インドについては別の記事で扱うつもりだったが、今回の日印首脳会談でも重要鉱物が大きなテーマになっていたので、この機会に触れておきたい。
高市首相とインドのモディ首相、経済安保で共同宣言発表…半導体や重要鉱物など五つを優先分野
2026/07/02 20:58
高市首相とインドのモディ首相は2日、経済安全保障協力に関する日印共同宣言を発表した。半導体や重要鉱物、クリーンエネルギーなど五つを優先分野に位置付けて協力を推進することを明記した。
讀賣新聞より
タイミングを逸してしまい、このブログではG7首脳会談の記事では重要鉱物について十分触れられなかった。
しかし、この合意は今回の一連の外交を考える上で、実はかなり重要な意味を持っている。
対支那包囲網
補助導線は引かれていた
この流れは突然始まったものではない。G7首脳会談に先立ち、G7財務相会談やG7外相会談でも既に下地作りが進められていた。

G7財務相会談の成果に関しては、1月の記事で言及しているのだが、この時既に「重要鉱物」の話し合いは行われており、支那抜きでレアアースなどの流通をやろうぜというコンセンサスがとれていた。
そして、4月の外相会談。
この時にはあまりその点については記事にしなかったし、話し合いの成果としても注目はされていない。
イランに関するG7外相声明
令和8年3月27日
現地時間3月27日(日本時間28日)、G7外相は、標記声明を発出しました。
・我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国及び米国のG7外相並びに欧州連合(EU)上級代表は、2026年3月26日から27日まで、フランスのヴォー・ド・セルネ修道院においてG7フランス議長国下で、一堂に会した。
・我々は、イラン及び地域の情勢について議論した。
・我々は、この争いが地域のパートナー、民間人及び重要インフラに与える影響を最小化することの重要性、並びに人道支援の取組を調整する必要性を強調した。
・我々は、民間人及び民間インフラに対する攻撃の即時停止を求める。武力衝突において民間人を意図的に標的とすること及び外交施設を攻撃することにはいかなる正当化もあり得ない。
・我々は、経済、エネルギー、肥料及び商業サプライチェーンの混乱といった我々の市民に直接的な影響を及ぼす世界的な経済への打撃を緩和するためのものを含む、多様なパートナーシップ、調整及び支援イニシアティブの価値に焦点を当てた。
・我々は、国連安保理決議第2817号及び海洋法に整合的な形で、ホルムズ海峡を安全かつ通航料なく通過する航行の自由を恒久的に回復する絶対的な必要性を改めて表明した。
外務省のサイトより
全文引用したが、確かに重要鉱物に関わる導線は繋がっていた。そして、トランプ氏との会談の時にもその話はあった。

また、オーストラリアとも話し合いをして、重要鉱物の話をしている。

つまり、着々と準備は進められていたわけだ。
インドも巻き込む
そして、その流れの延長線上にあるのが冒頭の日印首脳会談である。
レアアース(希土類)の輸出規制で各国に圧力をかける中国を念頭に、恣意的な輸出制限や価格操作を含む経済的威圧や非市場的政策・慣行への懸念も掲げた。
讀賣新聞「高市首相とインドのモディ首相~」より
この話は、当然G7の話を踏まえたものとなっている。
G7首脳、重要鉱物の依存低減で協調 30年までに60%未満へ
2026年6月17日午後 10:27
主要7カ国(G7)首脳は17日、防衛・技術・再生可能エネルギーに不可欠な重要鉱物を巡り、中国への依存度を引き下げるための協調を強化することで合意した。備蓄の連携や、国際エネルギー機関(IEA)の役割を拡大した新たな基盤の創設を計画に盛り込んだ。
G7首脳は声明で「各国の経済的繁栄と安全保障において、重要鉱物のバリューチェーンが戦略的役割を担っている」との認識を示した。
ロイターより
こうやって考えていくと、高市政権は全力で支那を殴りに行っていると、そのように解釈できるわけだ。
もちろん、外交には複数の狙いがあるため、これだけが目的とは言えない。しかし、ここ半年の動きを並べてみると、この解釈が最も整合的であるように思える。
西側諸国は、防衛・技術・再生可能エネルギーに不可欠な金属の供給源を多様化し、中国への依存低減を急いでいる。中国政府は2025年、永久磁石への輸出規制を導入し、世界市場を動揺させた。これにより、各国が単一の供給源に依存している実態が浮き彫りとなった。
G7首脳は中国を名指しはしなかったものの、レアアースと永久磁石について、G7やパートナー国以外の単一の供給国への依存度を2030年までに60%未満に引き下げ、最終的には「可能な限り早期に」50%への引き下げを目指すとした。
ロイター「G7首脳、重要鉱物の依存低減~」より
名指しはしていないんだけどね。
韓国は尻込みを
それと、これに関するニュースなのだが、韓国はここに加わるのを躊躇しているようだ。
韓国、G7「重要鉱物サプライチェーン安定化」に不参加…中国を意識か
2026.06.18 14:35
15~17日(現地時間)にフランス・エビアンで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議で、各国首脳は成果文書として「すべての人の利益となる、均衡の取れた包摂的で、持続可能な経済成長の回復」「未成年者のためのより安全なデジタル環境」など8件を採択した。韓国はこのうち7件の文書に参加した。ただ一つ例外だったのが「重要鉱物サプライチェーンの安定化」だった。韓国はこの成果文書への参加を見送り、「G7による重要鉱物の多角化と強靱なサプライチェーン構築の取り組みを支持する」との立場だけを表明した。
中央日報より
韓国政府の判断は、朝鮮半島にある韓国という国家の立ち位置を考えれば、何となくは分かる。アメリカの同盟国として西側に軸足を置く決めても、支那との経済関係を切り離すことは現実的ではない。
特に、半導体企業2社が韓国経済を支えているが、その2社とも支那に重要な製造工場を持っている。
その一方で、オーストラリアの重要性には言及している辺り、日本のメディアよりは分かっているかもしれない。
「重要鉱物サプライチェーン安定化」には、G7加盟国以外ではオーストラリアだけが唯一参加した。オーストラリアは世界のレアアース埋蔵量の約5%を保有し、世界生産の約8%を担う世界3~4位の生産国だ。G7各国にとっては、重要鉱物サプライチェーンにおける中国依存度を下げるためにオーストラリアが必要であり、オーストラリアとしても重要鉱物輸出で中国に対する優位性を高めるため、G7各国と歩調を合わせる必要がある状況だ。
中央日報「韓国、G7「重要鉱物サプライチェーン安定化」~」より
冒頭のニュースは、そこに更にインドも加えるという意味であり、包囲網を完成させるためには不可欠な国家と言える。
まとめ
こうして眺めると、日本を軸に重要鉱物の供給網を再構築し、中国依存を切り離そうという動きが着実に形になりつつあることが分かる。
それが良いことなのか悪いことなのか。
「支那を刺激しかねない」とメディアは大合唱しそうだが、そんなの今更としか言えないよ。



コメント
インドはカシミール紛争でのパキスタンの背後にシナいますからねぇ。
パキスタンはアルカイダ支援に、軍の機密機関が関与してたのバレで、米国と険悪な関係になったままだし。
だからって、あの国がどこまで本気で包囲網に取り組むかというと疑念が残る。
シナとの国境ての紛争は素手と棒と石で行われ(ヤンキーマンガかよ🤣)抑制されたものでしたし。
カラコルム山系でのパキスタンとの小競り合いも、重火器は使わないという抑制が効いています。
パキが暴走すれば話は別ですが、背後のシナがカシミール紛争を全面化するの嫌がってむすからねぇ。
インドとしては、本気でシナに構える切迫した必要性があるのかどうか?
インドとしては、支那に対して消極的ながらも牽制できればいいくらいに思っているのでは。
実際、必要があれば、支那とも取り引きをする国ですし。