相変わらずの「高支持率」を示したプーチン氏だが、ここまで支持率が高いことを示せたことを、依然として影響力が残っていると判断すべきか、それとも無理をしたのだと判断すべきか。
プーチン政権与党が下院選圧勝、7割超の議席獲得見通し…ウクライナ侵略「信任」アピールへ
2026/09/21 21:48
ロシアで下院選(定数450、任期5年)は20日に投票が締め切られ、即日開票の結果、プーチン政権与党「統一ロシア」が圧勝した。中央選挙管理委員会が21日に発表した中間集計(開票率約95%)によると、統一ロシアは7割超の議席を獲得する見通しで、政権はウクライナ侵略について「国民の信任を得た」とアピールしていくとみられる。
讀賣新聞より
単純にロシア国民の信任を得ていると言い切ることは難しい状況だとは思うんだけれども。ロシア国家院(下院)選挙での「勝利」は大きく掲げたいのだろうね。
戦争継続への意欲
儀式的な投票行動
記事にもあるが、今回の選挙ごっこには「高支持率」を印象付けることが出来るような仕掛けが行われている。
しかし今回の下院選は、反戦を唯一、掲げた改革派野党「ヤブロコ」が比例選から排除され、小選挙区でも約3割の候補が出馬を取り消された。
モスクワで有権者に聞くと、比例選で統一ロシア以外の政党に投票したという法律事務所で働く女性(28)は「統一ロシアに入れないことが、戦争を支持しない意思表示だった」。不動産業の男性(49)は、「投票先にヤブロコがなかったため棄権した」と話した。
讀賣新聞「プーチン政権与党が下院選圧勝~」より
反政府系の組織は、そもそも候補者として出馬することに制限があるし、政府を支持しないことを知られれば、立場的に不味くなる空気が作り出されているようだ。
Fake Observation, Statement
September 21, 2026
2026年9月18日から20日にかけて行われたロシア国家院選挙は、ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻以来、初めての議会選挙となった。今年のいわゆる「一斉投票日」は、厳しく統制された政治環境下で行われ、真の競争はなく、投票率は前例のない有権者への圧力と電子投票の操作によって操作された。また、多くの地域で選挙管理委員会は依然として投票不正に頼っていた。ロシア選挙監視団の報告によると、不正は単純な票の詰め込みから、より巧妙な「回転投票」スキームまで多岐に渡る。
Epde.orgより
この内容はなかなか興味深いのだが、「適正な投票が行われたとするように偽証した」との内容が説明され、電子投票が「公正に」行われたとされている。

勝つことは最初から分かっていたという評価も多いね。
そうすると、「選挙」という儀式を行って、プーチン氏が「国民の支持を得ている」というメッセージを出したと見るのが妥当なのではないか。
特定の地域では
なお、万が一にもおかしな結果が出ないように、ロシア政府は心を砕いていたようだ。
ロシア下院選、ウクライナ東・南部「併合4州」不正懸念…監視カメラ禁止・口頭申請で投票可能に
2026/09/20 08:40
ロシア下院選(定数450、任期5年)を巡り、ロシアは、一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州で投開票の管理体制を緩めて選挙を強行している。当局による投票結果の改ざんにつながるとの指摘が出ている。
~~略~~
露中央選挙管理委員会は実施に関し、4州に関する特例措置を決定。投票所や選管施設で監視カメラの設置を禁止するなどした。露選管は「安全の確保」などが目的だと説明している。しかし、ロシアでは過去の選挙で独立系の選挙監視団体などが「政権側による票の操作」を指摘してきた経緯があり、「投開票の透明性を確保できない」と懸念する声が上がっている。
投票所では、口頭で申請すれば有権者と認め、投票が可能となる。独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ欧州」は、投票者の検証が難しくなることを問題視する。
讀賣新聞より
口頭申請ね。
投票率もさぞかし高かったことだろうとは思うのだけれど、ロシアにとって選挙という儀式は必要なことだったのだから、こういうやり方もまたアリなのだろうね。
実情は厳しい
戦局の悪化
実際のところ、ロシアは戦争を続ける大義名分を失っている。ただし、戦争を止めるための大義名分も得られてはいない。
結果、巨額の富を浪費し続けている。
ウクライナの攻撃による損失、「40日でGDP1%」とプーチン氏
2026年9月2日 7時58分
ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は2日、ウクライナからの過去40日の船舶などへの攻撃で、国内総生産(GDP)の1%に相当する損害が生じたと述べた。致命的な損害ではないと主張しつつ、「それでも損害は出ている」と話した。
朝日新聞より
プーチン氏とて、「損失の存在」は認めざるを得ないので、40日でGDP1%という具体的数字を挙げた。
この数字は継続的に損失を続けているという意味ではなさそうだ。
ウクライナは今春から、ロシア領内の深部にある製油所などへの攻撃の頻度を上げてきた。6月下旬には「40日間の作戦」と銘打ち、さらに攻撃を激化。黒海ではロシアの貨物を運搬しているとみられる船舶を相次いで攻撃した。
プーチン氏が言及した「40日」は、この作戦中の時期を指すとみられる。プーチン氏は、「計約100隻の船舶が損害を受け、人命も失った」とした。
朝日新聞「ウクライナの攻撃による損失~」より
しかし、40日で1%だとすると、100%になるのに4000日か。「この程度なら、継続していける」という意味なのだろうね。苦しくないわけではないのだろうけれど。
経済の不調
そして、経済的にもかなり苦しい展開が続いている。
ロシア経済は持ちこたえているが、その衰退からの回復には数十年かかる可能性がある
2026 年 9 月 18 日
モスクワは、戦時経済は回復力があり、西側諸国の制裁は失敗に終わったと主張している。しかし、国営開発銀行のチーフエコノミストの解任と、彼の警告の根拠となった数字は、より複雑な状況を物語っている。
international financeより
記事を読むと割と肯定的に書かれているロシア経済だが、流通が破壊されつつあるので個人的にはかなり厳しい方向に向かっていると考えている。

衰退から回復に「数十年」というのは、些か楽観的ではないだろうか。
小Linの視点:ロシア・ウクライナ戦争4年の経済収支――ロシアは金と軍需産業で表面を取り繕い、ウクライナは海外支援で命をつなぐ ドローンが唯一の勝ち組産業に
2026-09-22 20:08
ロシア・ウクライナ戦争が2026年9月で4年半に及ぶなか、両国の経済を「どちらが優勢か」だけで語ることは難しい。小Linは番組「小Lin說」で、財政、インフレ、労働力、凍結資産、ドローン産業を分析した。ロシアは中央銀行による大幅利上げ、エネルギー収入、金価格の上昇に支えられ、GDPの数字こそ底堅く見える。しかし、インフレ率は10%近くに達し、労働力不足が深刻化。政府系ファンドの流動資産も底をつきつつあり、軍需産業の拡大が民生を圧迫している。
Financeより
記事に指摘があるように、ウクライナ経済は継続的に年間600億~800億ドル(約9.4兆~12.6兆円)の海外支援とIMF支援に依存していて、ウクライナは支援なしには戦えない。
そしてその原資になっているのが、ロシア資産の利息だというのだから、もはやロシアとEUとの断裂は決定的と言えるだろう。
ロ財政赤字「深刻な問題に当たらず」 プーチン氏、経済運営に自信
2026年9月4日午前 12:11
ロシアのプーチン大統領は3日、拡大傾向が顕著になっている財政赤字について、ロシア経済の「深刻な」リスクにはならず、管理は可能との認識を示した。極東ウラジオストクで開催されている国際経済会議「東方経済フォーラム」で「ロシアの債務は世界で最も低い水準にあり、深刻な問題には当たらない」と発言した。
ロシアの2026年1─7月の財政赤字は前年同期比40%拡大。財政赤字の国内総生産(GDP)比は2.8%と、26年の公式目標である1.6%を大きく上回っている。
ロイターより
プーチン氏は「大丈夫だ、問題ない」との認識を示したらしいが、大丈夫ならこんなことは言わないのだ。
経済的なダメージ
敢えて何処がどうダメか?という話をすると、国内経済における流動性が悪化して物々交換が主流になりつつあるというのが去年の話。
これの改善のためにゴールドを大量に売ったとか、国家富基金(NWF)の取り崩しとか、割と最後の手段を「既に使ってしまっている」状態ではある。
そして、デジタル・ルーブル(CBDC)の強制導入などを行っているのだが、どうやらこれが支那から導入してきたシステムっぽくて、なかなか厄介である。

デジタル人民元と一蓮托生のデジタルルーブル(非対称なので、ロシア側からのクラッシュには耐性があるとされている)になったので、生殺与奪の主導権を支那に握られたという事実は重い。
まとめ
今回のロシア国家院(下院)選挙は、プーチン氏の意地が感じられた選挙であると評価して良いのではないか。つまり、これはロシアの置かれた状況に余裕があることを意味しない。むしろ戦争と経済の両面で負担が増す中、改めて「支持されている政権」を演出する必要に迫られた結果だったと見て良いのだと思う。
ただ、現実を見るとかなり厳しいのであって、ロシアとしても戦争継続は難しくなっている。支那に生殺与奪の権利を与えて尚、ロシアとしては「未だ出来る」をアピールしたかった、との評価が妥当だろう。


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