フィンランド、お前もか。
対ロシア戦備え地雷条約離脱 フィンランド外相が会見
2025/05/23
北欧フィンランドのバルトネン外相は22日、首都ヘルシンキで共同通信の単独会見に応じた。4月に表明した対人地雷禁止条約(オタワ条約)からの離脱方針は、周辺国への軍事的圧力を強める隣国ロシアとの地上戦に備えるためだと説明し、「北大西洋条約機構(NATO)全体のために国境を守る責任がある」と強調した。
共同通信より
判断として「ありかなしか」であれば、断然ありだ。
非人道的兵器
対人地雷禁止条約から離脱
「フィンランドも」というのは、以前もこのブログで言及したし、記事でも言及されている。
ロシアと国境を接するフィンランドはウクライナ侵攻を継続するロシアの脅威拡大から、ポーランドやバルト3国に続いてオタワ条約離脱を宣言した。ラトビアでは既に議会承認されており、各国で離脱の「雪崩」が起きるのではないかとの懸念が寄せられている。
共同通信「対ロシア戦備え地雷条約離脱」より
そう、バルト三国とポーランドが既にオタワ条約離脱を決めているのだ。
ラトビアでは議会承認がなされたので、離脱は時間の問題だろう。
ロシアのウクライナ侵攻を見ていると、陸軍で押してくるのは間違いなく、その防衛に対人地雷は極めて有効である。

ロシアの戦術は陸軍で都市を蹂躙するやり方で、航空機で爆撃するのが大好きなアメリカみたいな戦術はあまりやってこない。予防射撃で薙ぎ払ってから進軍してくるのであれば、この戦術は単純にして効果を出しやすい戦術でもある。
結局、都市を占領するためには現代でも歩兵を出すしかない。で、そこを防衛するために有効なのが地雷である。低コストで防衛線を構築することが可能で、負傷者を多数出すことで敵戦力を削る効果が期待できる。
消耗を気にしない戦術
ちなみに、ロシア陸軍は「畑で兵士がとれる」と言われるほど厄介な戦術を取ってくる。
バルトネン氏は、ロシアがウクライナで無人機攻撃と同時に自国の人命を顧みない戦い方を続けていると指摘。「現代の戦争では地上戦力は縮小されると思われていたが、比重を低下させていない」と述べ、フィンランドも抑止力として対人地雷を活用する必要があると訴えた。
共同通信「対ロシア戦備え地雷条約離脱」より
今回のウクライナ戦線で非常に目立ったのが無人機攻撃で、両陣営で無人機を利用する戦術を様々試している感じで、新たな常識が色々生まれている感じではある。
ただ、無人機攻撃だけでは占領できないために、歩兵を出してくるわけなんだけど、ロシアはこの歩兵の損耗をあまり気にしない。伝統的にそうなのだが、ウクライナ戦線でも同じことをやってきている。実に厄介である。
そこでどうして対人地雷が有効かというと、動けない兵士を多数生み出すことになるからだ。前線に多数の負傷者が出るというのは、敵の足止めに繋がる。そういう意味で有利な状況を作り出しやすいってなことになる。特に防衛戦に有利だよね。
NATOに加盟してから、本当に戦う積りで用意をしているってことなんだろう。
覚悟が決まっているという意味でも、フィンランドはこれからもっと軍事力整備を進めていくのだろうね。
追記
平和推進が盛り上がった時期の産物
コメントで気になることが書かれていたので、オタワ条約の成立あたりの経緯を調べていたのだけれど、残念ながら日本側の動きはハッキリと分からなかった。
ただ、契機となった「地雷禁止国際キャンペーン」(ICBL)がアメリカで始まり、「国際的な機運」というヤツが盛り上がった経緯を踏まえると、外務省が率先して動いていた可能性は否定できない。
これが対人地雷禁止条約(オタワ条約)第1回検討会議における日本の外務大臣政務官のスピーチの内容だが、なかなか香ばしい。
本日、我々はこの勇気を思い起こし、地雷のない世界を実現するための行動を開始するとの決意を新たにしましょう。犠牲者ゼロに向けた我が国の揺るぎないコミットメントを再確認して、私のスピーチを終わります。 ご静聴ありがとうございました。
如何に発足から条約締結まで、左派勢力が頑張ってしまったかが伺える内容である。
面白いことに、朝日新聞の社説からの転載記事まで、外務省のサイトに公開されている。もちろん、地雷の問題に関しては政府も前向きであったことは間違いないので、「外務省が勝手に進めた」ということ無かろうが、かなり前のめりであった可能性は高い。
朝日新聞だからダメとは言わないが、一介の新聞の記事を政府サイトに転載するかねぇ。軍縮会議代表部大使だった美根慶樹氏が寄稿した記事の転載という形ではあるんだけど、やや違和感がある。尤も、美根氏は軍事・外交に関してかなり明るい人物のようで、幾つか執筆した物を拝見したが、今読んでも現実的な思考をされる方のように感じた。
だが、美根氏が主張したように「対人地雷禁止 大国が条約に加入を」という一番大切なところは守られず、結局、今の段階に於いても、アメリカ、ロシア、支那、インド、イスラエルといった国家は加盟していない。つまり、本質的な部分で意味のない加盟だったと言わざるを得ない。
良く、パヨクの皆様が「日本が主導して大国を巻き込む平和活動」などというフレーズがあるが、今までにそれが実現できた事例を見たことがない。
梯子外しのアメリカ
結局、他の軍事兵器に関わる条約と同様に、地雷禁止条約の本質的な問題は戦争を起こす国々が加盟しなかった、そのことに尽きる。
岐路に立つ対人地雷禁止条約 相次ぐ脱退の動きや違反 議長国日本に求められる役割は
更新日:2025.03.31 公開日:2025.03.31
4月4日は、地雷に関する啓発と地雷除去支援のために国連が定めた「国際地雷デー」。しかし、まもなく成立から30年を迎える対人地雷禁止条約(オタワ条約)は、重大な危機に直面しており、今年、同条約の議長国をつとめる日本政府には、果たすべき重大な役割がある。
~~略~~
重要な年、2025年に対人地雷禁止条約の議長国をつとめる日本政府。人道的軍縮の規範を守り推進するために、諸問題の解決と対処に向けた最大限のリーダーシップが求められる。世界の目が日本に注がれている。
GLOBE+より
奇しくも議長国になった日本は、「こんな条約の継続は意味がない」と、撤廃を提案すべきではないだろうか?
現在進行形で侵略されているウクライナや戦火に巻き込まれている人々に「地雷はダメだ」などと誰が言えようか。弱者側こそ有効に使える武器なのだから、非人道的だろうが「使用禁止にする」などという選択肢はとるべきではない。
それで国家が侵略される現実こそ、余程非人道的ではないか。
残念ながら建前だけで平和は維持出来ないのだ。誰が言ったか「平和というのは次の戦争までの準備期間」なのだから。であるならば、出来るだけ準備期間を引き延ばせる努力をすべきではないか。
コメント
対人地雷の敷設は、諸刃の剣ですが、攻め込んでくる敵国兵を足止めするためは有効な手段でしょう。ばら撒かれた数に比例して、後処理が大変なことはカンボジアやアフリカで証明済みですが。
使うか否かはさておき、日本も対人地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約から脱退しておくにしかずかと。
日本では、害務省が勝手に対人地雷禁止条約の加盟手続きを推し進めたという話、ホントなんでしょうか?
そうですね、確かに諸刃の剣ではあると思います。
ですが、埋めた側は何処に埋めたかは分かっているハズなので、防衛で使うという考え方に立てば、アリだと思っています。
どうして条約を締結してしまったのかと。