自民党が選挙公約として掲げていた消費税減税だが、どうやらついにやることにしたらしい。
食料品の消費税1%、政府・与党方針固める 30日にも高市首相指示
2026年7月27日 21時05分
食料品の2年限定の消費減税について、政府・与党は来年4月から1%に引き下げる方針を固めた。高市早苗首相(自民党総裁)が30日にも、自民党に法改正に向けた党内手続きを指示する方向で調整している。複数の政権幹部が明らかにした。
朝日新聞より
この件に関しては、意見を一本化できない与党のだらしなさにも憤りは感じている。
だが、選挙公約として掲げていたのは野党もおなじ。明確に消費税減税に反対していたのは、「チームみらい」くらいのものだ。他の野党は、最近は消費税減税に及び腰らしい。なんで?
政策として主張した以上は実施すべき
消費税減税を拒む
前回選挙時の消費税減税の内容について、軽くまとめておこう。
- 自民党:飲食料品を2年間消費税対象としない(税率0%)方向で検討を加速する。
- 日本維新の会:飲食料品の消費税を2年間ゼロにする。
- 中革連:2026年秋から恒久的に食料品の消費税をゼロにする。
- 日本保守:酒類を含む食料品の消費税を恒久的に0%にする。
- 国民民主:賃金上昇が安定して物価上昇を2%上回る(実質賃金が持続的プラスになる)まで、一律5%に引き下げる。
- 日本共産党:ただちに一律5%に減税し、インボイス制度を廃止。将来的には廃止を目指す。
- れいわ:消費税を即時廃止する。
- 参政党:消費税およびインボイス制度の段階的な廃止を目指す。
- チームみらい:社会保障の財源を守るために消費税率は維持し、代わりに社会保険料の引き下げや子育て減税を優先する。
まあ酷い。各党とも減税幅も期間もバラバラで、まさに減税の大安売りであった。
特に腰の据わらないのが、国民民主党である。他党も腰が引けているが、一番分かりやすい例として国民民主党を取り上げていこう。
色々と説明しているが、減税を見送る理由としては、あまり説得力を感じない。
「消費税5%」見直し検討 インフレ懸念、中道も慎重論―国民民主
2026年04月26日19時02分
国民民主党は、選挙公約で掲げてきた「消費税率一律5%」を見直す方向で検討に入る。衆参両院選挙で躍進してきた同党の主要政策だったが、現状で実現すればインフレを助長しかねないと懸念。先の衆院選で伸び悩んだことも背景にある。中道改革連合でも消費税減税への慎重論が出ている。
時事通信より
今年4月にはこんな発言をしていたのだけれど、「インフレ懸念」は少し腑に落ちない。

これが日本のインフレ率の推移なのだが、国民民主党は、2025年6月17日に公表した参院選公約で、「消費税を一律5%へ引き下げる」と明記していた。が、その時点でインフレ率は3.18%あった。
25年度インフレ率2.7%、4年連続2%超 政府抑制策も強まる上昇圧力
2026年4月24日 16:50
2025年度の消費者物価上昇率は生鮮食品を除き前年度比で2.7%だった。コメを中心に伸び、4年連続で日銀目標の2%を超えた。中東混乱に伴う燃油高を政府は補助金で抑え込むものの、関連製品への波及が上昇圧力を強める。
日本経済新聞より
コアCPIの2.7%(2025年4月〜2026年3月)を見ても、物価上昇局面であることは疑いようがない。2025年のコアCPIは3.1%(2025年1月~12月)とは数字がちょっと違うが、これは区切る期間が違うので仕方がない。
なお、2026年のCPIは1.5~2.0%であるとされている。つまり、今年はややインフレ率の鈍化が見込まれるのだ。国民民主党の主張とは噛み合わない。
国民民主党は「消費税減税」をやめたんですか?
では国民民主党は、これについて何と説明しているのだろうか?

グダグダ説明はしているが、要は、名目賃金上昇率などの話をして誤魔化しているのである。消費税減税はやる、やるとはいったが時間までは指定していない、という理屈らしい。
関係者によると、衆院選を前に消費税減税に関する公約の修正を一時検討したという。その衆院選では野党勢力で唯一、減税に反対したチームみらいが躍進。国民民主は1議席増にとどまり、「公約変更のリスクを取れば違う結果があったかもしれない」(中堅)との声が出ていた。
今後の議論は、軽減税率を廃止して一律の税率導入が中心となる見通し。8%のほか10%に引き上げて増税分で社会保険料負担を軽減するべきだとの意見もある。榛葉氏は会見で「一律何%にするのか、さまざまな角度から議論すればいい」と述べた。
時事通信「「消費税5%」見直し検討~」より
なんというか、選挙のことがあったから公約の修正を検討したけど、本音では「軽減税率の廃止」や「一律10%に増税」を検討していた。
……減税どころか増税を検討しているみたいだよ。
で、今になって玉木氏は「給付で行こうぜ!」とか言っている。
確かに、「現役世代の手取りを増やす」という目的だけを見れば、住民税控除など別の減税策を選ぶ余地はあるが。
消費税減税は適切ではないのか
というわけで、国民民主党の説明に説得力を感じないのだが、実のところ言っていることはさほど間違っているわけではない。
経済政策としては、日銀目標の2%を4年連続で達成していることは、間違いがなく、減税はデフレ時に用いられることの多い経済政策であるためにインフレ時に行うのは不適切だという意見があるのは事実だ。
一般的には減税は景気刺激策となるため、インフレ局面で需要を更に押し上げるとインフレが進んでしまう可能性があるのだ。
ただし、既に上で示した通りにややインフレにブレーキがかかる局面であるため、減税政策が不適切だとまでは言えないだろう。
それよりも、選挙の時には最もインフレ率が高い局面であったにもかかわらず、5%減税を主張していたのか?という点と、整合しないことの方が問題である。
また、2年後に再び消費税率を上げると、実質的な増税となるので良くないという主張なのだが……、これも否定しにくい点はあるものの、その時の経済状況によって、税率を本当にそのタイミングで引き上げるかどうかの調整をすれば良いだけなので、説得力は感じない。
それと、賃金上昇に関しては上昇トレンドにいるのかも良く分からない。平均して上昇しているようだが、手取りは増えていない人が殆どだから、当然と言えば当然だろう。
消費税減税しても価格は下がらない
1つ懸念しているのは、消費時減税の効果が本当に食品価格に現れるのか?という点である。
実際、8%から1%に7%の引き下げをやって、じゃあ、商品の価格が下がるのかというとこれは怪しい。
何しろ、食品だけしか消費税減税の引き下げ対象にはならないので、実際に生産者やスーパー、飲食店でそれぞれ混乱を来すことは必至である。
でも、消費税減税の政策を打ち出した段階で、そんな話は分かりきっていたわけで。
高市氏は、税率を下げる意義についてこんな説明をしているが、これはこれでアリだろう。
高市首相、消費税減税にこだわり「税率をぱっと下げる柔軟なシステム構築のチャンス」…野党は見直し求める
2026/07/16 06:40
高市首相は15日の党首討論で、食料品の消費税減税へのこだわりをにじませた。国民民主党の玉木代表ら野党党首からは見直しを求める声が上がったが、首相は8月初めまでに方針を決定する考えを表明し、実現への意欲を示した。
讀賣新聞より
税率の変更によって混乱することは分かっているが、減税は罷り成らぬ!という、減税反対原理主義者を撲滅する必要はあると思っているので、政策として訴えた以上は、消費税減税はやっていただきたい。
まとめ
政策は状況によって見直されることもある。それ自体を否定するつもりはない。だが、国民民主党の「現役世代の手取りを増やす」という理念は、消費税減税という具体策で実現するとし、それに賛同を得られたからこそ得票を得たのではなかったのか。
「同じ効果が得られるから別の政策でも構わない」という話にはならないのだ。政策が変われば、恩恵を受ける人も、制度も、社会への影響も変わる。有権者はそうした違いまで含めて一票を投じている。
だからこそ、選挙で掲げた具体的な政策を変更するのであれば、「目的は同じだから」で済ませるのではなく、その変更自体を説明する責任がある。
まあ、言いたいことは1つ、「出来ないなら言うな。言うたらやれ」だ。



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