、一時的に輸出禁止にした。だが、これ裏を返せば、製造設備を止めているということになり、再稼働するためには結構なコストがかかる。石油精製の施設は、色々と厄介なのだ。
つまり、「一刻も早く正常化してくれ」というのは、支那の本音というわけだ。
アラグチ氏には止められない
ただし、イラン外務大臣のアラグチ氏がイランの交渉窓口なのか?とういう問題があって、実際にアメリカとの交渉には関わっていない。
イラン外相、アメリカと交渉していないと表明 米政府は協議が「進行中」で「生産的」と
2026年3月26日
イランのアッバス・アラグチ外相は25日、米・イスラエルとの戦争終結に向けてイランはアメリカと交渉していないし、「そのつもりもない」と発言した。この直前には、米ホワイトハウスの報道官が、協議は「進行中」で「生産的」だと述べていた。
BBCより
3月の記事なのだが、この時点で既にアメリカ側からはイランの交渉窓口とは捉えられていなかった。未だにアメリカとの交渉には登場しないのがアラグチ氏である。
その理由は、単純に実行部隊の革命防衛隊に対して、アラグチ氏がなにか要求を通せる立場にないのである。革命防衛隊の指揮権は最高指導者にあるのだけど、当の本人は長く不在である。一節には意思決定できない状態になっているとも言われている。
当然、北京としてもそんなことは分かっているだろうから、アラグチ氏を迎えたことは、外交交渉という意味よりもデモンストレーション的な意味合いのほうが強いのだろう。
北京での外相会談
一方で、イラン外相がわざわざ北京に乗り込んだという点も、なかなか興味深い。
構図としては、「イランが支那を頼った」という形になるのだが、既に触れたように、この会談で具体的に事態が進展するようには見えない。
現在、アメリカとイランとの間では、パキスタンを仲介役として停戦交渉が進められているとされる。ただ、その進展状況はかなり不透明だ。
もっとも重要なのは、アメリカ側が接触している相手である。
報道を見る限り、アメリカはパキスタン経由で、革命防衛隊に直接影響を持つルートとの交渉を進めているとされる。つまり、実際の交渉対象はイラン政府そのものではない。
そして、別の記事でも触れたように、イランは既に「原油を貯めて時間を稼ぐ」という段階を超えつつある。

つまりイラン政府としては、戦争を直接コントロールする能力も、停戦交渉を主導する力も乏しい。そのため、支那を巻き込みながら突破口を探しているというのが実情なのだろう。
ある意味では、今回の北京訪問自体が、イラン国内向けの「外交しているアピール」という側面を持っているのかもしれない。
まとめ
今回のイランと支那の外相会談は、デモンストレーション的な意味合いが強い会談で、直ぐにナニカ状況が変化するような期待はあまりできそうにない。
支那に、イラン戦争の停戦の方向に働きかける外交力を期待することも難しい。
習近平氏も引きこもって、支那から外に出てくる気配がない。特にイラン情勢に首を突っ込む可能性は極めて低いだろう。本音では、この下らない争いを早く止めて欲しいと思っていても、だ。


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