うわぁ。
696年ぶりに帰ってきた仏像が「模造品」?金銅観音菩薩座像
入力2026.05.17.午後5時10分 修正 2026.05.17.午後5時56分
「観音菩薩の傷は、未だ癒えていないままでした。当時(倭寇の略奪)を想像すると、この地に住んでいた庶民たちがどれほど絶望し、悲しみ、苦しんだかが伝わってくるようです。子孫としての務めとして、今日になってようやくその重荷を少しは下ろせるのではないかと感じます。」
NAVERより
このニュースを見て、改めて日本と韓国では「歴史的遺物に何を求めるのか」が随分違うのだと感じた。
何のために揉めたのか
仏像返還までに13年
この件は、このブログでも何度か言及している。日韓仏像問題と呼んで良いのかもしれない。このブログでは複数回触れているが、この2つを引用いておこう。


簡単に経緯もまとめておこう。
- 2012年10月8日 対馬市観音寺から仏像が盗難されたとの報道
- 2013年1月29日 窃盗と密輸の容疑で韓国人窃盗団5人が韓国警察に逮捕される
- 2013年2月27日 裁判所が、盗んだ仏像は返還不要との決定を出す
- 2020年10月 浮石寺の住職が坐像に金彩を施す「改金仏事」をしたい意向を示す
- 2023年10月 韓国最高裁で、対馬市の寺の所有権認めると判決
- 2025年5月12日 長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像が返還される
世にもバカバカしい話なのだが、本来であれば韓国は自らが結んだ文化財不法輸出入等禁止条約に基づき、速やかに仏像を日本に返還しなければならなかったのだが、韓国国内事情にかこつけて、13年も返還しなかった。
何が「速やか」なのかと。
そういえば、当時、浮石寺の住職が「速やか」に行ったことの1つに、観音寺訪問があったっけ。
ちょっと意味の分からないマスコットを手土産に持ってきた気がする。

美的センスを疑う
なお、上のまとめの中でも紹介しているが、「改金仏事」という行為は、韓国にとっては「普通のこと」らしい。
……このオッサンは。

問題のある住職であることは指摘するまでもないのだが、注目して欲しいことは、後ろに安置されている仏像の姿だ。
いやいやいや。

これがオリジナルなのだが、どうして金箔を張り付けちゃうかなぁ。
まあ、オリジナルの方に手を加えたわけではない(指を折損したのは忘れてないぞ!)ので、金箔に関しては特に文句を言う筋合いはない。だが、日本では、長い年月を経た損耗や古色そのものを文化財の価値として受け止める傾向があって、その感覚からすると、金箔で「本来の姿」を再現する発想には違和感が残る。
レプリカで良いのなら
この話は、こちらのニュースでも触れられていた。
対馬仏像レプリカ、韓国で安置へ 浮石寺、日本側に謝意も
2026/05/12 17:20
長崎県対馬市の観音寺で2012年に盗まれ韓国に持ち込まれた後、昨年返還された仏像を巡り、日本側が提供した3Dデータに基づき韓国で作られたレプリカが完成し、仏像の所有権を主張してきた忠清南道瑞山市の浮石寺に17日に安置されることが12日、分かった。日本側関係者も招いて協力への謝意を伝える。複数の関係者が明らかにした。
福島民友より
どうやら3Dデータで作ったらしいのだが、それは仏像と呼んで良いのか?という疑問は残る。

うーん、なんと言えば良いのだろう。
まあ、美的感覚は人それぞれだから、これが有り難いといえば、有り難いのかもしれない。でも、コレで良いならもはやオリジナルに拘る必要があったのか疑問だ。
なお、現存する他の観音座像などには鍍金が施されているものもあることから、対馬寺の仏像「観世音菩薩坐像」(金銅仏)にも製造時には鍍金されていた可能性が高いだろうとは言われている。
だから、韓国側の対応だって間違い等と言うつもりは毛頭ない。
だがもし重要なのが「仏像そのもの」ではなく、「当初の姿の再現」であるなら、3D複製でも目的は達せられる。そうすると、13年に及ぶ所有権争いは一体何だったのか。
最大3体マデ
さて、3Dデータを用いて複製したのだから、恐らくは3Dプリンタを用いたのだろう。材質の金属比率まで本物に近づけて復元したというから、何らかの拘りは感じる。
また、3Dプリンタを用いたからといってその価値が減ずるかといえば、本来の仏像も青銅製の鋳造品であったことを考えると、当時最新の技術で作った複製品と言えなくもない(実際に、複数作ったかといえば、当時の技法を考えると恐らくはロストワックス法と呼ばれる蝋を使った製造方法だったと考えられ、1体作ったらその蝋型は二度と使えないのだけれども)。
そこに違和感を挟んで良いかどうかは悩むのだが、謎の条件付けがなされていると知って驚いた。
仏像返還受けた対馬の寺が韓国の浮石寺に仏像の3Dデータ提供
Write: 2025-07-07 10:06:55/Update: 2025-07-07 11:56:19
長崎県対馬市の観音寺は、14世紀に韓半島で栄えた高麗時代に作られ、所有権をめぐる裁判の末に去年、韓国から日本へ返還された仏像の3Dデータを、かつて所有権を主張していた韓国の浮石寺に提供しました。
共同通信によりますと、観音寺の田中節孝元住職は6日、韓国中部の忠清南道瑞山市にある浮石寺を訪れ、去年5月に韓国から返還された仏像の3Dスキャンデータを収めたUSBメモリーを、浮石寺の住職に直接手渡したということです。~~略~~
浮石寺は、仏像の複製を3体制作する計画で、そのうち1体は初めて製作された当時と同じように金めっきを施し、本堂に安置する予定です。残りの2体は、忠南歴史文化研究院などの施設で保管・展示される予定です。
KBS WORLDより
なるほど、観賞用・頒布用・保管用か……。
韓国では「倭寇の手で略奪された仏像が、韓国に帰ってきた」というストーリーになっているらしいのだが、3体作って魔改造までしたようだ。
つまり3Dデータに、台座や光背、宝冠まで加えて作って、金メッキを施したのである。
「当初の姿そのままに」の意味
韓国に現存している文化財は、日本に比べて圧倒的に少ない。国宝級の文化財に限定しても3倍以上、重要文化財級なら5倍以上の開きがある。これは、幾度も戦火に見舞われた歴史的事情に加え、前時代を否定し、刷新によって正当性を示すことを是とする政治・社会風土とも無関係ではないだろう。そういう意味で仕方のない面はある。
それ故なのか、古びた姿そのままよりも、当時の姿を再現することに拘りを見せる。
復元品は、仏像の当初の姿をそのまま再現することに重点を置いて制作された。観音寺が公式に複製を許可し、日本の大阪にあるクモノス・コーポレーションが3次元(3D)スキャンデータを無償で提供した。これを基に、忠南歴史文化研究院は、数百年の歳月が刻まれた細部の彫刻や表面の質感の微細な起伏まで精密に復元した。
特に、合金比の分析結果と諮問会議を経て、複製仏像の材質を原本と同じにした。本物には失われてしまったが、初期の制作当時にはあったと推定される宝冠と座台も追加した。
NAVER「696年ぶりに帰ってきた仏像~」より
或るがままを受け容れるのが日本人の心意気なのだが、韓国の場合はそうではない。その好例となるのが南大門の話だ。

彼らの場合は、「過去の栄光を取り戻す」ことに重きを置くので、色鮮やかなデザインを採用し、伝統技法にも拘った。その為に崇礼門修復にはトラブルが付きまとったのだが、この拘りは時に「歴史的事実」よりも、「あるべき過去」の再現を優先させる方向に働く。
この「失われた当初の姿を取り戻す」という発想は、仏像問題に限った話ではない。
扁額の書き換え
例えばこちら。

これは崇礼門に並ぶとされるもう1つの象徴的な城門、光化門の話。
「韓国の顔にハングルを」国家アイデンティティを懸けたハングル看板追加案…光化門で火花を散らす“伝統vs現代”
2026年4月4日 7:30
ソウル・光化門にハングル表記の看板を追加する案を巡り、賛否が鋭く対立している。文化体育観光省はソウルの大韓民国歴史博物館で討論会を開き、専門家らの意見を聴取した。今後も世論収集を続け、設置の是非を検討する方針だ。
AFPより
扁額(看板)の表記をハングルにしようぜ!という運動が盛り上がっているらしいのだ。

正直、今の韓国ではこの漢字の看板を読めない人が多いので、ハングルにしてしまえば「誇りを取り戻せる」らしいとの主張には、首を傾げざるを得ない。が、仕方のない面はあるのだろう。
そして、この話は全く根拠がないわけでもない。
実はこの光化門、1968年に朴正煕によって鉄筋コンクリート製で再建されている。
李成桂による漢陽遷都(1394年)の際、景福宮の正門として建設された光化門は、1553年の大火で焼失。19世紀に再建されるも、1950年の朝鮮戦争で再度消失。
で、再建されるにあたって、当時の大統領であった朴正煕が、ハングルで揮毫した扁額がかかっていた時代があったのだ。
しかし、2010年の木造化再建事業によって、再び扁額が漢字のものに書き換えられ、現在に至っている。それ故に、ハングルに戻したいという層にも正当性はあるのだ。
まとめ
最後はちょっと話が逸れてしまったが、結局のところ、この問題で韓国側が求めていたものは、必ずしも「現物の仏像」だけではなかったのかもしれない。
むしろ重要だったのは、「我々こそ正統な継承者である」という物語を成立させることで、そのために、仏像は当初の姿(想像)である必要があった。それが結果的に当時の姿と外れてしまったとしても、文化財は復元され、歴史(物語)は再構成される。
韓国の浮石寺は、日本から盗まれた「観世音菩薩坐像」の「正当な保有者である」という法廷での争いに敗れて、日本に仏像を返還せざるを得なくなった。せめて「当時の姿の継承者」であることに正当性を見いだそうとしたと理解出来る。
日本人の感覚からすると奇異に映る部分もあるが、今回のレプリカ騒動は、そうした歴史観の違いを非常によく表しているように思える。



コメント
さすが「違いの解る理系男」でらっしゃる。解ってらっしゃる。
3Dプリンターの仏像って何?
東京カテドラル大聖堂に、ミケランジェロの「ピエタ像」1/1等身大の精密なレプリカあります。
でもね、これ彫刻家が数年を費やして
再現したもので、聖母の肩帯には、ミケランジェロの署名(署名を残した作品はこれだけ)まで再現してある。
つまりは美学っすよね?
こういう一点物はレプリカでも、人が手で作るのがアートとしての美学。
3Dプリンターって何よ??
私は頑強なアナログ主義者ではないけど、騒ぐ時は歴史の何のと騒ぎ、事が済むとプリンターで作る、その浅い思考には反吐が出ます。
まして仏像しょ?
本当に自国の文化を愛するなら、現在のテクノロジー段階での3Dプリンターは無えだろうと!!
マンガをスマトゥーンでスマホと繋いだり、新しい事に勇敢なのは認める。
しかし、歴史をぎゃあギャング言う割にはお粗末!
木霊様の御指摘通り「過去の栄光」しか希求してない。
ただ、その過去の栄光が嘘ばかりだから、落とし所はいつもこのような不様を晒す事になる。
バンダイか田宮模型に金型作ってもらえば良かったんですよ。その方が出来が良くて量産もできる。
コレに関してはかなり冷静に書こうと努力はしましたが、山童さんが言及されたので、途中に少し情報を足させていただきました。
ええ、3体作るらしいですよ?3Dプリンタで。
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=90608
意味が分かりませんね。
呆れてものが言えません。
こんにちは。
……まあ「鰯の頭も信心から」ですから……
さて、この緊迫の、違う金箔の仏様、十年後にはどんなお姿をしているでしょうね?
「仏作って魂入れず」では……
七面鳥様の小説に出てきた、
チベットの邪教徒の方が信心は深い。
邪宗門より、信仰を口実にする奴らの方が罪深いです。
そういやシナの連中は即身仏にベタベタと金泥を塗って固めますな。
日本でも大塔宮護良親王の御首とされている頭骨に、紙を重ねた復元顔を
奉納してる神社があります。
しかし、ベタベタと金泥だの金箔だの重ねませんよ。あのセンスなんなのでしょうね?
水が悪いから(出汁が取れないから)、食物が辛くなったり、高温で炒めたりするのは理解できるすが。
ビジュアル面になると、なんで木霊様が仰るような「あるがままを受け取る」事ができないんだろう彼らは?
油でエキスを
奈良の大仏も、当初は金箔張りだったと聞きましたが、どうだったかな……
インド仏教が支那に渡って日本に来る間にそういう華美な部分が前面に出て、日本国内でわびさび文化で金閣→銀閣の変容同様な流れになった、と七面鳥は考えてます。
菩薩は割と着飾る、でも如来はそういうの通り越して着飾ることを捨ててる、とも聞きます。
仏教の行き着くところがそこなら、インド仏教は日本に来て完成した、とも言える……というのは言い過ぎでしょうかね。
こんにちは。
まさに、まさに。
高い鰯でしたね。