あっはっは。
韓国の対米エネルギー投資31兆円 トランプ大統領が発表、米中間選挙へ実績アピール
2026/10/1 10:15
トランプ米大統領は9月30日、韓国が米国との関税合意に基づく対米投資の一環として、エネルギー分野のインフラ整備に最大2000億ドル(約31兆円)を投じると発表した。投資先は11月の米中間選挙の上院選で接戦が報じられている州が目立ち、トランプ政権の経済政策の実績をアピールする狙いがあるとみられる。
産経新聞より
記事の内容的にはトランプ氏が自信の実績を誇って、選挙に利用しようとする様子が書かれている。
それは事実なんだろうね。
でも、韓国側の立場を考えると、「トランプ氏がまた何か言っているよ」と流してしまうわけにもいかない話だと思う。
投資よりも関税引き上げが怖い
本当は苦しい対米投資
過去に何度か触れているので、韓国経済が結構危うい話は周知であると思う。

前回は、対米投資担当だった投資本部長が辞任してしまった話を紹介した。
当然ながら、韓国は「どのように対米投資を推進していくか」で、今まさに現在進行形で悩んでいる最中である。
で、アメリカ側から「韓国から31兆円分投資して貰える」と発表されちゃったからたまらない。
発表には、アラスカ州の液化天然ガス(LNG)事業への500億ドル超の投資も含まれた。韓国政府は採算面から慎重な姿勢を崩していないとされ、韓国メディアは1日「一方的に発表した」と報じた上で「中間選挙支援のために利用した」との見方を伝えている。
産経新聞「韓国の対米エネルギー投資31兆円~」より
韓国メディアも震え声で擁護するような有様に見えるが、実際、韓国政府としても心中穏やかではあるまい。
特に問題なのが、アメリカ側が発表した投資内容の中に、韓国側が採算面から慎重になっている案件まで含まれていることだ。
時間稼ぎが裏目に出る
今年の初めに扱った記事だが、実は韓国は対米投資を決めたにもかかわらず、全く話を前に進めていなかった。

で、アメリカから「未だなのか」と催促されることになる。
2025年の「大交渉」の結果、合意出来た内容を再掲載しておこう。
- 関税に関する合意
- 相互関税の引き下げ: 当初予告された25%の相互関税(IEEPAに基づく)を15%に引き下げ(日本やEUと同等の水準に)
- 自動車・部品関税: 自動車および同部品への関税も、25%から15%へと引き下げ
- 特定品目の関税撤廃・上限: 航空機部品やジェネリック医薬品の関税を撤廃。また、木材製品や医薬品、将来的な半導体の関税も最大15%を上限とする決定
- 韓国側による大規模投資と購入
- 3,500億ドルの対米投資: 今後数年間で計3,500億ドルの投資(造船、エネルギー、半導体、AI、量子コンピューティングなどの戦略産業)
- 投資の主導権: この投資プロジェクトの選定権は米国側(トランプ大統領)が持ち、韓国は資金を拠出する
- エネルギー購入: 2028年までに、LNG(液化天然ガス)を含む米国産エネルギー製品を1,000億ドル分購入
- 非関税障壁の撤廃と市場開放
- 自動車輸入規制の緩和: 米国基準の自動車を韓国へ輸出する際の年間上限(5万台)が撤廃
- デジタル・農業分野: デジタルサービスに関するデータのクロスボーダー移転の円滑化や、米国産農産物(バイオテクノロジー製品等)の承認プロセス簡素化などが盛り込まれる
- 安全保障協力の強化
- 原子力潜水艦の共同建造: 貿易交渉と並行して、原子力潜水艦の共同建造計画に関する協議が進められるなど、防衛協力の深化もパッケージに含まれた
韓国大統領の李在明氏(ミョンミョン)の成果だと喧伝されたこの合意だが、しかし中身のパッケージを見るとかなり苦しい。
米韓首脳が会談、関税交渉めぐり投資の中身で合意 現金で2千億ドル
2025年10月29日 23時10分
トランプ米大統領と韓国の李在明大統領が29日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる韓国・慶州で会談した。
~~略~~
韓国大統領府によると、3500億ドルのうち2千億ドルは米国が求めていた現金による投資とする一方、200億ドルの年間投資上限を導入することで、資金流出による韓国経済への打撃を抑える。トランプ氏は李氏との会談後、記者団に「ほぼ最終決定した」と述べた。
朝日新聞より
特に投資額の部分は苦しく、ミョンミョンは、流石に3,500億ドルを一括で投資するなんてことは出来ない。
だから、なんとか「年間200億ドル」という投資上限の約束を取り付けた。「最大で200億ドル迄だよ」というわけだ。
実際、大規模投資は韓国経済に打撃を与えかねないからね。
上限はあっても下限はない!
ここが、今回の話を考える上で結構重要なところだ。
ミョンミョンとしては、「最大でも年間200億ドル」という約束なのだから、最低なら0ドルでもいいよね? くらいのつもりだったのかもしれない。
ところが、アメリカ側からすれば「年間200億ドルまで投資できる」という話ではなく、「年間200億ドルの投資を進める」という話として扱われているようだ。
そのため、韓国側がなかなか投資を進めないことに対して、アメリカ側が「上限一杯まで振り込め」と迫ってきている状況になっている。
米国による前払い現金送金の要求が韓国の投資覚書締結を頓挫させる
2026年9月17日 11:38:11
関係者によると、米国は韓国に対し、年間投資額の約半分を今年末までに現金で送金するよう要求しており、この土壇場での条件が、初の投資覚書の署名と発表を頓挫させたという。ワシントンは、具体的な投資先やプロジェクトごとの配分額がまだ確定していないにもかかわらず、ソウルに対し、今年中に13兆ウォン(95億ドル)以上を前払いするよう圧力をかけた。
mbizより
9月のこの記事は、アメリカ側がしびれを切らしてきたことを示す材料である。これでも「約半分」と手心を加えて貰っているんだけどね。
そして、実際にこの頃までに現金は全く送金されていなかったことを意味する。
探してみたが、韓国がアメリカに現金を送金した事例はこちらが最初のようだ。
韓米戦略投資合意の発表直後に24億ドル送金…テキサスLNG事業に着手
2026-10-01 12:35
トランプ米大統領が韓米間の対米戦略投資合意を公式発表した直後、韓国側が最初の投資金24億ドル(約3,800億円)を送金した。
Financeより
ようやく捻出した24億ドルを送金し、アメリカからは「残り76億ドルも早く」と言われている状況だ。
この記事では、もうちょっと前に送金は決まっていたけど、発表が遅れちゃったと説明されているが、本当かどうかは疑わしい。
前も言及しているのだが、韓国としては手持ちのドル(外貨準備高など)を減らすのは極力避けたい。これは、通貨市場や株式市場への影響のこともあるし、経済の安定性に関わる話だからだ。
将来的には民間からの投資
なお、韓国に対米投資をする気がない、というわけではない。本音は投資したいと思っている分野もあるのだろう。
韓国が米でガス火力発電建設 50兆円投資で第1号事業、原発8基も協議
2026年9月22日 16:19
韓国政府は総額3500億ドル(約53兆円)規模の対米投資の第1号案件として、米南部テキサス州にガス火力発電所を建設する事業を選定した。22日、韓国メディアが報じた。
日本経済新聞より
今は原子力発電やガス火力発電などに目を向けていて、これについて推進していく予定は出している。原子力発電は、ウエスティングハウスの権利との関係があるので、アメリカ以外に輸出するよりもアメリカ国内で原子炉を作った方がまだマシなのだ。
が、いずれにせよ現時点では覚書(MOU)の状態である。
ちょっと極論すれば、「とりあえず、口約束だけやっておけ」くらいの位置づけである。いや、これは韓国限定の話で、他国にとってはそこまで軽いものではない。が、MOUの段階で発表することは控える傾向にあるのが、一般的である。
実際の契約はこれからで、韓国政府としては自分たちが出すのではなくて、民間企業から投資をするんだというスタンスでいるようだね。
それにもかかわらず、今回のように「31兆円の投資」と大々的に発表されたので、具体的に進めることを求められているという理解の方が正しそうだ。
まとめ
今回の「31兆円投資」を、トランプ氏の中間選挙対策として発表されたものと見ること自体は、間違いとまでは言えない。
ただ、その背景には、2025年に対米投資を約束したにもかかわらず、なかなか具体的な投資を進められない韓国政府に対する、アメリカ側の焦れがある。
要するに、「いい加減、振り込んでくれ。約束したじゃないか」という話でもある。
米韓両政府で2025年10月に約束した総額3,500億ドルの対米投資という大きな話が動き出していない状況で、韓国は次第に追い詰められつつある。



コメント
デフォルトからのハイパーインフレに成ってもアメリカのせいだと言えるから良かったのでは
IMFも日本も助けないけど
日本への対抗意識だけで、見栄張って3500億ドルで”合意した”(?)
当時もそんな議論がたくさんあった。
米国政府からファクトシートを公開されているから、ウクライナと捕虜の取り扱いで揉めるような素人外交も出来ないね。