2024年に地中海で沈没したロシア貨物船「Ursa Major」に関して、スペイン政府が「原潜用原子炉部品を輸送していた」と認めたようだ。
当初から「単なる事故ではない」と噂されていた事件だが、ここへ来て“北朝鮮向け輸送説”まで浮上している。
地中海で沈没したロシア船は「潜水艦用原子炉の部品」積載 スペイン政府 北朝鮮に輸送中だったとの報道も
2026年5月14日 9:53
2024年に地中海で沈没したロシアの貨物船が、原子力潜水艦で使用されるものと同型の原子炉の部品を積載していたことが、スペイン政府の書簡で明らかになった。
AFPより
このニュースは2024年12月にロシアの貨物船が公海上で沈没、行方不明になった事件の続報である。当初から色々な噂があったように記憶しているが、船長の自白によりほぼ確定。少なくとも原子炉が積まれていたことが分かった。
当然ながら、国際的に極めて問題のある事案となる。
北朝鮮向け「原潜用原子炉」輸送作戦だった?
地中海で沈没、ロシア貨物船「Ursa Major」
事件が発生した当時の記事がこちら。
地中海でロシア大型貨物船爆発し沈没 運送会社「テロ」
2024年12月27日 8:09
インタファクス通信などによると、スペインとアルジェリア沖の地中海の公海で23日、ロシア国防省傘下の運送会社が所有する大型貨物船「ウルサ・マイオール」が機関室での爆発後に沈没した。乗員14人は救助されたが、2人が行方不明となり、運送会社は「テロが実行された」と主張している。
日本経済新聞より
貨物船「Ursa Major」号は、ロシア軍の軍事輸送を担当していることで知られており、当時からアメリカからもマークされていた貨物船であった。
いわゆる幽霊船団(ゴーストフリート)であり、その中でも重要な役割を果たしていたようだ。
そして冒頭の記事には、これに絡んだ自白があったことが報じられた。
2月23日付でスペイン議会に提出された政府書簡(AFPが13日に確認)によると、ウルサ・マヨ―ルの船長は最終的に「原潜で使用されるものと同型の原子炉2基の部品」を輸送していたことを「自白」したという。
12日に米CNNが報じたところによると、船長は原子炉には「核燃料は入っていなかった」と述べたが、この情報は確認が取れなかったという。
CNNとスペインの地方紙ラ・ベルダ・デ・ムルシアによると、この船は北朝鮮に原子炉を輸送していたため、西側諸国の作戦によって撃沈された可能性がある。
AFP「地中海で沈没したロシア船~」より
当時は、爆発炎上して沈没という過程を経たこともあってか、船長が「テロが行われた」などと主張していたようだ。
だが、西側の作戦によって撃沈された可能性もあると、この記事では言及しているね。
右舷側で爆発を確認?
当時から「爆発」し「炎上した」という点には懐疑的な指摘が多かった。
ウルサ・マイオールはロシア北西部サンクトペテルブルクから極東ウラジオストクに向かう途中で、発表によると、右舷側で3回の爆発が起きた後に沈没した。最大積載量は9500トンで、クレーンや空のコンテナなどを輸送していたという。
日本経済新聞「地中海でロシア大型貨物船爆発~」より
ロシア人船員16人のうち14人が救助されて、2名は行方不明のまま。
しかし、「Ursa Major」号の航行する様子の動画には爆発した様子は見られなかった。ただ傾いて航行していて、撮影された時点で既に致命的な状態であったことは見て取れる。
動画では左舷側に傾いてる様子も見受けられるが……?
当時、スペイン海難救助隊が出て救助に当たっていたようで、これはおそらくその関係者が撮影した動画である。
スペイン政府の発表に寄れば、航行中から挙動がおかしく、スペイン海事当局から何度も確認連絡が入れられたようで。
北朝鮮に送る「原潜用原子炉」載せたロシアの沈没船、地中海で撃沈されたか
登録:2026-01-03 06:37 修正:2026-01-03 07:46
約1年前に地中海で沈没したロシアの貨物船が、北朝鮮に送る原子炉2基を積んでいた可能性が高いというスペイン当局の調査結果が公開された。西側では、北朝鮮が2024年にウクライナ戦争派兵の見返りにロシアから原子力潜水艦用の小型原子炉を提供された可能性があるとみられてきた。
~~略~~
しかし、スペインとアフリカの間のジブラルタル海峡を通った2024年12月21日から異常兆候を見せ始めた。追いかけてくる何かを振り払うかのように、急にスピードを落としたり、航路を変針するなど、不規則な航海を行ったのだ。翌日には理由もなくスピードを落とし、左舷に傾いた。スペイン海事当局が船に連絡を試みたが、船側は「何もかも大丈夫だ」と答えたという。
結局、船は12月23日から24日の未明にかけて、スペインとアルジェリアの間の海域で沈没した。乗組員16人のうち2人が行方不明になり、14人はスペインに移送された。船社はロシア国営メディアに声明を出し「ウルサ・マヨールを狙ったテロ攻撃が行われたと考えている」と非難したが、誰がなぜ攻撃を行ったのかについては言及しなかった。
ハンギョレより
そして、今年に入ってからは、何らかの攻撃を受けて沈没した可能性について言及されていた。
秘密の荷物
動画が残っているのは、不審な行動を起こしており、マークされていたためだと思われる。
スペイン政府は船体にある直径500ミリの穴にも注目した。穴の縁が船の内側に向かっていることから、外部から衝撃が加えられたものとみられる。スペインの専門家らは、このような形の損傷は、一般的な爆薬よりは超空洞(スーパーキャビテーション)魚雷によるものだと推定している。爆薬なしでも船舶を貫通するこの兵器は一部の北大西洋条約機構(NATO)加盟国と中国、ロシアだけが保有している。
ハンギョレ「北朝鮮に送る「原潜用原子炉」載せた~」より
問題を起こしたのが右舷なのか左舷なのかはハッキリしないが、当初の発表にあった「機関室からの火災」というのは原因としては疑わしい。

そして事故当時は、「荷物」についての言及はなく、同船が届け出た貨物は、港湾用のクレーンや砕氷船用のカバー、空のコンテナなどだった。
しかし、スペイン当局は船の船尾に重さ65トンの未申告の箱が載せられており、ここには冷却用の配管と原子炉の主要部品が入っていたことを確認した。当局はこれを根拠に、VM-4SG原子炉2基が同船に積まれていたと結論付けた。
ハンギョレ「北朝鮮に送る「原潜用原子炉」載せた~」より
だが、冒頭のニュースに示すように、荷物が原子炉であったことを船長が自白した。
北朝鮮は近年、「戦略原潜」の建造を進めていると主張しており、今回のニュースはそれを裏付けた格好だ。小型艦艇用原子炉を独自開発するのは極めて難易度が高く、西側では以前から「ロシアによる技術供与」が疑われていた。
ウラジオストックまで輸送された後、原子炉はおそらく陸路で北朝鮮へ運ばれる計画だったのだろう。
余談だが、「Ursa Major」はラテン語で「おおぐま座」を意味する。
おおぐま座の逸話としては、森に住むニンフ(妖精)のカリストがゼウスの子を身籠もり、ヘラの怒りをかって熊に変えられた話が有名だが、後に息子のカリストに殺されてしまうという救いのない話である。
ロシアといえば熊で例えられるのも皮肉な話だが、今回の話でいくとさしずめ息子の役は北朝鮮と言ったところなのかもしれない。
まとめ
これで、沈没した貨物船には原子力潜水艦用の原子炉部品が含まれていたことはほぼ確定。
原潜技術の拡散は、核拡散問題そのものに直結する。
西側の作戦で沈没させられたかは不明だが、その可能性は濃厚だろう。少なくとも、ロシアの船が沈没した海域の調査に出ていた時点でかなり怪しかったのだが、こういった軍事的な駆け引きは、映画や小説の中だけの話ではないと言うことだね。



コメント
記事にしてくださり嬉しい。
スパイ小説的な内容の面白さもあるけれど、それより刈り上げが核ミサイルを水中発射できる原潜を持つ事の方がはるかに怖い。
少なくとも世界にとって、
「頭のおかしいチンパンジーが拳銃を持って脱走した」くらいの迷惑。
誰が沈めてくれたかあえて問いませんが、グッドジョブと申しておきたいと想います。