ドイツ、マジか。
太陽光発電の供給過剰で、電力価格がマイナスになるのに、それでも太陽光発電を推進しているのが、ドイツの現状だ。
ドイツでは太陽光発電の余剰電力価格がさらにマイナスになる見込み
2026年5月19日 | 13:54
アナリストらはモンテルに対し、ドイツでは再生可能エネルギーの供給過剰と需要低迷の時期に、5月1日に見られたマイナス499.99ユーロ/MWhのようなマイナスの電力価格がさらに発生する可能性が高く、状況によっては送電網事業者にとって課題となる可能性があると述べた。
montel NEWSより
この記事は会員限定で、これ以上の内容は読めないのだけれど、過去にもこんな話はあったので、少し整理していこう。
ドイツの電気料金も問題だが、ドイツだけの問題ではない
逆ザヤ問題は深刻
先ずは、関連記事を引用しよう。
ドイツ政府、太陽光発電への補填を制限へ…マイナスの卸売価格が頻発し、負担が急増
Oct 30, 2024, 10:30 AM
ドイツでは、太陽光エネルギーの供給過剰で政府の負担が増えたため、新たな法律を制定して国内の太陽光発電業者への補助金を制限しようとしているとブルームバーグが報じた。
記事では、エネルギーが定められた最低価格を下回った場合に、補助金を受け取る業者を制限するという新たな施策を引用している。電力の卸売価格がマイナス圏まで落ち込むことが頻繁に発生しており、補助金はドイツにとって問題になっている。
BUSINESS INSIDERより
ドイツでは国内の総発電量に占める太陽光発電のシェアが18%を超えたそうで、その裏で不都合な真実も進行しているという状態である。
【ドイツ】太陽光、第2の電源に 25年のシェア18%
2026年01月08日17時13分配信
ドイツ太陽光産業連盟は5日、国内の2025年の総発電量に占める太陽光発電の割合が過去最高の18%となり、27%の風力発電に次ぐ電源となったと発表した。16%の天然ガス火力、14%の褐炭火力を抜いた。
時事通信より
で、膨大な国内の太陽光発電を抱えていて、更に増やそうとしている。
連盟によると、ドイツ国内の太陽光発電システムは550万カ所以上。25年の発電量は87テラワット時で、前年の72テラワット時から増えた。ただ、連盟は30年までに太陽光発電設備の設置容量を215ギガワットにするという政府目標の達成には、現在の太陽光発電の伸び幅では不十分との見方を示した。
時事通信「【ドイツ】太陽光、第2の電源に~」より
およそ正気とは思えないんだが、これでも成り立っちゃうらしいんだな。
そもそも、FIT制度では発電事業者に一定価格での買い取り保証が付いている。そのため、供給過剰で市場価格が暴落しても、電力会社側は高値買い取りを続ける構造になる。
結果として、「高値で仕入れた電力を、安値、場合によってはマイナス価格で市場に流す」という逆ザヤ状態が発生する。
それが2024年には頻発して問題視されていたのだが、2026年になった今もまだ困った状況が続いているという。
系統蓄電池という新たな支那依存
こうした問題の解決の一助として、系統電池と呼ばれる大型の蓄電池ステーションを増やそうとしている。
けれど、太陽光パネルの世界シェアは支那が8割を抱えていて、系統蓄電池もまた大半が支那製なんだよね。電力需給バランスの解決を図る意味では系統蓄電池を増やす意味はあるんだろうけど、安全保障政策的には寧ろマイナスである。
中国のグリーンテクノロジーへの依存はヨーロッパにとって「深刻な」リスクをもたらすと専門家は指摘する。
2026年4月29日(水) 15:49 BST
専門家によると、ヨーロッパは中国のグリーンテクノロジーへの過度の依存のために、経済と国家安全保障上の問題に「夢遊病者のように」陥りつつある。
~~略~~
報告書によると、ヨーロッパは中国のグリーンテクノロジーに大きく依存しており、中国はヨーロッパ大陸の太陽光パネルの98%、スマートフォン、電気自動車、大規模エネルギー貯蔵に使用されるリチウムイオン電池の輸入量の88%、再生可能エネルギーを電力網に統合するインバーターの輸入量の61%を供給している。
The Guardianより
系統蓄電池の話を話だけではないんだけど、蓄電池の大半が支那製である事実が伝われば良いと思う。
大規模蓄電設備は、セルだけでなく制御系統や通信機能も含めて運用される。ところがそこがブラックボックス化されて、遠隔でON/OFFが出来るのではないか?という疑念が指摘されるようになっている。それが杞憂ならば良いが、安全保障的には極めて危険な話である。それでも、分かっていながら見えている地雷を踏みにいっているのがドイツなのだ。
国民の税金で補填
興味深いのは、卸売市場でマイナス価格が頻発しているにもかかわらず、一般家庭の電気料金は高止まりしている点である。
ヨーロッパでマイナスのエネルギー価格が常態化する理由とは
Sep 3, 2024, 9:00 AM
ヨーロッパのエネルギー価格は、マイナス圏で取引されることが多くなってきている。太陽光と風力による発電量が好調なためだ。
~~略~~
そうではなく、前日入札に関係があるのは純粋なエネルギー価格だ。市場で価格がマイナスになるのは、電力の需要と供給のバランスが取れていないことを示すシグナルであり、太陽光と風力による発電量がともに多い時に起こる。
BUSINESS INSIDERより
ヨーロッパでは旺盛な再エネ需要があるけど、その実態は電力需給バランスの崩れを更に助長していくという困った状況にある。
そして、一般家庭の電気料金が安いかというと、そんなことはないのだ。

2022年以降の電力価格が高騰しているのは、ロシアのウクライナ侵攻の影響であり、ロシアから天然ガス輸入を取りやめたことが影響している。でその状況が続いており、去年のドイツの一般家庭における電気料金は約45円/kWhで、同時期の日本の電気料金は30~35円/kWh前後だったので、1.5倍程度という印象。
なお、イギリスは約50円/kWh、デンマークは約70円/kWhと、ドイツよりも悲惨なので、ヨーロッパ全土の傾向なんだけどね。
ともあれ、再エネ推進して電力は余っていても、一般家庭の電気料金は下がらない。それどころか、もっと再エネを推進しようとしている。その様には、狂気を感じるね。
プラグインソーラーの闇
でまあ、制度的に怪しい状況だから、一般家庭はどうしているかと言うと……。
プラグインソーラーがドイツで急拡大: 日本での普及のカギは
2026/04/28
「プラグインソーラー」が、価格の安さや、取り付けやすさなどからドイツの家庭で人気を博している。出力は約800Wと小規模だが、利用者の電力消費への意識が高まり、スマートメーターや屋根上太陽光発電などの導入につながる火付け役にもなっている。ドイツ以外の欧州や米国の一部でも、じわりと広がりを見せる中、日本での普及のカギを専門家に聞いた。
alternaより
酷い話ではあるが、自己防衛しているようだ。
プラグインソーラーとは、太陽光パネル1~4枚、マイクロインバーター(直流電力を交流電力に変換する、安全機能を備えた電力変換装置)、プラグ付きケーブル、架台(手すり用の取り付け装置など)で構成される。要は、設置が簡単で、高い電気料金に悩まされずに済む時間を減らそうという防衛策といえる。
屋根に置くよりメンテナンス性という意味ではマシかもしれないけれど、逆潮流リスク、高圧リスクなどあるので、正直安全性はやや疑わしいとは思う。ドイツでは流石に政府で推進するために色々安全性に留意しているようだけれど。
ドイツ政府もプラグインソーラーの普及を後押ししており、他の太陽光発電システムと同様に付加価値税は免除した。加えて法制度上、マンションの所有者だけでなく賃借人にもプラグインソーラーをバルコニーに設置する権利を与えた。賃借人は、引っ越しの際にプラグインソーラーを取り外して持っていくことができる。
alterna「プラグインソーラーがドイツで急拡大~」より
卸売市場の歪みは税金で補填する。一方で、高止まりした電気料金への対応は、家庭側に「自家発電で防衛せよ」と推進する。制度の歪みのコストを、最終的に国民へ転嫁している構図に見える。
なお、概ね支那から輸入している模様。
これをこの政策を主導しているのが、与党に食い込んでいる緑の党である。どうしようもないねぇ。
まとめ
こういった状況から、ドイツでは電力事業者の最低価格保障をつけて、これを税金から支払う構造になっているのだとか。日本も再エネ賦課金という頭のおかしい制度を維持しているので、他人事ではないんだけどね。
ドイツのおかしな政策を批判したら、ブーメランで帰ってくるような記事になってしまった。
この様な制度の歪みの根本的な部分は、二酸化炭素排出量削減と再エネ推進をリンクさせて、それを「正義」と定義づけてしまったところにある。
だが、本気で再エネ推進は世界中で見直していく必要があると思うよ。経済発展の足を引っ張るだけだから。
二酸化炭素排出量削減目標なんて排出量トップ5が完全に無視している制度なので、何の意味もないという現実に、そろそろ気がつこうよ。各国国民に金額負担を押し付けていい話じゃない。



コメント