最近になって、韓国では再びCPTPPへの加入の話が盛り上がっていたが、先送りを決定したようだ。
李大統領 年内のCPTPP加盟申請見送りを指示=農家などの反発念頭
2026.10.08 17:52
韓国の李在明大統領は8日、政府が推進する包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)加盟に関し、年内の申請を行わないよう関係官庁に指示した。
聯合ニュースより
ある意味、当たり前の判断である。
寧ろ、どうしてCPTPPに加入できると思ったのかが、不思議でならない。
思い出したかのように加入申請
自由で開かれた市場
関連記事は沢山書いているので、どれを紹介するかは迷うレベルであるが、2つほど紹介。


半年の時間の開きはあるが、書いていることは基本的に同じである。
そもそも、CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)とは、日本やオーストラリア、カナダなどの国々が参加する環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の略称で、加盟国間で工業製品や農産品などの関税を約95%〜99%という高い水準で撤廃・削減する一方で、厳格なルールを守る必要がある協定である。
ところが、韓国は加盟を目指すに当たって、国内の利害調整すら十分に進められていないようだ。
海洋水産部、漁業者とCPTPPについて議論
2026-09-28 11:04:10
海洋当局と漁業者が一堂に会し、包括的・漸進的な環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟について意見を共有する。政府は漁業者の懸念を聴取し、対応策を講じる計画である。
海洋水産部は、政府が推進しているCPTPP加盟検討に関する漁業者との懇談会を29日に開催すると28日に発表した。また、CPTPP加盟時の水産分野への影響や漁業現場の懸念事項を聴取し、補完策についても議論する。
~~略~~
この懇談会では、△水産物関税撤廃による市場開放の影響 △漁業用免税油など水産補助金の制限可能性 △日本の福島産水産物の輸入懸念など、これまで漁業者が提起してきた主要な課題や懸念事項について意見を聴取する計画である。
亜州日報より
その理由の1つが、福島からの処理水海洋放出に反対して、未だに輸入規制を解いていないことだ。
他にも、関税を撤廃することで、日本やチリ、ベトナムなど水産強国からの安価な水産物が大量に流入する可能性があるので、それを恐れて漁業者全般で反対していることもある。
何れも科学的データも何もない話。しかし、これを政治的に調整出来ない限りはCPTPPへの加入は不可能である。
当然、漁業者としては反対するだろう。
韓国は、国内の反対勢力を押し切ってまで自由貿易を推進することが、なかなかできない国なのだろう。
農家も反対
なお、漁業関係者だけでなく農家も基本的には反対の姿勢を示している。まあ、そりゃね。
韓国、CPTPP加入論議が本格化 農水産業反対、禁輸解除も課題
2026年08月27日14時33分
韓国政府は27日、日本主導の「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」加入の是非に関し、国内の意見聴取や論議を本格的に始めることを決めた。
~~略~~
しかし、農水産業団体は既に「生産基盤を破壊し、食の安全も損なわれる懸念が大きい」と、反対を表明している。日本側では、CPTPPに加入する場合は水産物禁輸を解除すべきだとの声が強いが、韓国世論は解除に否定的だ。
時事通信より
農業の方はかなり強硬に反対するだろう。特に、いちごやブドウ農家は強硬に反対するだろうね。

種苗法の絡みで韓国側は日本の商品が国内に流通する関係があるので、CPTPP導入する場合には、この分野でも徹底的に追求される可能性がある。
韓国では、日本で開発された農産物の品種を違法に持ち出し、海外に売りさばくということを繰り返している。そして、韓国の一部農家はこれで結構な利益を得ている。
今さら、ロイヤリティーの話など出来ないというのが本音だろう。

反対は覚悟で進めた理由
農家や漁業関係者が反対することなど、最初から分かっていた話である。それでも韓国政府がCPTPP加盟を推進しようとしたのは、加盟による経済活性化への期待を生み出したかったからだろう。
政府の試算では、加盟によってGDPや製造業の生産が増加すると見込まれている。韓国経済の屋台骨である輸出産業にとって、CPTPPが新たな成長の機会になるという説明には、それなりの説得力がある。
これに先立ち産業通商部などの関係官庁が発表した分析結果によると、CPTPPに加盟した場合、10年後に実質国内総生産(GDP)は0.38ポイント増加し、今後15年間の製造業の生産は年平均で最大6兆7000億ウォン(約7900億円)増加すると予想される。
聯合ニュース「李大統領 年内のCPTPP加盟申請見送りを指示~」より
CPTPPへの加盟は、経済にはおそらくプラスになるだろうと見込まれており、その理由は自動車部品などの機械部品や素材が安くなることで、製造業が活性化する可能性を考えている。
やはり、韓国の屋台骨は輸出産業で、その中での韓国の得意とする半導体産業なども影響を受けると考えられる。
したがって、韓国が出来る範囲でCPTPPへの加入を検討すれば良いのである。つまり、国内の漁業や農業、或いは畜産業の関係者と利益調整の話をしつつ、CPTPPへ加入出来るような法整備を整えれば良い。
現実は厳しい
なお、加盟申請すれば直ぐに加入できるかのような印象を与えているが、そんなことはない。
加盟申請したら申請順に審査され、各国が判断するのである。そして、加盟国全てがOKを出してから、漸く加盟ができる。
それ以前に、韓国内の法整備には時間がかかるのが現実なのだ。
大雑把に構図を分類すると、こんな3つの段階が考えられる。
- 期待を演出する段階: CPTPP加盟を掲げることで、輸出産業の活性化や経済成長への期待を生み出す。
- 現実に改革する段階: 農業・漁業・畜産業などの反発を抑え、必要な法整備や制度改革を進める。
- 利益を調整する段階: 改革によって不利益を受ける産業への支援などを検討する。しかし、経済が厳しく、十分な原資を確保しにくい。
韓国外交部は日本に対してCPTPP加盟への特別扱いを申請しているらしいが、高市政権は特別扱いはしないと蹴り飛ばしているという噂はあるが、これはおそらく色々歪んで伝わった噂だろう。
韓国外交は「配慮」を日本に良く求めるが、CPTPPは多国間協定なので、「ルール通りに申請しろ」と門前払いするという構図にはなりやすいとは思われる。
尤も、日本を籠絡できればCPTPP加盟に拍車がかかる可能性は高いのだけれど。
支持率低下
韓国経済は今、かなり苦しい状況にある。この為に韓国政府としてはCPTPPに加盟することで経済の活性化という話をしたいところではあるが、国内の反対は根強い。
国民の力41%、共に民主党を逆転
2026.10.12. 11:15
イ・ジェミョン大統領の国政運営に対する支持率が2週連続で下落したとの世論調査結果が12日に発表された。
世論調査会社リアルメーターがアジア経済の依頼で6-8日、全国の18歳以上1504人を対象に調査した結果、イ大統領の国政運営に対する肯定的評価は先週より2.2ポイント下がった35.2%だった。否定的評価は61.4%で、前週比1.6ポイント上昇した。「分からない」は3.4%だった。
朝鮮日報より
そして、最近は与党の支持率が低下し、大統領の支持率も低下しているという状況になっているので、農業や漁業の反対を突破できないという状況で無理を押すことが難しいとの判断が働いたかもしれない。
少なくとも、無理が出来る状況では既にないというのが、今の韓国大統領李 在明氏(ミョンミョン)の現在地なのだ。
まとめ
「なんだ、いつも通りか」というのが、CPTPPへの加盟申請見送りしたというニュースに対する正直な感想である。
実際、記事に触れたようにCPTPPへ加盟するためには、厳格なルールをクリア出来るだけの法整備が必要であり、自国の産業を保護するために関税や非関税障壁を設けている韓国には、なかなかハードルが高いと見られている。
なので、韓国のCPTPP関連のニュースは、「今年もそんな季節になりましたね」程度の話だと考えておけば良いだろう。



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