アメリカを訪問中の習近平氏が、第二次世界大戦の時の話を持ち出したとして、ニュースとして取り上げられていた。
米中は大戦で「同盟国」 トランプ大統領 習近平国家主席を前に異例の言及
2026/9/25 06:50
トランプ米大統領は24日、ホワイトハウスで開いた中国の習近平国家主席を歓迎する式典で、中国は第2次大戦で米国の「同盟国」だったと述べた。現在の中華人民共和国は戦後成立し、大戦当時に米国と軍事的な同盟関係にあったのは蔣介石が率いた中華民国だった。米大統領が中国指導者を前に米中を「同盟国」と表現するのは異例だ。
産経新聞より
トランプ氏が習近平氏を歓迎する式典を開いている最中に行われた「同盟国」発言だったとのことで、報道では随分騒がれた印象だ。
そして、今回の訪米において習近平氏は、訪問時に歓迎されたとか、トランプ氏が習近平氏の言葉に相槌をうったとか、そういうニュースは幾つか報じられているけれど、分かり易い果実を得られたようなニュースは見かけてはいない。
そうすると習近平氏は、一体何をしにアメリカに行ったのだろうか?
最低限をこなした首脳会談
微妙なすれ違い
産経新聞は、「大戦当時に米国と軍事的な同盟関係にあったのは蔣介石が率いた中華民国だった」との突っ込みをいれているが、その前に「現在の中華人民共和国は戦後成立」と書かれている通り、大東亜戦争中にアメリカと中華人民共和国が手をとりあっていた事実は存在しない。
習氏、米中は「日本の軍国主義の侵略者に共に抵抗した」 トランプ氏の発言に呼応か
2026/9/25 10:59
中国の習近平国家主席は24日夜のトランプ米大統領との夕食会であいさつし、第二次大戦の歴史に触れ「80年以上前、中米両国の人民は共に戦い、日本軍国主義の侵略者に抵抗した」と述べた。
産経新聞より
つまり、77年前に成立した国家と、アメリカが80年前に手を取っていた事実はないので、「中国は第2次大戦で米国の「同盟国」だった」とトランプ氏が言及はしたが、ここで出てくる「同盟国」というのは中華民国のことである。
そうすると、トランプ氏の発言の真意は気になるところ。
トランプ氏は米中関係の歴史を振り返り「共通利益の追求が両国民を結び付け、第2次大戦で私たちを同盟国にした」と述べた。習氏は「第2次大戦で両国はファシズムの侵略と闘った」と応じた。
産経新聞「米中は大戦で「同盟国」~」より
ここの原文をあたると、「Look at the greatness that we had together fighting in World War II.」と、トランプ氏は応えたようで、我々(we)は共に戦った(together fighting)。そのことが偉大(greatness)と表現した。「Look at the greatness that~」はトランプ氏が好んで使う言い回しのようで、相槌に近い受け答えではある。

そして、同盟国の下りは、「even made us allies in World War II」と発言しており、ここの「allies」が同盟国だと訳されている。ただ、「The Allies」(連合国)の意味合いに近い使われ方で、「オレたちの陣営」くらいの意味合いのほうが近いのではないか。
少なくとも、「Alliances(同盟)」という使われ方とは温度感が違うことは、ご理解頂けるだろう。
そうやって考えていくと、習近平氏の意図した「fought shoulder to shoulder against fascist aggression.」と馴染む気はするが、「Such a friendship, forged in blood and fire, will surely live on through the generations.」とはちょっと遠い気がする。「血と炎の友情」って、距離感ではないよね。
B1爆撃機で歓迎?
そもそも、空港でトランプ氏が習近平氏を迎えたことが、「異例の」と表現はされているのだが、報道されているように「敬意を示した」とは、ちょっと違うように思う。
習主席、頭上をB1爆撃機2機 中国側「敬意」米紙「力の誇示」 トランプ氏は顔しかめる
2026/9/25 10:40
米国を訪問中の中国の習近平国家主席が23日夕方にワシントン近郊の空港に到着した際、米軍のB1戦略爆撃機2機が歓迎行事で頭上を飛行する場面があった。
産経新聞より

和やかな雰囲気の写真は掲載されているが、B1爆撃機2機をこのあと飛ばして、その爆音ぶりにトランプ氏も「本当にうるさかった」と言及したそうな。
幾つかの報道を並べてみたが、いろいろな解釈ができる歓迎式だったようで、単純に敬意を示した感じだけの雰囲気だったとは言い切れないようだ。
スタートからして、アメリカペースで始まった会談、その様に印象づけたというのが一番適切な気がする。
会談の成否
会談の成否については、トランプ氏と習近平氏が「直接会談した」ということが、一番の成果であったと言えよう。同じ画角に収まった写真が全世界に配信され、会談が行われたということが印象付けられた。
「想定の範囲内」米中首脳会談に日本政府冷静 トランプ氏の「同盟国」発言には異論も
2026/9/25 23:30
日本政府は24日(日本時間25日)の米ワシントンのホワイトハウスで行われた米中首脳会談について「想定の範囲内だ」(外務省幹部)と冷静に受け止めている。トランプ米大統領が中国の習近平国家主席を歓迎する式典で、中国は先の大戦で米国の「同盟国」だったと発言し、波紋を呼んだが、会談自体は具体的な成果が乏しく、友好ムードの演出にとどまったとの見方が強まっているからだ。
産経新聞より
だが、産経新聞は、「友好ムードの演出にとどまった」と評価している。今回、アメリカと支那とで共同記者会見を行うことはなかった。発表できる成果がなかったという風の理解が一番近いと思う。
もちろん、色々な水面下の争いがあっただろうし、合意もあったのだと思う。でも、公式の共同記者会見という形で発表できるものはなかったというのが実情ではないか。
今回、習近平氏は終始不機嫌な顔をしていて、余り楽しい訪米ではなかったのだろう。まあ、習近平氏の不機嫌な顔は、割といつものことではあるのだが、その印象は強かった。
もっとも、今回の会談に当たっては、11月が期限となる貿易戦争の「休戦」合意の延長が焦点だったが、2カ月の小幅延長にとどまった。両首脳による会談の詳細は明らかになっていないが、外交筋は「実質的な成果は『ミニマム』ではないか」と推察する。
産経新聞「想定の範囲内」米中首脳会談に日本政府冷静~」より
焦点の1つだった貿易戦争休戦合意の延長は、約2ヶ月。11月にも首脳会談のタイミングはあるので、最低限の猶予と言えば、その通りなのだろうけど、仕切り直しまでの繋ぎという意味合いが強そうだ。
習近平氏としては、10月の第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)に向けた成果を手に入れたかったとは思うが、報道からはそのための成果は得られたようには感じられなかった。
まとめ
日本国内では歓迎ムードを強調する報道も見られたが、実際に報じられた内容を追ってみると、今回の米中首脳会談は関係改善を演出する側面が強く、具体的な成果は限定的だったように見えた。
共同記者会見は行われず、焦点となっていた貿易戦争の休戦措置も短期間の延長にとどまった。両首脳が直接会談したこと自体には一定の意義があったものの、それだけだった。
そうすると、支那側が期待したような大きな外交成果を得られたとは言い難いのではないだろうか。8月の経済指標も支那としてはかなり悪く、貿易の面で期待した部分はあったとは思うのだが、そうした話もなかったしね。「何をしに、アメリカまで来たのか」という思いが習近平氏の中にあったとしても、不思議はないだろう。



コメント
中華人民共和国の建国は1949ですが、上海クーデターなど見るように、
別に建国前から存在してます。
んで、米国との付き合いは蒋介石と嫁の財閥一族(姉妹の片方が孫文に、もう1人が蒋介石に嫁ぐ)との関係的には国民党すね?
でも、戦間期はシンプルな分け方ができないすよ!
探検家のスウェン・ヘディンいますよね。彷徨える湖ロプノールと、王女の木乃伊発見で有名な!
彼はナチスのチベット探検やら、ドイツの味方したと戦後に叩かれるす。
けど、彼の西域探検は、
実はロックフェラーが金を出していて、いわゆる援蒋ルートの開拓の前調査だった。ただパミール高原を超えて中国に入るより、インドから輸送器で運ぶ方が効率となり、外されただけ。
彼のように、民間人でありながら、
国家間に入って動く者は、戦間期は多くて、諜報が本格的に国家のものとなるのは二次大戦からなんです。
なので、蒋介石だけでなく、
日本がアジアの仮想敵国だった時期には、割と米国資本や、米国政府は
中国共産党にも金出してる。
米国が同盟してなかった!
というのは大学受験世界史レバルでの判定で、それ以上の話だとにわかには否定てきません。
あー、何というか、解釈場は共産党軍は中華民国に属する私兵団というか、八路軍の話は「国家に属する軍隊」と整理していいかどうかは悩ましいですね。
結局のところ、トランプ氏も習近平氏も「同盟国」などとは言っていないというのが正確なところなので、間違っているのはむしろ国内の報道機関の扱いなんですよね。
そして、八路軍には西側からの資金も供給されていたとは思いますが、東側とのつながりの強い組織だったと思いますから、「アメリカと手を組んでいた」と言われると、やはり違和感のほうが強いのは事実です。
今回もまたキンペー氏の足元に目がいってしまいました。トランプ氏とほぼ同じ身長でしたっけ?
なんかタラップを降りる足元がふらついていたので健康不安があるのでは、とのネットニュースを見ましたが、それは健康問題ではなくシークレットブーツのせいでは、と思ってしまいます。
慣れないハイヒールって、歩きにくいですからねー。
シークレットブーツ!
そんな噂はありますね。でも、よろけ方を見ると、健康不安説も払拭し難い感じではあります。
何にせよ、動画によってメンツ丸つぶれって感じでしたね。
熾烈な外交戦、というのが砂漠の男の感想です。
ニュースの字面に引っ張られると、アレはいったい何だったの?と煙に巻かれてしまいそうです。砂漠の男はひねくれていますから、物事を斜めから見る悪い癖があります。
たとえば、
・トランプ大統領が紅皇帝をわざわざ空港で出迎えたー会談前に紅皇帝の健康状態を自分の目で確めるためにわざわざ出向いた
・空港とWHでの歓迎式典中に爆撃機を上空飛行させたー頭上に爆撃機を繰り返し飛ばして、トランプ大統領の2024年当時の発言「台湾に行ったら、北京を爆撃」を暗示した
・大統領主催国賓晩餐会を開いたー10日前にあったBRICS会議でのモディ首相主催晩餐会欠席(健康不安説)を暗にアピールした
・国賓待遇の紅皇帝がアーリントン国立墓地を訪問しなかったー支那は友好国ですらないことを米政府が示意
・紅皇帝の発言「米支は日本の軍国主義の侵略者に共に抵抗した」ー”台湾”でも、米国の言質を取れなかったので、いつものプロパガンダを披露して米国の意図に抵抗した
砂漠の男の目には、今回米国は支那に何も譲歩しなかったと映ります。
紅皇帝は米国との友好関係と米支2大国(G2)を世界と党内敵対派閥にアピールしたかったはずですが、それは無理だったようです。
外交的な話に関して、別の記事の方に触れましたが、ご指摘の通り熾烈な外交駆け引きが行われたようではありますね。
BRICS会議での健康不安説は、航空機からタラップを降りるところでやや躓いてしまって、「本当に大丈夫?」という印象を。
10月の大会用の成果は得られませんでしたね。
追記)裏舞台ではこんなハプニングもあったようです。
紅皇帝訪米中のトランプ大統領のTV報道妨害が支那当局者たちを苛立たせた(CNN 9/25)
https://edition.cnn.com/2026/09/25/politics/trump-media-ban-xi-visit
華々しいトランプ−紅皇帝会談が全米生放送されなかった.. と。
米当局による巧妙な罠だったのか、それとも間の悪い偶然だったのか。