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ホットなニュースといえば、米イラン合意の発効で、これによって株式相場も随分元気な様子。当然、扱うべきニュースだとは思うんだ。
米イラン合意、発効 トランプ氏署名、「全て達成」―海峡通過60日通航料なし
2026年06月18日08時58分
トランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領は17日、両国の戦闘終結を定めた覚書に署名した。
時事通信より
でも、形式上は合意したことになったのだけれど、個人的には事態収拾に向かっているようには見えない。厄介な話である。
交渉はこれから
何が変わるのか
何度か目の「停戦合意」のニュースだが、今回はイラン大統領のペゼシュキアン氏が署名した。

4月の時には署名に至る前に卓袱台返しがあったので、前回よりは一歩先に進めたという評価ではあるんだけど、このブログで散々指摘してきたように、本丸は革命防衛隊(IRGC)である。
ここで、現状把握できている、イランの抱える問題を今一度整理してみよう。
- 統治の破綻|責任者と実権者のねじれ
- イランは国家としての機能が西側のそれとは異なるルールで出来上がっていて、権力の二重構造化による外交の弊害を抱えている
- 実権を握っているのは革命防衛隊(IRGC)であり、ほぼマフィアなので話は通じない
- 経済の破綻|ハイパーインフレと資金枯渇
- 実質GDP成長率はマイナス6.1%
- 物価上昇率は約69%で、激しいインフレと物資不足に喘いでいる
- 環境・生存の破綻|命を脅かす「水破産」
- 戦闘で海水淡水化施設などが破損
- テヘランの主要ダムの貯水率が一時期10%前後まで落ち込み、現在は回復しているようだが慢性的な水不足ではあるようだ
- 安全保障の破綻|イスラエルの脅威と「抵抗の軸」の崩壊
- イスラエルは今回の合意に関して従うつもりは無い
- 周辺の武装組織(ヒズボラなど)の弱体化によって、イランの影響力低下
現状のイランは、お金も水も無い深刻な状況なので、取りあえずの停戦には合意した、それが現実なのである。
60日の停戦
現時点で決まっていることは、以下の通り。
米当局者によれば、バンス米副大統領とイランのガリバフ国会議長が14日に覚書に電子署名したが、トランプ氏は立ち会うにとどまっていた。19日の署名式を待って発効する当初の段取りを早めるため、トランプ氏が滞在先のパリ郊外で署名した。バンス、ガリバフ両氏は19日にもスイスで会合を開き、核放棄や対イラン制裁の緩和などを巡る「最終合意」を目指し60日間の交渉に入る。
時事通信「米イラン合意、発効~」より
実は、「停戦合意」に至った後、60日間の交渉を経て「最終合意」を目指すというのが現在地である。

水不足の話は以前も指摘したが、イランの水不足は未だに解消の糸口が見えない状態らしい。
首都テヘランは、それでも平常運転みたいだけれど。

数字で確認できるのは、為替レートで、現在は1ドル=約137万リアルなんだとか。1年前は1ドル=4万1600リアルだったので、随分と暴落している様子が分かる。

こんな状況なので、グラフは余り参考にならないね。
水不足と地盤沈下
もう1つ気になる情報は、イランの農業について。
イランの地下水危機と地盤沈下が深刻化
2024年5月11日
イランの大部分は、地下水の減少と地盤沈下の影響を受けている。これは、マフムード・ハグシェナス・ハギギ氏とマフディ・モタグ氏による研究で明らかになり、この研究は科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載されたばかりだ。ハノーバー・ライプニッツ大学とドイツ地球科学研究センター(GFZ)の2人の著者は、レーダー衛星のデータを評価し、地盤沈下の程度を定量化した。地質図、地下水貯留層に関する情報、GRACE衛星ミッションのデータとの比較から、憂慮すべき傾向が明らかになった。イランの多くの州では、地下水貯留層の不可逆的な枯渇と損傷のリスクが高まっており、中には永久的な喪失に直面する可能性のある州もある。
Gfzより

報じているメディアは少ないが、地下水のくみ上げによるシンクホールの発生と塩害の発生は、イランでもかなり問題になっている。
水問題は、農地問題にも発展してきている。
結局のところ、イランの政治そのものに問題があるんだよね。
乱開発の要因
そして、これは以前の水不足の話の時に触れたのだけれど、革命防衛隊(IRGC)の存在が少なからず影響している。

ここでは、こんな風にまとめている。
- 水危機は自然災害ではなく政策失敗
- IRGCがダム建設や水利権に関与
- 水マフィア化している
- 農村崩壊やインフレを招いている
- 国家基盤そのものが干上がりつつある
で、大統領やイラン政府にはこれをコントロールすることが難しいよという結論に至っていた。
ところが、今回の合意の裏にはイラン国会議長のモハンマドバゲル・ガリバフ氏の存在があるといい、冒頭引用した時事通信にも登場している。「裏」ではなく、表の方に出てきているんだよね。
停戦協議のイラン側キーマンにガリバフ国会議長、指導部排除進む中で浮上
2026年4月9日午前 12:41
イスラエルと米国の攻撃によりイラン指導部が次々と排除される中、モハンマドバゲル・ガリバフ国会議長が交渉のキーマンに浮上した。パキスタンの関係筋によると、10日にイスラマバードで始まる予定の米国とイランの協議には、アラグチ外相とともに出席し、交渉を主導する見通しだという。
パキスタンは米国に対し、ガリバフ氏らを「暗殺リスト」から削除するよう求めていた。
ロイターより
4月頃の交渉の裏に居たのもこのガリバフ氏で、革命防衛隊にもパイプのある人物だとされている。
イラン戦争の結果、ガリバフ氏の権力基盤にも変化があったので、交渉相手として浮上してきた側面は強いのだけれど、現時点でもその交渉が通じる相手なのかは良く分からないのが実情である。
そして、革命防衛隊に顔が利くといっても、どの程度利くのかは良く分からないのだよね。もし、合意に意味があるとしたらこの辺りがポイントになるだろうと思う。
まとめ
多分、多くの西側メディアは根本的な勘違いをしていて、それはイランに西側が想定するような法治を前提とする国家としての統治機能が、まだ機能していると思い込んでいることなんだよね。特に、革命防衛隊を統制する立場にある最高指導者との意思疎通が図れない実情は致命的ですらある。
もともと、中東は条約や合意といったルールの適用しにくい地域だけど、特にイランはその傾向が強い。
ペゼシュキアン大統領が署名したこと自体は事実なのだろう。しかし、その合意をイラン国内の誰が担保し、誰が履行させるのかは未だ不透明なのだ。
ガリバフ氏のような革命防衛隊に近い人物が交渉の前面に出てきたことは、前回より前進した材料だろう。しかし、そのことと合意の履行が保証されることは別問題である。
そういう意味で、今回の合意のニュースはあまり信用はしていないんだよ。良い方向に向かって欲しいとは願っているけれど。



コメント
厄介な国だなぁ。国としての体をなしてないというか、交渉先が複数なのは面倒くさい。
治まると良いけれど。
ウクライナがとうとう長距離ドローンでモスクワを攻撃し始めた。
となると、こっちはどうにかなるかも知れない。兵力をほとんど辺境の少数民族や貧困者から出して、それまで大都市は戦地の戦死者の実情を知らされずに来てた。
それでモスクワを爆撃されたとなると、いよいよ戦死者があまり出てない大都市に知られる事になる!
完全に読み外れました。
それ認めます。
中長距離ミサイルを渡してもらえない状況で、そこまでドローンを進化させてきたウクライナの粘り勝ち?
このまま行けば、プーチン政権が危ないかと。そうなれば終わるでしょ。
戦後にどんな制裁が下されるか解らないけれども。シナには良い薬になる。
なので、希望的観測だけれど、ここで
イランが譲歩して継続的停戦となればと想うんてすけど。
ネタニヤフがどう出るか?
ネタニヤフ的にはイランの軍事力の息の根を止めるまでやめないつもりでしょうが、それはトランプ氏が許さんと想うんですけど。
あくまで希望的観測なのですが、もうコロナからずっと世界がめちゃめちゃ。そろそろ一息ついて(産業構造が変わるとしても)しまいたい。
こんにちは。
真っ先に思ったのは、
「よく、あの『集団指導体制』という名の『お山の大将が煽動多けりゃ船山登る』を地で行く連中の意思をまとめられたな?」
でした。
※内心、今でもまとまりきっているとは信じてません。
まあ、トランプさんは
「バイデンに出来ない事を平然とやってのける俺!そこに痺れろ!あこがれろ!」
ですから。
スター性と、狙撃を味方につける悪運は認めるけど、原油価格とか関税とかいいかげんにしろ!の功罪相成すヒトですし。
ただ、トランプ政権としては、一度サインさせてしまえば、
「次何かやったら大手を振って殲滅できる」
証文を手に入れたも同然ですからね。
多分、そこがキモなんじゃないかと思う次第です。
※七面鳥も、革命防衛隊がいつまでも黙って引っ込んでるとは思えないので……
※アメリカが復興賠償を名目にイランのインフラ牛耳ってウハウハ、というのはあからさますぎて草も生えないですが。