お久しぶりの、韓国の宇宙開発話である。
韓国のプロジェクトはヌリ号の打ち上げなのだが、今回は5回目の打ち上げに。
韓国ロケット「ヌリ」5回目の打ち上げへ…国内初、衛星5基を一度に軌道投入
2026年9月16日 11:10
韓国の国産ロケット「ヌリ」が10月7日の5回目の打ち上げで、超小型衛星群「ネオンサット」5基を一度に宇宙へ送る。同じ任務を担う複数の衛星を一度に軌道へ投入する韓国初の衛星群打ち上げとなる。
AFPより
ニュースでは5回目の話よりも、超小型衛星群「ネオンサット」の打ち上げの方を強調してるようだけれども、そっちのほうが誇らしいのだろうか?
成功すれば次の技術に繋がる?
ヌリ号は韓国宇宙産業の希望
先ずは、ヌリ号の方の復習から簡単にやっておこうか。


一応、時系列に2つ並べているが、説明を読んでいただくのは下の方だけでいい。
紆余曲折あって、現在の韓国が取り組んでいるのはヌリ号打ち上げプロジェクトであった。そう、「であった」だ。
実は、3号までは韓国政府がスケジュールを決定して、航空宇宙研究院(KARI)が打ち上げるという体制だったのだが、4号からはハンファエアロスペースが主幹で打ち上げをすることになった。

なかなか驚きの展開ではあるが、「政府主導で予算を使って打ち上げはできない」「だから民間主導でやってね」ということになった。
そのヌリ号だが、エンジンは75t級のKRE-075を「独自開発」したことで、これを4基クラスタリングしているのが第1段、1基使っているのが第2段、あまり話題に上らない7t級のKRE-007が第3段に使っている。
なお、KRE-075の原型はウクライナから手に入れた30t級のエンジン図面に基づいて、拡大再設計をしたという位置づけになっている。ロシアが残していったGTV(地上検証用発射体)が実は本物で、これを解析したという話もあったが、それも怪しいものではある。これは過去の記事で触れたので省略しておくが。
更に不思議なことに、韓国がこれまで手に入れていなかったエンジン技術を使ったクラスタリングを、このヌリ号では実現している。この点も非常に不可思議なことではあるのだ。
ともあれ、それなりの技術水準にヌリ号は到達したよ。到達過程に少し不思議はあるけど、凄いことは凄いという整理で良い。
おそらくは第6回打ち上げが最後
そして、今後のスケジュールだが、来年の打ち上げが予定されている。
ヌリの5号機は26年、6号機は27年に打ち上げられる予定だ。計6回の打ち上げを通じ、ヌリの性能の信頼度を高め、民間企業に技術を移転することが政府の目標だ。
聯合ニュースより
しかし、民間企業であるハンファエアロスペース社としては、これ以上の打ち上げを独自にやるとは、ちょっと考えにくい。
普通のロケット打ち上げ事業であれば、最低でも10回程度は色々なパターンを試すことが多いから、打ち上げ回数を重ねそうなものだが、そんなに簡単に行かないことは分かっている。短期で利益を求める民間企業には、ちょっと相性の悪い技術だ。
ヌリ号はそもそもエンジンの出力が低い割に、高コストな発射体なので将来性がない。圧倒的なコスパを誇るスペースX社や、打ち上げ実績を着々と積み上げるH3ロケットに勝てる要素がない。他国との競争力が見込めない技術に、果たしてハンファエアロスペースは社として何処まで投資できるのか?という話になる。
その結果、今回の打ち上げ予定の衛星の話は後でやるとして、ヌリ号本体については、そろそろ終わろうとしている。
韓国ヌリ5号機、10月7日に打ち上げへ 衛星15機を搭載し民間の発射管制を拡大
2026年9月16日 20:31
韓国宇宙航空庁は、韓国型ロケット「ヌリ」5号機を2026年10月7日に全羅南道・高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げる予定だ。超小型衛星群5機とキューブサット10機の計15機を搭載し、ヌリとして過去最多の衛星を軌道へ投入する。
~~略~~
韓国政府は、ヌリの反復打ち上げによって信頼性を高めるとともに、製造と発射運用の技術を民間へ移転し、商業打ち上げへ移行できる産業基盤を整える方針だ。5号機は、民間企業の担当範囲が製造・組み立てから発射管制の直接操作へ広がる節目となる。
一方、ヌリの後継となる次世代ロケットKSLV-IIIについては、メタンを推進剤とし、第1段の再使用を可能にする構成で開発が進められている。韓国航空宇宙研究院が示した計画では、2031年に性能検証機を打ち上げ、2032年に月軟着陸検証機と月着陸機を打ち上げる予定である。
財経新聞より
実は、6号機以降のスケジュールが決まっていことと、既に「次世代ロケットKSLV-III」という後継ロケットの打ち上げ計画が決まっている。
恐ろしいことに、次期計画のロケットは2031年に性能検証機を打ち上げたら、2032年に月着陸を目指すらしい。無人着陸機だとは思うが、正気の沙汰と思えないほどのスピード感だ。
最後の商機
ところで、今回の目玉は5回目打ち上げではなくて、上でも言及した超小型衛星群「ネオンサット」である。
ヌリ号5回目の打ち上げカウントダウン…韓国初の群集衛星独自網開く
2026.09.15 17:58
韓国独自の宇宙ロケット「ヌリ号」の5回目の打ち上げが3週間後に迫った。4回目の打ち上げが民間主導の「ニュースペース時代」への進入を告げたとすれば、今回の打ち上げは「群集衛星独自網」の構築という本格的な宇宙実用化段階へ向かう信号弾になる見通しだ。
~~略~~
試作機のネオンサット1号は2024年4月に打ち上げられている。今回の打ち上げで5基、来年の6回目の打ち上げでさらに5基を追加し、合計10基の群集網が完成すれば韓半島(朝鮮半島)を1日3回以上撮影し24時間以内に同じ地点を再び観測できるようになる。
中央日報より
1号機の打ち上げは、2024年。

こんな感じのマイクロ衛星ではあるが、1号機は海外の民間打ち上げサービスを利用している。ニュージーランドのロケット・ラボ社のサービスを利用したらしい。ロケット・ラボ社はアメリカ企業だが、ニュージーランドにロケット発射場を建設したことで、条件の良い打ち上げが可能になって、結構人気のある企業らしい。
で、そこそこの性能が確認できたので、今回はヌリ号で2号~6号を打ち上げようというもの。
5回目の打ち上げでは、主衛星となるネオンサット5基(2~6号機)と、大学や自治体、韓国企業など10の研究開発機関が開発したキューブサット10基の計15基を搭載する。これまでのヌリの打ち上げで最多となる。
同じ任務を担うネオンサット5基は順番に軌道へ投入する。衛星分離時の衝撃を抑える低衝撃型の衛星分離装置を新たに採用し、衛星同士の衝突を防ぐため、35~40秒間隔で異なる方向に分離する予定だ。
AFP「韓国ロケット「ヌリ」5回目の打ち上げへ~」より
その他にも、様々な衛星を搭載して、合計15基もの衛星を打ち上げようという、意欲的な計画となっている。
こういった性能が確保できれば、中型ロケットとしての打ち上げビジネスとして望みをつなげる可能性は残る。多分、今回の計画が成功したら、7回目以降に繋がる可能性も?
意外にハードルは高い
だが、これが上手くいくかどうかは、なかなか難しいと思う。
ネオンサットは1基当たりの重量が100キロ未満の超小型衛星で、白黒1メートル級、カラー4メートル級の解像度を持つ電子光学カメラを搭載する。政府は衛星を2つの軌道面に配置して運用する計画で、衛星群が完成すれば同じ地点を24時間以内に再び撮影できる。
AFP「韓国ロケット「ヌリ」5回目の打ち上げへ~」より
実は、打ち上げる予定のネオンサットは、100kg未満の超小型衛星という部類であり、地球低軌道(LEO)に打ち上げて使う、コンセデレーション衛星の一種である。
ただ、小さいので姿勢制御用のエンジンはあれど、目的の位置に移動するほどの推進機は、高性能というわけではない。
つまり、ヌリ号5号機は、ネオンサットを精密に打ち出す必要があって、その技術はまだ韓国には確立されているとは言い切れない。一応、ヌリ3号機で、テストはやっているんだけどね。
「客は8人乗ったのに、7人だけ降りた」…韓国型発射体「ヌリ号」、それでも成功
2023.05.26 08:33
韓国型発射体「ヌリ号」(KSLV-II)は成功裏に打ち上げられたが、当初の目標任務であった衛星8基のうち7基のみの射出が確認されたことが分かった。
~~略~~
そのうえで「6番目のトヨサット衛星は射出確認ができていない」としつつ「カメラの死角地帯にあって確認できず、7番目のトヨサット衛星が(発射体から)出て行ったので射出できたとみている」と強調した。
中央日報より
うん、これが一部成功と言うべきか、失敗というべきか。この時打ち上げたトヨサット衛星は、10kg以下のナノ級衛星で、正常に打ち出された衛星は機能したと報じられているので、多分大丈夫だったんだろうけれど。でも、今回のネオンサットは5基とも打ち上げに成功しないと、機能しないシロモノ。
追加で打ち上げる予定になっているので、失敗しても次ので補充できる可能性はあるんだけど、今回は何処まで成功できるのかは注目すべき点だ。
まとめ
そんなわけで、無事に5号のロケット打ち上げに成功して、衛星投入にも成功すれば、もしかしたらヌリ号の7号以降の期待に繋がる期待があるというのが、本日の記事に書きたかったことだ。
既に、韓国政府はKSLV-III計画の方に軸足が移っていて、航空宇宙研究院(KARI)は、KRE-075エンジンとは別の技術系統の二段階燃焼式のメタンエンジンを採用する予定になっている。出力も大出力になる予定で、これもハンファエアロスペースが開発する予定になっているんだよね。
つまり、7号機を打ち上げる希望というのは、かなり細い道筋なんだよ。だが、韓国の宇宙開発が続いていくためには、しっかり今回も成功して欲しいんだけどね。



コメント
こんにちは。
いや、これはワクワクが止まりませんね。
是非とも成功してほしいし、失敗しても話の種になるし。
宇宙開発は失敗してナンボ!
こんにちは。
韓国は、毎回毎回ハードルを上げすぎ。
技術の累積的進歩とかないんか?と、そんな風に思ってしまいます。
頑張ってもらうしかありませんね。
ロケットとか好きなのですがね。
感想として想うのは、人類に宇宙へは
難路だなぁと。
①エネルギー効率が悪い!
(ただし深海開発よりはマシ)
②それは衛星軌道エレベーターでも導入しない限り超克てきない!
③でも衛星軌道エレベーターは実現不可能だと想う。少なくとも今の技術では不可能!
④①〜③の難題を抜けても、宇宙線やバンアレン帯の放射線など、人体への
影響はなんともならない!
⑤したがって、本格的な人類の領土拡張にはならない!
宇宙海戦とか宇宙海賊が現れるとしたら、それはハッカーの戦いでしょう。
スター・ウォーズみたくはぜったいにならない想う。
つまり壮大なムダに終わる可能性が高いという絶望的な感慨が湧き出るのでした。つまんないなぁ。
B-H核融合、10億度も要るので冷まさないの大変だけど、中性子出さないので放射線遮蔽は鉄板1枚で可能。は次次世代と思ってた。のに思ってたより早く、あと数年の芽まで出て来てます。例
https://kepple.co.jp/articles/ox3mw4joj
この例は違うけど超超高エネルギー密度レーザーのブレイクスルーが先月ぐらいにあって、ミニバンサイズのレーザーで核融合出来る可能性も。
こういうレーザー核融合ってレーザーを点火プラグに見立てると、パルスジェット式、推進エンジンにするのが(B-H核融合はクリーンなので)容易で、もしかしてもしか?ではあるけど、ホイホイ宇宙に行ける可能性、トレーラーサイズ核融合発電所、温暖化なんて力づくで解決、な未来も、選択肢に、もしかすると、夢じゃなくなる可能性も。
なんか前提がびっくり返りました。核融合のお話しは前に伺い、あと30年の我慢と想うたけど、ミニバンサイズ感とは。
戦闘機大の宇宙船で衛星軌道まで行けるかも!
パルスジェットなどSFの世界たけかと思ってました。
宇宙空間には大気ないから戦闘機みたいな飛行はムリだけど。
ここで妄想。
むかし「謎の円盤UFO」ちう英国の特撮番組あって好きでしたが、あれのなかに月面基地に、
核ミサイル搭載の宇宙戦闘機が出てくる。あーいうの配置して、地球に小型惑星が追突しそうな時に、軌道を変える事が可能になるかも?
なかなかロマンがあってコメを楽しみましたm(_ _)m
反応ありがとうございます。妄想とみられることが多いので(^^;
>むかし「謎の円盤UFO」ちう英国の特撮番組あって好きでしたが
私も好きで、今DVD集めると007乗りか意外とエッチで(^^;
閑話休題
>宇宙空間には大気ないから戦闘機みたいな飛行はムリだけど。
後付けながら、これに見事に回答しているファンダム理論があるのがなんと「ガンダム」
ガンダム世界が成立するのは核融合エンジンを戦闘機、モビルスーツサイズに詰め込めたからで、これには「ミノフスキーイヨネスト効果」という謎の放射線遮蔽技術が、抜けた1ピースでした。
一方B-H核融合は「そもそも放射線遮蔽は殆ど要らない」なので、一気に現実味が増してくるのですね。 以下くどいですが、順に説明お許しください。
ではB-H核融合をレーザーで実現する方法は? これはレーザー源は
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2609/04/news040.html
量子科学技術研究開発機構(QST)と同志社大学の研究グループ、発表は今月はじめ発表のホカホカ理論(同志社w)。
30兆分の1秒の瞬時パルスですが、今までの1000倍の10^18Wのエネルギー集中が、可能となる。可能性がある。
これが出来たら今まで苦労していた磁場閉じ込め不要。1/30兆秒だとエネルギー逃げる時間がないので、そのまま核融合が起こせる。
ここからは私の妄想ですが、以下の既存技術の改良&組み合わせで原理的には破綻ないはす。(とりあえず破綻ないとAIさんに確認すみ)
まずはこの超高エネルギーレーザーパルスを直径十数ミクロンのB-H溶液の液滴と言うか湯気、蒸気の微小粒に命中させる離れ業がまた必要。
ですが実は類似技は、最先端EUV(極紫外)半導体露光機の紫外光源として十数ミクロンのSn蒸気にレーザーを狙って当てる熟成した産業技術としてある。トップランナーはオランダASMLですが2ndランナーは
https://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2013_06/jspf2013_06-341.pdf
日本のギガフォトン(コマツグループ)や九州大学です。
この技術でミクロンサイズB-H液的の更に内部ナノ範囲を10億度以上にしてB-H核融合を起こす。膨大なエネルギーが出ますが、しょせん核融合範囲の低エネルギー((笑)なので推進プロペラントが足りない。
そこで(ガンダム世界技術)この核融合爆発のタネの後半に通常の数十ミクロンサイズ水滴をインジェクションして
水蒸気爆発を起こす。温度が高すぎるので水蒸気じゃなくH,O原子、イオンに分解しますが、これを後方に噴射してジェット、ロケットとする。 このあたりも自動車、ディーゼル用の超高圧噴射技術、あるいはエレクトロスプレー技術が使えるかな
(AIさんに理論破綻なし確認ここまで)
尚、ここに水じゃなく重粒子をもってきて体積あたり推力を数倍に上げたのがガンダム世界、ギャンやドムのメーカーとして有名なツィマッド社火星エンジン((笑))
さらに低エネルギーな核融合でなく、焦点にマイクロブラックホールを配置して、ホーキング効果で100%質量-エネルギー変換をしたのが、アーサーCクラーク ミニブラックホール機関、あるいはターンエーガンダム縮退炉。核融合の5-10桁高エネルギーなので、もっとも効率の良い推進剤は物質じゃなく光子となるので、このホーキング崩壊あるいは対消滅エネルギーをそのまま後方に噴射すれば良い。
>宇宙空間には大気ないから戦闘機みたいな飛行はムリだけど。
なのでガンダム世界AMBAC
基本の向き制御は現代のF22やXBAT無人機(極近未来)の推力偏向エンジン+人工衛星などに内臓のジャイロですが、これらのメカに共通の機体ヨーの変化がゆっくりとしかできない欠点を解消した(という後付け)技術がAMBAC Active Mass Balance Auto-control(能動的質量移動による自動姿勢制御)で 要はモビルスーツのどう見ても余分な要素である手足をバタバタさせて、機体のヨーを瞬時に変える技術。
わはは
わかんないですが、トレーラーサイズの核融合炉、発電所が出来れば、世界中に普及させるのも夢じゃなく、
こうした無限に近いバカ安、コモディティー化エネルギーが、世界中に普及すれば、温暖化など力ずくでねじ伏せられるし、ハーバーボッシュも化石燃料なしで、、、しいては資源獲得戦争も、、、化石燃料枯渇しても、その先に文明持ち越せる
、、、途中、妄想、ウンチク長くなりました。
実現性は今は低く見えても、見返りあまりにも大きいので国家が大金ベットする価値ありと思います。l
こ、『降伏の儀式』……
https://x.com/rocketengine/status/2099851298191655317
大気圏内で核パルスエンジン(核分裂!)で大質量打上げる……
なるほどロケットでなく、
大砲として打ち上げる。
超ハイテクのジュール・ベルヌ「月世界旅行」すな。
パルスジェットの大砲で宇宙へ打ち上げる。
超ハイテク+原始的運用、
なかなか狂ってて面白いてすねぇ。
それでも、宇宙開拓を目指すのでしょうね。
他の惑星に住むのはかなりハードルが高そうですが。