原子力潜水艦の取得かぁ。
小泉防衛相、原潜保有「あらゆる選択肢を排除せず検討」 安保3文書改定で議論
2026/9/11 14:50
小泉進次郎防衛相は11日の記者会見で、原子力潜水艦の保有について、安全保障関連3文書の年内改定に向けた議論の中で「あらゆる選択肢を排除せずに検討する」と述べた。
産経新聞より
アリと言えばアリなんだけど、コストがかかるのはなかなか悩ましいところ。
戦略的に必要かどうか
日本は導入を検討すべき
実際、防衛大臣の小泉進次郎氏もその問題点については言及している。
原潜に関し、長時間の潜行が可能で、通常の潜水艦と比べて数倍の速力を持つと指摘し「乗組員の安全をより高いレベルで確保しつつ活動に従事することを可能にする」と説明した。一方、原子力機関が高価で、維持整備や運用に特殊な専門技術が必要になるとも述べた。
産経新聞「小泉防衛相、原潜保有「あらゆる選択肢を排除せず検討」~」より
実際のところ、色々な論点があるので、日本が本当に原子力潜水艦を保有すべきか?という技術面や戦術面での議論をしても面白いとは思うんだけど、そういうのは以前もやっているんだよね。
では、今回はどんな話をするのか?というとこちら。
日本の原子力潜水艦保有、アメリカ海軍当局者が肯定的見解…韓国の導入は「間違っている」
2026/09/10 21:55
米海軍当局者は9日、日本で原子力潜水艦の保有が議論されていることについて、肯定的な見解を示した。日本が導入を検討すべきかを問われ「そう思う」と述べた。ハワイの米海軍施設で、読売新聞などの取材に答えた。
讀賣新聞より
このニュースが関わっているのだということだろう。否定する材料もないので、概ね正しいと思う。

このニュースで対比的に用いられているのは、韓国の話。
地位の象徴として購入するのは間違っている
同じ記事で、アメリカの海軍当局者が「韓国ぅ?ステータスの為に持たないほうが良いんじゃないの」と言ったとか言わなかったとか。
一方、韓国で検討が進む原潜導入については、「地位の象徴として購入するのは間違っている。韓国は妥当な理由を見つけなければならない」と主張した。
讀賣新聞「日本の原子力潜水艦保有~」より
当然、これに韓国も反応している。
米海軍「国格誇示用の原潜は不可」指摘に…韓国政府「韓半島安保のため」
2026.09.11 14:33
米海軍が韓国の原子力潜水艦(原潜)導入をめぐり、単なる「国格の象徴」ではなく明確な運用目的が必要だと指摘したことに対し、韓国政府が「韓半島(朝鮮半島)の安保のため」との立場を明らかにした。
韓国外交部は11日、中央日報の質問に対して「われわれの原潜運用は、急変する韓半島の安全保障環境に能動的に対応し、安保を強固にするために推進するもの」と明らかにした。
中央日報より
韓国政府側は「朝鮮半島の安定のためには、絶対に必要だ」という風に主張したようだが、正直、説得力に欠けるんだよね。
何故なら、韓国近海で原子力潜水艦のようなデカい潜水艦を使うというのは、あまり説得力がないのである。浅い海が広く続き、使える場所が少ない。

見ていただければ分かる通り、韓国近海は浅瀬が多く、とくに黄海側は浅瀬が多い。使えるとすると日本海なんだけれども、日本海側ので対北朝鮮の作戦を展開するのか?という話である。
そうすると、アメリカの言う「ステータスの為に原潜に手を出すな」というのは、それなりの説得力はあると言える。
アメリカは何が欲しいのか
で、こういう発言をしたアメリカ海軍は、何を考えているのか?なのだが、これはちょっと考えれば比較的簡単にわかるのではないか。
米国側が、韓国が導入しようとしている原潜について、単なる対北朝鮮抑止にとどまらず、インド太平洋海域で運用する必要性を繰り返し示唆したものとみられる。これに対し韓国政府は、原潜の運用を「韓半島の安保」に限定し、距離を置く姿勢を見せている。
中央日報「米海軍「国格誇示用の原潜は不可」~」より
韓国が「条件が変われば持って良いんだ」という解釈をしているのだが、これはあくまで日本が、韓国が、原子力潜水艦を保有する前提の話である。
その場合は、どっちの技術が優れているかとか、そういう話をし始めるのだが、今回はそれはあまり関係ないことだと思っている。
実は、アメリカが欲しがっているものという観点からすると、分かりやすいのだ。
海軍当局者は、日本には原子力発電所がすでにあるため、技術的に建造が可能と理由を挙げた。
讀賣新聞「日本の原子力潜水艦保有~」より
「技術的に建造が可能」というところがポイントだと思う。
このことは潜水艦建造技術と、原子炉の建造技術があって、その小型かも実現可能であるという話ではあるのだが、どちらかというと日本が原子力潜水艦を保有した場合に、原子力潜水艦の整備拠点を使わせて欲しいというのが本音だろう。
新型空母や潜水艦「年単位で建造に遅れ」アメリカ軍で深刻な事態が起きる 原因は?
2024.04.0
アメリカ海軍は2024年4月2日、多くの新型艦艇の就役時期が当初の計画から大きくずれ込むことを明らかにしました。
乗り物ニュースより
2年前に報じられた記事でも扱われているが、とにかくアメリカの造船業は壊滅的な状況で、既存の艦船のメンテナンスもままならない状況である。
記事では「武漢ウイルスが悪かった」などと書かれているが、それが主な原因ではない。完全に人手不足なのである。このままではまともなメンテナンスができずに、アメリカ軍が麻痺してしまう。
米戦闘艦、日本の造船所で定期補修 米基地外で初
2023年5月24日
米海軍が日本の民間造船施設で自国戦闘艦を補修する見通しとなった。日本に展開する20隻強が対象で、米側は将来は日米共同による日本での戦闘艦製造も期待する。日本の基地外で戦闘艦を恒常的に補修する枠組みは初めて。日本を含む同盟国の施設を活用し、東アジアで軍備を拡張する中国の動きに機動的に対応する。
日本経済新聞より
実際にとうとうメンテナンスを外注し始めてしまった。

順調に整備実績を伸ばしているようだね。
日本の整備は評判がいい
実際のこの動きは艦船だけでなく、戦闘機などもメンテナンスを請け負っている。
米戦闘機の国内整備、機種拡大 三菱重工・IHIに打診へ
2024年5月14日 18:00
日本政府は日本に駐留する在日米軍の戦闘機に関し、国内で定期的に整備する対象機種を広げる。航空自衛隊機で整備実績がある三菱重工業とIHIに受け入れ拡大を打診する。これまで日本国外で実施していた機体の整備を国内でも可能とし、短期間で補修して東アジアでの中国などの動向に機動的に対応できる体制にする。
現在、在日米軍の戦闘機のうち「F18」や最新鋭戦闘機「F35」は日本で整備や補修をしている。
日本経済新聞より
これがまた評判が良いらしい。何しろ、日本で整備をお願いすると、「完璧に直ってくる」「ピカピカにしてくれる」「納期通りに整備が終わる」と、いった具合になる。
いや、納期通りに仕事を完遂するのは、当たり前だろう?と思う方は甘い。上の記事にもあるように、アメリカ軍の艦船がドッグ入りすると、修理は半年や1年遅れるのは当たり前なのである。
原子力潜水艦の整備も、かなり問題になっているので、「出来るようになって欲しい」というのが本音だろう。
そして、そうであれば日本の安全保障環境の改善という意味でも悪くない話ではある。もともとアメリカ軍の作戦推敲能力の低下というのは、 日本の防衛政策にとっても深刻な問題だと言える。
まとめ
海上自衛隊の原子力潜水艦保有の是非というのは、しっかり検討されるべきだとは思う。特に潜水艦の数を冷やせない以上は速度を高めることで、防衛できる範囲を増やしたいという意図は分かる。
しかし日本の安全保障環境を考えると、アメリカ軍の整備基地になるという発想は、悪くない話になるとは思う。そして、アメリカとしても日本に、西太平洋で原潜まで維持運用できる軍事インフラ国家になってほしいのではないか?という仮説は立てられる。
韓国でも良いんだろうけれど、原子力潜水艦を動かすことを考えると、周辺海域が浅いのはマイナスなんだよね。ドック入りがバレバレになるのも困りものである。
まあ、本日の記事は「そういう見方もできるよ」程度のものだと考えて欲しい。



コメント
どっかの国と違って現実的な路線でいけば原潜運用の習熟目的かつ有事の戦力としてなら1隻ないし2隻なら有りかなと思います。
南西諸島と北方方面に展開する考えはコスト的に反対ですね。2方面展開するとなればローテーション的に6隻プラスアルファでトンデモないコスト掛かりますし‥
まぁパヨク的には運用習熟中にクーデター起こしてハドソン川を航行して欲しそうですけど
1~2隻ならあり。
展開の早さを考えると、欲しいのは事実なんですよね。
欲しいのは欲しいんだけど、コストがなぁ。
2隻以上。そして水中発射型で、かついつでも核を搭載できる。
つか核搭載で運用したい!
VLSさえあれば、取りあえずは。
ただ実際のところVLS搭載艦となると、艦体そのものをデカくせざるを得ないんですよね。
通常動力潜水艦でVLS搭載という、ちょっと意味不明な選択をした国もあるにはあるんですが、あっちはあまり参考にならないと言うか。
高市政権が国内造船業を再建し始めたのは僥倖ですが、国内ドック数は数えるほどで、慢性的に人手不足状態。ほんとうに米軍の面倒までみていく余裕があるのか不明。
米戦争省は日本の造船事情を知っているので、韓国に米国でドックを整備させ、軍艦を建造させようとしているわけですし。その上で日本に修理を頼み込んでくるあたり、もう末期症状か?
戦闘機についても、米軍の整備員が満足に整備できず、三菱重やIHIに整備研修に来ていますし。
確かにそちらの立て直しは急務ですね。
アメリカの造船業が落ちぶれているという話は、もう認知されつつありますが、ご指摘のように日本もヤバイ。
そこを立て直すのは、かなり力を入れて復活をしていく必要があるんでしょうね。収益性が確保できるようになるには、結構長い道のりが必要なんですが。
なお、韓国造船業もかなり酷い状況ですよ。アメリカが韓国頼みになったという話は別の記事でも触れてはいるんですが……、韓国自身も外国人労働力を入れすぎて技術承継から何からかなり問題になっているようですね。
日本に余裕がないことはご指摘通りなんですが、そこから捻り出してでも整備が出来る環境にしていくには、仕事を受けたほうが良いように思っています。