これが案外、画期的な法改正のように思う。
トクリュウのスマホ「遠隔解析」導入へ、改正法案を閣議決定…詐欺や強盗など「重大犯罪」対象
2026/10/16 10:36
政府は16日、「匿名・流動型犯罪グループ( 匿流)」が使用するスマートフォンの通信内容などを遠隔で解析する手法の導入に向け、警察官職務執行法の改正案を閣議決定した。今の臨時国会での成立を目指す。
讀賣新聞より
分かりにくい話だと思ったので取り上げたのだが、これに注目した人はそんなに多くなかったのか、把握できる範囲内では話題にはなっていない気がする。
使ってみないと分からないことが多い
対トクリュウ措置
先ず、この法律が何を狙った法律なのか?という話について軽く触れておく。
- 背景と目的: トクリュウは暗号化された秘匿性の高い通信アプリを使用するため、従来の通信傍受では実態把握が困難だった。
- 仕組み: 裁判官の許可状を得た上で、特定の端末にリモートアクセスし、狙われている住人の情報や襲撃日時などのデータを把握します。これにより、事件の発生を未然に「遮断(防犯)」することを目指す。
まとめておいてなんだが、実に分かりにくい構図になっている。
「裁判官の許可状を得た上で」という点について、ここは従来も似たやり方をしていることは、多くの方がご存知のアレである。つまり、家宅捜索をする際に取得する捜査令状と同じか類似した方式だ。あれも、裁判所が発行することになっている。

で、許可が降りると何が出来るのか、という話なんだけど。
改正法では、重大な犯罪の計画などを把握した場合、警察官には被害防止の措置を講じる責務があることを明記し、遠隔解析制度の新設を盛りこんだ。
讀賣新聞「トクリュウのスマホ「遠隔解析」導入へ~」より
「遠隔解析制度」などというものが出てきている。これが先ず分からなかったのだが、割とちょっと画期的というか、出来るのかこれ?という感じの話。
遠隔解析
何をするのか?なんだが、これが結構面白い。
解析担当官は専門的な知識がある警察官とし、警察庁長官が指名。警察は摘発した実行犯の供述などを基に、指示役らのスマホを特定して解析を進める。遠隔解析で取得する情報は、狙われている住人の氏名や住所、事件が計画される日時などで、こうした情報を基に警察官が現場に駆けつけ、事件の未然防止を図る。
無関係の情報を取得した場合は全て削除する。対象者には事後に通知し、公安委員会への報告も義務づける。
讀賣新聞「トクリュウのスマホ「遠隔解析」導入へ~」より
どうやら、「遠隔解析」という名のスパイウェアを指示役のスマホに仕込むってことらしい。正確に言うと、スパイウェアを仕込むのは方法の1つで、その他にもOSの脆弱性を利用したり、アプリの特性を利用したりということも想定はできるけれども、一般的に合法的な方法とは言えない方法で、情報を取得するということを意味するようだ。
なかなか、思い切ったな!
これって、ぱっと思いつくだけで2つほど問題があるのだけれど、どうやって回避する気なんだろう。
1つは、「通信傍受法」との整合性が怪しいという点だ。通信傍受は平文で通信される情報を取得して捜査に使うことを想定しているものだが、今回の遠隔解析の方法ではリモートでデータの差し押さえにかかろうという構成になっている。
もう1つが、「違法収集証拠排除法則」である。これは何かというと、違法な方法で取得した証拠は、裁判で証拠として採用ができないというちょっとアレなルールだ。一応、今回の方法は裁判所の許可に基づいた情報取得なのだが、その方法で取得できたデータであることを証明することが難しいという難点がある。
他にも、無関係な第三者から取得してしまったデータに関してはかなり問題になるのだが、「無関係の情報を取得した場合は全て削除する」というのは、対象者から得た情報でも無関係だと認定されれば削除する必要があるということにしている。
とはいえ、今のままでは犯罪による被害が大きすぎるので、公共の利益の為にこれまでは厳しく制限されていたことを許可するというようなルールとしているのだ。使ってみないと、分からない部分は多い。
まとめ
これまでにない「遠隔解析」という試みで、トクリュウの捜査に役立てようとする法案が閣議決定された。この内容、おそらく左派は大騒ぎしそうな部分を含んでいて、特に通信傍受などの辺りで日本弁護士連合会などが大騒ぎしそうである。
現段階では、触れられていないようだが。
公共の利益とのバランスを考えることが難しい話になりそうなのと、忘れていたがもう1つ気になることがあって、指示役が海外にいた時はどうなんだろう?という話はちょっとよく分かっていない。
というわけで、これも含めて上述したような問題点を抱えつつ、しかしかなりの被害額を出している事案である。何らかの対策が必要なことは間違いないのだ。



コメント
>これが案外、画期的な法改正のように思う
ついに始まった、という実感があります。
深くは立ち入らないけど、今回の”警察官職務執行法改正”は間違いなく「スパイ防止法」への一里塚でしょう。
聞くところでは、今年末までに「安保三文書」の前倒し改定が行われると。そうなれば、来年にはいよいよ「スパイ防止法」の議論が始まると期待しています。