事故が発生する前に緊急点検なら、良いんじゃないかな。
韓国軍、コブラに続きスリオン200機も運用中止し緊急点検
2026.02.12 17:57
韓国軍が最近の相次ぐヘリコプター事故に対応し国産機動ヘリコプターKUH-1「スリオン」シリーズの運用を全面中断して緊急点検に出た。
中央日報より
先日のAH-1「コブラ」に続いて、KUH-1「スリオン」も点検のために、運行停止したという話。
トラブルとその根底にあるもの
スリオンという名前のヘリコプター
先日の記事はこちら。
流石に墜落してしまっては洒落にならない。そういう意味で、さっさと点検に入った決断は良いとは思うよ。
改めて、今回飛行停止になった KUH-1「スリオン」だが、こんな形のヘリコプターである。

開発費は1兆2,996億ウォンで、おフランスより技術導入して作った「傑作機」ということになっている。このあたりで触れているので、参考にして欲しい。
今回のトラブルは一体何だったのか?
水平安定板(Horizontal Stabilizer)
記事によると、今回のトラブルは「水平安定弁」に関わるものらしい。
今回の決定は10日に慶尚南道消防本部所属のスリオンが飛行中に尾翼の水平安全弁が脱落する事故が発生したのに伴ったもの。
水平安全弁は飛行時には機体のバランスを維持する核心部品で、軍は運用中の約200機のスリオンでも同様の欠陥が発生する可能性を念頭に全数点検を決めた。
中央日報「韓国軍、コブラに続きスリオン200機も~」より
ん?「水平安定弁」??
On the 10th, a Surion helicopter operated by the South Gyeongsang Province Fire Department made a precautionary landing after a horizontal stabilizer detached during flight. The military subsequently determined that inspections of the same component were necessary for its Surion fleet.
The horizontal stabilizer is part of the helicopter’s tail assembly and serves to maintain balance during flight.
Seoul Economic Dailyより
horizontal stabilizerなので、水平安定板ですな。

赤丸で囲った部分である。どうやら慶尚南道消防本部所属のスリオンは、これが脱落してしまった模様。多くのヘリコプターは、この手の部品は左右に飛び出す構造になっているのだけれど、スリオンのベースとなった「AS332 シュペルピューマ」系列は左側に大きな安定板が配置される特徴を持っている。
飛行中にテールローターから発生する気流の影響を補正し、機体のピッチ(上下の傾き)を安定させる役割を担っているんだけど、構造的に可動部分に負荷がかかりやすいキャンチレバー構造だ。
ヘリコプターは構造上、常に強い振動に晒されるため、根元部分に特に負荷がかかりやすい。
振動と亀裂
過去の記事でも触れているが、スリオンは亀裂問題では結構苦労している。
- ウインドシールド(風防): 2016年頃、飛行中に亀裂が入る事案が相次ぐ
- 機体内部フレーム: エンジン振動などが原因で、胴体外壁や内部構造に亀裂が見つかり、監査院からも「欠陥」として指摘される
- メインローター接続部: メインローターを動かすアクチュエータなどの接続部品に亀裂が入るトラブルも
これらは全て解決したとされているが、根本的に振動の発生しやすい機体であると言えそうだ。ヘリコプターなんだから、振動が発生しても不思議ではないのだが、普通の機体よりも振動の影響が大きいらしい。
韓国航空宇宙産業(KAI)の国産ヘリコプター「スリオン」欠陥で再び運航停止
2017.02.06 02:15
韓国航空宇宙産業(KAI)が供給する国産ヘリコプター「KUH-1 スリオン」が、欠陥部品のため再び運航停止となった。
国防調達庁(DAPA)は2月3日、「1月16日に陸軍航空学校で実施したスリオン14機の試験飛行後、主ローター接続部に長さ7センチの亀裂が確認された」と発表した。これを受け、全スリオンヘリコプターの運航を停止した。
~~略~~
これを受けDAPAは「DAPA、陸軍、関連企業などの関係機関が1月16日から17日にかけて2日間、全機体を検査した結果、スリオン18号にも亀裂が発見された。直ちにKd(韓国空軍)とICA(韓国航空宇宙産業)に指示を出した」と説明した。
Business Koreaより
各部位の強化はおそらくやられているけれども、根本的に振動問題の生じやすい機体であるとすると、水平安定板の根本に負荷が掛かりやすいというのは、工学的に考えても当然の帰結である。
当然、設計上の特徴であるため、対策はされているだろうし、メンテナンスの時にも気にかけられる部品のハズ。にも関わらず脱落したということは、疲労破壊などの目に見えないダメージが蓄積した結果だろうと思われる。
まとめ
今回はヘリコプターの姿勢制御に関わる部品のトラブルということで、直ちに飛行停止にした判断は正しいと思うし、当然の措置とも言える。
広く使われている機体なので、しっかり点検して、必要に応じて根本的な対策をやって欲しいと思う。





コメント
海外のシンクタンクが日韓技術格差が分野別で50~150年有ると数年前発表しました
150年分の技術格差が有るのは皆さんご存知の冶金技術でした
アルミ合金を圧延した毎に応力を取るために焼鈍しをしているかな?