近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。

【追記】韓国・ソウルで高架道路が崩落――現場の隠蔽が明らかに?

スポンサーリンク
公共事業
この記事は約5分で読めます。

うん、これ、現場に責任を押し付けた感じで、事件終結になるかも。でも、本件で本当に問われるべきなのは、工事計画と管理体制の問題だからね。

「ブツッ」と破断音がしたのに隠蔽か…3人死亡のソウル高架道路撤去事故、報告書から消された危険な兆候

2026 年 6月 2日 (火)

3人が死亡したソウル市西大門区の高架道路撤去工事事故で、事故当日の未明に「ブツッ」と切れるような音が聞こえたとの内容を、警察が把握して捜査している。

KOREA WAVEより

状況を考えたら、プレキャストコンクリートを桁に使っていて29mm撓んだのだから、中の鉄筋が切れて当たり前である。そう思った根拠に関しては後述するが、そうだとするなら現場の隠蔽云々を問題にしても仕方がないと思うんだよね。

状況としては当然の帰結

スポンサーリンク

運行は再開したが

前の記事のリンクを貼っておく。

【追記】韓国・ソウルで高架道路が崩落――12時間通行規制せず
うぉっと、もっと酷いニュースが出て来た。ソウル高架道路崩落、29ミリのたわみ確認後も12時間通行規制せず2026年5月28日 8:10ソウルで26日に発生した西小門高架車道崩落事故は、撤去中だった道路床版のたわみを確認した後、約12時間にわ…

危ない現場だったのに、報告が足りなかったのは問題だよね。

img

この現場、高架の撤去が完了して4日ぶりに列車の運行が再開したようだ。

高架道路崩落事故から四日…列車運行再開 /ソウル

記事入力 : 2026/05/30 10:56

ソウル市西大門区の西小門高架道路崩落事故による影響で、支障を来していた韓国鉄道公社(KORAIL、コレイル)京義線などの列車運行が再開された。写真は30日、崩落した高架道路を撤去した現場を通過する列車。

朝鮮日報より

でもさー、これ、結果論ではあるんだけど、半日くらい運行停止して撤去すればよかったよね。今更言うのは卑怯かもしれないが。

高架道路崩落事故から四日…列車運行再開 /ソウル

4日間のうちにあっさり撤去されて、運行が再開されている様子が伝えられている。敢えて言えば、橋脚も撤去しておけばよかったのに。

何れにせよ、何があったのかということは調査されて然るべきだろうと思う。

問題視された点

さて、問題視された点だが、現場報告書の内容らしい。

当日作成された現場報告書には、たわみ現象が発生したとの記載だけがあったとされる。警察が現在、撤去工事をめぐる意思決定の過程を調べているだけに、施工会社の興和建設やソウル市がこの破断音を把握していながら報告書から漏らしたかどうかも捜査対象になる可能性がある。

KOREA WAVE「「ブツッ」と破断音がしたのに隠蔽か~」より

「たわみ現象が発生した」との記載、ね。

いや29mmの沈降が「たわみ現象」の結果だとすれば、中の鉄筋が破断した可能性を想定すべきシーンんだ。

単純に計算してみよう。

スパン10 mの両端支持梁で中央が29mm撓んだとしよう。そうすると、全体均等に伸びたと仮定すると、0.16mm程度しか伸びない計算になる。

ただ、これがプレキャストコンクリートで中央が中折れして伸びるとすると、1500mmの高さのT桁だとして下端は17.4mm程度伸ばされる計算になる。一般的な鉄筋降伏歪は1950με程度なので、下縁歪に1740με程度かかっていたとすると、かなり無理がかかった状態。

鉄筋はそれでもかろうじて繋がっていた可能性はあるが、コンクリートは引張破壊には弱く、200μεもひずみがかかれば破壊した状態になる。

本件は老朽化したプレキャスト桁だったことまで勘案すれば、「まだ保つ」という判断はむしろ無理筋なのだ。

だからこそ、鉄板で補強(意味は不明だが)したのだろうし、安全点検も行ったわけだ(運行停止しなかったが)。

パク・チョンボ・ソウル警察庁長はこの日午前の定例記者懇談会で「現場検証と家宅捜索で確保した資料を精密に分析しており、施工会社の安全管理者4人を立件した。事故翌日の未明、国立科学捜査研究院、産業安全公団など関係機関と合同で現場検証を実施した」と明らかにした。

パク庁長によると、警察は先月29日、施工会社など7カ所を家宅捜索し、関連資料も確保した。週末にも専従捜査チームの相当数が出勤し、証拠分析を急いだという。

KOREA WAVE「「ブツッ」と破断音がしたのに隠蔽か~」より

で、家宅捜索されて犯人扱いされいると。

警察は業務上過失致死傷容疑を中心に捜査しており、重大災害処罰法や産業安全保健法に違反したかどうかについては、雇用労働省が別途捜査している。

KOREA WAVE「「ブツッ」と破断音がしたのに隠蔽か~」より

捜査の結果、犯人が挙げられる可能性はあるんだけど、この事件はそこが本丸じゃないから。

本丸はどこだ

今回の事件、ソウル市都市基盤施設本部の本部長が指揮する事案であった。

もう一度、現場の写真を確認しながら、「G15番とG14番の桁の中間地点で29ミリのたわみが確認された。」の意味を考えてみよう。

img

G15番とG14番の桁はどちらか、あるいはどちらも落ちた桁のことだろうと思う。

たわみを把握した責任監理者は直ちに工事中止を命じ、追加のたわみを防ぐため、切断された床版同士を鋼板で固定する作業を進めた。

X-TECHより

写真で判断する限り、落ちた桁はほぼ残っているが、鉄板は見当たらない。一体、どんな鉄板で固定したんですかねぇ。

これに対する答えはおそらく2つの可能性だ。1つは即時撤去できる程度の鉄板であった可能性。もう1つは写っていないだけ。ただし、後者であれば上に残った桁に何らかの固定穴が残っているハズなので、やや説得力が薄い。3つ目の可能性、そもそも鉄板で拘束する作業をしたという報告が嘘だった可能性は、考えたくないねぇ。

何れにせよ、トラブルが起きたときの対応で対応しきれなかったから崩落したという結果に繋がった。

そうすると、杜撰な工事計画を立てた責任者は責任を取らされるべきだと思うし、現場監督が鉄板で固定を指示したとのことだが、その対応で適切だったかが疑わしい。

まとめ

今回の事件で問題になったのは、現場の管理義務。市の担当者と現場監督の責任こそ追求されるべき事案である。したがって元請けの企業とソウル市の担当者の判断こそ責められるべき話。

末端だけに責任を取らせて、事件を終わったことにはして欲しくはないな。そんなことをしたら、韓国の安全不感症はいつになっても治癒しないぞ。

コメント

  1. 山童 より:

    うわぁ。橋桁まだ残ってるのに電車走ってるぅ!😦!
    流石に踏切まえは封鎖してるけど。
    でも踏切を封鎖するなら、電車止めない? 人身被害というものに対する感性が我々とは違うようなので、
    話の通じない奴ら…と想う

    • 木霊 木霊 より:

      信じられない光景ですよね。
      せっかく運行停止していたのですから、橋脚の撤去も急いでやればよかったのです。
      何を考えいているのやら。

      ただ、電車の運行数はかなりのものなので、運行停止時間を少しでも短くしたかったのでしょうね。その判断が間違いの可能性は高いと思いますが。