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【コラム】日本のドローン規制と将来性の話

科学技術
この記事は約4分で読めます。

ちょっと面白い記事があったので、最初にこれを紹介しておきたい。

トヨタ、小型ドローンシステム開発を検討 未舗装路で運転支援

2025年10月8日午前 7:20

トヨタ自動車は7日、主に未舗装道路などでの車両運行を支援する小型ドローン(無人機)システムの開発を検討していると明らかにした。

ロイターより

自動車の運転のサポートに小型ドローンを使うという、画期的アイデアというか、アニメで見たことのあるようなシステムというか、面白い試みをしているので引用してみた。

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産業発展のためにも規制緩和を

興味深いシステム

2025年10月7日、トヨタ自動車は未舗装道路での車両運行を支援する小型ドローンシステムの開発を検討していると発表した。

このシステムは、車両周囲や下方の視認情報を提供し、ドライバーがより安全なルートを計画し、運転操作を向上させることを目的としている。

また、ドローン飛行は主に車両の近くで行われるが、「操縦者は場合によってドローンに木々の上空を飛行させ、自身の位置確認や地形の把握に用いる動画を撮影することもある」としている。

ロイター「トヨタ、小型ドローンシステム開発を検討~」より

技術的には衛星通信などの情報をベースに運転サポートが可能だろうが、それに加えてドローンによる情報収集のサポートがあればさらに精度は高まるだろう。尤も、電池の問題とか色々あるので、実現には様々な技術的障壁があると思う。実際に、トヨタとしてもまだアイデア段階みたいだしね。

一方で、日本の場合には法律的な規制もあって、この手のシステムを導入するには様々な問題がある。本日はそのあたりを掘り下げていこう。

日本のドローン規制の現状と課題

日本では、ドローンの飛行に関する規制が厳しく、特に小型ドローンの開発や商用利用に対して多くの制約がある。 例えば、無人航空機の飛行には事前の許可が必要であり、飛行禁止区域や飛行制限空域が多数存在する。

国交省のサイトより

……国交省管轄だねぇ。

これらの規制は、安全性の確保を目的としているが、過度な規制は技術革新の阻害要因となり得る。 特に、ドローン技術は迅速な実証とフィードバックが求められる分野であり、規制が開発の足かせとなっている現状がある。

過去の経緯と影響力工作の可能性

2015年の首相官邸ドローン事件を契機に、日本ではドローンに対する規制が強化された。 この事件は、ドローンの安全性やテロへの利用可能性についての懸念を高め、規制強化の根拠となった。

あまり騒がれなかったのだが、この犯人は元自衛官の反原発活動家の「単独犯」であった。

山本容疑者、昨年10月、川内原発も侵入狙う 過去のテロ・凶悪事件を研究か

2015/4/27 09:47

東京都千代田区の首相官邸に小型無人飛行機「ドローン」が侵入した事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された無職、山本泰雄容疑者(40)が、国内外で起きたテロや凶悪事件を研究し、犯行の手口を検討した疑いがあることが26日、捜査関係者への取材で分かった。

産経新聞より

ところが、ネットでの書き込みが中心で、友人にも「あいつが反原発?そんな話は聞いたことがない」というレベルであったようだ。

事件の背景として海外の情報環境やローンウルフ型テロの類似性が指摘されるが、確実な証拠はない。

しかし実際、ドローン技術の発展を阻害するような規制が、他国、特に支那のドローン産業の台頭を助長した可能性も指摘されている。支那は、時期を同じくして国家戦略としてドローン産業を推進し、規制の緩い環境を活用して市場を拡大した。

日本の規制が厳しすぎるために、国内企業が国際競争で不利な立場に立たされている現状がある。規制強化は国交省主導で進められ、公明党が賛同して後押ししたんだよね。

規制緩和の必要性と戦略の見直し

影響力工作があったにせよ、なかったにせよ、ドローン技術は、物流、農業、インフラ点検、災害対応など、さまざまな分野での活用が期待されている。その点は既に言及した通りだ。

こちらの記事でも言及したけれど、消防も積極的に活用しようとする動きがある。3月の記事ではやや批判的に書いたけれども、最近は認識を改めてむしろ積極的な研究・導入をすべきだと思っている。

だから、技術開発と規制のバランスを取ることが重要なのだ。

例えば、特区制度の活用や、規制の柔軟な運用、実証実験の場の提供など、規制緩和の方向性が求められる。 また、過去の経緯を踏まえ、ドローン技術の発展を阻害するような規制が、他国の産業発展を助長してしまった可能性があることを認識し、戦略の見直しが必須だ。

結論

トヨタの小型ドローンシステム開発の検討は、日本のドローン技術の可能性を示す一例として紹介した。 しかし、規制の壁がその実現を妨げている現状がある。 ドローン技術の発展と安全性の確保の両立を目指し、規制の見直しと戦略の再構築が急務となっている。

幸いにして、自民党の新総裁はそういうところに積極的なので、是非、反対派と手を切ってでも、技術開発と規制緩和を推進して欲しい。

コメント

  1. 匿名 より:

    ドローン規制も緩くするのは難しくはないけど、結局テロ起こす輩が法を守るって事は無く一般人に皺寄せが来るだけなんですよねぇ。
    国交省もそうですけど最近災害時の現場確認等で使用する名目で購入した自衛隊のドローンが無線周波数の絡みで何年も使用出来ないってニュース見たような…
    この辺りは総務省の管轄なのかなと
    規制緩和もですがこの手の縦割り行政をまずは何とかして欲しいっすね

    • 木霊 木霊 より:

      電波法がらみというか、ここには電波利権がらみの話があるんですよね。
      実際に帯域が狭くて使いにくいって話はあるようですよ。

  2. BOOK より:

    私見ですがこの問題で最も喫緊なのは、迎撃用ドローンの配備です。
    2027年台湾有事にはシャヘドタイプの自爆ドローンが日本の自衛隊基地・米軍基地に留まらず重要インフラ目掛け、飽和数の飛来することが確実視されています。
    しかし現在の日本では、例えば原発に対空装備などありません。が台湾有事には、必要配備数は都道府県警察や消防署単位の数となりそうです。

    この数、対空砲揃えるのも数的に無理じゃね? ですし、何より対空砲を扱う人員が間に合わないと思われます。

    理由のひとつ。 シャヘドタイプの攻撃パターンは大きく2つ ①超低空:ビルの谷間から急襲。②高空 M61バルカン射程1500m 外 高度3000mからの急降下
    この①②落とすには相当の訓練を積んだ「腕利き」の人員が必要で2027年までには無理じゃね? です。

    そこでFPVタイプの自爆迎撃ドローン。

    要するにラジコン一人称、体当たりだから、バルカン砲よりオペレーターの才能依存が少ないし、訓練もしやすく、各県警、消防署員でも、何とかなりそうな?

    まあFPV自爆迎撃ドローンは、今だとウクライナ製をOEM生産、多くをウクライナに渡す。ような調達方法が必要だけど、地対空バルカンの設置ほど、2027ねんまでの配備が絶望的ではない。

    結局問題は法整備

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    かなり前ですが、立ち読みした「ラジコン技術」の冒頭に、ドローン規制によるラジコンの法的規制云々の話が書いてあって「……ああ……」ってなりました。
    確かに、ハードウエアが違うだけで、法的な括りとしては同じになるのだなと。

    日本国内でドローン規制が厳しいのは仕方ない部分はあると思ってます。
    過密都市、電線いっぱい。凧揚げすらままならない都市部で、ドローンなどもってのほか。
    なので、地域差とかそのあたりを柔軟に出来れば、という事でもありますが、そうすると規制かける側の仕事が増えるので、それを嫌がって一律、という面はあるでしょう。

    いっそ、規制のレベル差に併せて、違法ドローンは即刻墜落させるようなソフトキル手段の開発と配備を『国がお金を出して』やった方が良いと思うのです。
    ※長い目(そんなに長くないかも)で見て、絶対に近々に必要になる技術なので。赤いドローンがいっぱい来るでしょうから……