興味深い記事を見つけたので少々言及していこう。
ロシア国民、銀行から預金引き出し 戦費調達で凍結を懸念
2026/08/22
ロシア国民は今年1~7月、国内の銀行システムから約244億ユーロ(約4兆5千億円)を引き出した。ウクライナによる製油所や物流インフラへのドローン攻撃が経済危機を深刻化させているほか、ロシア政府がウクライナでの戦争資金を調達するために個人の預金を凍結または国有化するのではないかという懸念が広がっているためだ。
APPより
支那でも似たような動きがあるが、ロシアではかなり深刻なようだ。ロシア国民が銀行口座から預金を引き出している、それだけの話ではあるのだけれど、その額は7ヶ月で4兆5千億円相当と巨額である。
銀行を守る、誰から?
銀行から預金が消える
巨額の資金がロシアの銀行から消える。その結果何が起こるのかといえば、政府の資金調達への悪影響である。
最も大きな影響を受けたのはガスプロムバンクで、4カ月間で預金総額の10.8%にあたる2995億ルーブルを失った。ロセルホズバンク(ロシア農業銀行)は15%以上の減少となる2705億ルーブルを失った。
ロシア最大の民間銀行であるアルファバンクは、預金の5.6%にあたる1794億ルーブルを失った。ソブコムバンクとVTB(ロシア対外商業銀行)でも、それぞれ817億ルーブルと204億ルーブルの流出が記録された。
ズベルバンク(ロシア貯蓄銀行)は当初、持ちこたえていたものの、預金者はやはり現金へと流れた。6月に2116億ルーブルが流出し、続いて7月にも318億ルーブルが引き出された。唯一の例外はTバンク(旧ティンコフ銀行)で、預金残高が1930億ルーブル増加した。
APP「ロシア国民、銀行から預金引き出し~」より
多くのロシア内の銀行で、預金が消え始めている。引き出しの理由は様々だろうが、多くはロシア国民が銀行を信用出来なくなっていると言うことだろう。
この資金引き揚げの背景には、重なり合う二つの懸念がある。一つはウクライナのドローン攻撃が金融システムを不安定化させるのではないかという懸念、もう一つはロシア政府が増大する戦費を賄うために預金を没収または凍結するのではないかという懸念だ。
APP「ロシア国民、銀行から預金引き出し~」より
既に、2022年に国際決済体制(SWIFT)からキックされた時には、未だロシアの政府には信用があったんだけど、とうとうそれも尽きたということなのかも。
銀行の武装
関係しているニュースは、5月末に報じられている。
ロシア、中銀や最大手銀にドローン防衛許可する法律成立
2026年5月28日午前 11:05
ロシアで、中央銀行やその他の金融機関がドローン(無人機)攻撃を撃退するために独自の防衛システムを運用し、職員を武装させることを認める法律が成立した。下院が公表した文書で明らかになった。
ロイターより
銀行を武装するという、なかなかスゴイニュースで、その切っ掛けはミサイルがぶつかったということのようだ。
ロシアが占領するクリミア半島セバストポリのミハイル・ラズボジャエフ市長によると、ウクライナのミサイル攻撃で27日、セバストポリにある中銀の地方事務所などが損傷した。英仏のコンソーシアムが製造している「ストームシャドウ」ミサイルが使用されたとしている。
ロイター「ロシア、中銀や最大手銀に~」より
ただ、それと職員の武装は余り関係ないような気がする。何故なら、「これらの機関の職員は武装が認められる」って、それはミサイルを防衛できるとは、とても思えない。どちらかというと、現金の保護を狙っていると考えた方が良いのだろう。
そして、本来であれば銀行の防衛に関しても、治安維持を行う部隊が銀行を守れば良いのだが、そういった余力がなくなっていることを意味している。
ここで問題なのは銀行は「誰からの攻撃を防ぎたい」と考えているか?である。
ドローン撃墜許可
もちろん、ウクライナからの攻撃を警戒しているのは、間違い無いとは思う。
ロシアは中央銀行がドローンを撃墜することを認める法律を可決した
2026年5月27日(水)
ロシアは、ウクライナからの攻撃への対応に苦慮する中、中央銀行をはじめとする金融機関が独自の防衛システムを用いてドローン攻撃を撃退することを認める法律を可決した。
火曜日にロシア下院で可決されたこの法律により、ロシア中央銀行の職員は武装し、特殊部隊の介入なしに無人航空機(UAV、ドローン)による攻撃を撃退するために使用されるシステムを操作することが可能となる。
CNBCより
ドローンからの攻撃以外にも、銀行はサイバー攻撃のリスクにも晒されているので、そういった分野の防衛にも力は割いているようだ。
RBCは、国家院で可決された法律を引用し、従業員は「無人航空機、水中および水上船舶および装置、無人車両、その他の自動化された無人システムの運用を阻止する権限を与えられる」と報じた。
CNBC「ロシアは中央銀行がドローンを撃墜すること~」より
だが、その範囲はやたらと広く設定されているように思われる。果たして本当にウクライナだけを警戒しているのかは、少々疑問のように思われる。
おそらくは、ロシア国民はこうした空気に反応して、徐々に現金の引き出しを進めているのだろう。
流動性の悪化
その結果、銀行の流動性が圧迫され、政府が発行する国債を買い取るということも難しくなってきている。
流動性逼迫は現在、国家自身の資金調達ニーズと衝突している。ロシアの連邦財政赤字は2026年の最初の7カ月で6兆4600億ルーブルに達し、年間目標の3兆8000億ルーブルをすでに大幅に上回った。この穴を埋めるため、財務省はルーブル建て国債(OFZ)の週次入札に依存しているが、歴史的に主要な買い手だった銀行にはもはや現金がない。
Financeより
ロシアの銀行はSWIFTからも切り離されているので、海外からの資金調達の途も見当たらない。元々、イマドキルーブルを引き受けようという海外の銀行もないので、SWIFTと切り離されていなくとも、余り変わりはないのかもしれないが。
ともあれ、戦費調達に影響しているという実態があるのだ。
ウクライナからのドローン攻撃は実際、様々なレベルで影響していて、ここのところ流通網にも深刻な影響が出ている。

こうした動きに対して、プーチン氏はかなり苛烈な判断を下す可能性まで出てきた。
プーチン大統領は、ドローン攻撃に対して脆弱とみなされるインフラをロシアが管理することを容認した
2026年8月24日午後10時19分
ウラジーミル・プーチン大統領は月曜日、ウクライナのドローン攻撃やその他の脅威から十分に保護されていないと判断された場合、ロシア国家が極めて重要なインフラを管理する権限を与えた。
ロイターより
国家が重要インフラの管理をするといえば、聞こえは良いのだが、「ウクライナが石油精製所や小売倉庫へのドローン攻撃を強化している時期に、国家はこうした施設の暫定的な管理を引き継ぐことができるようになる」とあるように、小売業まで政府傘下の組織にしてしまう可能性がある。
これも、ロシアが追い詰められている証拠だとも言える。国民にとっては、あまり良い判断とは言えないからね。そのうち、ワイルドベリーズやオゾンから配給製品が届く社会になるかもしれない。
まとめ
ロシア政府は、銀行の前に国民が殺到するような典型的な取り付け騒ぎの発生は未然に抑止できているようだが、それでも7カ月で4兆5千億円もの預金が銀行から現金へと移っている。
そのおかげで、全方位に敵がいるような錯覚に陥っているかもしれないが、長引く戦争の影響はそれだけ深刻だということなのだろう。
ウクライナの善戦が伝えられるようになったのも、今年に入ってからなので、このことと無関係ではあるまい。
尤も、前線で一番問題なのは、戦費不足による物資の不足などでもなく、もっと直接的な、兵士の不足ということらしいけれどね。



コメント
武装銀行!
なんか大昔の3流Vシネマ作品の題名みたい。そのうち物流倉庫にまで及ぶと、武装倉庫とか出てくる?😁
それほとんどゾンビ終末映画すよ。
それにしても取り付け騒ぎの規模が
スゴっ! 日本なら大臣や次官の首は飛ぶし、下手すると内閣総辞職。
これで「まだまだ戦争します」てのは、やはりプーチンの私戦と化しているか、はたまたロシア正規軍が腐りきっているのか?
まぁマトモじゃないすね。