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今さら「脱原発は失敗」? ドイツが原発を捨てた後に気づいた現実

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北欧ニュース
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今さらかーい。

ドイツのメルツ首相「脱原発は重大な失敗」と批判 電気代が高止まり、産業界に根強い不満

2026/1/16 06:42

ドイツのメルツ首相は14日、東部ハレでの会合で、2011年の東京電力福島第1原発事故後にドイツが進めた脱原発政策を「重大な戦略的失敗だ」と批判した。同国のメディアが15日報じた。ドイツでは電気代が高止まりし、産業界で高コストへの不満が根強い。

産経新聞より

イタリアも電力で苦しんでいるが、当然のようにドイツも例外ではない。で?廃止した原発を復活させるの?そんなことできるのかね。

ドイツでも原発復活か

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電気料金の高いドイツ

ドイツの電気問題は過去にも触れている。

この時は火力発電からの脱却を見直すという話だった。が、今年の始めにこんなテロが発生してしまう。

いちいち、テロリストの言い分を真に受けていたら、何の政策も進まない。テロリストは火力発電がイヤだってことのようだけれど、ドイツにとってその意見を受け入れるわけにもいかない。

そもそも、テロリストと交渉してはいけないのだ。

とはいえ、欧州全体で二酸化炭素を悪者にしている関係もあって、ドイツとしても「じゃあ、褐炭燃やすわ」とは言えないのである。

で、エネルギー戦略を見直す流れに。

メルツ氏は「許容できる価格で再びエネルギーを生産したいが、不可能だ」と指摘。23年に発電を停止した最後の原子炉3基について「稼働させておくべきだった。そうすれば当時と同じ発電能力を確保できた」と嘆いた。 その上で「世界中で最もコストのかかるエネルギーの転換を進めている。ドイツほど困難でコストのかかる取り組みをしている国は他に知らない」と強調。エネルギー生産能力が不足しているとして、発電設備の整備を急ぐ考えを示した。

産経新聞「ドイツのメルツ首相「脱原発は重大な失敗」と批判~」より

えー、出来るの?

技術的に云々ということではなく、政治的に、社会的に実現性が薄いと思う。

メルツ氏の指導力が問われる

そもそも、過去に「既に終わった」とか言っていなかったっけ??

ついに「経済大国ドイツ」の崩壊が始まった…「脱原発→欧州一の電力貧乏」に落ちぶれたショルツ政権の大誤算

2025/01/20 16:00

再生可能エネルギーを推進している人たちは、「太陽は請求書を送ってこない」とか、「風はヨーロッパのどこかで必ず吹いているから確実、しかもタダ」などと言っているが、どちらも正しくない。

ドイツの原発や火力発電がちゃんと動いていたころ、国内電力市場での1MWhのスポット価格は40~60ユーロだった。それが今では100~150ユーロと高止まりになっている。それどころか、11月6日午後には、一時的に820ユーロに跳ね上がり、さらに12月13日には936ユーロ(15万円)と新記録を樹立〔欧州卸電力取引所(EPEX)の公表〕。誰が見ても異常な値動きだ。

PRESIDENT Onlineより

ドイツが何故、反原発に邁進して、そこからまた意見を変えたのか?に関しては色々な分析があるのだが、メルケル氏が暗躍したにせよ、脱原発はドイツの国民的合意だったはずだ。

しかしそうやって廃炉に追い込んだ原発政策を、後から政治的決断でひっくり返すのはかなり困難を伴う。

ドイツ首相にメルツ氏、首相指名選挙で否決され異例の2回目投票で選出

2025年05月08日

ドイツ連邦議会(下院)で5月6日、首相指名選挙が行われ、キリスト教民主同盟(CDU)党首のフリードリヒ・メルツ氏が2回目の投票で過半数を得て、新首相に選出された。

投票は秘密選挙で行われ、首相選出には連邦議員630人の過半数の316票以上の賛成票が必要なところ、同日午前に行われた1回目の投票では、投票621票中賛成310票で過半数に届かず、否決された。前日の5月5日には、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が連立協定に署名し、メルツ氏の首相選出が確実視されていただけに、異例の事態に混乱が広がった。

JETROより

現政権誕生の際にも一悶着があったが、未だ安定した政権とは言い難いのがメルツ政権で、強引にエネルギー戦略を路線変更することは困難である。

まとめ

年明けのテロなども踏まえると、ドイツのエネルギー政策の転換というのは極めて困難の伴う仕事だと思われるので、多分、数年後も「まだ言ってるの?それ」という状態のままだろう。

一度走り出してしまった脱原発政策にブレーキを掛けて、方向転換するには途方もない政治コストが必要になる。

追記

コメントにも頂いたが、この記事を構成するときに調べていた事項について少し触れておきたい。

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急ごしらえのLNG貯蔵施設

ドイツは、ウクライナ侵攻による影響がハッキリした段階で、急造でLNG貯蓄施設をでっちあげている。

ハンブルク港にグリーンアンモニア輸入設備の建設決定、浮体式LNG基地も完了

2022年11月29日

ドイツの経済・気候保護省とハンブルク港、米国産業ガス大手エアープロダクツ、ドイツのエネルギー企業マバナフトの4者は11月17日、ハンブルク港でのグリーンアンモニア(注)の輸入ターミナル建設決定を発表した。同ターミナルはドイツ国内で初の水素やアンモニアなどの水素派生物の輸入ターミナル。水素の導入促進を大きく後押しし、気候保護を強化することが期待される。

~~略~~

ドイツで建設中の浮体式LNG(液化天然ガス)貯蔵・再ガス化設備(FSRU)6隻のうち1隻目が11月15日、ウィルヘルムスハーフェン市に完成した。稼働開始は2022年末の予定。FSRU6隻で年間ガス需要の約3分の1を満たす(2022年9月13日記事参照)。一方、連邦政府はLNG利用は一時的で、環境目的を達成するため、将来的にLNG用のインフラは水素用に転用する計画だ。2043年末以降も稼働するLNG設備は水素とその派生物用となる。

JETROより

当時のドイツ政府は「一時的利用だ」と断りを入れたが、その「一時的」が結構長い期間になることは明らかにはしなかった。

浮体式LNG貯蔵施設といっているが、LNG輸送船(FSRU(Floating Storage and Regasification Unit:浮体式LNG貯蔵再ガス化設備))をリースで借り受けて複数係留した感じの急造施設である。そして、これ、一部が韓国製なんだよね。それが関係しているかどうかは不明だが、インフラ整備の遅延や事業者間の契約紛争により、稼働開始が2026年第2四半期までずれ込んでいる。

平行して陸上の固定式ターミナルの建設も急いでいるようだが、こちらも将来的に液化水素などを扱う「水素レディ」であるというおかしな条件を課しているために進みが悪い。

LNG火力発電所の建造

こういったLNG供給施設の整備の遅れの一方で、LNG火力発電所の建造も急がれている。

欧州委員会はドイツの新たなガスエネルギー容量計画を暫定的に承認した。

2026年1月16日

ドイツ政策によると、ドイツ連邦政府は、新たなガスエネルギー能力を支援するための一般システムについて欧州委員会と予備的合意に達したと発表した。

同国経済省によれば、12GWの新規設備の建設に関する入札が今年発表される予定で、これには2031年までに稼働開始が見込まれる近代的なディスパッチガス発電所の建設と、一部の既存施設の目標とする再建または拡張の両方が含まれる。

GMK Centerより

ややこしいドイツの政治体制によって、「環境に配慮した」という足枷がはめられているため、なかなか前に進まないのがドイツのエネルギー政策なのである。

苦しむのはドイツ国民なのだが、この方針を選んだのもドイツ国民の選択なので仕方がない。そして、皮肉なのは「ドイツのための選択肢:AfD」という政党があって、極右政党だと言われているんだけど……、これが日本の参政党の如くロシア寄りの思想なんだよね。

選択肢はそれしかないのか!と突っ込みたくなるような惨状である。

コメント

  1. 軍事オタクより より:

    確かドイツはフランスに電気を買ってるはず
    そのフランスは原発がかなりありますね
    二酸化炭素排出を減らすにはどうしても原発が必要です
    失われた技術を取り戻すだけでかなり時間がかなりかかりそうですね

    • 木霊 木霊 より:

      確かにドイツはフランスから電力を買っているんですが、安く買えるわけでないのが困った話。
      ドイツはフランスに電力を買って貰っている上で、必要な時に電力を買うという状況なんですが、常に安定的に発電できているフランスとは違って、調整しなければならないドイツの方はどうしてもコストが高くなります。
      太陽光発電の電力は安く買いたたかれ、場所によっては売るとマイナスになるという……。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ドイツって、「ドイツの科学は世界一ィ!」って印象に背して、かなり重度の『バカ』なんですよね。
    バカというか、パラノイアというか。

    『 ドイツの兵器
    「こうするしかなかったのはわかるが、そこまでしてやる理由がわからない」』

    これにつきるわけですが、どうも彼らは、二歩三歩先を見るということが種族的に出来ない人種のようです。
    さすがはアーリア人種!そこにシビr(ry

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ドイツは重病人に逆戻りです。
      それも自ら不摂生(原発廃止)した結果ですから……。

  3. 砂漠の男 より:

    ドイツのいまの電気料金には乾いた笑いしかないし、メルツ首相は現行の電力政策に大分キレているようにみえますね。

    最近の報道によると、メルツ政権は一念発起して、LNG火力発電所の建設を決定したそうです。同時に、EU委員会の金科玉条である脱CO2政策に沿って、”水素を燃やす”火力発電所に転換していく方針だとか。
    https://shorturl.at/7iE2j

    • 木霊 木霊 より:

      確かに、乾いた笑いしか出ませんね。
      示唆頂いたニュースの参考になるかわかりませんが、追記で少し補足させて頂いております。