「国民健康保険」なのだから、国民以外を含んではいけない。だから、外国人の場合は保険料を前納出来る仕組みを作ろうという話になっている。
外国人の国保、保険料を前納できる仕組み導入へ…納付率低く医療費「踏み倒し」へ対策
2025/07/05 15:00
外国人による医療費の未払いを防ぐため、厚生労働省は国民健康保険(国保)の保険料を前納できる仕組みを導入する方針を決めた。窓口業務を担う市区町村の判断で来年4月にも開始できるよう必要な条例の改正例などを通知する。保険料の未納情報を外国人の在留資格審査に反映するためのシステム改修にも乗り出す。
讀賣新聞より
割と妥当な判断に思えるのだが、実際はどうなのかもう少し詳しく見ていこう。
必要な制度だとは思うが
国民健康保険に加入の義務
外国人が国民健康保険に加入する為には、幾つかの条件が課されている。
国民健康保険の適用対象とならない方
(1)在留期間が3か月以下の方
注:3か月以下の在留資格を持って住所を有する方のうち、在留資格が「興行」「技能実習」「家族滞在」「特定活動」の場合で、資料により、3か月を超えて滞在すると認められる方は、国民健康保険の被保険者となります。
(2)在留資格が「短期滞在」の方
(3)在留資格が「外交」の方
(4)在留資格が「特定活動」の方のうち、指定書に記載された活動の内容が「医療を受ける活動等」とされている方及び当該活動を行う者の日常生活上の世話をする方(出入国在留管理庁において特例で認められた方を除く)
(5)在留資格が「特定活動」の方のうち、指定書に記載された活動の内容が「観光、保養その他これらに類似する活動等」とされている方及び当該活動を行う者に同行する配偶者の方
(6)在留資格がない方
(7)日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国 (アメリカ合衆国、ベルギー王国、フランス共和国、オランダ王国、チェコ共和国、スイス連邦、ハンガリー、ルクセンブルク大公国)の方で、本国政府から適用証明書の交付を受けている方
大阪市のサイトより
これは大阪市のサイトからの引用だが、他の都市でも変わらない。この条件は国が決定しているからだ。こういったルールに従って国民健康保険に加入している外国人は2025年2月の時点で被保険者の3.6%にあたる92万人いる。
ところが、2024年末時点で、日本に滞在する外国人数は376万8977人であり、そのうちの一握りしか国民健康保険に加入していないことが分かる。率にして24%ちょっとという数字になる。
同省が150市区町村を対象に実施した調査によると、2024年末時点で外国人の国保の納付率は63%にとどまっている。日本人を含めた全体の納付率(93%)より低かった。
讀賣新聞「外国人の国保、保険料を前納できる仕組み導入へ」より
そして、納付率は63%ということはうち30万人程度が未払いという計算になる。
この数字がどういうことを意味するのだろうか?377万人のうち90万人が加入しているということは、287万人は未加入であることを意味する。では、この未加入外国人は、医療費負担はどうなっているのだろう?
国民健康保険は何に使われる?
さて、改めて国民健康保険について調べてみよう。徴収された保険料は一体何に使われるのだろうか?
- 医療費給付・診療報酬支払い : 加入者が病気やケガをした際、医療費の自己負担分以外(約7割)を診療報酬として医療機関に支払う
- 高額療養費制度 : 自己負担額が一定限度を超えた際に、超過分を支給
- 出産育児一時金 : 出産時に一時金を支給
- 葬祭費(埋葬料)の支給 : 被保険者が亡くなった際、葬儀を行った人に葬祭費を支給
- 保健事業・健康増進活動 : 市町村が実施する「特定健康診査(いわゆる健診)」やがん検診、生活習慣病予防といった健康づくりの事業に使われる
- 公費による補助(後期高齢者医療制度への支出など) : 制度維持のために国・都道府県・市町村からの公費補助があり、後期高齢者医療制度への支援金も含まれる
この割合は以下のような感じだ。
支出項目 | 割合(%) | コメント |
---|---|---|
医療給付費(地方単独分も含む) | 約 49% | 加入者の医療費のうち、自己負担分以外を補填する費用 |
保健事業費 | 約 12–15% | 健康診断、がん検診、生活習慣病予防などの活動費用 |
保険料(税)の負担緩和(減免) | 約 5–6% | 所得の少ない世帯などへの保険料軽減措置に使用 |
基金積立金・返済金・公債費 | 約 8% | 将来の安定運営のための積立や借入金利返済など |
その他(納税奨励金・直営診療施設費など) | 数%~一桁 | 小規模支出の合計。例:納税奨励金、直診施設関係など |
割合的には「医療費給付・診療報酬支払い」と「高額療養費」の支払いが多く、これがほぼ5割ということになっていて半分を占める。
この部分は未加入者には原則使われないことになっているのだが、しかし未収金対応として間接的に使われるケースがある。その額は統計的に把握されていないようだが、どうやら全国で未収金は分かっている範囲内では年間10~15億円程度とされ未回収のままになっているのが年間数億程度あると見積もられる。
ただ、国民健康保険の年間支出総額は15兆円規模だとされているので、全体に対する割合は0.0001%程度だと見積もられる。未収入金の徴収にも公費が使われているとは思われるが、どの程度のコストがかかっているかは不明ではあるが。
つまり、全体規模で考えれば、未収金対応となっている外国人の保険料回収に何処まで労力をそこ魏込むべきか?ということは悩ましいところ。
一方で、377万人のうち60万人程度は国民健康保険に加入し、残りは未加入。ただし、国民健康保険に加入した外国人に未収金対応を適用することが問題ないかというと、そうでもない。3ヶ月以上日本に滞在する方は対象になるという意味は、短期加入しただけで国民健康保険の恩恵を享受出来るという意味でもある。当然、高額医療制度も利用可能だ。
システムの改修が必須
さて、理想的には前払い制度の導入は良さそうだということなんだけど、じゃあ現実はどうなのか?という話なんだけれども。
保険料が全国一律の国民年金では、前納できる仕組みはある。しかし、国保は自治体ごとに保険料が異なるため、前払い後に他の自治体へ転出すれば、前納額の一部を還付しなければならない。自治体にとっては新たな負担が生じるため、国保保険料で前納の仕組みを導入するかどうかはそれぞれの判断に委ねる。
また、外国人の国保の納付状況を把握するためのシステム改修も始める。
現状では、国籍や在留資格が確認できず、大半の自治体で外国人の納付状況を把握できていなかったためだ。26年度中に改修を行ったうえで、27年6月をめどに出入国在留管理庁が在留資格審査に活用できるような仕組みにする。
讀賣新聞「外国人の国保、保険料を前納できる仕組み導入へ」より
仕組み的にそう簡単に改修できないという話ではある。
在留カードと連携する仕組みを作ることで対応出来る様に改修する予定だと、既に記事に指摘があるので、今後は対応出来る様にはなるのだろう。
ただまあ、運用メリットが薄そうだという風に前に指摘した通り、これだけの話であればわざわざシステム改修までして対応する必要はない。何かのシステム改修のついでにやるならともかくとして。で、そんなことは行政もわかっているから、今色々改修が進んでいる部分と一緒にやるつもりなんだろう。
病院の電子カルテ等のクラウド化・共有化、2025年度目途に国が標準仕様示し、30年までに希望病院が導入できる環境整える—厚労省
2025.1.22.(水)
病院においては、電子カルテやレセプトコンピュータ、各部門システムなどの情報システムについて「院内にサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを設置するオンプレミス型」が採用されているが、サイバーセキュリティ対策の確保、IT人材の確保、診療報酬改定等の制度対応などに円滑に対応できるよう「病院情報システムのクラウド化」を進める—。
その際、「インフラからアプリケーションまでを共同利用する」こととし、医療機関ごとに生じていた個別カスタマイズを極力抑制する—。
GemMedのサイトより

このカルテ統合の話は、単独でやってもメリットはありそう。だけどある程度の規模以下の小さな病院で、こういったところまで求めるのはシンドイかもしれない。
費用対効果
というわけで、冒頭のニュースにあったような「保険料を前納」のシステムは、構築しても良いが多分、イニシャルコストもランニングコストも膨大になるだろう。
完璧なシステムなど存在しないが、簡易なシステムでは悪用を防ぐことは難しい。そういうシステム面でのセキュリティを担保しつつ、できるだけ安価にというのは、何かのシステムと抱き合わせで導入するほうが無難ではあると思う。
だけど、そもそも、「悪用」の他の累計は存在しないのだろうか?損失額的には新たなシステムを導入する程なのか?という疑問はある。
そして、途中で触れたのだけれど、国民健康保険に加入して間もない外国人が制度利用出来るというのも、少々問題があるように思っているのだ。
「わたしはにんげんです」 突然の病で就労資格を失ったガーナ人男性が生活保護を受けられない不条理
2024年1月14日 06時00分
「わたしはにんげんです。ろぼっとではありません」。千葉地裁の法廷で昨年10月、原告席のガーナ人男性(33)が切り出した。全てひらがなで書かれた陳述書を、片言の日本語でゆっくり読み上げる。
~~略~~
自動車の販売・修理のビジネスがしたいと就労資格で15年2月に来日。東京都内の日本語学校に通った。アルバイト先のパン製造会社で人柄や仕事ぶりを買われた。「卒業後も残ってくれないか」
フルタイムの従業員として働いた。パン作りが大好きになったが19年冬、突然体に力が入らなくなった。呼吸のたび脇腹が痛む。診断は慢性腎不全。週3回、5時間の透析が必要だ。在留資格が医療を受けるための「医療滞在」に切り替わり就労が禁止された。
東京新聞より
この話はかなり極端な例だが、悪用が可能であるとも思っている。慢性腎不全の所見がいつからあったかは不明だが、2015年来日して2019年に発症、以降人工透析が必要な身体になったと言うことで、不幸なことだとは思う。
しかし、だからといって生活保護の適用や日本の国民健康保険制度の適用が適切なのか?というのは極めて疑問だ。実際この事例では、この男性は支援団体の協力を得て国民健康保険の加入を認められているという。仮に一生人工透析を受けることが可能だとすると、この男性のために1億円以上の費用が国民健康保険から支払われることになる。
もちろん互助の必要はあるとはいえ、日本の医療保険を使う目的で来日・帰化するような輩がいると、困ったことになる。ただでさえ予算が足りていないところに更に圧迫することになるからだ。
いっそのこと、外国人専用の保険を別建てで作ったら宜しいのでは?徴収するシステムも別設計。保険費用も別だ。帰化要件ももっと厳格にした方が良い。やはり、国家のシステムは国民ファーストで設計されねばならないと思う。
追記
ちょっと気になるニュースを見かけたので、追記しておきたい。
高額療養費制度、外国人の利用割合限定的 支給額全体の約1%
2025年3月17日 22時42分
高額の医療費がかかった患者の自己負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しをめぐり、国民民主党の玉木雄一郎代表の発言が波紋を呼んでいる。現行制度では外国人でも3カ月程度の滞在で数千万円相当の高額療養費を受けることができると主張し、不適切利用を防ぐためにも制度を見直すべきだと訴えているが、専門家からは「特別な事例をもとにした論理の飛躍」との指摘も出ている。
~~略~~
ただ、実際には外国人による制度利用が全体に占める割合は限定的だ。厚生労働省によると、2022年3月~23年2月の高額療養費制度の支給総額(9606億円)のうち、受給資格をもつ中長期在留者ら外国人への支給額の割合は1.15%(111億円)で、国保に加入している外国人の割合の3.6%よりもさらに低い。
朝日新聞より
朝日新聞が玉木氏の発言を批判して記事を書いているのだが、厚生労働省のデータとして、2022年から2023年の1年間における高額医療費精度の支給額は9,606億円だということ。
全体では、年間15兆円ほど使われておりうち1兆円弱が高額医療費として使われているという実態が分かったのだが、受給資格を持つ中長期在留者ら外国人への支給額は111億円なんだとか。
9,606億円のうち111億円が外国人が使っていると。
ええ?1.15%が消費されているのに、「低い」とは。
日本で国民健康保険に加入する外国人は60万人。日本の人口は1億2450万人(2023年)で、全員が国民健康保険の対象だから、うち0.5%程度が加入外国人という計算になる。にもかかわらず、高額医療費のうち1.15%が加入外国人に使われている計算であると考えれば、単純に日本人の2倍以上は使っているという計算になるのでは?
利用が限定的って、そりゃ母数に対して加入者数が少ないから当然の話。しかし、そもそも外国人に使って貰うための制度なのかね。おかしいよやっぱり。外国人が高齢化すればもっと深刻な事態になるよ。
コメント
んなもんシナの金持ちに利用されるだけに決まってるがな!
ならば外人から100%負担で金を取り、
病院を外貨稼ぎ産業にすりゃ良いのに!
各地の総合病院が維持できず、診療科目を減らして「撤退戦」してる実情を観ろっていいたい話すね!!
それなら外人の金持ち相手の高度医療産業にして、補填すりゃ良いのに!!
ガーナ人が日本で透析治療していて、日本に医療&生活保護を申請して断られたら文句言ってた。
たしかにガーナに帰ると助からないのかもしれない。日本で医療受けたいの解る。ならガーナ政府に金を出させろと!
人道上とかバカな日本人の支援者が騒いでるが、人道的行為も金あってのもの!
彼を助けるのはガーナ政府がするべき事てあって、それを日本人の積み立てた金と医療リソースを無料提供しろってのが、そもそもおかしい!
海外でスラム見れば、冷戦崩壊直後のロシアなら、道端の凍死体とか、ゴミ処分場の重金属汚染された野菜や果物くって、肌が青黒くなったり、歯がない児童とか普通に見ましたよ。
それをオレらに解決しろって言われてもね。反発しか感じない!!
たとえばフィリピンが、日米戦のマニラ市街戦で10万人以上の市民を巻き添えで死なせてるのだから、
日本と米国に「うちの国からの出稼ぎ者にいり保護しろ」言うなら解る。
フィリピンのハウスキーパーは介護ヘルパーとして質も高いし、実際に日本の役に立ってますから!!
しかし、日本の御荷物にしかならない奴や、利用する為に来る医療目あて難民を引き受ける必用なし。
それはビジネスチャンスとして、高額支払いさせて、それをリソースに医療機関の保持に使うべきでしょう!
支那人が悪いとまでは言いませんが、制度の穴を突いて儲けられないかを考えるのが彼らの常ですから、隙がある以上は塞がないと良いようにやられちゃいますよね。
医療崩壊が各地で起きている実情を、政府はどう考えているのやら。
ガーナ人男性の話を出したのは、かなり特殊事例なので宜しくなかったかも知れませんが……。
あれはニュースを見る度に腹立たしい思いになります。
ガーナ人に対しては、一定期間の応急措置としての滞在と入院を認めても、その後は強制送還すべきてしょう。帰国後に病変で死ぬならそれはガーナ政府の責任で、我が国に彼を保護する義務はない!
にほんでかつて生活保護を断られ、
「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死した親子がいた!
なんで金の為に日本に来たガーナ人を保護せねばならない!?
一時的な応急処置・入院は人道上の問題としても、それなら帰れ!
海上で漂流する遭難者を助けるのは
各国に共通した事だけれど。
遭難者が体力回復した後の生活の面倒なんざ救助した船舶や船長に関係ないですよね?
お前はロボットだよ!
生体ロボットとして肉体労働で稼ぎに来たんだろう。金で承知で来たはず。自己責任で。人間に戻りたいならガーナに帰れ!!
今更放り出すのも、という意見は出てくるんでしょうけれど、支援者に利用されているだけなので、さっさと帰国させてあげて欲しいですね。
自国で支援して貰うと良いと思います。
>「国民健康保険」なのだから、国民以外を含んではいけない。
ごもっとも。
日本国憲法は、国民主権を憲法3大原則の1つに位置づけているので、
国民ではない、外国籍への国保付与には”憲法違反”の疑いが濃厚です。
外国籍には、「海外傷害旅行保険」を自己負担させれば済むことです。
自分が海外へ行くときは、常に「海外傷害旅行保険」に加入しています。
いつもこう説明していますが、反論できた人はいません。
このあたりは裁判でもハッキリ出ていますから、外国人を殊更優遇する必要はないし、システムの安定性を害するような部分はさっさと切除すべきでしょう。
本当に、外国の方には保険に入って頂くようにしないと、と思いますよ。
こんにちは。
そもそもが「国民」とうたっているのですから。
旅行者には、一時的に支払いを免除はあっても、パスポートベースでおっかけて、個人がダメなら相手国に払わせるようにしないとダメだと思いますね。
つか、そうでもしないと「国民」が納得しない。
私は納得しません。
こんにちは。
結局のところ、政策に対する納得感なんですよね。
外国人が増えてきた以上は、別建てで制度を設計し直さないとダメだと思っています。