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ニューヨーク連邦地裁、支那企業の元幹部に麻薬密輸の罪で有罪判決

北米ニュース
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ふむ。

合成麻薬「フェンタニル」の原料密輸、中国企業幹部に拘禁25年 米

2025年9月20日 10:27

米ニューヨーク連邦地方裁判所は19日、同国に合成麻薬「フェンタニル」の原料を密輸したとして、中国企業の元幹部に拘禁25年の実刑判決を言い渡した。司法省が同日発表した。

AFPより

罪を犯せば裁かれるが道理である。

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アメリカの本気を感じる判決

麻薬戦争の一端

このブログでもフェンタニル絡みの記事は幾つも書いている。トランプ氏が再び政権の座に返り咲いてから、積極的に力を入れている分野でもあるね。

それほどまでに、アメリカでは麻薬被害が深刻であり、アメリカ経済の立て直しやアメリカ社会を安定化させる上でも、麻薬撲滅は重要な政策の1つなのだ。

だから、本件も多数あるうちの訴訟の1件に過ぎない話だとは思う。

麻薬取締局(DEA)のテランス・コール長官は声明で、「これらの幹部は、中国の化学品メーカーを毒物の供給経路と化し、フェンタニルの前駆体数百キロを日用品に偽装して米国に持ち込み、暗号通貨で利益を得ていた」と述べた。

王被告と陳被告は、米国にフェンタニルの原料を密輸したとして2023年6月に司法省に起訴された中国人8人と中国企業4社の一部。

AFPより

こういった地道な取り組みで、多少なりとも被害を抑えることに繋がっている。

初の「密売」理由での起訴

意外なことに、本件は密売を問う初の起訴であったようで。

フェンタニルを密売した罪で起訴したのはこれが初めてで、米国で発見されるフェンタニルの大部分の原産地であるメキシコへの輸送ではなく、米国内での密売を理由としていた。

AFPより

これはどういうことだろうか?

実は、アメリカ司法当局はこれまで、支那企業や個人に対しては 「規制薬物の前駆体(原料)を違法に米国へ輸出した罪」 での起訴が中心だった。これは、アメリカに輸入する際に水際作戦で実物を抑えることが可能である点と、積み荷の関連書類を証拠として採用することが容易だからである。

例えば、輸入品と書類に記載される荷物の品目が異なれば、密輸は簡単に立証できる。そして、その証拠品を取り扱っている業者に突きつけて、責任者を追求しやすい。

ところが、密売を立証することは意外に困難なのだ。支那国内で活動していた企業や幹部を、アメリカの刑法の「密売罪」で裁くには、アメリカ国内に薬物を持ち込み流通させたことが直接証明される必要があるためだ。

実際のところ、麻薬取り締まりの為の法律で、単純所持や販売で罪に問う方が簡単だし、密輸を適用するのも容易である。ここで敢えて密売罪を適用したのは、その方が重い罪を適用可能だからだろうと思われる。

反論の意図

というわけで、支那企業は無事に有罪判決を受けたわけだが。

2023年6月に中国人と中国企業が起訴されたことを受け、中国政府は米国に抗議した。

中国外務省は当時、「これは完全に違法であり、中国国民と中国企業の基本的人権を甚だしい侵害するものだ」「中国はこれを強く非難する」と述べた。

AFPより

これがなかなかの詭弁である。密売の適用の難しさの1つに、支那で前駆体を生産してアメリカやメキシコに持ち込み、現地でフェンタニルを合成して流通させるというやり方がある。

実際には、フェンタニル前駆体となる化学物質は、他の用途に使うことを排除しにくい他、化学式を容易に変更可能なので取り締まりが難しいという実情と、得れば金になるのだからという支那側の思惑があって十分に取り締まられていないのだ。

「フェンタニルの前駆体数百キロを日用品に偽装」とあるので、違法に流通する意図を認定したのだと考えられ、単純に売るのではなくて日用品に偽装したということは、後にフェンタニルに加工されることを想定したと理解できるというわけだ。

そして、組織的関与も認定したと。容疑者は「フェンタニルの前駆体の密輸とマネーロンダリング(資金洗浄)の罪で有罪判決」を受けていたが、更に追加で密売も認定されたわけだ。

アメリカとしてはこれで拠点となっていた支那企業の1つを潰したことになり、それなりに大きな成果を得たと理解していいだろう。「もっと、徹底的に叩くぜ」という意思表示だからね。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    7/15に米司法省とDEAは、今年上半期に4400万錠のフェンタニルと4500ポンド(約2トン)のフェンタニル粉末、65000ポンド(約30トン)のメタンフェタミン、201500ポンド(約90トン)のコカインを押収したと発表しました。
    https://shorturl.at/QraMB

    9/15にトランプ大統領は新たな大統領令の中で、支那を世界最大のフェンタニル化学物質”供給源”と名指しました。
    https://shorturl.at/4Gwlx

    同時に、インド、メキシコ、パナマ、ベネズエラ等22カ国も麻薬関連国に指定しました。日本がリストから外されていますが、これはヘンですね。

    最近聞いた話では、DEAは武漢FIRSKYが日本に設立した小会社を隠れ蓑にメキシコへフェンタニル前駆体を大量に密輸出していた件について、独自調査を開始したそうです。
    これは私見ですが、トランプ政権は日本政府の関与ー黙認や間接支援ーについて関心を持っているものとみています。

    • 木霊 木霊 より:

      着実に成果を上げているようですね。
      ただ、根本的な解決に向かっているのかはよく分かりません。

      日本が疑われているのは間違いないので、何らかの対処を考えたほうが良さそうです。
      ここは恩を売れるシーンですし。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    アメリカ、良くも悪くもバイデン政権時代の膿を出す方向かなって思います。
    それだけじゃない、それで済むわけもない、とも思いますが。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      トランプ政権は実に過激ですからね。
      壊さないように乗り切れるかどうか。いや、壊してでも形を直したいのかも知れませんね。