あーね。
なかなかスゴイ記事ではあるけれども、「罰金収入」で稼いでいるのが、支那の地方政府で、これが違法取り締まりによるものもあるという点が報じられている。
「法治」と「放置」
「遠洋漁業」に勤しむ地方政府
どこからどう突っ込んだら良いか良く分からない話だが、これが全く事実無根か?というとそうでもない。関連ニュースとしてはこちら。

これも言ってみれば「無理矢理取り締まって罰金を稼ごう」というような手法の1つではある。こういった手口は、中央だけではなく地方で横行しているというのが、冒頭のニュースの趣旨である。
これに関連して面白い記事があったので、1つ紹介しておこう。
法に基づき「遠洋漁業」型の法執行の難局を打開する
2025-05-21
ここしばらくの間、一部の地方の刑事・行政執行機関が「事件捜査」を名目に、違法・規則違反の形で地域を越えて民間企業家を逮捕したり、民間企業の財産を差し押さえ・凍結、さらには移転させたりしており、世論からは「遠洋漁業」と揶揄されている。
社会科学網より
どうやら地方政府は、「遠洋漁業」と揶揄される手法に手を染めているらしく、財政危機をこれで何とか凌ごうとしているらしい。
財政難に苦む内陸部などの貧しい地方警察が、わざわざ数千キロ離れた沿岸部(広東省や浙江省など)の裕福なIT企業やネット通販業者に「賭博をほう助した」「詐欺の疑いがある」と難癖をつけ、現地に突撃して経営者を拘束し、何億円もの口座を凍結して罰金をもぎ取るといった事例が紹介されているのだ。
習大人の意思
が、これは習近平氏の意思でもあるのだ。
習近平総書記は、「法治こそが最良のビジネス環境である」、「民間企業と民間企業家は我々と同じ仲間である」と強調している。党の第20期中央委員会第3回全体会議では、民間企業を対象とした行政検査の規範化が提唱された。
社会科学網より
凄いなぁ。
どう曲解したらそうなるのかはともかく、現状では法執行して「ビジネスをしている」のが地方政府という構図になっている。
2025年の政府活動報告では、企業を対象とした法執行の規範化に向けた特別行動を展開し、規則違反の異地法執行や利益追求型の法執行を断固として防止することが提唱された。
社会科学網より
地方政府は、確かに中央からの指示通りに動いているよ。「企業を対象とした法執行の規範化に向けた特別行動を展開」しているし、「規則違反の異地法執行や利益追求型の法執行を断固として防止」もしている。
ただし、冤罪の発生はカウントしないものとする。時はまさに世紀末である。

思わず頭の中にコレが流れてきたのだが、許して欲しい。
それはさておき、何故そんなことになっているのかを書く整理しておこう。
債務整理と事業縮小
そもそも、この話はどの辺りから始まったかというと、改革開放路線を決定した支那共産党の会議(第11期三中全会:1978年12月)からである。ここから始めると遠いので、端折りながら行く。
文化大革命(1966年~1976年)による経済の混乱から脱却するため、経済建設優先へと舵を切った。これを推進するために地方政府に強力なボーナス制度を導入(財政請負制)した。
この財政請負制によって、地方はノルマだけ出せば、残りは全部地方のモノというルールが作られ、猛烈に経済発展に向かっていく。ところが、このお金が入ってくる状態に、地方政府は「対策」を思いついた。それが、合法的なペーパーカンパニーを作ったり、名目を「税金」ではなく「手数料」にして中央に報告しない「裏金(予算外資金)」を大量にプールする手法である。
結果的に、中央政府が弱くなったので、1994年、中央政府は「分税制改革」を断行する。儲かる税金(消費税や増値税など)の大部分を、中央政府が吸い上げる仕組みに変え、学校の運営、警察、医療、道路やインフラの建設といったお金がかかる実務(支出の約8割)は地方政府の担当のまま据え置いた。
当然、お金が足らなくなる地方政府は、別の方法で金策をせざるを得なくなる。で、農民から安く買い叩いた土地を、不動産開発会社に「使用権」として数十年分まとめて高額で売り払う「土地財政」という究極のビジネスモデルを編み出したのである。ただしこれは経済が膨らみ続ける前提の手法なので、どこかで転ければ、一気にマイナス方向に進むことに。
2020年、中央政府が不動産バブルの破裂を恐れ三紅線(スリー・レッドライン)規制を始め、これがトリガーになってバブル終焉を迎えたのは、ご存じの通りである。
地方政府は、収入の約4割を支えた不動産収入を一夜にして失って、債務だけを背負うことに。なお、税収は戻っていない。
中国、210兆円の地方債発行へ 「隠れ債務」の解消につなげる狙い
2024年11月8日 22時40分
中国政府は、実質的には地方政府の債務だが公式統計には表れない「隠れ債務」の解消に向け、今後5年間で10兆元(約210兆円)の地方債を追加発行する。地方財政が逼迫するなか、隠れ債務の膨張が金融システムへ飛び火する可能性もあり問題になっていた。
朝日新聞より
「地方債を発行しても良いよ」ということにしたのだが、そもそも税収が入ってこないのだから、一時凌ぎにしかならない。
「ヒャッハー!」な世界へようこそ
というわけで、先ほど紹介した「遠洋漁業」に勤しむような地方政府が出てきたという構図なのである。
「遠洋漁業」を抑制する法的手段
2025年03月10日 06:47:26
最近、一部の地域の公安機関が、管轄権に争いがある状況下で、違法・規則違反の形で他地域での逮捕を行い、権限の範囲を超えて他地域の民間企業や個人の財産を差し押さえ、凍結し、さらには移転させるといった事例が見られる。
~~略~~
このため、全国の検察機関は「企業関連の法執行規範化特別行動」に積極的に参加し、刑事手段を用いて民事紛争に介入すること、企業の財産を違法に「差し押さえ・凍結」すること、違法な異地法執行や利益追求型の法執行、企業関連の「未解決案件」といった顕著な問題に対して厳しく取り締まる。この措置は、「遠洋漁業」現象を是正するという強いメッセージを社会に発信している。
cctvより
当然、こういった「遠洋漁業」の取り締まりは行われるのだけれど、そもそも地方の公安機関がやらかしているのだから、そう簡単に取り締まれるわけもなく。
相互に「遠洋漁業」に乗り出すようなところもあって、なかなかの無法っぷりである。
当然、中央政府としてもこうした実態を取り締まりたいとは思っているのだが、そもそも地方政府を締め上げたのも自分たちである。ある程度はお目こぼしをしている側面はあるし、「正義をなして、違法な企業を取り締まっている」という体なので、なかなか対処が難しいらしい。
民間企業も、やっていられないよね。
まとめ
これまで散々支那経済は悪いと書いてきたけれど、こういう実態を見るにつけ、「世の末よのぉ」と言いたくなってしまう。
今回の記事は、本来は短縮版として書こうとスタートしたものなので、まとまりが悪くなっていて申し訳ない。
が、支那の地方政府の苦悩の一端が伝われば良いかな、と思う。
文化大革命 → 改革開放路線 → 財政請負制 → 土地財政発明 → 三紅線規制 → 「遠洋漁業」発明
こんな流れで、苦しんでいる。ただ、やっていることはなかなか救えない。

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