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ケニアの支那製鉄道が築く巨額の債務

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アフリカニュース
この記事は約8分で読めます。

引用するのがニュースではないところが、ちょっと引け目を感じているが、追いかけているニュースの関連ニュースなので、触れておく。

〈習近平の目玉事業が大ヒンシュク〉世界中で迷惑がられる“中国製高速鉄道”の末路…「列車というより火の車」

2026.06.02

習近平国家主席の看板政策「一帯一路」の象徴として世界各地に建設された中国製高速鉄道。しかし、その舞台裏では巨額の借金、膨張する建設費、自然破壊、そして国民への税負担という深刻な問題が噴出している。インドネシアでは「政府保証不要」とされたはずの事業が事実上の国費投入に追い込まれ、ケニアでも莫大な赤字が続く。華々しく走る列車の陰で何が起きているのか。その実態を追った。

集英社オンラインより

我らがインドネシア鉄道のウーシュと似た構図で、ケニアで作られた鉄道に関するニュースだ。

誰も幸せにならない

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支那の出資で作られた鉄道

関連ニュースとして、インドネシアのケースを紹介しておこう。

インドネシアでジャカルタ・バンドン間を高速鉄道「ウーシュ」が正式運行
忌々しい!東南アジア初! ジャカルタ・バンドン高速鉄道が正式運行2023年10月18日 16:46G1137号高速列車が17日午後、インドネシア・ジャカルタのハリム駅を出発しました。これにより、ジャカルタ・バンドン高速鉄道が正式に開通しまし…

ここは敢えて細かく解説しないが、インドネシア高速鉄道の建設を支那にお願いしたら、あまりうまく言っていないという記事である。このブログでは散々ネタにさせてもらった。

こういった一帯一路の流れを汲む鉄道事業は、各地で導入されている。そのうちの1つがケニアのケースだ。

アフリカは一帯一路における最大の投資受入地域であるが、鉄道事業の失敗と国家へのダメージは顕著である。ケニアでは、首都ナイロビと港町モンバサを結ぶ新しい標準軌鉄道がつくられた。

物資を運ぶ大動脈として稼働し、記録的な量の貨物を運んでいる。しかし、ケニアにおいても中国からの借金に対する利払いが重くのしかかり、鉄道会社は天文学的な赤字を垂れ流している。

集英社オンラインより

赤字鉄道の正体や如何に?ということも含めて、少し解説していこう。

ケニア、4か国を結ぶ鉄道建設に着工

2013年11月29日 13:28

ケニアで28日、中国が資金援助した総工費138億ドル(約1兆4100億円)の鉄道の建設が始まった。貿易量の劇的な増加と、地域経済の原動力としてのケニアの地位を上昇させることが期待されている。

AFPより

鉄道の建造が開始されたのが2013年のこと。

完成したのは2017年。建設費用は、38億ドル規模で9割は支那が出資。モンバサとナイロビを結ぶ鉄道として、ケニアの市民の足になった。

借金が厳しい!

ただまあ、「出資」したので、当然ながらケニアに返済の義務があるわけで。

ケニア鉄道、SGR(標準軌鉄道)融資費用で280億ケニアシリングの損失を計上

2026年3月25日

ケニア鉄道公社は、2025年6月30日までの会計年度において、営業損失を65%削減し、5億8150万ケニアシリングにまで縮小した。貨物輸送量が過去最高の816万トンに達し、総収入が18.6%増加して305億2000万ケニアシリングとなったことで、近年で最も好調な業績を達成した。

The Kenyan Walt Streetより

2025年の会計年度で収入が18.6%増加して305億2000万ケニアシリングを達成。近年で最も高調な業績だったのだとか。

営業利益を下回る部分では、貸付金がすべてを食いつぶした。259億7000万ケニアシリングの利息(ケニアシリング高により10%減)が元本に組み込まれ、貸付残高は6720億4000万ケニアシリングに増加した。さらに、延滞金として16億ケニアシリングが加算され、延滞金の累計は69億ケニアシリングとなった。為替差益25億4000万ケニアシリングと繰延税額控除130億5000万ケニアシリングがこれらの費用を部分的に相殺した。累積損失は拡大し、1984億7000万ケニアシリングを記録した。

The Kenyan Walt Street「ケニア鉄道、SGR(標準軌鉄道)融資費用~」より

しかし、累積損失は拡大した要するに、貨物輸送量が増えて営業収入が改善しても、融資コストがその利益を丸ごと食い潰しているのである。

為替差益などで一部相殺されているとはいえ、高額の利払いと延滞金が積み上がる構造になっており、鉄道を走らせれば走らせるほど財務状況が改善する、という話にはなっていない。

鉄道を走らせ続けても、赤字は膨らむ一方である。走らせなくても借金は膨らむので、走らせないという選択肢はないのだけれど。

ドル債務が重いので

なお、ケニアはこうした債務の拡大に苦しみ、債務の転換をしたいと申し入れているようだ。

ケニアがドル債務を人民元建てに転換へ、中国と協議中-財務相

2025年8月21日 at 11:07 JST

ケニアのムバディ財務相は20日、中国との交渉を通じドル建て債務を人民元建てに転換し、返済期間の延長を図っていると明らかにした。

ムバディ氏は首都ナイロビでのインタビューで、年10億ドル(約1470億円)に上る対中債務の返済負担を軽減し、国家予算に余裕を持たせることが協議の目的だと述べた。具体的な時期には言及しなかったものの、交渉はまもなく妥結する見通しだという。

「米ドルから人民元に切り替えると、自動的に金利がほぼ半分に下がる」と同氏は述べた上で、返済期間の調整もケニアにとって有利だと説明。「われわれにとって大きな節約になる」と語った。

Bloombergより

ケニアにとっては苦肉の策だが、莫大な債務を元建てに転換することで、返済負担を軽減することができる。何しろ、人民元の金利は低く設定されていて引き上げられる心配は当面無い。

支那としても痛し痒しの部分はあるのだけれど、焦げ付いて返済不能になるよりはマシという判断なのだろう。

一方で、ケニアにとっては安心な面と困った面がある、支那経済が低迷して債権が積み上がっている状態で、金利を上げられるはずもない。その面では債務が恐ろしい勢いで膨らむということは避けられるという意味で安心なのだ。

ただ一方で、人民元決済になることで国際社会で使い勝手の悪い通貨を手にすることになるので、貿易をやるうえではちょっと困ったことになる。

現実問題として、人民元はドルほど国際的な流動性を持つ通貨ではない。支那との取引には使いやすいが、第三国との貿易決済や外貨準備の運用という意味では、使い勝手は限定される。現実問題として人民元を手に入れても、支那との貿易にしか使えない。

つまり、ケニアは返済負担軽減と引き換えに、通貨運用の自由度を手放す構図でもある。

自然破壊とトラブル

もう1つケニアにとって悩ましいのが、鉄道の建設自体も良いことばかりとは言い難い。

線路は野生動物の楽園である国立公園を真っ二つに分断してしまった。ゾウなどの動物たちが昔から移動に使っていた道が塞がれ、生態系に深刻な影響を与えている。工事に伴う騒音や粉塵、建物のひび割れといった被害が周辺住民を苦しめている。

集英社オンラインより

なんと、国立公園を貫く位置に鉄道を建設してしまったのである。大切な観光資源である国立公園になんてことするんだ、と、外から見ていると感じるのだけれど、ケニア政府にとっては大したことではないのかもしれない。

ケニアの大規模鉄道プロジェクトは、貧困層の現実を無視することで、彼らの生活をさらに苦しくしている。

2022年10月25日午後2時36分

鉄道、橋、高速道路といった大規模インフラプロジェクトに対する人々の反応は、中立的なものであることは稀だ。

~~略~~

トラックが道路を混雑させ、大気汚染や騒音公害を引き起こす一方で、交通量の多い道路は近隣住民にとって経済活動の活発化を意味する。

しかし、この現実をケニア政府は無視した。2018年、政府はモンバサ港に到着するすべてのコンテナ貨物を標準軌鉄道で輸送することを義務付ける政令を可決した。ケニア運送業者協会によると、これにより約1万2000台のコンテナ貨物輸送トラックが廃業に追い込まれた。その結果、同数の運転手とトラックの荷積み作業員が職を失った。

THE CONVERSATIONより

そして、結構なトラブル報告もあるんだけど、ケニア政府としては順調に運行できているというていにしている。

この手のトラブルは、支那企業にとっては当たり前というか、一種の企業文化なので仕方のない面がある。これは、言い過ぎな面もあるが過去の事例を見るとそう判断せざるを得ない。

構図として、支那企業にとっては命令は絶対で、彼らの使命は納期通りに完成させること。一方で、政治的トラブルは政府が全部解決するものとなっている。

日本にとってはちょっと信じられない話かもしれないが、そういうものだから仕方がないのである。だが、ケニアの国民にとって幸せかどうかはまた別なんだよね。

一帯一路の政策はそんなのばっかりだ。だが、それは文化の違いとして諦めるより他なかろう。

ハードカレンシーへの夢

人民元建て債務に切り替えたケニアは、第1期工事と第2期工事の合計額約50億ドルの債務を背負った(上で引用したAFPの記事の総工費138億ドル:約1兆4100億円は、途中で凍結されている)が、鉄道を建設した結果、年間260億ケニアリリングの債務を積み上げ、直近のデータ2026年の報道で、約57億ドルの債務に膨らんでいる。

元本よりも債務が膨らんでしまって、流石に返済不能だろうということで、人民元建てに転換する話を支那も飲んだ。ここまで債務が膨らんだ理由は、高金利での債権であることと、遅延損害金が積み上がったというもの。

流石に返済出来ない状況を、支那も放置できなくなった。

構図的には人民元の経済圏が増えたように見える。それは人民元の影響力を増してハードカレンシー化を目指す上で重要だったことと、アフリカ圏に影響力を増すことで国際会議などにおける支那の発言権を増す効果が得られるメリットがあったからだ。

ただ、一方でメリットばかりでもない。実際、50億ドルを支那の財布から貸した上に、そのドルを人民元建ての債務に転換した結果、ケニアは利子が増えにくくなって返済し易くなったために貸し倒れリスクが減ったものの、50億ドルのドル債権が消滅したことを意味する。

人民元で返されても、その人民元建て債の返済原資はケニアシリングという悲惨さ。支那にとっても、信用が増えたことにならないという意味で痛手ではあったと思う。ハードカレンシーからは遠ざかったと言わざるを得ない。

まとめ

一帯一路の版図は、色々と頓挫気味である。

ケニアの鉄道は有望な輸送インフラ整備計画としてスタートしたが、巨額融資、利払い負担、環境問題、雇用への影響といった副作用が表面化し始めていて、ケニアにとって幸せだったかどうかは悩ましい。

興味深いのは、支那側も完全な勝者ではないことだ。ドル建て融資を人民元建てに組み替えることは、短期的には貸し倒れ回避になる一方で、ハードカレンシーによる債権拡大という当初の野心からは一歩後退したとも言える。人民元経済圏の拡大を狙ったはずの政策が、最終的には「返してもらえるかも分からない不良債権化」しつつある。

ケニアの鉄道問題は、単なる赤字鉄道の話ではない。一帯一路が抱える構造的な矛盾が吹き出した事案と見ることが出来る興味深い事案である。何しろこの債務問題回収できて始めて利益にカウントできるのだが、回収の目処が極めて薄いんだよね。港差し押さえとかのニュースも見かけるけど、あれも整備と開発・運営まで同時にやらなければならない。楽して儲けられるビジネスのではないんだよね。

コメント

  1. 山童 より:

    わぁネシアの高速鉄道とまんま同じ事が起きてる!
    ネシアは「税金を使わない。使わせない」公約で、日本からシナに寝返りましたが、結局、税金投入で穴埋めしていて、その額は膨れる一方。
    ケニアも同じ道を行くのでせう。
    いずれ反中暴動が起きるでせうね。

    • 木霊 木霊 より:

      インドネシアも酷い状況ではありますが、ケニアもなかなか。
      ただ、アフリカは全体的にヤバい状況にあるので。

  2. 匿名 より:

    業績絶好調でも金利で債務が膨らむって、どんだけ悪質な高金利やねん。出資の段階から土地資産乗っ取りが目的だったとしか思えん

  3. 砂漠の男 より:

    巨額債務を抱えたインドネシア政府が、支那と債務再編交渉を”始めた”と発表しましたが、
    当の支那が交渉に応じたかは不明と(ロイター 4/07)

    インドネシア政府は、高速鉄道を建設はしましたが、造ったあとの「高速鉄道の経営」までは
    考えが及ばなかったようです。JRと組んでいれば、やりようはあったのかもしれません。

    さて、ケニアはどうか (そういえば、エチオピアも..)

    • 木霊 木霊 より:

      「そういえばエチオピアも」と言われたので、思わず新しい記事を。

      インドネシアの話は散々触れてきましたから、このシリーズは少し充実させても良いかもしれませんね。
      結構ある……。

  4. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    世界は、というかアフリカは、というか平和主義者は『世の中には、救えないものもあるし、救わない方が結果的に大勢を救う』という事実を知った方がいい。
    もちろん、人道にもとると言われると返す言葉は無い。
    無いけれど、小を救うのに大を殺す事もまた、許されないのではなかろうか。

    まあ、この場合は、小には自助努力は無くて、大じゃなくて中(笑)はそれを食い物にする事しか考えてない(救う気など無い)のだけれど……つぎ込まれるのは、きっと最終的には西側の金なんですよね。

    • 匿名 より:

      まさしく。救えないし、救わん方が結果として良い……には激しく同意!

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      「わしらには救えぬものじゃ」のフレーズが過ってしまいます。
      中東もアフリカも、文化が違うのです。