兵器開発というのは、お手軽には行かないという事例だね。
国産空対地ミサイル「天竜」開発試験中緊急終了… 「エンジン誤動作」
2026.04.15
韓国軍が来る2028年まで長距離空対地ミサイル「天竜」開発を推進している中、最近天竜誘導弾試製品が飛行試験中欠陥を起こして西海に落ちたことが分かった。
朝鮮日報韓国語版より
この手の失敗というのは、何処の国であれそんなに珍しいことではない。だが、韓国の場合は失敗の構造がちょっと面白いんだよ。その辺りを軽く説明していこう。
タウルスは何処へ?
コピー品を製造するぞ
過去にこんな記事を書いている。
KF-21戦闘機絡みの話で、この記事の中でこんなニュースを引用している。
長距離空対地ミサイル「韓国型タウルス」を開発へ
Posted December. 15, 2016 08:27, Updated December. 15, 2016 08:33
最大500キロ離れた所から平壌の金正恩労働党委員長の執務室などを攻撃できるタウルス水準の長距離空対地ミサイルが韓国内の技術で開発される。
防衛事業庁は14日、韓民求国防部長官を中心に第98回防衛事業推進委員会を開き、「韓国型タウルス」の開発計画を議決したことを明らかにした。防衛事業庁は、国防科学研究所(ADD)を中心に2018年から「韓国型タウルス」の研究開発を始め、2031年までに約200発を量産する計画だ。
東亜日報より
実は、KF-21戦闘機は搭載できるミサイルがない。正確には足りていない。今判明しているのはこんなラインナップだといわれている。
- 長距離空対空ミサイル「METEOR」:欧州製、射程距離100km以上
- 短距離空対空ミサイル「IRIS-T」:ドイツ製、射程距離25km程度
- 空対地ミサイル「タウルス」:ドイツ製(韓国国内で製造予定)、射程距離500km以上
このうち、ミーティア(METEOR)に関しては、少数購入して韓国国内でコピー品を生産しようという話になっていて、IRIS-Tは、コピー品開発が進んでいる。
タウルスは、韓国内でライセンス生産をすると共に、コピー品である「韓国型タウルス」の研究開発を始めちゃったということなんだね。
その辺りの事情は、こちらの記事でも触れている。
そう、「韓国版タウルス」は、冒頭のニュースで触れられている「天竜」と名付けられたんだよね。

横からのショットだと良く分からないんだけど……。

この角度からみると、どう見てもタウルスのコピーである。ドイツも流石に怒り心頭ではないだろうか。
落ちる、落ちるー
で、形は出来上がって、火薬を詰め込んで、「じゃあ、実際テストしてみましょう」という段階だと冒頭のニュースに示されている。
防産業などによると、国防科学研究所は去る1月と先月それぞれ国産軽攻撃機FA-50に天竜誘導弾試製品1機を搭載し、忠南泰安郡西海で技術飛行試験を実施した。技術飛行試験は、戦闘機から分離されたミサイルがエンジン点火後に正常飛行するかどうかを評価する手順だ。
ところが先月2次技術飛行試験で天竜試作品がFA-50から分離された後、エンジンが正常に作動しなかった。これに試験関係者たちはエンジンを遠隔で緊急終了させ、試作品を西海に落とした。天竜試作品は91秒間16キロ離れた滑走したことが分かった。
朝鮮日報韓国語版「国産空対地ミサイル「天竜」開発試験中~」より
テストしたら、エンジンが動かなかったらしい。
あーあー。
本家ドイツの空対地ミサイルKEPD 350「タウルス」は、長距離巡航ができるミサイルで、射程は500kmのKEPD 350というモデルと、韓国版の350KというSAASM(選択可能型対スプーフィング攻撃モジュール)を搭載している版、そして350K-2という小型版が存在するようだ。
弾頭は500kgで成型炸薬弾頭なので、厚さ5m以上の鉄筋コンクリート構造物を貫通する能力があると言われている。
もう一つの空中兵器は、北朝鮮の指揮統制と指導部にとって、はるかに致命的なものとなるだろう。韓国はドイツ製のタウラス巡航ミサイルを合計260~270発購入しており、製造元はこれをF-15K戦闘機に搭載する予定だ。タウラスは亜音速巡航ミサイルで、射程は約310マイル(約500キロメートル)である。ソウル上空を周回するF-15Kから発射されたこのミサイルは、平壌のはるか北にある目標を容易に攻撃できる。ミサイルの多目的貫通弾頭は、地下壕やその他の強化された地下施設を攻撃する能力を持つ。もし金正恩を殺害するミサイルがあるとすれば、それはおそらくタウラスだろう。
National Interestより
270発ほど購入して、韓国内である程度ライセンス生産もするという話だったのに、それはもうやらないのだろうか。
何でも国産化
確かにタウルスはお高いミサイルなので、自前でも作りたいという要望があるのは理解はできる。
だが、肝心のエンジン、ウイリアムズのWJ38-15ターボファンエンジンが上手いことコピーできていない模様。
これに先立ち、1月に実施された1次試験もエンジン欠陥発生で緊急終了したという。 2回の緊急終了で誘導弾試製品が西海に落ちたが、人命被害はなかったと伝えられた。
朝鮮日報韓国語版「国産空対地ミサイル「天竜」開発試験中~」より
まあ、失敗を非難するつもりはなくて、「頑張ってね」としか思わないのだが、エンジンを新開発したい事情は分かる。
米ウィリアムズ・インターナショナルの作るターボファンエンジンは、この分野では老舗である。が、この供給に関しても結局アメリカ政府のさじ加減1つで影響を受ける。
また、ドイツ製のミサイルということも、韓国にとっては輸出の足枷になる。
だから、新しいミサイルには新しい国産エンジンを!ということなのだろう。
なお、余談だが、このドイツ製のタウルスミサイルには、川崎重工のジェットエンジンを載せる計画というのもあるようで。
これも色々難しいところはありそうだが、ジェットエンジン自体は日本で製造可能なので、国産のミサイルには国産のエンジンが積まれているのが日本の現状である。
韓国も、真似をしたいんだろうね。
まとめ
失敗は問題ない。失敗を織り込んでテストをするのだし、納期的には2030年とまだ4年ほど時間がある。その間に国産のエンジン開発を成功させれば良いのだ。
問題は、韓国にはその先例が殆どないってことだね。ミサイルの国産化を図りたいのは分かったけど、やるならまず外国製のエンジンを載せるところからではないかな。






コメント